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この章で選ぶ L\mathcal L:自由な部分と ϕ4\phi^4 の相互作用と源

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第7章 経路積分から摂動展開と Feynman 則へ
目次
  1. 単位と記号の約束
  2. 選ぶ Lagrangian 密度
  3. 生成汎関数
  4. 時空を1点に縮めた模型
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第7章 §5.7.1 ★★★ L=L0−λ4!ϕ4\mathcal L=\mathcal L_0-\frac{\lambda}{4!}\phi^4 に源 JϕJ\phi を足し、生成汎関数 Z[J]Z[J] を微分するだけで時間順序積の真空期待値が出る形にする

第5部第2章(第5部第2章)では、Klein–Gordon 場の Lagrangian 密度が ϕ\phi について2次であることを使い、場を Fourier 成分ごとに独立な調和振動子に分けて量子化した。2次の L\mathcal L は自由な粒子しか表さない。粒子どうしが散乱し、生成され、消えるには、L\mathcal L に3次以上の項が要る。ところが3次以上の項があると Fourier 成分どうしが結び付き、振動子への分解はもう使うことができない。この章は、そのときにどう計算するかを扱う。

選ぶのは、自由な Klein–Gordon 場に −λ4!ϕ4-\frac{\lambda}{4!}\phi^4 を足した Lagrangian 密度である。当てる道具は2つで、1つは第4部第8章(第4部第8章)で作った経路積分、もう1つは有限次元の Gauss 積分の公式である。経路積分の重みeiS[ϕ]\mathrm{e}^{\mathrm{i} S[\phi]} を2次の部分と残りに分け、残りを λ\lambda のべきに展開すると、各項は「Gauss 分布の下での場の多項式の平均」になる。Gauss 分布の多項式の平均は、場を2つずつ組にする組み方の和(Wick の定理)で書くことができる。組にした2点を線で結ぶと図ができ、その図から式を書き下す規則が Feynman 則である。

出てくるものは3つある。1つ目は、2次の部分の逆として現れる Feynman 伝播関数で、第5部第2章の真空の相関 D(x)D(x) を時間の順に並べ替えたものになる。2つ目は、摂動の各項を図で数える規則で、図の対称性から決まる因子と、真空の泡の図が分母と打ち消すことまで含む。3つ目は、ℏ\hbar を戻したときに図のループの数が ℏ\hbar の次数に等しいこと、すなわちループを持たない図が古典の場の方程式の解に当たることと、λ\lambda についての級数が収束しないこと(Dyson の議論)である。

計算を具体的な数で確かめるために、この章では2つの小さな模型を何度も使う。時空を1点に縮めた「0次元の場」と、時空を時間の1次元だけにした「非調和振動子」である。前者では伝播関数が 11 になるので図の数え方だけが残り、後者では5.7.6節で量子力学の授業のRayleigh–Schrödinger の摂動論と項ごとに一致することを確かめる。

単位と記号の約束

この章では ℏ=c=1\hbar=c=1 とし、演算子の帽子を省く(第5部第2章と同じ約束)。5.7.5節の一部だけで ℏ\hbar を戻し、そこでは断る。計量は ημν=diag(+1,−1,−1,−1)\eta_{\mu\nu}=\mathrm{diag}(+1,-1,-1,-1)(この本の流儀)で、k⋅x=kμxμ=k0x0−k⋅xk\cdot x=k_\mu x^\mu=k^0x^0-\bm{k}\cdot\bm{x}、k2=kμkμk^2=k_\mu k^\mu、∂2=∂μ∂μ=∂t2−∇2\partial^2=\partial_\mu\partial^\mu=\partial_t^2-\nabla^2 と書く。4次元の積分は d4x=dt d3x\mathrm{d}^4x=\mathrm{d} t\,\mathrm{d}^3x である。

選ぶ Lagrangian 密度

実スカラー場 ϕ(x)\phi(x) に対して

L=12∂μϕ ∂μϕ−12m2ϕ2⏟L0  −  λ4!ϕ4⏟Lint(5.7.1)\mathcal L=\underbrace{\frac12\partial_\mu\phi\,\partial^\mu\phi-\frac12m^2\phi^2}_{\mathcal L_0}\;\underbrace{-\;\frac{\lambda}{4!}\phi^4}_{\mathcal L_{\mathrm{int}}}\tag{5.7.1}

を選ぶ。L0\mathcal L_0 は第5部第2章の Klein–Gordon 場の Lagrangian 密度で、Lint\mathcal L_{\mathrm{int}} が相互作用である。λ>0\lambda>0 のときポテンシャル12m2ϕ2+λ4!ϕ4\frac12m^2\phi^2+\frac{\lambda}{4!}\phi^4 は下に有界になる。分母の 4!4! は、後で ϕ4\phi^4 の4つの因子を区別して数えたときの重複を打ち消すためにあらかじめ置いておく規約である。Lint\mathcal L_{\mathrm{int}} が ϕ\phi の4次なので、Fourier 成分 ϕ~(k)\tilde\phi(\bm{k}) で書くと運動量の和が 00 になる4つの成分の積 ϕ~(k1)ϕ~(k2)ϕ~(k3)ϕ~(k4)\tilde\phi(\bm{k}_1)\tilde\phi(\bm{k}_2)\tilde\phi(\bm{k}_3)\tilde\phi(\bm{k}_4) が現れ、異なる振動子がつながる。

あとで微分して相関を取り出すために、外から与える関数 J(x)J(x)(源)との結合 JϕJ\phi を足しておく。場の Euler–Lagrange 方程式(第2部第5章)は

(∂2+m2)ϕ+λ6ϕ3=J(5.7.2)(\partial^2+m^2)\phi+\frac{\lambda}{6}\phi^3=J\tag{5.7.2}

で、JJ は場をその場所で押す力の役をする。電磁場の Lagrangian 密度の源の項 −JμAμ-J^\mu A_\mu と同じ役の項だが(符号の約束は違う)、ここでの JJ はスカラーで、計算の道具として置いたものである。

生成汎関数

第4部第8章で作った経路積分に、時刻 t1>t2t_1>t_2 の位置を差し込むと、それは演算子の積 q(t1)q(t2)q(t_1)q(t_2) を時刻の遅い順に左から並べたもの(時間順序積 TT)の行列要素になる。時間を細かく刻んだ積分の中で、差し込んだ q(t1)q(t_1) と q(t2)q(t_2) はそれぞれの時刻の刻みの位置に入るので、どちらを先に書いたかによらず時刻の順に並ぶ。さらに、時間の区間 TT を T(1−iϵ)T(1-\mathrm{i}\epsilon) と少しだけ虚数の方向へ傾けて T→∞T\to\infty とすると、e−iEnT(1−iϵ)=e−iEnTe−ϵEnT\mathrm{e}^{-\mathrm{i} E_nT(1-\mathrm{i}\epsilon)}=\mathrm{e}^{-\mathrm{i} E_nT}\mathrm{e}^{-\epsilon E_nT} によって励起状態の寄与が基底状態に比べて指数関数的に小さくなり、始めと終わりの状態が基底状態(真空)∣0⟩| 0 \rangle に置き換わる。この2つを場に当てはめて、生成汎関数

Z[J]=∫Dϕ  exp⁡{i∫d4x [L+Jϕ]}(5.7.3)Z[J]=\int\mathcal D\phi\;\exp\Bigl\{\mathrm{i}\int\mathrm{d}^4x\,\bigl[\mathcal L+J\phi\bigr]\Bigr\}\tag{5.7.3}

を定めると、時間順序積の真空期待値(nn 点関数)が

⟨0∣Tϕ(x1)⋯ϕ(xn)∣0⟩=1Z[0](−iδδJ(x1))⋯(−iδδJ(xn))Z[J]∣J=0(5.7.4)\langle 0 | T\phi(x_1)\cdots\phi(x_n) | 0 \rangle =\frac{1}{Z[0]}\Bigl(-\mathrm{i}\frac{\delta}{\delta J(x_1)}\Bigr)\cdots\Bigl(-\mathrm{i}\frac{\delta}{\delta J(x_n)}\Bigr)Z[J]\Big|_{J=0}\tag{5.7.4}

で得られる。−i δ/δJ(x)-\mathrm{i}\,\delta/\delta J(x) を1回当てるごとに、指数の肩の i∫Jϕ\mathrm{i}\int J\phi から ϕ(x)\phi(x) の因子が1つ前に出る。Z[0]Z[0] で割るのは、真空どうしの重なりで規格化するためである。散乱の振幅も、nn 点関数から(外の粒子の線を切り落とす手続きで)得られる。この章では nn 点関数を計算する規則を作るところまでを扱う。

時空を1点に縮めた模型

式 (5.7.3) は無限次元の積分なので、構造を見るために次元を極端に落とした模型を用意する。第5部第1章(第5部第1章)のように時間を虚数にすると重みは e−SE\mathrm{e}^{-S_{\mathrm E}} になり、さらに時空を1点に縮めると、場は1つの実数 ϕ\phi に、汎関数積分は普通の1重積分になる。

Z(λ,J)=∫−∞∞dϕ2π  exp⁡(−12ϕ2−λ4!ϕ4+Jϕ).(5.7.5)Z(\lambda,J)=\int_{-\infty}^{\infty}\frac{\mathrm{d}\phi}{\sqrt{2\pi}}\;\exp\Bigl(-\frac12\phi^2-\frac{\lambda}{4!}\phi^4+J\phi\Bigr).\tag{5.7.5}

質量を 11 にとった。これを0次元の場と呼ぶ。0次元では微分が無いので、式 (5.7.1) の運動の項が消え、2次の項 12ϕ2\frac12\phi^2 だけが残る。λ=0, J=0\lambda=0,\ J=0 のとき Z=1Z=1 になるように 2π\sqrt{2\pi} で割ってある。λ>0\lambda>0 なら積分は収束し、数値で正確に計算することができる。実際、この積分は第2種の変形 Bessel 関数で Z(λ,0)=3/(2πλ) e3/(4λ)K1/4(3/(4λ))Z(\lambda,0)=\sqrt{3/(2\pi\lambda)}\,\mathrm{e}^{3/(4\lambda)}K_{1/4}\bigl(3/(4\lambda)\bigr) と書くことができる。厳密な答えが手元にあるので、摂動展開がどこまで正しいかを確かめる基準になる。

例題 5.7.1 0次元の場を λ\lambda の2次まで展開する ★★

オリジナル式 (5.7.5) で J=0J=0 とする。標準 Gauss 分布の下での平均を ⟨f⟩0=∫dϕ2πe−ϕ2/2f(ϕ)\langle f \rangle _0=\int\frac{\mathrm{d}\phi}{\sqrt{2\pi}}\mathrm{e}^{-\phi^2/2}f(\phi) と書く。

  1. (1) ⟨eJϕ⟩0=eJ2/2\langle \mathrm{e}^{J\phi} \rangle _0=\mathrm{e}^{J^2/2} を使って、⟨ϕ2n⟩0=(2n−1)!!\langle \phi^{2n} \rangle _0=(2n-1)!! を示せ。
  2. (2) e−λϕ4/4!\mathrm{e}^{-\lambda\phi^4/4!} を展開して Z(λ,0)Z(\lambda,0) を λ2\lambda^2 まで求めよ。
  3. (3) ⟨ϕ2⟩=Z(λ,0)−1∫dϕ2πϕ2e−ϕ2/2−λϕ4/4!\langle \phi^2 \rangle =Z(\lambda,0)^{-1}\int\frac{\mathrm{d}\phi}{\sqrt{2\pi}}\phi^2\mathrm{e}^{-\phi^2/2-\lambda\phi^4/4!} を λ\lambda の1次まで求め、分子だけを展開した場合と比べよ。
  4. (4) λ=0.3\lambda=0.3 で、(2) の部分和と厳密値 Z=0.96851Z=0.96851 を比べよ。
解答

(1) eJ2/2=∑nJ2n2nn!\mathrm{e}^{J^2/2}=\sum_n\frac{J^{2n}}{2^nn!} と ⟨eJϕ⟩0=∑kJkk!⟨ϕk⟩0\langle \mathrm{e}^{J\phi} \rangle _0=\sum_k\frac{J^k}{k!}\langle \phi^k \rangle _0 の J2nJ^{2n} の係数を比べると⟨ϕ2n⟩0=(2n)!2nn!=(2n−1)!!\langle \phi^{2n} \rangle _0=\frac{(2n)!}{2^nn!}=(2n-1)!! を得る。奇数次は 00 である。たとえば ⟨ϕ4⟩0=3\langle \phi^4 \rangle _0=3、⟨ϕ6⟩0=15\langle \phi^6 \rangle _0=15、⟨ϕ8⟩0=105\langle \phi^8 \rangle _0=105、⟨ϕ10⟩0=945\langle \phi^{10} \rangle _0=945。

(2) Z=∑n1n!(−λ24)n⟨ϕ4n⟩0Z=\sum_n\frac{1}{n!}\bigl(-\frac{\lambda}{24}\bigr)^n\langle \phi^{4n} \rangle _0 なので

Z(λ,0)=1−324λ+1052⋅242λ2+⋯=1−λ8+35384λ2+O(λ3).Z(\lambda,0)=1-\frac{3}{24}\lambda+\frac{105}{2\cdot24^2}\lambda^2+\cdots=1-\frac{\lambda}{8}+\frac{35}{384}\lambda^2+\mathcal{O}(\lambda^3).

(3) 分子は ⟨ϕ2⟩0−λ24⟨ϕ6⟩0+⋯=1−1524λ=1−58λ\langle \phi^2 \rangle _0-\frac{\lambda}{24}\langle \phi^6 \rangle _0+\cdots=1-\frac{15}{24}\lambda=1-\frac58\lambda で、分母は 1−λ81-\frac{\lambda}{8} なので

⟨ϕ2⟩=(1−58λ)(1+λ8)+O(λ2)=1−λ2+O(λ2).\langle \phi^2 \rangle =\Bigl(1-\frac58\lambda\Bigr)\Bigl(1+\frac{\lambda}{8}\Bigr)+\mathcal{O}(\lambda^2)=1-\frac{\lambda}{2}+\mathcal{O}(\lambda^2).

分子だけなら −58λ-\frac58\lambda、分母で割ると −12λ-\frac12\lambda で、分母の −18λ-\frac18\lambda が分子の一部を打ち消している。この打ち消しは5.7.4節で「真空の泡の図が消える」という形で一般に示す。2次まで計算すると ⟨ϕ2⟩=1−λ2+23λ2\langle \phi^2 \rangle =1-\frac{\lambda}{2}+\frac23\lambda^2 になる。

(4) λ=0.3\lambda=0.3 では 1−0.0375+0.0082=0.970701-0.0375+0.0082=0.97070 で、厳密値 0.968510.96851 との差は 2.19×10−32.19\times10^{-3}。1次まで(0.96250.9625)より良い。⟨ϕ2⟩\langle \phi^2 \rangle の厳密値は 0.88870.8887 で、1次までの 0.850.85 と2次までの 0.910.91 はどちらも差が 0.020.02 程度ある。

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