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出てくるもの(1):熱的な光の束(バンチング)

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第32章 光子の統計と相関
目次
  1. Gauss 型の光と Siegert の関係
  2. 検出器の時間分解能とモードの数
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第32章 §32.3 ★★★ 多数の独立な放射体の光は Gauss 型の確率過程になり、g(2)(τ)=1+∣g(1)(τ)∣2g^{(2)}(\tau)=1+\lvert g^{(1)}(\tau)\rvert ^2(Siegert の関係)。τ=0\tau=0 で 22 になり、コヒーレンス時間 τc\tau_{\mathrm c} の間だけ光子が固まって来る

Gauss 型の光と Siegert の関係

放電管や白熱灯の光は、互いに独立な多数の原子がばらばらの位相で出した光の和である。1つの点の場 E(t)E(t) は多数の独立な寄与の和なので、中心極限定理により、実部と虚部が平均 00 の Gauss 分布に従う複素数の確率変数になる。このような光を熱的な光(カオス的な光)と呼ぶ。1つのモードの熱的な状態は、その1つのモードだけを取り出したものである。

平均 00 の複素 Gauss 型の確率変数では、4つの積の平均が2つの積の平均に分解する(Gauss の積率定理、Isserlis の定理とも呼ぶ):

⟨E1∗E2∗E2E1⟩=⟨E1∗E1⟩⟨E2∗E2⟩+⟨E1∗E2⟩⟨E2∗E1⟩.\langle E_1^*E_2^*E_2E_1 \rangle =\langle E_1^*E_1 \rangle \langle E_2^*E_2 \rangle +\langle E_1^*E_2 \rangle \langle E_2^*E_1 \rangle .

複素数の場では、EE と E∗E^* を1つずつ組む2通りだけが残る(⟨EE⟩=0\langle EE \rangle =0 だから)。E1=E(t)E_1=E(t)、E2=E(t+τ)E_2=E(t+\tau) と置いて ⟨I⟩2\langle I \rangle ^2 で割ると、

g(2)(τ)=1+∣g(1)(τ)∣2(32.11)g^{(2)}(\tau)=1+\lvert g^{(1)}(\tau)\rvert ^2\tag{32.11}

を得る。これを Siegert の関係と呼ぶ。熱的な光の強度の相関は、場の相関 g(1)g^{(1)}、つまりスペクトルで決まる。量子の場でも、熱的な状態は PP 表示が Gauss 関数なので、同じ分解が正規順序の期待値について成り立つ。

τ=0\tau=0 では ∣g(1)(0)∣=1\lvert g^{(1)}(0)\rvert =1 なので g(2)(0)=2g^{(2)}(0)=2 で、1つのモードの熱的な状態の式 (32.8) と一致する。τ\tau がコヒーレンス時間より長くなると g(1)→0g^{(1)}\to0 で g(2)→1g^{(2)}\to1 になる。光子の言葉では、熱的な光の光子は、1個が来た直後にもう1個が来る確率が、平均の2倍になる。光子がでたらめな時刻にばらばらに来るのでなく、コヒーレンス時間の程度の長さの塊になって来ることを、光子の束(バンチング)と呼ぶ。古典の言葉では、熱的な光の強度は指数分布に従って大きく揺らぎ(⟨I2⟩=2⟨I⟩2\langle I^2 \rangle =2\langle I \rangle ^2)、強い瞬間に2つの検出がまとまって起きる。

線の形を2つ並べる。第9章の結果を使うと、Lorentz 型の線(半値全幅 Γ\Gamma。自然幅や衝突による広がり)では ∣g(1)(τ)∣2=e−Γ∣τ∣\lvert g^{(1)}(\tau)\rvert ^2=\mathrm{e}^{-\Gamma\lvert \tau\rvert }、Gauss 型の線(半値全幅 Δν\Delta\nu。Doppler 幅)では ∣g(1)(τ)∣2=exp⁡(−π2Δν2τ2/(2ln⁡2))\lvert g^{(1)}(\tau)\rvert ^2=\exp\bigl(-\pi^2\Delta\nu^2\tau^2/(2\ln2)\bigr) である。第9章で定義したコヒーレンス時間 τc=∫∣g(1)(τ)∣2dτ\tau_{\mathrm c}=\int\lvert g^{(1)}(\tau)\rvert ^2\mathrm{d}\tau は、そのまま g(2)(τ)−1g^{(2)}(\tau)-1 の下の面積である。Lorentz 型で τc=2/Γ\tau_{\mathrm c}=2/\Gamma、Gauss 型で τc=2ln⁡2/π/Δν=0.664/Δν\tau_{\mathrm c}=\sqrt{2\ln2/\pi}/\Delta\nu=0.664/\Delta\nu になる。

図

図 32.2 熱的な光の強度の相関 g(2)(τ)=1+∣g(1)(τ)∣2g^{(2)}(\tau)=1+\lvert g^{(1)}(\tau)\rvert ^2(Siegert の関係。どれも厳密な式なので点線)。横軸はコヒーレンス時間 τc=∫∣g(1)∣2dτ\tau_{\mathrm c}=\int\lvert g^{(1)}\rvert ^2\mathrm{d}\tau で測ったので、2本の曲線の 11 より上の面積はどちらも τc\tau_{\mathrm c} に等しい。レーザーの光(コヒーレント状態)は 11 の水平線

検出器の時間分解能とモードの数

実際の検出器と電子回路は、時間 tdt_{\mathrm d} の程度より細かい時刻の差を区別しない。幅 tdt_{\mathrm d} の窓で平均した τ=0\tau=0 の値は

gˉ(2)(0)=1td∫−td/2td/2g(2)(τ) dτ≈1+τctd(td≫τc)(32.12)\bar g^{(2)}(0)=\frac{1}{t_{\mathrm d}}\int_{-t_{\mathrm d}/2}^{t_{\mathrm d}/2}g^{(2)}(\tau)\,\mathrm{d}\tau\approx1+\frac{\tau_{\mathrm c}}{t_{\mathrm d}}\qquad(t_{\mathrm d}\gg\tau_{\mathrm c})\tag{32.12}

で、束の高さは τc/td\tau_{\mathrm c}/t_{\mathrm d} に縮む。普通のランプの光は線の幅が GHz\mathrm{GHz} 以上で τc\tau_{\mathrm c} が ns\mathrm{ns} 以下なので、束はほとんど見えない。同じことをモードの言葉で書くと、検出器が区別できない独立な熱的なモードが MM 個あるとき、モードの間のうなりが平均で消えて強度は各モードの強度の和になり、g(2)(0)=1+1/Mg^{(2)}(0)=1+1/M となる。M≈td/τcM\approx t_{\mathrm d}/\tau_{\mathrm c} の対応である。

レーザーは、しきい値の下では自然放出の光、つまり熱的な光を出し、しきい値の上では利得の飽和が強度の揺らぎを抑えてコヒーレント状態に近い光を出す(第22章)。光子数がしきい値の付近でなめらかに変わるレーザーでも、g(2)(0)g^{(2)}(0) が 22 から 11 へ移ることで発振を判定することができる。Arecchi は、光子の計数の分布がレーザーの光では Poisson 分布、Gauss 型の光(回転するすりガラスで散乱させたレーザーの光)では Bose–Einstein 分布になることを測った(F. T. Arecchi (1965), Phys. Rev. Lett. 15, 912)。

例題 32.3 Doppler 幅のランプの光子の束 ★★

オリジナルGauss 型の線(半値全幅 Δν=1.5 GHz\Delta\nu=1.5\,\mathrm{GHz} と置く)で光る放電ランプの光を、2台の検出器で数えて g(2)g^{(2)} を測る。

  1. (1) コヒーレンス時間 τc\tau_{\mathrm c} を求めよ。
  2. (2) 時間分解能が十分細かいとき、g(2)(0)g^{(2)}(0) と、g(2)(τ)−1g^{(2)}(\tau)-1 が τ=0\tau=0 の値の半分になる τ\tau を求めよ。
  3. (3) 幅 td=10 nst_{\mathrm d}=10\,\mathrm{ns} と 1 ns1\,\mathrm{ns} の窓で平均した gˉ(2)(0)\bar g^{(2)}(0) を求めよ。
解答

(1) τc=2ln⁡2/π/Δν=0.664/(1.5×109 Hz)=0.443 ns\tau_{\mathrm c}=\sqrt{2\ln2/\pi}/\Delta\nu=0.664/(1.5\times10^9\,\mathrm{Hz})=0.443\,\mathrm{ns} である。

(2) g(2)(0)=1+∣g(1)(0)∣2=2g^{(2)}(0)=1+\lvert g^{(1)}(0)\rvert ^2=2。∣g(1)∣2=exp⁡(−π2Δν2τ2/(2ln⁡2))=1/2\lvert g^{(1)}\rvert ^2=\exp(-\pi^2\Delta\nu^2\tau^2/(2\ln2))=1/2 を解くと τ=2ln⁡2/(πΔν)=0.208 ns\tau=\sqrt2\ln2/(\pi\Delta\nu)=0.208\,\mathrm{ns} で、束の半値全幅は 0.416 ns0.416\,\mathrm{ns} である。

(3) td=10 nst_{\mathrm d}=10\,\mathrm{ns} では、窓の外の ∣g(1)∣2\lvert g^{(1)}\rvert ^2 は無視できるので式 (32.12) で gˉ(2)(0)=1+0.443/10=1.044\bar g^{(2)}(0)=1+0.443/10=1.044。td=1 nst_{\mathrm d}=1\,\mathrm{ns} では窓の幅が τc\tau_{\mathrm c} の2倍程度しかなく近似式は使うことができない。窓の中の積分を数値で求めると gˉ(2)(0)=1.44\bar g^{(2)}(0)=1.44 である。束を高さ 22 のまま見るには、ps\mathrm{ps} の時間分解能が要る。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 独立な放射体の数 NemN_{\mathrm{em}} について 1/Nem→01/N_{\mathrm{em}}\to0(場が Gauss 型になる) | 証明 条件付き(中心極限定理の前提:放射体が互いに独立で、1個あたりの寄与が全体に比べて小さい。少数の放射体では4次の積率に 1/Nem1/N_{\mathrm{em}} の補正が残り、1個では 32.5節のとおり Gauss 型から大きく外れる) | 行き先 近似の数理 第6章

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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