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出てくるもの(3):アンチバンチングと単一光子源

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第32章 光子の統計と相関
目次
  1. 1個の原子の共鳴蛍光の
  2. 単一光子源とその評価
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第32章 §32.5 ★★★ 1個の原子が光子を1個出すと原子は基底状態に戻るので、すぐには次の光子を出せない。g(2)(τ)=ρee(τ ∣ g)/ρee(∞)g^{(2)}(\tau)=\rho_{ee}(\tau\,|\,g)/\rho_{ee}(\infty) は光 Bloch 方程式の解そのもので、g(2)(0)=0g^{(2)}(0)=0 は古典の光では起こらない

1個の原子の共鳴蛍光の g(2)(τ)g^{(2)}(\tau)

1個の2準位原子を、共鳴(Δ=0\Delta=0)の連続した光で Rabi 周波数 Ω\Omega で揺らし、横から出てくる蛍光を数える。遠くの検出器の位置の正の周波数の場は、自由な場の部分と、原子の双極子が出す部分の和で、後者は原子の下げる演算子 σ−=∣g⟩⟨e∣\sigma_-=| g \rangle \langle e | に比例する(遅れ r/cr/c は時刻の原点をずらして消す):

E^(+)(r,t)=E^free(+)(r,t)+ψ(r) σ−(t).\hat E^{(+)}(\bm{r},t)=\hat E^{(+)}_{\mathrm{free}}(\bm{r},t)+\psi(\bm{r})\,\sigma_-(t).

ψ(r)\psi(\bm{r}) は双極子の放射のパターンを表す数である(導出は 第34章)。照らす光が来ない向きでは自由な場の部分は真空で、正規順序の期待値から消える。したがって

G(2)(τ)∝⟨σ+(t)σ+(t+τ)σ−(t+τ)σ−(t)⟩,G(1)(0)∝⟨σ+σ−⟩=ρee(∞)(32.15)G^{(2)}(\tau)\propto\langle \sigma_+(t)\sigma_+(t+\tau)\sigma_-(t+\tau)\sigma_-(t) \rangle ,\qquad G^{(1)}(0)\propto\langle \sigma_+\sigma_- \rangle =\rho_{ee}(\infty)\tag{32.15}

になる。ρee(∞)\rho_{ee}(\infty) は光 Bloch 方程式の定常解の上の準位の占有である。

2つの時刻の積の期待値は、量子回帰定理で1つの時刻の量に直す。原子の密度行列が Markov の方程式 dρ^dt=Lρ^\frac{\mathrm{d} \hat\rho}{\mathrm{d} t}=\mathcal L\hat\rho(第19章の光 Bloch 方程式)に従うとき、

⟨σ+(t)σ+(t+τ)σ−(t+τ)σ−(t)⟩=Tr⁡[σ+σ− eLτ(σ−ρ^(t)σ+)]\langle \sigma_+(t)\sigma_+(t+\tau)\sigma_-(t+\tau)\sigma_-(t) \rangle =\operatorname{Tr}\Bigl[\sigma_+\sigma_-\,\mathrm{e}^{\mathcal L\tau}\bigl(\sigma_-\hat\rho(t)\sigma_+\bigr)\Bigr]

が成り立つ。σ−ρ^σ+=ρee∣g⟩⟨g∣\sigma_-\hat\rho\sigma_+=\rho_{ee}| g \rangle \langle g | は、時刻 tt に光子を1個出した直後の原子が基底状態 ∣g⟩| g \rangle にあることを表す。eLτ\mathrm{e}^{\mathcal L\tau} は、そこから光 Bloch 方程式に従って時間 τ\tau だけ動かすことを表す。定常状態で

g(2)(τ)=ρee(τ ∣ g)ρee(∞)(32.16)g^{(2)}(\tau)=\frac{\rho_{ee}(\tau\,|\,g)}{\rho_{ee}(\infty)}\tag{32.16}

を得る。ρee(τ ∣ g)\rho_{ee}(\tau\,|\,g) は、時刻 00 に基底状態にあった原子が時刻 τ\tau に上の準位にいる確率である。

ρee(τ ∣ g)\rho_{ee}(\tau\,|\,g) は、第19章で求めた減衰する Rabi 振動の解(Torrey 型の解)そのもので、自然放出だけ(T1=1/ΓT_1=1/\Gamma、T2=2/ΓT_2=2/\Gamma)のとき

g(2)(τ)=1−e−3Γτ/4(cos⁡μτ+3Γ4μsin⁡μτ),μ=Ω2−Γ216(32.17)g^{(2)}(\tau)=1-\mathrm{e}^{-3\Gamma\tau/4}\Bigl(\cos\mu\tau+\frac{3\Gamma}{4\mu}\sin\mu\tau\Bigr),\qquad \mu=\sqrt{\Omega^2-\frac{\Gamma^2}{16}}\tag{32.17}

である(Ω<Γ/4\Omega<\Gamma/4 では μ\mu が純虚数になり、三角関数が双曲線関数になる)。光が弱い極限 Ω→0\Omega\to0 では

g(2)(τ)=(1−e−Γτ/2)2(32.18)g^{(2)}(\tau)=\bigl(1-\mathrm{e}^{-\Gamma\tau/2}\bigr)^2\tag{32.18}

になる。どの Ω\Omega でも g(2)(0)=0g^{(2)}(0)=0 で、小さい τ\tau では g(2)(τ)≈(Γ2/2+Ω2)τ2/2g^{(2)}(\tau)\approx(\Gamma^2/2+\Omega^2)\tau^2/2 と2乗で立ち上がる。

図

図 32.4 1個の2準位原子の共鳴蛍光の強度の相関 g(2)(τ)g^{(2)}(\tau)(式 (32.17)。光 Bloch 方程式の厳密な解なので点線)。どの強さでも g(2)(0)=0g^{(2)}(0)=0 で、強く揺らすと Rabi 振動が g(2)g^{(2)} に現れ、11 を超える山を作る

g(2)(0)=0g^{(2)}(0)=0 の理由は、光子を1個出した原子が基底状態に落ち、もう1個を出すには光に揺らされて再び上へ上がる時間(1/Ω1/\Omega と 1/Γ1/\Gamma の程度)が要ることにある。光子は互いに離れて1個ずつ来る。g(2)(τ)>g(2)(0)g^{(2)}(\tau)>g^{(2)}(0) であることをアンチバンチングと呼ぶ。g(2)(0)<1g^{(2)}(0)<1 なので、命題 32.1 により、この光は古典の場の強度の揺らぎでは説明できない。

Kimble, Dagenais, Mandel は、色素レーザーで揺らしたナトリウムの原子線の蛍光で、τ=0\tau=0 の付近の同時計数が減ることを観測した(H. J. Kimble, M. Dagenais and L. Mandel (1977), Phys. Rev. Lett. 39, 691)。光の量子化を要する現象の最初の観測の1つである。原子線では観測する体積の中の原子の数が揺らぐので、測った g(2)(0)g^{(2)}(0) は 00 まで下がらなかった。

アンチバンチングとサブ Poisson の統計は別の性質である。QMQ_{\mathrm M} は長い窓で数えた光子数の分散で決まり、窓 twt_{\mathrm w} が相関の時間より十分長いとき、検出の速さを RR として

QM=R∫−∞∞(g(2)(τ)−1)dτ(32.19)Q_{\mathrm M}=R\int_{-\infty}^{\infty}\bigl(g^{(2)}(\tau)-1\bigr)\mathrm{d}\tau\tag{32.19}

になる(Var N=Nˉ+R2∫0tw ⁣∫0tw(g(2)(t1−t2)−1)dt1dt2\mathrm{Var}\,N=\bar N+R^2\int_0^{t_{\mathrm w}}\!\int_0^{t_{\mathrm w}}(g^{(2)}(t_1-t_2)-1)\mathrm{d} t_1\mathrm{d} t_2 から出る)。g(2)(0)<1g^{(2)}(0)<1 でも、11 を超える山の面積が大きければ QMQ_{\mathrm M} は負にならないことがある。共鳴蛍光では式 (32.17) を積分して ∫0∞(g(2)−1)dτ=−(3Γ/2)/(Γ2/2+Ω2)\int_0^\infty(g^{(2)}-1)\mathrm{d}\tau=-(3\Gamma/2)/(\Gamma^2/2+\Omega^2) で、いつも負である。

単一光子源とその評価

光子を1個ずつ、決まった時刻に出す光源を単一光子源と呼び、量子鍵配送や光の量子計算に使う。1個の原子・イオン・半導体の量子ドット・ダイヤモンドの色中心のような、1個の2準位系に近いものをパルスで1回ずつ上へ上げれば、パルス1回につき光子は多くても1個である。Michler らは、1個の量子ドットをパルスで励起し、パルスごとに光子を1個出す光源を示した(P. Michler et al. (2000), Science 290, 2282)。光子対の片方を検出してもう片方の存在を知る方法は第33章(第33章)で扱う。

実際の測定では、1個の放射体の光に背景の光(散乱したレーザーの光、検出器の暗計数)が混ざる。放射体の光の強度を SS、背景を BB(Poisson の統計、g(2)=1g^{(2)}=1)とし、両者が独立で、両者の間のうなりは検出器が区別できない速さで平均されるとすると、

g(2)(0)=gsS2+B2+2SB(S+B)2,gs=0 なら g(2)(0)=1−ρ2,ρ=SS+B(32.20)g^{(2)}(0)=\frac{g_{\mathrm s}S^2+B^2+2SB}{(S+B)^2},\qquad g_{\mathrm s}=0\ \text{なら}\ g^{(2)}(0)=1-\rho^2,\quad \rho=\frac{S}{S+B}\tag{32.20}

になる。等しい強さの独立な単一光子源が NN 個あると、異なる放射体からの2個の組だけが同時計数を作るので g(2)(0)=N(N−1)/N2=1−1/Ng^{(2)}(0)=N(N-1)/N^2=1-1/N である。2個で 1/21/2 になるので、測った g(2)(0)g^{(2)}(0) が 1/21/2 より小さいことを、放射体が1個であることの目安として使う。

例題 32.5 強く揺らした原子の g(2)g^{(2)} の山 ★★

オリジナル寿命 26.2 ns26.2\,\mathrm{ns}(Γ=3.81×107 s−1\Gamma=3.81\times10^7\,\mathrm{s^{-1}})の2準位原子を、共鳴の光で Ω=Γ\Omega=\Gamma で揺らす。

  1. (1) 式 (32.17) を微分して、g(2)(τ)g^{(2)}(\tau) が最初に山になる τ\tau を求めよ。
  2. (2) 山の高さを求め、山の位置を ns で書け。
  3. (3) τ=1 ns\tau=1\,\mathrm{ns} の g(2)g^{(2)} を小さい τ\tau の式で見積もれ。
解答

(1) a=3Γ/4a=3\Gamma/4 と置くと、ddτ[e−aτ(cos⁡μτ+(a/μ)sin⁡μτ)]=−e−aτa2+μ2μsin⁡μτ\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} \tau}\bigl[\mathrm{e}^{-a\tau}(\cos\mu\tau+(a/\mu)\sin\mu\tau)\bigr]=-\mathrm{e}^{-a\tau}\frac{a^2+\mu^2}{\mu}\sin\mu\tau なので

dg(2)dτ=e−3Γτ/4 Γ2/2+Ω2μsin⁡μτ\frac{\mathrm{d} g^{(2)}}{\mathrm{d} \tau}=\mathrm{e}^{-3\Gamma\tau/4}\,\frac{\Gamma^2/2+\Omega^2}{\mu}\sin\mu\tau

で、μτ=π\mu\tau=\pi が最初の山である。Ω=Γ\Omega=\Gamma では μ=15 Γ/4=0.968Γ\mu=\sqrt{15}\,\Gamma/4=0.968\Gamma で、Γτ=3.245\Gamma\tau=3.245 になる。

(2) μτ=π\mu\tau=\pi で cos⁡μτ=−1\cos\mu\tau=-1、sin⁡μτ=0\sin\mu\tau=0 なので、山の高さは 1+e−3πΓ/(4μ)=1+e−3π/15=1.0881+\mathrm{e}^{-3\pi\Gamma/(4\mu)}=1+\mathrm{e}^{-3\pi/\sqrt{15}}=1.088 である。位置は 3.245/Γ=85.1 ns3.245/\Gamma=85.1\,\mathrm{ns}。1回目の光子を出してから、原子が Rabi 振動の半周期で上の準位へ戻ったころに2回目の光子が出やすい。

(3) g(2)≈(Γ2/2+Ω2)τ2/2=34(Γτ)2=34(0.0381)2=1.09×10−3g^{(2)}\approx(\Gamma^2/2+\Omega^2)\tau^2/2=\frac34(\Gamma\tau)^2=\frac34(0.0381)^2=1.09\times10^{-3} である。1 ns1\,\mathrm{ns} の時間分解能の検出器なら、τ=0\tau=0 の付近の同時計数はほとんど 00 に見える。

例題 32.6 測った g(2)(0)g^{(2)}(0) から放射体の数と背景を読む ★★

オリジナルある試料の発光の g(2)(0)g^{(2)}(0) を測ったら 0.300.30 だった。背景の光は Poisson の統計に従い、放射体の光と独立とする。

  1. (1) 放射体が1個だとすると、信号の割合 ρ=S/(S+B)\rho=S/(S+B) はいくらか。
  2. (2) 放射体が等しい強さで2個あると、背景が無くても g(2)(0)g^{(2)}(0) はいくらか。2個でこの測定値を説明できるか。
  3. (3) ρ=0.9\rho=0.9 のとき、1個と2個の場合の g(2)(0)g^{(2)}(0) を求めよ。
解答

(1) 1−ρ2=0.301-\rho^2=0.30 から ρ=0.70=0.837\rho=\sqrt{0.70}=0.837 で、光の16 %ほどが背景である。

(2) 2個の放射体の光は gs=1/2g_{\mathrm s}=1/2 の光とみなせるので、背景が無くても g(2)(0)=1/2g^{(2)}(0)=1/2 である。背景を足すと式 (32.20) で g(2)(0)=1−ρ2/2≥1/2g^{(2)}(0)=1-\rho^2/2\ge1/2 になり、0.300.30 にはならない。放射体は1個である。

(3) 1個では 1−0.81=0.191-0.81=0.19、2個では 1−0.81/2=0.5951-0.81/2=0.595 で、背景が1割あっても2つの場合ははっきり分かれる。

ほかの巻では

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