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出てくるもの (3):零点エネルギーと占有数の揺らぎ

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第3章 光子とフォノンを同じ形で数える
目次
  1. 零点エネルギーの和
  2. Casimir 力
  3. 占有数の揺らぎ:粒子の項と波の項
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第3章 §5.3.5 ★★ 零点エネルギーは温度によらないので熱の量には入らない。壁の位置による差だけが Casimir 力として観測される。占有数の揺らぎは粒子の項 nBn_{\mathrm B} と波の項 nB2n_{\mathrm B}^2 の和

零点エネルギーの和

式 (5.3.8) の E0=∑α12ℏωαE_0=\sum_\alpha\frac12\hbar\omega_\alpha は、すべての段の数が 00 の状態(光子もフォノンも無い状態)のエネルギーである。格子振動ではモードが有限個なので E0E_0 は有限である。1次元の列では、第5部第2章の5.2.7節の総合問題 (2) でE0/N→2ℏω0/πE_0/N\to2\hbar\omega_0/\pi を出した(その章の ω0\omega_0 は最大の角振動数の半分で、ωm=2ω0\omega_{\mathrm m}=2\omega_0)。この章の記号では

E0  →N→∞  NℏωmπE_0\;\xrightarrow{N\to\infty}\;\frac{N\hbar\omega_{\mathrm m}}{\pi}

である(∣sin⁡(ka/2)∣\lvert \sin(ka/2)\rvert の Brillouin 域での平均が 2/π2/\pi)。電磁場では ∫gph(ω)12ℏω dω∝∫ω3 dω\int g_{\mathrm{ph}}(\omega)\frac12\hbar\omega\,\mathrm{d}\omega\propto\int\omega^3\,\mathrm{d}\omega が発散する。

熱力学の量に E0E_0 が入らない理由は2つある。第一に、E0E_0 は温度によらないので、CVC_V にも S=−∂F/∂TS=-\partial F/\partial T にも寄与しない。第二に、圧力 −∂E0/∂V-\partial E_0/\partial V は、体積に比例する部分(単位体積あたりの零点エネルギー×VV)が壁の外側の同じ量と打ち消し合う。壁の両側に同じ真空があれば、壁を押す正味の力は 00 である。残るのは、壁があることでモードの並び方が変わる分の差だけである。

Casimir 力

その差を、1次元の場で計算する。長さ LbL_{\mathrm b} の区間の両端で場が 00 になる条件では、モードは ωn=nπc/Lb\omega_n=n\pi c/L_{\mathrm b}(n=1,2,…n=1,2,\dots)である。E0E_0 は発散するので、角振動数の高いモードを e−ω/Λ\mathrm{e}^{-\omega/\Lambda} で弱める因子を入れて計算し、最後に Λ→∞\Lambda\to\infty でどの項が残るかを見る。ϵ=πc/(LbΛ)\epsilon=\pi c/(L_{\mathrm b}\Lambda) と置くと ∑n≥1ne−nϵ=eϵ/(eϵ−1)2=1/ϵ2−1/12+O(ϵ2)\sum_{n\ge1}n\mathrm{e}^{-n\epsilon}=\mathrm{e}^{\epsilon}/(\mathrm{e}^{\epsilon}-1)^2=1/\epsilon^2-1/12+\mathcal{O}(\epsilon^2) なので、

E0(Lb)=ℏπc2Lb∑n=1∞n e−nϵ=ℏΛ22πcLb−πℏc24Lb+O(Λ−2)(5.3.31)E_0(L_{\mathrm b})=\frac{\hbar\pi c}{2L_{\mathrm b}}\sum_{n=1}^\infty n\,\mathrm{e}^{-n\epsilon}=\frac{\hbar\Lambda^2}{2\pi c}L_{\mathrm b}-\frac{\pi\hbar c}{24L_{\mathrm b}}+\mathcal{O}(\Lambda^{-2})\tag{5.3.31}

になる。第1項は LbL_{\mathrm b} に比例し、Λ\Lambda に依存して発散する。これは単位長さあたりの零点エネルギーで、区間の外側の同じ長さの真空と同じ値なので、壁にかかる力には寄与しない。第2項は Λ\Lambda によらず有限で、壁の位置だけで決まる。壁にかかる力は

FC=−∂∂Lb(−πℏc24Lb)=−πℏc24Lb2(5.3.32)F_{\mathrm C}=-\frac{\partial }{\partial L_{\mathrm b}}\Bigl(-\frac{\pi\hbar c}{24L_{\mathrm b}}\Bigr)=-\frac{\pi\hbar c}{24L_{\mathrm b}^2}\tag{5.3.32}

で、負なので2つの壁は引き合う(Casimir 力と Helmholtz 自由エネルギーの記号が重ならないように、力に添字 C を付けた)。弱める因子 e−ω/Λ\mathrm{e}^{-\omega/\Lambda} を別の形に替えても、有限の項 −πℏc/(24Lb)-\pi\hbar c/(24L_{\mathrm b}) は変わらない。

3次元で、間隔 dd の平行な2枚の完全導体の板の間の電磁場について同じ計算をすると、単位面積あたりの力(圧力)は

FCA⊥=−π2ℏc240d4(5.3.33)\frac{F_{\mathrm C}}{A_\perp}=-\frac{\pi^2\hbar c}{240d^4}\tag{5.3.33}

になる(Casimir(1948)、Proc. K. Ned. Akad. Wet. 51, 793)。ℏ\hbar が入っていて kBTk_{\mathrm B} T が入っていないので、これは零点エネルギーの差であって熱の放射の圧力ではない。板の間隔が μm\mu\mathrm m の程度の測定で確かめられている(例えば Lamoreaux(1997)、Phys. Rev. Lett. 78, 5。球と平板の配置)。

格子振動の零点エネルギーも、熱では見えないが、原子の位置の揺らぎとして観測される。T=0T=0 でも原子のずれの2乗平均は 00 にならず、軽い原子ほど大きい。第3部第6章で古典の熱揺らぎ ⟨q2⟩=kBT/K\langle q^2 \rangle = k_{\mathrm B} T/K が質量によらないことを示したが、零点の揺らぎ ℏ/(2mω)\hbar/(2m\omega) には質量が入る。

占有数の揺らぎ:粒子の項と波の項

段の数の分布 (5.3.12) の分散は

⟨(Δnα)2⟩=⟨nα2⟩−⟨nα⟩2=nB+nB2(5.3.34)\langle (\Delta n_\alpha)^2 \rangle =\langle n_\alpha^2 \rangle -\langle n_\alpha \rangle ^2=n_{\mathrm B}+n_{\mathrm B}^2\tag{5.3.34}

である。モード α\alpha のエネルギーの揺らぎは (ℏωα)2(nB+nB2)(\hbar\omega_\alpha)^2(n_{\mathrm B}+n_{\mathrm B}^2) で、これは kBT2∂(ℏωnB)/∂Tk_{\mathrm B} T^2\partial(\hbar\omega n_{\mathrm B})/\partial T に等しく、第3部第6章の ⟨(ΔH)2⟩=kBT2C\langle (\Delta H)^2 \rangle = k_{\mathrm B} T^2C を1つのモードで確かめたことになる。

Einstein は式 (5.3.34) の2つの項を別々に読んだ(Einstein(1909)、Phys. Z. 10, 185)。第1項 nBn_{\mathrm B} だけなら、平均と分散が等しい Poisson 分布の揺らぎで、独立に飛び回る粒子の数の揺らぎの形である。第2項 nB2n_{\mathrm B}^2 だけなら、標準偏差が平均と同じ大きさで、位相がばらばらの波を重ねたときの強度の揺らぎの形である(古典の等分配で ℏωnB→kBT\hbar\omega n_{\mathrm B}\to k_{\mathrm B} T とした Rayleigh–Jeans の領域では、この項だけが残る)。ℏω≫kBT\hbar\omega\gg k_{\mathrm B} T(nB≪1n_{\mathrm B}\ll1)では粒子の項が、ℏω≪kBT\hbar\omega\ll k_{\mathrm B} T(nB≫1n_{\mathrm B}\gg1)では波の項が主になる。振動子の量子化はこの2つを1つの式に含んでいて、光子とフォノンは「粒子でもあり波でもある」と言葉で言う必要はない。同じ H^\hat H の同じ分布から、両方の形の揺らぎが出る。

例題 5.3.5 Casimir 力を数える ★★

オリジナル

  1. (1) ∑n=1∞ne−nϵ=eϵ/(eϵ−1)2\sum_{n=1}^\infty n\mathrm{e}^{-n\epsilon}=\mathrm{e}^\epsilon/(\mathrm{e}^\epsilon-1)^2 を示し、ϵ→0\epsilon\to0 の展開の最初の2項を求めよ。
  2. (2) 弱める因子を e−ω/Λ\mathrm{e}^{-\omega/\Lambda} の代わりに e−(ω/Λ)2\mathrm{e}^{-(\omega/\Lambda)^2} にしても、式 (5.3.31) の有限の項が −πℏc/(24Lb)-\pi\hbar c/(24L_{\mathrm b}) のままであることを、数値で確かめよ。
  3. (3) 式 (5.3.33) で、d=1 μmd=1\,\mu\mathrm m と d=100 nmd=100\,\mathrm{nm} のときの圧力の大きさを求めよ。
解答

(1) ∑n≥1e−nϵ=1/(eϵ−1)\sum_{n\ge1}\mathrm{e}^{-n\epsilon}=1/(\mathrm{e}^\epsilon-1) を ϵ\epsilon で微分して −1-1 を掛けると ∑ne−nϵ=eϵ/(eϵ−1)2\sum n\mathrm{e}^{-n\epsilon}=\mathrm{e}^\epsilon/(\mathrm{e}^\epsilon-1)^2。eϵ−1=ϵ(1+ϵ/2+ϵ2/6+⋯ )\mathrm{e}^\epsilon-1=\epsilon(1+\epsilon/2+\epsilon^2/6+\cdots) から展開すると 1/ϵ2−1/12+ϵ2/240+⋯1/\epsilon^2-1/12+\epsilon^2/240+\cdots で、最初の2項は 1/ϵ2−1/121/\epsilon^2-1/12。

(2) ℏ=c=1\hbar=c=1, Lb=πL_{\mathrm b}=\pi の単位では ωn=n\omega_n=n で、E0(Λ)=12∑nne−(n/Λ)2E_0(\Lambda)=\frac12\sum_n n\mathrm{e}^{-(n/\Lambda)^2}。Euler–Maclaurin の公式では、f(n)=ne−(n/Λ)2f(n)=n\mathrm{e}^{-(n/\Lambda)^2} について ∑n≥1f(n)=∑n≥0f(n)=∫0∞f dn+12f(0)−112f′(0)+⋯\sum_{n\ge1}f(n)=\sum_{n\ge0}f(n)=\int_0^\infty f\,\mathrm{d} n+\frac12f(0)-\frac{1}{12}f'(0)+\cdots で、f(0)=0f(0)=0、f′(0)=1f'(0)=1、高い階数の項は Λ→∞\Lambda\to\infty で 00 になる。積分は Λ2/2\Lambda^2/2 なので、有限の項は 12×(−112)=−124\frac12\times(-\frac1{12})=-\frac1{24} で、−πℏc/(24Lb)-\pi\hbar c/(24L_{\mathrm b}) に Lb=πL_{\mathrm b}=\pi を入れた値と一致する。数値では Λ=200\Lambda=200 で 12∑nne−(n/Λ)2−Λ2/4=−0.041667\frac12\sum_n n\mathrm{e}^{-(n/\Lambda)^2}-\Lambda^2/4=-0.041667 となり、−1/24=−0.041667-1/24=-0.041667 と6桁まで一致する。

(3) ℏc=3.162×10−26 J m\hbar c=3.162\times10^{-26}\,\mathrm{J\,m}、π2/240=0.04112\pi^2/240=0.04112 なので、d=1 μmd=1\,\mu\mathrm m では0.04112×3.162×10−26/(10−6)4=1.30×10−3 Pa0.04112\times3.162\times10^{-26}/(10^{-6})^4=1.30\times10^{-3}\,\mathrm{Pa}、d=100 nmd=100\,\mathrm{nm} では d−4d^{-4} で 10410^4 倍になり 13.0 Pa13.0\,\mathrm{Pa}。間隔を10分の1にすると力は1万倍になるので、微小な機械の部品どうしの間では無視できない大きさになる。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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