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この章で選ぶ HH:独立な調和振動子の集まり

2026年10月15日13分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第3章 光子とフォノンを同じ形で数える
目次
  1. 格子振動:原子の列の基準振動
  2. 電磁場:空洞のモード
  3. 振動子ごとに量子化する
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第3章 §5.3.1 ★★★ 電磁場も格子振動も基準振動に分けると H^=∑αℏωα(a^α†a^α+12)\hat H=\sum_\alpha\hbar\omega_\alpha(\hat a_\alpha^\dagger\hat a_\alpha+\frac12) になる。違いはモードの数え方と分散関係 ωα\omega_\alpha だけ

この章では、性質の違う2つの物理系に同じ Hamiltonian を選ぶ。1つは空洞の中の電磁場、もう1つは結晶の中の原子の振動である。電磁場は第2部第6章の Lagrangian 密度で、原子の列は第2部第4章の Lagrangian で書かれ、どちらも場の変数について2次式なので、基準振動に分けると独立な調和振動子の和になる(5.3.1節)。各振動子に第4部第4章の生成消滅演算子を当てると、エネルギーは ℏω\hbar\omega を単位とする段に並び、その段の数を数えたものが、電磁場では光子、格子振動ではフォノンと呼ばれる。

当てる道具は、第3部第6章で調和振動子1つに当てたカノニカル分布を、振動子の集まりに当てることである(5.3.2節)。振動子が独立なので分配関数は積に分かれ、熱力学の量はすべて「モードの密度 g(ω)g(\omega) × 振動子1つの量」の積分になる。光子とフォノンの違いは g(ω)g(\omega) の違いだけになる。

出てくるものは3つある。第一は黒体放射で、Planck の式から T4T^4 則・光子気体の状態方程式 P=U/(3V)P=U/(3V)・化学ポテンシャル 00 が出る(5.3.3節)。第二は Debye の比熱で、低温の T3T^3 則が光子気体の T4T^4 則と同じ式であること、高温で比熱が止まるのはフォノンのモードの数が有限だからであることを示す(5.3.4節)。第三は、熱平均では捨てた零点エネルギーと、モードの占有数の揺らぎで、零点エネルギーの差として Casimir 力が出ること、揺らぎが粒子の項と波の項の和になることを示す(5.3.5節)。最後に授業で習った Stefan–Boltzmann の法則・Wien の変位則・Debye のモデルと並べ(5.3.6節)、まとめと総合問題で終える。

単位は SI で、量子の演算子には帽子を付ける(この部の場の量子論の章と違い、この章は ħ = c = 1 にしない)。温度 TT と体積 VV が出てくるので、運動エネルギーに TT を使わず、ポテンシャルにも VV を使わない。振動子の基準座標を QαQ_\alpha, PαP_\alpha と書く(この章には熱 QQ も圧力 PP も出てくるが、基準座標には必ずモードの添字 α\alpha を付けて区別する)。

格子振動:原子の列の基準振動

第2部第4章では、質量 mm の原子が間隔 aa で並び、隣どうしがばね定数 KK でつながった列(NN 個、周期境界)の Lagrangian

L=∑j=1Nm2u˙j2−∑j=1NK2(uj+1−uj)2(5.3.1)L=\sum_{j=1}^{N}\frac m2\dot u_j^2-\sum_{j=1}^{N}\frac K2(u_{j+1}-u_j)^2\tag{5.3.1}

を選んだ。uju_j は jj 番目の原子の平衡の位置からのずれである。番号を1つずらす対称性から、基準振動は平面波 uj∝eikjau_j\propto\mathrm{e}^{\mathrm{i} kja} で、許される波数は k=2πl/(Na)k=2\pi l/(Na)(ll は整数で、∣k∣≤π/a\lvert k\rvert \le\pi/a の範囲に NN 個)、角振動数は

ωk=ωm∣sin⁡ka2∣,ωm=2Km(5.3.2)\omega_k=\omega_{\mathrm m}\lvert \sin\frac{ka}{2}\rvert ,\qquad \omega_{\mathrm m}=2\sqrt{\frac Km}\tag{5.3.2}

であった。第2部第4章では離散 Fourier 変換で基準座標を作り、LL が NN 個の独立な振動子の和になることを示した。基準座標に m\sqrt m を掛けて質量を含めた座標に取り直すと、Hamiltonian は

H=∑k12(Pk2+ωk2Qk2)(5.3.3)H=\sum_{k}\frac12\bigl(P_k^2+\omega_k^2Q_k^2\bigr)\tag{5.3.3}

と書ける(QkQ_k は複素数の基準座標を実部と虚部、あるいは kk と −k-k の和と差に組み直した実数の座標で、数は NN 個のまま変わらない)。3次元の結晶では、1つの波数 k\bm{k} に振動の向きが3つあるので、分岐 s=1,2,3s=1,2,3 ごとに分散関係 ωs(k)\omega_s(\bm{k}) があり、モードの総数は 3N3N である。k\bm{k} は第1 Brillouin 域の中に限られる。

この HH は、原子どうしの力のポテンシャルをずれ uju_j について2次まで展開したもの(調和近似)である。熱運動や零点振動の振幅が格子定数に比べて小さいとき、捨てた3次以上の項は小さい。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの ずれと格子定数の比 ∣u∣/a→0\lvert u\rvert /a\to0(調和近似) | 証明 条件付き(振幅を 00 に送る極限で、有限の時間区間に限る。非調和項によるモード間のエネルギーのやりとりは別の問題) | 行き先 近似の数理 第2章

電磁場:空洞のモード

真空の空洞の中の電磁場は、第2部第6章の Lagrangian 密度

L=ε02E2−12μ0B2,E=−∇ϕ−∂A∂t,B=∇×A(5.3.4)\mathcal L=\frac{\varepsilon_0}{2}\bm{E}^2-\frac{1}{2\mu_0}\bm{B}^2,\qquad \bm{E}=-\nabla\phi-\frac{\partial \bm{A}}{\partial t},\quad \bm{B}=\nabla\times\bm{A}\tag{5.3.4}

で書かれる。電荷の無い空洞では Coulomb ゲージ ∇⋅A=0\nabla\cdot\bm{A}=0、ϕ=0\phi=0 を選ぶことができ、E=−∂tA\bm{E}=-\partial_t\bm{A} となる。Euler–Lagrange 方程式は波動方程式 ∂t2A=c2∇2A\partial_t^2\bm{A}=c^2\nabla^2\bm{A} である。1辺 LbL_{\mathrm b} の立方体(体積 V=Lb3V=L_{\mathrm b}^3)に周期境界条件を置くと、許される波数は k=(2π/Lb)(nx,ny,nz)\bm{k}=(2\pi/L_{\mathrm b})(n_x,n_y,n_z) で、∇⋅A=0\nabla\cdot\bm{A}=0 のため振動の向きは k\bm{k} に垂直な2つ(偏光 s=1,2s=1,2、単位ベクトル eks\bm{e}_{\bm{k}s})に限られる。A\bm{A} をこのモードで展開すると、モード (k,s)(\bm{k},s) ごとに L\mathcal L の積分が12(Q˙2−ωk2Q2)\frac12(\dot Q^2-\omega_k^2Q^2) の形に分かれ、角振動数は ωk=c∣k∣\omega_k=c\lvert \bm{k}\rvert になる(1つのモードでの計算を例題 5.3.1 で行う)。電場のエネルギー ε0E2/2\varepsilon_0\bm{E}^2/2 が振動子の運動エネルギーに、磁場のエネルギー B2/(2μ0)\bm{B}^2/(2\mu_0) がポテンシャルエネルギーに当たる。

格子振動と違い、電磁場の L\mathcal L は近似なしに場の2次式である。Maxwell 方程式が線形だからで、振動子への分解は真空中では厳密に成り立つ。一方で、k\bm{k} に上限が無いので、モードは無限個ある。

振動子ごとに量子化する

モードの番号をまとめて α\alpha(格子では (k,s)(\bm{k},s) の 3N3N 個、電磁場では (k,s)(\bm{k},s) の無限個)と書く。どちらの場合も、選ぶ Hamiltonian は

H=∑α12(Pα2+ωα2Qα2)(5.3.5)H=\sum_\alpha\frac12\bigl(P_\alpha^2+\omega_\alpha^2Q_\alpha^2\bigr)\tag{5.3.5}

である。各振動子に第4部第4章の正準量子化 [Q^α, P^β]=iℏδαβ\left[\hat Q_\alpha,\,\hat P_\beta\right]=\mathrm{i}\hbar\delta_{\alpha\beta} を当て、

a^α=ωαQ^α+iP^α2ℏωα,[a^α, a^β†]=δαβ(5.3.6)\hat a_\alpha=\frac{\omega_\alpha\hat Q_\alpha+\mathrm{i}\hat P_\alpha}{\sqrt{2\hbar\omega_\alpha}},\qquad \left[\hat a_\alpha,\,\hat a_\beta^\dagger\right]=\delta_{\alpha\beta}\tag{5.3.6}

と置くと、

H^=∑αℏωα(a^α†a^α+12)=∑αℏωα(n^α+12)(5.3.7)\hat H=\sum_\alpha\hbar\omega_\alpha\Bigl(\hat a_\alpha^\dagger\hat a_\alpha+\frac12\Bigr)=\sum_\alpha\hbar\omega_\alpha\Bigl(\hat n_\alpha+\frac12\Bigr)\tag{5.3.7}

になる。第4部第4章で示したとおり、n^α=a^α†a^α\hat n_\alpha=\hat a_\alpha^\dagger\hat a_\alpha の固有値は nα=0,1,2,…n_\alpha=0,1,2,\dots で、エネルギーの固有状態は各モードの段の数を並べた ∣{nα}⟩=∣n1,n2,… ⟩| \{n_\alpha\} \rangle =| n_1,n_2,\dots \rangle、固有値は

E{nα}=∑αℏωαnα+E0,E0=∑α12ℏωα(5.3.8)E_{\{n_\alpha\}}=\sum_\alpha\hbar\omega_\alpha n_\alpha+E_0,\qquad E_0=\sum_\alpha\frac12\hbar\omega_\alpha\tag{5.3.8}

である。a^α†\hat a_\alpha^\dagger は振動子 α\alpha の段を1つ上げ、エネルギーを ℏωα\hbar\omega_\alpha だけ増やす。周期境界の平面波のモードでは、運動量(格子では結晶運動量)も ℏk\hbar\bm{k} だけ増える。そこで nαn_\alpha を「エネルギー ℏωα\hbar\omega_\alpha・運動量 ℏk\hbar\bm{k} を持つ粒子が、1粒子状態 α\alpha に nαn_\alpha 個いる」と読み替えることができる。この粒子を電磁場では光子、格子振動ではフォノンと呼ぶ。

この読み替えには2つの特徴がある。第一に、同じ状態 α\alpha に何個でも入ることができ、粒子を入れ替えても状態は変わらない(∣{nα}⟩| \{n_\alpha\} \rangle は個数だけで決まり、どの粒子がどこにいるかという情報を持たない)。これは Bose 粒子の性質である。第二に、粒子の数 ∑αnα\sum_\alpha n_\alpha は保存量ではない。空洞の壁が光を吸収・放出すれば光子の数は変わり、非調和項があればフォノンの数も変わる。振動子の言葉では「段の数」が変わるだけで、何かが生まれたり消えたりする必要はない。

場を演算子 ϕ^(x)\hat\phi(\bm{x}) として全体で量子化する形は第2章で扱った(第5部第2章。そこでは ħ = c = 1)。この章はその結果をモードごとの振動子として読み直し、SI で数を出す。

表 5.3.1 光子とフォノンの違い。違うのはモードの数え方と分散関係だけである。
光子(空洞の電磁場)フォノン(結晶の格子振動)
選ぶ LL∫(ε0E2/2−B2/2μ0) d3x\int(\varepsilon_0\bm{E}^2/2-\bm{B}^2/2\mu_0)\,\mathrm{d}^3x∑m2u˙j2−∑K2(uj+1−uj)2\sum\frac m2\dot u_j^2-\sum\frac K2(u_{j+1}-u_j)^2
1つの k\bm{k} の分岐の数2(横波の偏光)3(縦1・横2)
分散関係ω=c∣k∣\omega=c\lvert \bm{k}\rvert(厳密)ωs(k)≈vs∣k∣\omega_s(\bm{k})\approx v_s\lvert \bm{k}\rvert(小さい ∣k∣\lvert \bm{k}\rvert)
k\bm{k} の範囲上限なし(モードは無限個)第1 Brillouin 域(3N3N 個)
2次式であること厳密(Maxwell 方程式が線形)調和近似

例題 5.3.1 空洞の1つのモードを振動子として書く ★★

オリジナル長さ LbL_{\mathrm b} の空洞が xx 方向に伸び、x=0x=0 と x=Lbx=L_{\mathrm b} に完全導体の壁がある。断面積を A⊥A_\perp、体積を V=A⊥LbV=A_\perp L_{\mathrm b} とする。ベクトルポテンシャルを A(r,t)=q(t)sin⁡(kx) ey\bm{A}(\bm{r},t)=q(t)\sin(kx)\,\bm{e}_y(kLb=πnkL_{\mathrm b}=\pi n、nn は正の整数)の形に限る。

  1. (1) E\bm{E} と B\bm{B} を求め、空洞全体の Lagrangian L=∫VL d3xL=\int_V\mathcal L\,\mathrm{d}^3x を qq, q˙\dot q で書け。この振動子の「質量」と角振動数はいくらか。
  2. (2) (1) の振動子を量子化したとき、基底状態での電場の2乗の期待値を空洞全体で平均したもの ⟨E2⟩‾\overline{\langle \bm{E}^2 \rangle } を求めよ。
  3. (3) 波長 500 nm500\,\mathrm{nm}、V=1 cm3V=1\,\mathrm{cm^3} のとき、⟨E2⟩‾\sqrt{\overline{\langle \bm{E}^2 \rangle }} を数値で求めよ。
解答

(1) E=−∂tA=−q˙sin⁡(kx) ey\bm{E}=-\partial_t\bm{A}=-\dot q\sin(kx)\,\bm{e}_y、B=∇×A=∂xAy ez=qkcos⁡(kx) ez\bm{B}=\nabla\times\bm{A}=\partial_xA_y\,\bm{e}_z=qk\cos(kx)\,\bm{e}_z。壁で Ey=0E_y=0 になっているので、完全導体の境界条件を満たす。kLb=πnkL_{\mathrm b}=\pi n なので ∫0Lbsin⁡2(kx) dx=∫0Lbcos⁡2(kx) dx=Lb/2\int_0^{L_{\mathrm b}}\sin^2(kx)\,\mathrm{d} x=\int_0^{L_{\mathrm b}}\cos^2(kx)\,\mathrm{d} x=L_{\mathrm b}/2 で、

L=ε02q˙2V2−12μ0k2q2V2=ε0V4(q˙2−c2k2q2)L=\frac{\varepsilon_0}{2}\dot q^2\frac V2-\frac{1}{2\mu_0}k^2q^2\frac V2=\frac{\varepsilon_0V}{4}\bigl(\dot q^2-c^2k^2q^2\bigr)

(1/μ0=ε0c21/\mu_0=\varepsilon_0c^2 を使った)。これは質量 M=ε0V/2M=\varepsilon_0V/2、角振動数 ω=ck\omega=ck の調和振動子の Lagrangian M2q˙2−M2ω2q2\frac M2\dot q^2-\frac M2\omega^2q^2 である。Q=MqQ=\sqrt Mq と置けば式 (5.3.5) の1項 12(P2+ω2Q2)\frac12(P^2+\omega^2Q^2) の形になる。

(2) 基底状態では、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーがそれぞれ 14ℏω\frac14\hbar\omega ずつで(第4部第4章)、M2⟨q˙2⟩=14ℏω\frac M2\langle \dot q^2 \rangle =\frac14\hbar\omega、すなわち ⟨q˙2⟩=ℏω/(2M)=ℏω/(ε0V)\langle \dot q^2 \rangle =\hbar\omega/(2M)=\hbar\omega/(\varepsilon_0V) である。⟨E2⟩=⟨q˙2⟩sin⁡2(kx)\langle \bm{E}^2 \rangle =\langle \dot q^2 \rangle \sin^2(kx) を空洞全体で平均すると sin⁡2\sin^2 の平均 12\frac12 が掛かって

⟨E2⟩‾=ℏω2ε0V.\overline{\langle \bm{E}^2 \rangle }=\frac{\hbar\omega}{2\varepsilon_0V}.

電場のエネルギーを空洞全体で積分すると ε02⟨E2⟩‾V=14ℏω\frac{\varepsilon_0}{2}\overline{\langle \bm{E}^2 \rangle }V=\frac14\hbar\omega で、零点エネルギー 12ℏω\frac12\hbar\omega のちょうど半分になる。

(3) ω=2πc/λ=3.77×1015 s−1\omega=2\pi c/\lambda=3.77\times10^{15}\,\mathrm{s^{-1}}、ℏω=3.97×10−19 J\hbar\omega=3.97\times10^{-19}\,\mathrm J。ℏω/(2ε0V)=3.97×10−19/(2×8.85×10−12×10−6)=0.150 V m−1\sqrt{\hbar\omega/(2\varepsilon_0V)}=\sqrt{3.97\times10^{-19}/(2\times8.85\times10^{-12}\times10^{-6})}=0.150\,\mathrm{V\,m^{-1}}。光子が1個も無い状態でも、電場は 00 でなく、この大きさで揺らいでいる。

木下の勉強ステータス

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AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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