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この章で取り出すもの:縦モード1つと反転分布の媒質

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第22章 レーザー発振
目次
  1. モード・物質・結合の3つの選び方
  2. 結合の強さ と誘導放出の断面積
  3. 自然放出のうちモードへ行く割合
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第22章 §22.1 ★★★ モードは寿命 τc\tau_{\mathrm c} の縦モード1つ、物質は上の準位の原子の数 NN、結合は光子1個あたりの誘導放出の速さ KK。KK は同じモードへの自然放出の速さに等しい

第5章(第5章)では、2枚の鏡の間に閉じ込めた光が、寿命 τc\tau_{\mathrm c} で減衰する調和振動子(モード)になることを見た。第20章(第20章)では、原子1個が光を吸ったり出したりする速さを Einstein の係数 A21A_{21}, B21B_{21} で書き、第21章(第21章)では、4準位の媒質なら励起を続けると上の準位の原子が下の準位より多くなる(反転分布)ことを、原子の数のレート方程式で示した。この章ではこの2つを1つの共振器の中で結合させる。

取り出すモードは、第5章の共振器の縦モードのうちの1つ(22.4節で複数に広げる)である。物質のモデルは、第21章の4準位の媒質で、レーザーの遷移の上の準位の原子の数 NN だけを追う。結合は、モードの光子1個が上の準位の原子1個に誘導放出を起こさせる速さ KK という1つの数にまとめる。KK は第20章の A21A_{21} と B21B_{21} の関係から決まり、同じ KK が「そのモードへの自然放出の速さ」でもあることが、この章で最初に確かめる事実である。22.1節でこの3つの選び方を決め、22.2節で光子数と反転分布のレート方程式を立てて、しきい値の条件と定常解と緩和振動を出す。22.3節から22.5節が「出てくるもの」で、利得の飽和と出力(最適な出力結合と、しきい値で光子数が 1/β1/\beta 倍に跳ぶこと)、縦モードの競合(一様な広がりでは1つのモードだけが残ること・空間的ホールバーニング・不均一な広がり・周波数の引き込み)、自然放出が位相を乱すことによる Schawlow–Townes の線幅を順に出す。22.6節で置いた近似と測る量を述べ、学部の授業で習う形と並べる。

モード・物質・結合の3つの選び方

長さ LL の共振器の中を、屈折率 nn の利得の媒質が満たしているとする。共振器の縦モードの1つに注目し、その中の光子の数を nphn_{\mathrm{ph}} と書く(この章では屈折率 nn と同居するので、光子数には添字 ph を付ける)。モードのエネルギーは nphℏωn_{\mathrm{ph}}\hbar\omega で、鏡の透過と媒質の外での損失により、光子は寿命 τc\tau_{\mathrm c} で失われる。第5章の式から、1周の時間を trt=2nL/ct_{\mathrm{rt}}=2nL/c、1周で強度に残る割合を r12r22r_1^2r_2^2 として

1τc=−ln⁡(r12r22)trt=c [−ln⁡(r12r22)]2nL(22.1)\frac{1}{\tau_{\mathrm c}}=\frac{-\ln(r_1^2r_2^2)}{t_{\mathrm{rt}}}=\frac{c\,[-\ln(r_1^2r_2^2)]}{2nL}\tag{22.1}

である(第5章では空気中で n=1n=1 だった。媒質の中では光の速さが c/nc/n になるので、1周の時間が nn 倍になる)。

物質のモデルは、第21章の4準位の媒質である。励起で上の準位(準位 2)に上がった原子は、寿命 τ\tau で下の準位(準位 1)へ落ち、準位 1 の原子はすぐに基底状態へ落ちるので、準位 1 の数は 00 とみなせる。したがって反転分布は上の準位の原子の数 NN そのものである。NN は、モードの場が占める体積 VV の中の原子の数として数える。この章では、モードの場がこの体積 VV の中で一様な強さを持つとみなす(横の分布を断面積 V/LV/L の一様な円柱で、光軸方向の定在波を平均で置き換える。この近似は22.4節と22.6節で見直す)。上の準位の寿命は自然放出だけで決まるとして τ=1/A21\tau=1/A_{21} とおく(自然放出以外の緩和がある媒質では、22.5節までの式で τ\tau と 1/A211/A_{21} を区別すればよい)。

結合は、誘導放出の速さで表す。モードに光子が nphn_{\mathrm{ph}} 個あるとき、上の準位の原子1個が誘導放出を起こす速さは nphn_{\mathrm{ph}} に比例するので、その比例係数を KK と書き、

(原子1個の誘導放出の速さ)=K nph(22.2)(\text{原子1個の誘導放出の速さ})=K\,n_{\mathrm{ph}}\tag{22.2}

とする。KK は光子1個・原子1個あたりの速さで、単位は s−1\mathrm s^{-1} である。場の位相や原子の分極は追わず、光子の数と原子の数だけを追う。これが第21章のレート方程式の考え方を、光の側にも当てはめたものである。

結合の強さ KK と誘導放出の断面積

第20章で、熱平衡の放射の中の原子について Einstein の係数の関係

A21=ℏω3π2c3B21A_{21}=\frac{\hbar\omega^3}{\pi^2c^3}B_{21}

を導いた(角周波数あたりのエネルギー密度 u(ω)u(\omega) で BB を定義するこの本の流儀)。右辺の ω2/(π2c3)\omega^2/(\pi^2c^3) は、真空の単位体積・単位角周波数あたりのモードの数(2つの偏光を含む)であり、ℏω⋅ω2/(π2c3)⋅nˉph\hbar\omega\cdot\omega^2/(\pi^2c^3)\cdot\bar n_{\mathrm{ph}} が熱の放射のエネルギー密度 u(ω)u(\omega) だった(第1章の熱の光子数 nˉph\bar n_{\mathrm{ph}})。したがって熱の放射による誘導放出の速さはB21u(ω)=A21nˉphB_{21}u(\omega)=A_{21}\bar n_{\mathrm{ph}} となり、どのモードにも光子が平均 nˉph\bar n_{\mathrm{ph}} 個いるとき、誘導放出の速さは自然放出の速さの nˉph\bar n_{\mathrm{ph}} 倍になる。すべてのモードについての和でこれが成り立つのは、1つ1つのモードについて「そのモードの光子1個が起こす誘導放出の速さ」と「そのモードへの自然放出の速さ」が等しい場合である。この章ではこの等しさを出発点にとる(第34章(第34章)で、場を量子化すると、誘導放出と自然放出をまとめた速さが nph+1n_{\mathrm{ph}}+1 に比例することから直接出る)。

遷移の線の形を、角周波数について規格化した関数 S(ω)\mathcal S(\omega)(∫S(ω) dω=1\int\mathcal S(\omega)\,\mathrm{d}\omega=1。第20・21章と同じ記号)で表す。原子の自然放出 A21A_{21} のうち、角周波数 ω\omega の付近のモードへ向かう分は A21S(ω) dωA_{21}\mathcal S(\omega)\,\mathrm{d}\omega で、屈折率 nn の媒質の体積 VV の中で、この幅に入るモードの数は g(ω) dωg(\omega)\,\mathrm{d}\omega、

g(ω)=Vn3ω2π2c3(22.3)g(\omega)=\frac{Vn^3\omega^2}{\pi^2c^3}\tag{22.3}

である(第1章の箱のモードの数で、媒質の中では光の速さが c/nc/n になるので c→c/nc\to c/n と置き換えた)。自然放出をこれらのモードに均等に分けると、角周波数 ω\omega のモード1つへの自然放出の速さは A21S(ω)/g(ω)A_{21}\mathcal S(\omega)/g(\omega) になる。上の等しさから、これが KK に等しい。

K(ω)=A21S(ω)g(ω)=π2c3A21S(ω)Vn3ω2,∫K(ω) g(ω) dω=A21.(22.4)K(\omega)=\frac{A_{21}\mathcal S(\omega)}{g(\omega)}=\frac{\pi^2c^3A_{21}\mathcal S(\omega)}{Vn^3\omega^2},\qquad \int K(\omega)\,g(\omega)\,\mathrm{d}\omega=A_{21}.\tag{22.4}

右の式は、すべてのモードへの自然放出を足し合わせると全体の自然放出の速さ A21A_{21} に戻ることを表している。

KK を、原子の側の量である誘導放出の断面積 σ(ω)\sigma(\omega) に書き直しておく。強度 II の光の中の原子1個が誘導放出を起こす速さを σI/(ℏω)\sigma I/(\hbar\omega) と書くのが断面積の定義である。光子 nphn_{\mathrm{ph}} 個のエネルギー密度は nphℏω/Vn_{\mathrm{ph}}\hbar\omega/V、強度はその c/nc/n 倍なので、Knph=σ(c/n)nph/VK n_{\mathrm{ph}}=\sigma(c/n)n_{\mathrm{ph}}/V、すなわち

K=σcnV,σ(ω)=π2c2A21S(ω)n2ω2=λ02A21S(ω)4n2(22.5)K=\frac{\sigma c}{nV},\qquad \sigma(\omega)=\frac{\pi^2c^2A_{21}\mathcal S(\omega)}{n^2\omega^2}=\frac{\lambda_0^2A_{21}\mathcal S(\omega)}{4n^2}\tag{22.5}

である(λ0=2πc/ω\lambda_0=2\pi c/\omega は真空の波長)。線の形が全幅 Δωg=2πΔνg\Delta\omega_{\mathrm g}=2\pi\Delta\nu_{\mathrm g} の Lorentz 形なら、中心で S=2/(πΔωg)\mathcal S=2/(\pi\Delta\omega_{\mathrm g}) なので、中心の断面積はσ0=λ02A21/(4π2n2Δνg)\sigma_0=\lambda_0^2A_{21}/(4\pi^2n^2\Delta\nu_{\mathrm g}) となる。断面積は原子だけで決まり、KK はそれをモードの体積 VV で割ったものである。

自然放出のうちモードへ行く割合 β\beta

上の準位の原子1個は、自然放出を全体で A21A_{21} の速さで起こし、そのうち注目するモードへ行くのは KK の速さである。その割合を

β=KA21=Kτ=S(ω)g(ω)(22.6)\beta=\frac{K}{A_{21}}=K\tau=\frac{\mathcal S(\omega)}{g(\omega)}\tag{22.6}

と書く。β\beta は、線の幅の中に入るモードの数の逆数の目安である(Lorentz 形の中心では 1/β=π2Δωg g(ω)1/\beta=\tfrac{\pi}{2}\Delta\omega_{\mathrm g}\,g(\omega))。普通のレーザーではモードの体積が波長の3乗よりはるかに大きいので、線の幅の中に膨大な数のモードが入り、β\beta は非常に小さい。22.3節で見るように、この小ささがしきい値をはっきりさせる。

例題 22.1 断面積とモードへの自然放出の割合 ★★

オリジナル真空の波長 λ0=1.00 μm\lambda_0=1.00\,\mu\mathrm m、屈折率 n=1.50n=1.50 の架空の固体の媒質で、上の準位の寿命が τ=1/A21=300 μs\tau=1/A_{21}=300\,\mu\mathrm s、遷移の線が全幅 Δνg=100 GHz\Delta\nu_{\mathrm g}=100\,\mathrm{GHz} の Lorentz 形だとする。

  1. (1) 線の中心での誘導放出の断面積 σ0\sigma_0 を求めよ。
  2. (2) モードの体積が V=1.0×10−8 m3V=1.0\times10^{-8}\,\mathrm{m^3} のとき、KK と β\beta を求めよ。線の幅の中にあるモードの数を数えて、1/β1/\beta と比べよ。
解答

(1) A21=1/(300 μs)=3.33×103 s−1A_{21}=1/(300\,\mu\mathrm s)=3.33\times10^3\,\mathrm s^{-1} なので

σ0=λ02A214π2n2Δνg=(1.00×10−6)2×3.33×1034π2×2.25×1.00×1011=3.75×10−22 m2\sigma_0=\frac{\lambda_0^2A_{21}}{4\pi^2n^2\Delta\nu_{\mathrm g}}=\frac{(1.00\times10^{-6})^2\times3.33\times10^3}{4\pi^2\times2.25\times1.00\times10^{11}}=3.75\times10^{-22}\,\mathrm{m^2}

である(3.75×10−18 cm23.75\times10^{-18}\,\mathrm{cm^2})。原子の幾何学的な大きさ(10−20 m210^{-20}\,\mathrm{m^2} の桁)の数十分の1にとどまるのは、上の準位の寿命が長く遷移が弱いうえに、線の幅 100 GHz100\,\mathrm{GHz} に遷移の強さが薄く分かれているからである。

(2) 式 (22.5) から K=σ0c/(nV)=3.75×10−22×3.00×108/(1.50×1.0×10−8)=7.50×10−6 s−1K=\sigma_0c/(nV)=3.75\times10^{-22}\times3.00\times10^8/(1.50\times1.0\times10^{-8})=7.50\times10^{-6}\,\mathrm s^{-1}、β=Kτ=2.25×10−9\beta=K\tau=2.25\times10^{-9} である。光子1個は、上の準位の原子1個に、平均して 1/K=1.3×105 s1/K=1.3\times10^5\,\mathrm s に1回しか誘導放出を起こさせない。それでも発振できるのは、22.2節で見るように、原子が 101210^{12} 個の桁で並ぶからである。

モードの数は、振動数 ν\nu あたりで数えると g(ν) dν=8πn3ν2V dν/c3g(\nu)\,\mathrm{d}\nu=8\pi n^3\nu^2V\,\mathrm{d}\nu/c^3(g(ω) dωg(\omega)\,\mathrm{d}\omega を ω=2πν\omega=2\pi\nu で書き直したもの)である。ν=c/λ0=3.00×1014 Hz\nu=c/\lambda_0=3.00\times10^{14}\,\mathrm{Hz} を入れると8π×3.375×(3.00×1014)2×10−8/(3.00×108)3=2.83×10−3 Hz−18\pi\times3.375\times(3.00\times10^{14})^2\times10^{-8}/(3.00\times10^8)^3=2.83\times10^{-3}\,\mathrm{Hz^{-1}} で、Lorentz 形の実効的な幅 π2Δνg\tfrac{\pi}{2}\Delta\nu_{\mathrm g} をかけると4.44×1084.44\times10^8 個になる。これは 1/β=1/(2.25×10−9)=4.44×1081/\beta=1/(2.25\times10^{-9})=4.44\times10^8 と一致する。自然放出は線の幅の中の4億個のモードに分かれ、注目するモードへ行くのはそのうちの1つ分である。

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