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出てくるもの (1):ループ積分と紫外発散

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第8章 ループと発散
目次
  1. Wick 回転
  2. カットオフで測る
  3. 発散は短い距離から生じる
  4. 微分すると次数が下がる:発散は外の運動量の多項式
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第8章 §5.8.3 ★★★ Wick 回転で Euclid の積分にし、カットオフ Λ\Lambda で測るとタッドポールは Λ2\Lambda^2、泡は ln⁡Λ\ln\Lambda で発散する。発散は同じ点に伝播関数が重なる短距離から生じ、外の運動量や質量で微分すると次数が下がる

Wick 回転

(5.8.5) と (5.8.6) の積分は Minkowski の運動量の上での積分で、被積分関数は k2=m2k^2=m^2 の殻の近くで特異になる。これを扱いやすい形に直す。k0k^0 の積分で見ると、伝播関数の極は k0=±(ωk−iϵ)k^0=\pm(\omega_{\bm{k}}-\mathrm{i}\epsilon)(ωk=k2+m2\omega_{\bm{k}}=\sqrt{\bm{k}^2+m^2})にあり、正の極は第4象限、負の極は第2象限に少しずれている。k0k^0 の積分路を実軸から虚軸まで反時計回りに 90∘90^\circ 回すと、積分路は第1象限と第3象限だけを掃くので極をまたがない。回した後の虚軸の上で k0=ikE4k^0=\mathrm{i} k^4_{\mathrm E} とおくと

d4k=i d4kE,k2=(k0)2−k2=−kE2,kE2=(kE4)2+k2≥0(5.8.13)\mathrm{d}^4k=\mathrm{i}\,\mathrm{d}^4k_{\mathrm E},\qquad k^2=(k^0)^2-\bm{k}^2=-k_{\mathrm E}^2,\qquad k_{\mathrm E}^2=(k^4_{\mathrm E})^2+\bm{k}^2\ge0\tag{5.8.13}

になる。これを Wick 回転と呼ぶ。Euclid の運動量 kEk_{\mathrm E} では伝播関数 1/(kE2+m2)1/(k_{\mathrm E}^2+m^2) は正で特異点を持たず、積分は4次元の Euclid 空間の普通の積分になる。∫d4kE\int\mathrm{d}^4k_{\mathrm E} は動径 ∣kE∣\lvert k_{\mathrm E}\rvert と3次元の単位球面 S3S^3 の上の積分に分かれ、S3S^3 の面積は 2π22\pi^2 なので、kE2k_{\mathrm E}^2 だけによる関数については ∫d4kE=2π2∫0∞k3 dk\int\mathrm{d}^4k_{\mathrm E}=2\pi^2\int_0^\infty k^3\,\mathrm{d} k である(以下、k=∣kE∣k=\lvert k_{\mathrm E}\rvert)。

(5.8.13) を代入すると i⋅i−kE2−m2=1kE2+m2\mathrm{i}\cdot\frac{\mathrm{i}}{-k_{\mathrm E}^2-m^2}=\frac{1}{k_{\mathrm E}^2+m^2}、i⋅(i−kE2−m2)2=−i(kE2+m2)2\mathrm{i}\cdot\bigl(\frac{\mathrm{i}}{-k_{\mathrm E}^2-m^2}\bigr)^2=-\frac{\mathrm{i}}{(k_{\mathrm E}^2+m^2)^2} なので、(5.8.5) と (5.8.6)(外の運動量をすべて 00 にしたもの)は、2つの Euclid の積分

A≔∫d4kE(2π)41kE2+m2,B≔∫d4kE(2π)41(kE2+m2)2(5.8.14)A\coloneqq\int\frac{\mathrm{d}^4k_{\mathrm E}}{(2\pi)^4}\frac{1}{k_{\mathrm E}^2+m^2},\qquad B\coloneqq\int\frac{\mathrm{d}^4k_{\mathrm E}}{(2\pi)^4}\frac{1}{(k_{\mathrm E}^2+m^2)^2}\tag{5.8.14}

で書けて、

Σ1=λ2A,λeff≔−M∣pi=0=λ−3λ22B(5.8.15)\Sigma_1=\frac{\lambda}{2}A,\qquad \lambda_{\mathrm{eff}}\coloneqq-\mathcal M\big|_{p_i=0}=\lambda-\frac{3\lambda^2}{2}B\tag{5.8.15}

になる。Σ1>0\Sigma_1>0 は質量の2乗を押し上げる向きの補正で、λeff\lambda_{\mathrm{eff}} は外の運動量が 00 のところで測った4点の結合の強さである。

カットオフで測る

AA も BB も k→∞k\to\infty で発散するので、一時的に k<Λk<\Lambda で積分を打ち切って発散の強さを測る。u=k2u=k^2 とおくと

A=2π2(2π)4∫0Λk3 dkk2+m2=116π2[Λ2−m2ln⁡(1+Λ2m2)],B=2π2(2π)4∫0Λk3 dk(k2+m2)2=116π2[ln⁡(1+Λ2m2)−Λ2Λ2+m2]\begin{align*}A&=\frac{2\pi^2}{(2\pi)^4}\int_0^\Lambda\frac{k^3\,\mathrm{d} k}{k^2+m^2}=\frac{1}{16\pi^2}\Bigl[\Lambda^2-m^2\ln\Bigl(1+\frac{\Lambda^2}{m^2}\Bigr)\Bigr],\tag{5.8.16}\\B&=\frac{2\pi^2}{(2\pi)^4}\int_0^\Lambda\frac{k^3\,\mathrm{d} k}{(k^2+m^2)^2}=\frac{1}{16\pi^2}\Bigl[\ln\Bigl(1+\frac{\Lambda^2}{m^2}\Bigr)-\frac{\Lambda^2}{\Lambda^2+m^2}\Bigr]\tag{5.8.17}\end{align*}

を得る(2π2(2π)4=18π2\frac{2\pi^2}{(2\pi)^4}=\frac1{8\pi^2}、∫0Λ2u du2(u+m2)\int_0^{\Lambda^2}\frac{u\,\mathrm{d} u}{2(u+m^2)} などを計算する)。Λ≫m\Lambda\gg m では

A≈Λ216π2,B≈116π2(2ln⁡Λm−1)(5.8.18)A\approx\frac{\Lambda^2}{16\pi^2},\qquad B\approx\frac{1}{16\pi^2}\Bigl(2\ln\frac{\Lambda}{m}-1\Bigr)\tag{5.8.18}

で、タッドポールは Λ2\Lambda^2(2次発散)、泡は ln⁡Λ\ln\Lambda(対数発散)で発散する。Λ→∞\Lambda\to\infty の極限は存在しないので、Σ1\Sigma_1 と λeff\lambda_{\mathrm{eff}} はそのままでは意味を持たない。これをどう読むかが第5部第10章のくりこみの主題で、この章は発散の強さを数えるところまでにする。

発散は短い距離から生じる

運動量の大きいところの発散は、位置の空間では短い距離の問題になる。Euclid の伝播関数 GE(x)=∫d4kE(2π)4eikE⋅xkE2+m2G_{\mathrm E}(x)=\int\frac{\mathrm{d}^4k_{\mathrm E}}{(2\pi)^4}\frac{\mathrm{e}^{\mathrm{i} k_{\mathrm E}\cdot x}}{k_{\mathrm E}^2+m^2}は、∣x∣≪1/m\lvert x\rvert \ll1/m では質量の無い場合の

GE(x)≈14π2x2(5.8.19)G_{\mathrm E}(x)\approx\frac{1}{4\pi^2x^2}\tag{5.8.19}

に近づく(4次元の球対称な Fourier 変換は 14π2r∫0∞k2J1(kr)f(k) dk\frac{1}{4\pi^2r}\int_0^\infty k^2J_1(kr)f(k)\,\mathrm{d} k で、f=1/k2f=1/k^2 では ∫0∞J1(kr) dk=1/r\int_0^\infty J_1(kr)\,\mathrm{d} k=1/r を使う)。タッドポールの積分 AA は GE(0)G_{\mathrm E}(0) そのもの、すなわち同じ点での場の揺らぎ ⟨ϕ(x)2⟩\langle \phi(x)^2 \rangle で、x→0x\to0 で 1/x21/x^2 のように発散する。泡は2つの頂点 xx, yy を2本の伝播関数でつないだもので、∫d4x GE(x)2\int\mathrm{d}^4x\,G_{\mathrm E}(x)^2 を含む。x→0x\to0 の近くでは∫2π2r3 dr 116π4r4=18π2∫drr\int2\pi^2r^3\,\mathrm{d} r\,\frac{1}{16\pi^4r^4}=\frac{1}{8\pi^2}\int\frac{\mathrm{d} r}{r} となり、短い距離の側で対数発散する。運動量の空間の ln⁡Λ\ln\Lambda と位置の空間の ln⁡(1/rmin⁡)\ln(1/r_{\min}) は同じものを見ている。点 xx で起きる相互作用 ϕ(x)4\phi(x)^4 は、場の揺らぎがどんなに短い波長でも同じ点でつながることを要求しており、ループの発散はその帰結である。

微分すると次数が下がる:発散は外の運動量の多項式

(5.8.16) と (5.8.17) の間には

∂A∂(m2)=−B(5.8.20)\frac{\partial A}{\partial (m^2)}=-B\tag{5.8.20}

の関係がある。被積分関数を m2m^2 で微分すると kk の次数が2つ下がり、2次発散の AA から対数発散の BB になる。外の運動量についても同じことが起きる。泡の積分の外の運動量の依存 B(P)B(P)(PP は Euclid の4元運動量)で、B(0)B(0) を引いたもの

B(0)−B(P)=∫d4kE(2π)4 (k+P)2−k2(k2+m2)2((k+P)2+m2)B(0)-B(P)=\int\frac{\mathrm{d}^4k_{\mathrm E}}{(2\pi)^4}\,\frac{(k+P)^2-k^2}{(k^2+m^2)^2((k+P)^2+m^2)}

は、分子が kk について1次低く、さらに k⋅Pk\cdot P の項は角度で平均すると消えるので、被積分関数が 1/k61/k^6 で減って収束する。Feynman のパラメータの式 1ab=∫01dx[xa+(1−x)b]2\frac1{ab}=\int_0^1\frac{\mathrm{d} x}{[xa+(1-x)b]^2} で2つの分母をまとめて計算すると、Λ→∞\Lambda\to\infty で

16π2[B(0)−B(P)]⟶∫01ln⁡(1+x(1−x)P2m2)dx(5.8.21)16\pi^2\bigl[B(0)-B(P)\bigr]\longrightarrow\int_0^1\ln\Bigl(1+x(1-x)\frac{P^2}{m^2}\Bigr)\mathrm{d} x\tag{5.8.21}

という有限の値になる。P2=m2P^2=m^2 では右辺は −2+5ln⁡3+52=0.1520-2+\sqrt5\ln\frac{3+\sqrt5}{2}=0.1520 である。図 5.8.2 は、ループの運動量 ∣kE∣<Λ\lvert k_{\mathrm E}\rvert <\Lambda で切って数値積分した 16π2B(0)16\pi^2B(0) と 16π2[B(0)−B(P)]16\pi^2[B(0)-B(P)](P2=m2P^2=m^2)を Λ\Lambda の関数として描いたもので、前者は ln⁡Λ\ln\Lambda に比例して増え続け、後者は Λ≈10m\Lambda\approx10m でほぼ一定の値に落ち着く。

図

図 5.8.2 泡の積分のカットオフ依存。点線は数値積分(厳密)、実線は大きい Λ\Lambda の近似 (5.8.18)。B(0)B(0) は ln⁡Λ\ln\Lambda に比例して増え続けるが、外の運動量への依存 B(0)−B(P)B(0)-B(P) は Λ\Lambda によらない値 0.1520.152 に収束する。

(5.8.21) から読み取れることは、発散する部分が外の運動量によらない定数だということである。泡の発散は λeff\lambda_{\mathrm{eff}} の定数のずれ、すなわち Lagrangian 密度の ϕ4\phi^4 の項の係数のずれと同じ形をしている。一般に、外の運動量で1回微分するごとに発散の次数が1つ下がるので、発散する部分は外の運動量の多項式(位置の空間では1点に集中した局所的な項)になる。この性質があるから、発散を L\mathcal L の係数の取り直しで吸収するという第5部第10章の考え方が成り立つ。

例題 5.8.3 タッドポールと泡を Λ=100m\Lambda=100m で評価する ★★

オリジナル

  1. (1) (5.8.16) と (5.8.17) を導け。
  2. (2) Λ=100m\Lambda=100m で 16π2A/m216\pi^2A/m^2 と 16π2B16\pi^2B を数値で求め、近似 (5.8.18) と比べよ。
  3. (3) (5.8.16) と (5.8.17) から (5.8.20) を確かめよ。
解答

(1) ∫d4kE=2π2∫k3dk\int\mathrm{d}^4k_{\mathrm E}=2\pi^2\int k^3\mathrm{d} k と u=k2u=k^2(k3dk=12u duk^3\mathrm{d} k=\frac12u\,\mathrm{d} u)から

A=18π2⋅12∫0Λ2u duu+m2=116π2[u−m2ln⁡(u+m2)]0Λ2=116π2[Λ2−m2ln⁡Λ2+m2m2].A=\frac{1}{8\pi^2}\cdot\frac12\int_0^{\Lambda^2}\frac{u\,\mathrm{d} u}{u+m^2}=\frac{1}{16\pi^2}\Bigl[u-m^2\ln(u+m^2)\Bigr]_0^{\Lambda^2} =\frac{1}{16\pi^2}\Bigl[\Lambda^2-m^2\ln\frac{\Lambda^2+m^2}{m^2}\Bigr].

BB では u(u+m2)2=1u+m2−m2(u+m2)2\frac{u}{(u+m^2)^2}=\frac{1}{u+m^2}-\frac{m^2}{(u+m^2)^2} と分けて

B=116π2[ln⁡(u+m2)+m2u+m2]0Λ2=116π2[ln⁡Λ2+m2m2+m2Λ2+m2−1],B=\frac{1}{16\pi^2}\Bigl[\ln(u+m^2)+\frac{m^2}{u+m^2}\Bigr]_0^{\Lambda^2}=\frac{1}{16\pi^2}\Bigl[\ln\frac{\Lambda^2+m^2}{m^2}+\frac{m^2}{\Lambda^2+m^2}-1\Bigr],

最後の2項をまとめると −Λ2Λ2+m2-\frac{\Lambda^2}{\Lambda^2+m^2} になる。

(2) Λ2/m2=104\Lambda^2/m^2=10^4 なので 16π2A/m2=104−ln⁡10001=104−9.2104=9990.7916\pi^2A/m^2=10^4-\ln10001=10^4-9.2104=9990.79 で、主要項 Λ2/m2=104\Lambda^2/m^2=10^4 との差は 0.1%0.1\% である。16π2B=ln⁡10001−10410001=9.2104−0.9999=8.210516\pi^2B=\ln10001-\frac{10^4}{10001}=9.2104-0.9999=8.2105 で、近似 2ln⁡100−1=8.21032\ln100-1=8.2103 との差は 2×10−42\times10^{-4} にすぎない。AA は Λ\Lambda を10倍にすると100倍になり、BB は 2ln⁡10=4.62\ln10=4.6 だけ増える。2次発散と対数発散の差は、この増え方の違いである。

(3) M≔m2M\coloneqq m^2 とおいて (5.8.16) を MM で微分すると

16π2∂A∂M=−ln⁡Λ2+MM−M(1Λ2+M−1M)=−ln⁡Λ2+MM+Λ2Λ2+M=−16π2B.16\pi^2\frac{\partial A}{\partial M}=-\ln\frac{\Lambda^2+M}{M}-M\Bigl(\frac{1}{\Lambda^2+M}-\frac1M\Bigr)=-\ln\frac{\Lambda^2+M}{M}+\frac{\Lambda^2}{\Lambda^2+M}=-16\pi^2B .

被積分関数 1k2+M\frac1{k^2+M} を MM で微分すると −1(k2+M)2-\frac1{(k^2+M)^2} になることと同じで、カットオフを置いた後でも成り立つ。

木下の勉強ステータス

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