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対称作用素と自己共役作用素

2026年10月9日16分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3章 量子力学の作用素論:自己共役性とスペクトル
目次
  1. 共役作用素・対称・自己共役
  2. 区間上の運動量:境界条件が作用素を決める
  3. 自己共役性の判定法と、それが要る理由
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

近似の数理 第3章 §3.2 ★★★ 「エルミートなら十分」という直観がどこで足りないかを、定義域の言葉で特定する

共役作用素・対称・自己共役

定義 3.6(共役作用素)

稠密な定義域をもつ作用素 AA について、ϕ∈H\phi\in\mathcal{H} で「ある η∈H\eta\in\mathcal{H} が存在して全ての ψ∈D(A)\psi\in\mathcal{D}(A) で⟨ϕ, Aψ⟩=⟨η, ψ⟩\langle \phi,\,A\psi\rangle =\langle \eta,\,\psi\rangle」となるもの全体を D(A∗)\mathcal{D}(A^*) とし、A∗ϕ=ηA^*\phi=\eta と定める。A∗A^* を AA の共役作用素という。

D(A)\mathcal{D}(A) が稠密なので η\eta は一意に決まる。A∗A^* の定義域は「AA と内積をとって部分積分できる相手」の全体であり、D(A)\mathcal{D}(A) を狭くするほど条件が緩くなって D(A∗)\mathcal{D}(A^*) は広がる。この逆向きの関係が以下の議論の要である。

定義 3.7(対称作用素・自己共役作用素)

AA が対称であるとは、全ての ϕ,ψ∈D(A)\phi,\psi\in\mathcal{D}(A) で ⟨ϕ, Aψ⟩=⟨Aϕ, ψ⟩\langle \phi,\,A\psi\rangle =\langle A\phi,\,\psi\rangle が成り立つこと、すなわち A⊂A∗A\subset A^* であることをいう。A=A∗A=A^*(定義域まで一致)のとき自己共役という。

物理の「エルミート」は通常「対称」の意味で使われている。対称性は期待値 ⟨ψ, Aψ⟩\langle \psi,\,A\psi\rangle が実数であることを保証するが、それだけでは足りない。対称な AA では D(A∗)\mathcal{D}(A^*) が D(A)\mathcal{D}(A) より真に広いことがあり、そのとき AA には「余分な境界条件の自由度」が残っている。自己共役とは、その自由度を一つに決め切った状態である。

区間上の運動量:境界条件が作用素を決める

H=L2(0,1)\mathcal{H}= L^2(0,1) で P=−i d/dxP=-\mathrm{i}\,\mathrm{d}/\mathrm{d} x を考える。部分積分で

⟨ϕ, Pψ⟩−⟨Pϕ, ψ⟩=−i∫01(ϕˉψ′+ϕˉ′ψ) dx=−i[ϕˉ(1)ψ(1)−ϕˉ(0)ψ(0)](3.2)\langle \phi,\,P\psi\rangle -\langle P\phi,\,\psi\rangle =-\mathrm{i}\int_0^1\bigl(\bar\phi\psi'+\bar\phi'\psi\bigr)\,\mathrm{d} x =-\mathrm{i}\bigl[\bar\phi(1)\psi(1)-\bar\phi(0)\psi(0)\bigr]\tag{3.2}

となる。右辺の境界項が消えるかどうかが、定義域の選び方で決まる。

  • D(Pmin⁡)={ψ∈H1(0,1):ψ(0)=ψ(1)=0}\mathcal{D}(P_{\min})=\{\psi\in H^1(0,1):\psi(0)=\psi(1)=0\} とすると、Pmin⁡P_{\min} は対称である。共役 Pmin⁡∗P_{\min}^* は、相手の ψ\psi が両端で消えているので境界項が ϕ\phi に条件を課さず、D(Pmin⁡∗)=H1(0,1)\mathcal{D}(P_{\min}^*)= H^1(0,1)(境界条件なし)となる。D(Pmin⁡)⊊D(Pmin⁡∗)\mathcal{D}(P_{\min})\subsetneq\mathcal{D}(P_{\min}^*) なのでPmin⁡P_{\min} は対称だが自己共役ではない。
  • θ∈[0,2π)\theta\in[0,2\pi) を一つ選び、D(Pθ)={ψ∈H1(0,1):ψ(1)=eiθψ(0)}\mathcal{D}(P_\theta)=\{\psi\in H^1(0,1):\psi(1)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\theta}\psi(0)\} とする。ϕ,ψ\phi,\psi が同じ条件を満たせば ϕˉ(1)ψ(1)=∣eiθ∣2ϕˉ(0)ψ(0)=ϕˉ(0)ψ(0)\bar\phi(1)\psi(1)=\lvert \mathrm{e}^{\mathrm{i}\theta}\rvert ^2\bar\phi(0)\psi(0)=\bar\phi(0)\psi(0)で境界項は消える。逆に ϕ∈D(Pθ∗)\phi\in\mathcal{D}(P_\theta^*) なら、ψ(0)≠0\psi(0)\ne0 の ψ∈D(Pθ)\psi\in\mathcal{D}(P_\theta) を入れて境界項が消えることからϕ(1)=eiθϕ(0)\phi(1)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\theta}\phi(0) が従う。よって Pθ=Pθ∗P_\theta=P_\theta^* は自己共役である。

PθP_\theta は θ\theta ごとに別の作用素であり、固有値も違う。eikx\mathrm{e}^{\mathrm{i} kx} が D(Pθ)\mathcal{D}(P_\theta) に入る条件はeik=eiθ\mathrm{e}^{\mathrm{i} k}=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\theta} なので、

σ(Pθ)={θ+2πn: n∈Z}.(3.3)\sigma (P_\theta)=\{\theta+2\pi n:\ n\in\mathbb{Z}\}.\tag{3.3}

物理的には、θ\theta は環状の導線を貫く磁束(Aharonov–Bohm 位相)や、周期系の Bloch 波数に当たる。同じ微分記号 −i d/dx-\mathrm{i}\,\mathrm{d}/\mathrm{d} x でも、境界条件という定義域の情報が違えば測定値の集合が違う。一方 Pmin⁡P_{\min} のスペクトルは複素平面全体になる(例題 3.1)。これは「対称なのに実スペクトルをもたない」作用素の具体例である。

自己共役性の判定法と、それが要る理由

定理 3.8(自己共役性の基本判定法 ★★)

AA を対称作用素とする。Ran⁡(A+i)=Ran⁡(A−i)=H\operatorname{Ran}(A+\mathrm{i})=\operatorname{Ran}(A-\mathrm{i})=\mathcal{H} ならば AA は自己共役である。逆に AA が自己共役なら、全ての実数 μ≠0\mu\ne0 について A−iμA-\mathrm{i}\mu は D(A)\mathcal{D}(A) から H\mathcal{H} への全単射で、∥(A−iμ)−1∥≤1/∣μ∣\lVert (A-\mathrm{i}\mu)^{-1}\rVert \le1/\lvert \mu\rvert を満たす。

証明

前半を示す。A⊂A∗A\subset A^* なので D(A∗)⊂D(A)\mathcal{D}(A^*)\subset\mathcal{D}(A) を言えばよい。ψ∈D(A∗)\psi\in\mathcal{D}(A^*) をとる。Ran⁡(A−i)=H\operatorname{Ran}(A-\mathrm{i})=\mathcal{H} より、(A−i)ϕ=(A∗−i)ψ(A-\mathrm{i})\phi=(A^*-\mathrm{i})\psi を満たす ϕ∈D(A)\phi\in\mathcal{D}(A) がある。A⊂A∗A\subset A^* だから(A∗−i)(ψ−ϕ)=0(A^*-\mathrm{i})(\psi-\phi)=0。任意の χ∈D(A)\chi\in\mathcal{D}(A) について⟨(A+i)χ, ψ−ϕ⟩=⟨χ, (A∗−i)(ψ−ϕ)⟩=0\langle (A+\mathrm{i})\chi,\,\psi-\phi\rangle =\langle \chi,\,(A^*-\mathrm{i})(\psi-\phi)\rangle =0 であり、Ran⁡(A+i)=H\operatorname{Ran}(A+\mathrm{i})=\mathcal{H} なので ψ−ϕ\psi-\phi は H\mathcal{H} の全ての元と直交する。よって ψ=ϕ∈D(A)\psi=\phi\in\mathcal{D}(A)。

後半のうちノルムの評価を示す。対称な AA と ψ∈D(A)\psi\in\mathcal{D}(A) について、⟨ψ, Aψ⟩\langle \psi,\,A\psi\rangle が実数であることから交差項が打ち消し合い、

∥(A−iμ)ψ∥2=∥Aψ∥2+μ2∥ψ∥2(3.4)\lVert (A-\mathrm{i}\mu)\psi\rVert ^2=\lVert A\psi\rVert ^2+\mu^2\lVert \psi\rVert ^2\tag{3.4}

となる。よって A−iμA-\mathrm{i}\mu は単射で、逆写像のノルムは 1/∣μ∣1/\lvert \mu\rvert 以下。全射であることは、Ran⁡(A−iμ)\operatorname{Ran}(A-\mathrm{i}\mu) が閉じていること(自己共役作用素は閉作用素、すなわち ψn→ψ\psi_n\to\psi かつ Aψn→ηA\psi_n\to\eta なら ψ∈D(A)\psi\in\mathcal{D}(A), Aψ=ηA\psi=\eta を満たし、これと (3.4) から従う)と、その直交補空間が Ker⁡(A∗+iμ)=Ker⁡(A+iμ)={0}\operatorname{Ker}(A^*+\mathrm{i}\mu)=\operatorname{Ker}(A+\mathrm{i}\mu)=\{0\} であることから従う(Aψ=−iμψA\psi=-\mathrm{i}\mu\psi なら ⟨ψ, Aψ⟩=−iμ∥ψ∥2\langle \psi,\,A\psi\rangle =-\mathrm{i}\mu\lVert \psi\rVert ^2 が実数なので ψ=0\psi=0)。

Pmin⁡P_{\min} で判定法が破れる様子を見ると意味がよく分かる。Ran⁡(Pmin⁡−i)\operatorname{Ran}(P_{\min}-\mathrm{i}) の直交補空間は Ker⁡(Pmin⁡∗+i)\operatorname{Ker}(P_{\min}^*+\mathrm{i})、すなわち −iϕ′=−iϕ-\mathrm{i}\phi'=-\mathrm{i}\phi の解 ϕ=ex\phi=\mathrm{e}^{x} が張る1次元空間である。同様に Ker⁡(Pmin⁡∗−i)\operatorname{Ker}(P_{\min}^*-\mathrm{i}) は e−x\mathrm{e}^{-x} が張る。この二つの次元 (1,1)(1,1) を不足指数といい、それが等しいことが自己共役拡大の存在条件、その間のユニタリ写像(ここでは位相 eiθ\mathrm{e}^{\mathrm{i}\theta} 一つ)が拡大の自由度に当たる(von Neumann の拡大理論)。

自己共役性が必要な理由は、次の二つの定理に集約される。

定理 3.9(スペクトル定理(乗算作用素形) ★★★)

AA を自己共役作用素とする。ある測度空間 (M,μ)(M,\mu)、実数値関数 a:M→Ra:M\to\mathbb{R}、ユニタリ写像 U:H→L2(M,μ)U:\mathcal{H}\to L^2(M,\mu) が存在して、UAU−1UAU^{-1} は「aa を掛ける」作用素になる(定義域は a⋅f∈L2a\cdot f\in L^2 となる ff 全体)。

−12Δ-\tfrac12\Delta ではフーリエ変換が UU、a(k)=∣k∣2/2a(\bm{k})=\lvert \bm{k}\rvert ^2/2 である。一般の自己共役作用素も、適切な「座標変換」で実数値関数の掛け算に直せるというのがこの定理の内容であり、有限次元の「エルミート行列はユニタリ行列で実対角化できる」の無限次元版である。これにより関数 f(A)f(A)(f(a)f(a) を掛ける作用素)が定義でき、特に区間 Ω\Omega の指示関数からスペクトル射影 PΩ(A)=1Ω(A)P_\Omega(A)=\mathbb{1}_\Omega(A)、指数関数から e−itA\mathrm{e}^{-\mathrm{i} tA} が作れる。対称だが自己共役でない作用素にはこの定理が成り立たず、Pmin⁡P_{\min} のようにスペクトルが実数に収まらないこともある。

定義 3.10(スペクトル)

A−λA-\lambda が D(A)\mathcal{D}(A) から H\mathcal{H} への全単射で逆写像が有界になる λ∈C\lambda\in\mathbb{C} の集合をレゾルベント集合、その補集合をスペクトル σ(A)\sigma (A) という。

自己共役作用素では、判定法の後半を A−Re λA-\mathrm{Re}\,\lambda に適用して σ(A)⊂R\sigma (A)\subset\mathbb{R} が従い、スペクトル定理の表示では σ(A)\sigma (A) は関数 aa の「本質的な値域」に一致する。固有値は σ(A)\sigma (A) の一部にすぎず、−12Δ-\tfrac12\Delta のスペクトル [0,∞)[0,\infty) には固有値が一つも無い(eik⋅x\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{x}} は L2L^2 に入らない)。

定理 3.11(Stone の定理 ★★★)

HH を自己共役作用素とすると、U(t)=e−itHU(t)=\mathrm{e}^{-\mathrm{i} tH} はユニタリ作用素の族で U(t+s)=U(t)U(s)U(t+s)=U(t)U(s) を満たし、強連続(各 ψ\psi について t↦U(t)ψt\mapsto U(t)\psi が連続)であり、ψ∈D(H)\psi\in\mathcal{D}(H) ならiddtU(t)ψ=HU(t)ψ\mathrm{i}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} t}U(t)\psi=HU(t)\psi が成り立つ。逆に、強連続な1パラメータ・ユニタリ群 U(t)U(t) は、ちょうど一つの自己共役作用素 HHによって U(t)=e−itHU(t)=\mathrm{e}^{-\mathrm{i} tH} と書ける。

前半はスペクトル定理から直ちに従う(掛け算作用素 e−ita\mathrm{e}^{-\mathrm{i} ta} は絶対値1の関数を掛けるのでユニタリ)。さらに、シュレディンガー方程式の解の一意性もここから出る。ψ(t)∈D(H)\psi(t)\in\mathcal{D}(H) が iψ˙=Hψ\mathrm{i}\dot\psi=H\psi を満たすとき、χ(t)=U(−t)ψ(t)\chi(t)=U(-t)\psi(t) を微分すると χ˙=U(−t)(iHψ−iHψ)=0\dot\chi=U(-t)(\mathrm{i} H\psi-\mathrm{i} H\psi)=0 なので χ\chi は一定、すなわち ψ(t)=U(t)ψ(0)\psi(t)=U(t)\psi(0) である。

自己共役性が物理に対応するもの

Stone の定理は「確率を保存する時間発展」と「自己共役なハミルトニアン」が一対一に対応することを言う。対称だが自己共役でない Pmin⁡P_{\min} を生成子に選ぶと、∂tψ=−iPψ=−∂xψ\partial_t\psi=-\mathrm{i} P\psi=-\partial_x\psi は右向きの並進であり、波束が右端 x=1x=1 に達した後どうなるかを方程式は決めていない。PθP_\theta を選ぶことは「右端から出た波は位相 e−iθ\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\theta} をかけて左端から戻る」という規則を指定することに当たり、そこで初めて時間発展が一意になる。自己共役性とは「境界(無限遠や特異点も含む)で確率がどう振る舞うか」を決め切ることである。

「エルミートなら十分」が外れる場面

滑らかで台がコンパクトな関数の上で対称な作用素は、物理で出会うほぼ全ての作用素がそうである。足りないのは次の場面である。(1) 区間・半直線・穴のあいた領域のように境界がある系(境界条件の選び方が物理を決める)。(2) ポテンシャルが特異な系。例えば3次元で −Δ−c/∣x∣2-\Delta-c/\lvert \bm{x}\rvert ^2 は cc が大きいと自己共役拡大が一意に決まらず、さらに下に有界でもなくなる(第 3.4 節)。(3) 一点に集中した相互作用(δ\delta ポテンシャル)。これは「原点を除いた直線上の −d2/dx2-\mathrm{d}^2/\mathrm{d} x^2」の自己共役拡大の一つとして定義される(例題 3.5)。「エルミート」の確認は滑らかな関数での計算に閉じているので、これらの場面で何が起きるかを判定できない。

例題 3.1 区間上の運動量の自己共役拡大 ★★

オリジナル[標準的な題材を自作] H=L2(0,1)\mathcal{H}= L^2(0,1)、Pmin⁡=−i d/dxP_{\min}=-\mathrm{i}\,\mathrm{d}/\mathrm{d} x、D(Pmin⁡)={ψ∈H1(0,1):ψ(0)=ψ(1)=0}\mathcal{D}(P_{\min})=\{\psi\in H^1(0,1):\psi(0)=\psi(1)=0\} とする。

  • (1) 任意の λ∈C\lambda\in\mathbb{C} について λ∈σ(Pmin⁡)\lambda\in\sigma (P_{\min}) であることを示せ。
  • (2) Ker⁡(Pmin⁡∗∓i)\operatorname{Ker}(P_{\min}^*\mp\mathrm{i}) を求め、不足指数が (1,1)(1,1) であることを確かめよ。
  • (3) 自己共役拡大 PθP_\theta(ψ(1)=eiθψ(0)\psi(1)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\theta}\psi(0))の固有値と規格化固有関数を求め、e−itPθ\mathrm{e}^{-\mathrm{i} tP_\theta} が波動関数をどう動かすかを述べよ。
解答

(1) ϕλ(x)=eiλˉx\phi_\lambda(x)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bar\lambda x} とおく。任意の ψ∈D(Pmin⁡)\psi\in\mathcal{D}(P_{\min}) について、部分積分の境界項は ψ\psi が両端で消えるので0で、⟨ϕλ, (Pmin⁡−λ)ψ⟩=⟨(−iϕλ′−λˉϕλ), ψ⟩=0\langle \phi_\lambda,\,(P_{\min}-\lambda)\psi\rangle =\langle (-\mathrm{i}\phi_\lambda'-\bar\lambda\phi_\lambda),\,\psi\rangle =0(−iϕλ′=λˉϕλ-\mathrm{i}\phi_\lambda'=\bar\lambda\phi_\lambda による)。よって Ran⁡(Pmin⁡−λ)\operatorname{Ran}(P_{\min}-\lambda) は 00 でない ϕλ\phi_\lambda と直交し、Pmin⁡−λP_{\min}-\lambda は全射でない。したがって λ∈σ(Pmin⁡)\lambda\in\sigma (P_{\min})。スペクトルは C\mathbb{C} 全体である。

(2) D(Pmin⁡∗)=H1(0,1)\mathcal{D}(P_{\min}^*)= H^1(0,1) で Pmin⁡∗=−i d/dxP_{\min}^*=-\mathrm{i}\,\mathrm{d}/\mathrm{d} x。−iϕ′=iϕ-\mathrm{i}\phi'=\mathrm{i}\phi の解は ϕ=c e−x\phi=c\,\mathrm{e}^{-x}、−iϕ′=−iϕ-\mathrm{i}\phi'=-\mathrm{i}\phi の解は ϕ=c ex\phi=c\,\mathrm{e}^{x}。いずれも H1(0,1)H^1(0,1) に入るので、Ker⁡(Pmin⁡∗−i)=span⁡{e−x}\operatorname{Ker}(P_{\min}^*-\mathrm{i})=\operatorname{span}\{\mathrm{e}^{-x}\}、Ker⁡(Pmin⁡∗+i)=span⁡{ex}\operatorname{Ker}(P_{\min}^*+\mathrm{i})=\operatorname{span}\{\mathrm{e}^{x}\} で、不足指数は (1,1)(1,1)。等しいので自己共役拡大が存在し、拡大は二つの1次元空間の間のユニタリ写像(絶対値1の複素数一つ)でパラメータづけられる。これが θ\theta である。

(3) ψ=eikx\psi=\mathrm{e}^{\mathrm{i} kx} が境界条件を満たす条件は eik=eiθ\mathrm{e}^{\mathrm{i} k}=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\theta}、すなわち kn=θ+2πnk_n=\theta+2\pi n(n∈Zn\in\mathbb{Z})。規格化固有関数は en(x)=ei(θ+2πn)xe_n(x)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\theta+2\pi n)x} で、これらは L2(0,1)L^2(0,1) の正規直交基底をなす(eiθx\mathrm{e}^{\mathrm{i}\theta x} を掛けたフーリエ級数)。ψ=∑ncnen\psi=\sum_nc_ne_n に対し e−itPθψ=∑ncne−iknten\mathrm{e}^{-\mathrm{i} tP_\theta}\psi=\sum_nc_n\mathrm{e}^{-\mathrm{i} k_nt}e_n で、en(x−t)=e−iknten(x)e_n(x-t)=\mathrm{e}^{-\mathrm{i} k_nt}e_n(x) だから(e−itPθψ)(x)=ψ~(x−t)(\mathrm{e}^{-\mathrm{i} tP_\theta}\psi)(x)=\tilde\psi(x-t) である。ここで ψ~\tilde\psi は ψ\psi を「ψ~(x+1)=eiθψ~(x)\tilde\psi(x+1)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\theta}\tilde\psi(x)」で実数全体へ延長したもの。波は右へ速さ1で進み、右端を出た部分は位相 e−iθ\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\theta} を掛けられて左端から戻る。θ\theta ごとに時間発展が違い、θ\theta を決めない限り時間発展は決まらない(検算スクリプト)。

木下の勉強ステータス

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