例題:空間一様 BGK と Knudsen 数の見積もり
AI 生成・木下が未勉強
近似の数理 第8章 §8.10 ★★ H 定理を目で見る数値例と、流体近似が使える長さの見積もり
例題 8.11 空間一様 BGK の緩和と H の減少 ★★
オリジナル空間的に一様な BGK 方程式 を考える。
- は時間によらないことを示し、解を ()と求めよ。
- が単調に減少することを、 の凸性から示せ。
- 長時間で が に比例して減ることを示せ。
解答
(1) ()なので、 の は時間によらず、 は定数である。すると方程式は という線型の常微分方程式になり、。
(2) と置くと 。 は、 が凸なので について凸である。 と は同じモーメントを持つので、例題 8.3 から 。凸関数が で最小値を取るので は で非減少であり、 は について減少するから は について非増加である( なら狭義凸性から狭義減少)。
(3) 、 と書く。()であり、 はこれらの線型結合なので
1 次の項は で消える。 なので、 は分布そのもの()の 2 倍の速さで平衡値へ近づく。
図 8.2 は、1 次元速度で、 を中心とする幅 の 2 つの Gauss 分布を重ねた初期値(温度は )の緩和である。数値解(Runge–Kutta 法)が厳密解と一致し、 が単調に減り、 から で がおよそ 分の 1 になることを確かめた(検算スクリプト、データ scripts/gen_ch08.py)。
図 8.2 空間一様 BGK 方程式の緩和。左:速度分布が双峰の初期値から Maxwell 分布へ近づく。右:(対数目盛)。単調に減少し、長時間では (破線)に従う。
例題 8.12 空気の Knudsen 数と流体近似の適用範囲 ★★
オリジナル空気を、、 気圧()、有効直径 、分子量 の剛体球気体とみなす。平均自由行程は である( は Maxwell 分布での平均相対速さが平均の速さの 倍であることに由来する)。
- 数密度 と平均自由行程 を求めよ。
- 管の径 と での Knudsen 数を求めよ。
- 同じ温度で圧力を に下げた真空容器では はいくらか。
- 目安として、 なら Navier–Stokes 方程式、 なら壁での滑りの境界条件を付けた Navier–Stokes 方程式、それより大きければ Boltzmann 方程式に基づく扱いが要るとされる。(2)(3) の状況はそれぞれどれに当たるか。
解答
(1) 。 なので
粘性率の実測値 から で逆算しても約 となり、同じ桁である(検算スクリプト)。分子の平均の速さは なので、平均自由時間は である。
(2) で 、 で 。
(3) なので 。
(4) 1 mm の管の大気圧の流れは Navier–Stokes 方程式の範囲に十分入る。1 μm の流路(微小機械の内部など)は滑りの境界条件が要る領域に入る。1 Pa の真空容器では、径が数 cm の容器でも 以上になり、流体方程式でなく Boltzmann 方程式(あるいは粒子法)で扱う必要がある。地上の日常の流れで流体近似が非常によく成り立つのは、 が 程度と極めて短いからである。
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