この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
近似の数理 第9章 §9.9 ★★★ 章全体の要点
この章の要点
- 周期 の微細構造をもつ拡散方程式は、 で有効係数 の方程式に近づく。1次元では は算術平均でなく調和平均 。
- 核心は収束の意味の区別: は強収束、流束は(1次元では強く、多次元では弱く)収束、勾配は弱くのみ収束する。弱収束する量の積の極限は極限の積でない。
- 多次元の はセル問題 (9.14) で決まり、変分特徴付けから (Voigt–Reuss)。層状媒質で両方の界が実現する。
- 正当化は Tartar の振動試験関数(発散と回転の補償)または二スケール収束で行う。修正子 を足すと勾配まで近似できる。
- Ohm・Fourier・Darcy の構成則は、周期性またはエルゴード性とスケール分離がある場合に、微視的方程式の極限として導ける(B 型)。
- 乱流の Reynolds 平均は BBGKY・モーメント階層と同じ構造で閉じず、スケール分離も局所平衡もないため、渦粘性・– は C 型の閉じ方である。K41 は次元解析と仮定から、4/5 則は仮定の下で NS から厳密に出る。
- 非線型・長時間の Galerkin 打ち切り(Lorenz 方程式)は、線型問題の Céa の補題のような誤差評価をもたず、Grönwall の でしか抑えられない。
- DFT は Hohenberg–Kohn・Levy–Lieb・Kohn–Sham までは厳密で、近似は に集約される。LDA・GGA・混成は C 型だが、極限での一致と厳密条件で制約される。
この章の前半では、均質化を B 型の近似として正当化した。小さいパラメータ と、周期性(あるいはエルゴード性)という構造が、セル問題を通じて有効係数を決め、Tartar の方法や二スケール収束が「どの量がどの意味で収束するか」まで含めて極限を確定した。後半で扱った乱流モデル(渦粘性・–)と DFT の交換相関汎関数(LDA・GGA・混成)は C 型であり、極限定理としての正当化はなく、厳密に解ける極限での一致・厳密条件・ベンチマークによって評価される。Lorenz 方程式は A 型の射影(Galerkin 打ち切り)の形をとるが、非線型・長時間の領域では A 型が本来もつ誤差の保証を失い、実質的に C 型と同じ立場に置かれる。Kohn–Sham の枠組みそのものと 4/5 則は、近似ではなく厳密な書き換え・厳密な帰結である。
総合問題 滑らかに振動する係数の均質化を、変分法と弱収束で読み直す ★★★
オリジナル周期 の係数 ()をもつ1次元の問題 (9.1) を、 として考える。積分 ()は既知としてよい。
- (1) 算術平均 と有効係数 を求めよ。
(使う道具:第9章 §1 の1次元均質化定理) - (2) 変分特徴付け (9.18) に、1項の試行関数 を入れて について最小化し、 の上界を求めよ。Voigt の上界と比べ、 の冪で展開した と何次まで一致するかを調べよ。
(使う道具:第9章 §2 の変分特徴付けと Voigt–Reuss の上下界、第4章の Rayleigh–Ritz 法) - (3) (2) の上界と の差は、試行関数の勾配の誤差 の「 で重みをつけた 2 乗平均」に等しいことを示せ。試行関数の誤差が なのに上界の誤差が になる理由を述べ、 で数値を確かめよ。
(使う道具:第9章 §2 の命題の証明、第4章の「エネルギーの誤差は波動関数の誤差の2乗」) - (4) のとき、勾配の誤差 が で近づく値を求めよ。
(使う道具:第9章 §1 の定理の (v)、第2章の弱収束) - (5) この問題で使った近似を第1章の3つの型に分け、どの段階でどの型の近似を使ったかを述べよ。
(使う道具:第1章の近似の3つの型、第9章 §8)
解答
(1)(第9章 §1) なので 。 と置き換えると
で、Cauchy–Schwarz による不等式と整合する。
(2)(第9章 §2、第4章) で、1次元では として
、 を使って展開すると
について最小化すると で、。よって
試行関数 が Voigt の上界であり、1項の試行関数を足すだけで上界が改良された。 なので、上界は の項まで一致し、ずれは から始まる。1次元では Reuss の下界 が そのものなので、上下界で挟むと となる。
(3)(第9章 §2 の命題の証明、第4章)命題 9.6 の証明で、試行関数を ( はセル問題の解)と書くと、中央の項がセル問題により消えて
となった。上界の誤差は、試行関数の勾配の誤差の で重みをつけた 2 乗平均そのものである。
セル問題の解は (9.7) より で、試行関数 はこの1次の項を正確にとらえている。勾配の誤差 は で、上の式によりエネルギーの誤差はその 2 乗の になる。これは第4章で見た「エネルギーの誤差は波動関数の誤差の2乗」と同じ構造で、最小化の問題では停留点のまわりで 1 次の変化が消えることから来る。
では 、上界は 、差は である。右辺を数値積分しても が得られ、 に高次の項 が足された値になっている(検算スクリプト)。
(4)(第9章 §1、第2章) とおく。(9.5) により で、 では 、 である。 は与えられた積分を で微分して求める。
で とおき、。 では
は一様収束でも、勾配は のまわりで振動し続け、その振れ幅は によらない。勾配は第2章の意味で弱収束しかしない。
(5)(第1章、第9章 §8) で微細構造を有効係数 に置き換える段階は B 型(極限)で、周期性とスケール分離 が極限を閉じさせ、その結果は (1) と (4) のように「どの量がどの意味で収束するか」まで定理として確定した。(2) で有効係数を1項の試行関数で見積もった段階は A 型(射影)で、セル問題の解の空間を の張る部分空間に射影している。A 型であるから、(3) のように誤差が試行関数の近似の良さで評価され、項を増やせば に収束する。この問題には C 型の段階が無く、どの段階の誤差も原理から評価できる。乱流モデルや交換相関汎関数との違いは、この点にある。
木下の勉強ステータス
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