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周期作用素と Floquet–Bloch 分解

2026年10月15日17分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第12章 固体編:一電子(周期作用素とバンド)
目次
  1. 並進と可換な作用素
  2. スペクトルはバンドの和集合
  3. 1次元:判別式で全部が決まる
  4. 有限の結晶と周期境界条件
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

近似の数理 第12章 §12.1 ★★★ バンドは近似でなく、周期作用素を各 k の単位胞の問題に分解した結果として厳密に定義される

固体の電子の理論は、1個の電子が周期的なポテンシャルの中を動く問題から始まる。ここで最初に置く仮定(相互作用を平均場で置き換え、原子核を止める)は第5・6・7章で扱ったので、この章ではその後に残る作用素

H=−ℏ22m∇2+V(r),V(r+R)=V(r)(R は格子ベクトル)(12.1)H=-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2+V(\bm{r}),\qquad V(\bm{r}+\bm{R})=V(\bm{r})\quad(\bm{R}\text{ は格子ベクトル})\tag{12.1}

を出発点にとる。この HH そのものは近似を含まない「与えられた問題」であり、固体物理の教科書が次に行うのは、この HH をさらに簡単な模型へ置き換えることである。原子の軌道を重ねる tight-binding、自由電子に弱い周期ポテンシャルを足すほぼ自由な電子、バンドの底を放物線で置き換える有効質量近似、バンドの分散 εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) を古典的な Hamiltonian とみなす半古典運動、局在した基底で書き直す Wannier 表示の5つである。

この章は、これらがそれぞれ第1章の分類のどれに当たり、数学がどこまで保証しているかを確かめる。結論を先に書く。第一に、バンドという概念そのものは近似ではなく、周期作用素の Floquet–Bloch 分解で厳密に定義される(12.1 節)。第二に、tight-binding は局在した軌道の張る空間への A 型(射影)の近似で、それが良い近似になる理由は「井戸が深い」という B 型(極限)の主張にある。バンド幅が井戸の間の Agmon 距離で指数的に小さくなることは定理になっている(12.2 節)。第三に、ほぼ自由な電子は弱いポテンシャルについての正則摂動で、ゾーン境界の縮退点だけ縮退摂動が要る(12.3 節)。第四に、有効質量近似は第9章の均質化そのもので、1次元の最低バンドの底では有効質量が調和平均の公式で厳密に書ける(12.4 節)。第五に、半古典運動と Peierls 置換は第7章の断熱定理を空間の向きへ移したもので、ギャップで孤立したバンドについて証明されている(12.5 節)。第六に、指数的に局在した Wannier 関数が取れるかどうかは Chern 数で決まり、トポロジーが tight-binding 表示を阻むことがある(12.6 節)。

記号について2つ断っておく。この章では第V巻のほかの章と同じく作用素に帽子を付けない。また、時間 tt と同じ式に出るので、ホッピングを章を通して tht_{\mathrm h} と書く。バンドのエネルギーを εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) と書くので、小さいパラメータには ε\varepsilon を使わず、節ごとに hh・λ\lambda・η\eta などの名前を付ける。1次元の計算では、長さを格子定数 aa で、エネルギーを ℏ2/(2ma2)\hbar^2/(2ma^2) で測り、H=−d2/dx2+V(x)H=-\mathrm{d}^2/\mathrm{d} x^2+V(x) と書くことが多い(そう書く所で断る)。

並進と可換な作用素

格子 Γ={R=∑iniai}\Gamma=\{\bm{R}=\sum_in_i\bm{a}_i\} の並進 (TRψ)(r)=ψ(r−R)(T_{\bm{R}}\psi)(\bm{r})=\psi(\bm{r}-\bm{R}) は L2(Rd)L^2(\mathbb{R}^d) のユニタリ作用素で、VV が周期的なら HH と可換である。第3章で見たように、VV が有界(あるいはもっと弱く −∇2-\nabla^2 に対して相対限界 00)なら、Kato–Rellich の定理でHH は H2(Rd)H^2(\mathbb{R}^d) を定義域とする自己共役作用素になる(近似の数理 第3章)。可換な自己共役作用素とユニタリ作用素の族は同時に「対角化」できる。並進群 Zd\mathbb{Z}^d の既約表現は R↦eik⋅R\bm{R}\mapsto\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}} で、k\bm{k} は逆格子ベクトル G\bm{G} を法として決まる(第1 Brillouin 域 BZ の点で代表させる)。Floquet–Bloch 分解は、この同時対角化を作用素の言葉で書いたものである。

定義 12.1(Floquet–Bloch 変換)

単位胞を C\mathcal C、Brillouin 域を BZ\mathrm{BZ}(体積 ∣BZ∣\lvert \mathrm{BZ}\rvert)とする。急減少な ψ\psi に対して

(Uψ)(k,r)=∑R∈Γe−ik⋅(r+R)ψ(r+R)(12.2)(\mathcal U\psi)(\bm{k},\bm{r})=\sum_{\bm{R}\in\Gamma}\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot(\bm{r}+\bm{R})}\psi(\bm{r}+\bm{R})\tag{12.2}

と定める。右辺は r\bm{r} について格子周期を持つ(r→r+R′\bm{r}\to\bm{r}+\bm{R}' は和の付け替え)ので、各 k\bm{k} で単位胞をトーラスとみなした空間L2(Td)L^2(\mathbb T^d) の元になる。

定理 12.2(Floquet–Bloch 分解 ★★★)

U\mathcal U は L2(Rd)L^2(\mathbb{R}^d) から L2(BZ,dk/∣BZ∣;L2(Td))L^2(\mathrm{BZ},\mathrm{d}\bm{k}/\lvert \mathrm{BZ}\rvert ; L^2(\mathbb T^d)) へのユニタリ作用素に延長され、

UHU−1=∫BZ⊕H(k) dk∣BZ∣,H(k)=ℏ22m(−i∇+k)2+V(トーラス Td 上)(12.3)\mathcal U H\mathcal U^{-1}=\int_{\mathrm{BZ}}^{\oplus}H(\bm{k})\,\frac{\mathrm{d}\bm{k}}{\lvert \mathrm{BZ}\rvert },\qquad H(\bm{k})=\frac{\hbar^2}{2m}\bigl(-\mathrm{i}\nabla+\bm{k}\bigr)^2+V\quad(\text{トーラス }\mathbb T^d\text{ 上})\tag{12.3}

が成り立つ。各 H(k)H(\bm{k}) はコンパクトなレゾルベントを持ち、固有値を重複込みで小さい順に ε1(k)≤ε2(k)≤⋯→∞\varepsilon _1(\bm{k})\le\varepsilon _2(\bm{k})\le\cdots\to\infty と並べると、各 εn\varepsilon _n は k\bm{k} の連続関数で εn(k+G)=εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}+\bm{G})=\varepsilon _n(\bm{k}) を満たす。

証明の骨格

ユニタリ性は Fourier 級数の Parseval の等式である。r∈C\bm{r}\in\mathcal C を固定すると、(12.2) の eik⋅r(Uψ)\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}(\mathcal U\psi) は数列 {ψ(r+R)}R\{\psi(\bm{r}+\bm{R})\}_{\bm{R}} の Fourier 級数(変数 k\bm{k})なので∫BZ∣(Uψ)(k,r)∣2dk/∣BZ∣=∑R∣ψ(r+R)∣2\int_{\mathrm{BZ}}\lvert (\mathcal U\psi)(\bm{k},\bm{r})\rvert ^2\mathrm{d}\bm{k}/\lvert \mathrm{BZ}\rvert =\sum_{\bm{R}}\lvert \psi(\bm{r}+\bm{R})\rvert ^2 であり、これを C\mathcal C で積分すると ∥ψ∥2\lVert \psi\rVert ^2 になる。逆変換は ψ(r)=∫BZeik⋅r(Uψ)(k,r) dk/∣BZ∣\psi(\bm{r})=\int_{\mathrm{BZ}}\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}(\mathcal U\psi)(\bm{k},\bm{r})\,\mathrm{d}\bm{k}/\lvert \mathrm{BZ}\rvert である。微分は ∇(eik⋅ru)=eik⋅r(∇+ik)u\nabla(\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}u)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}(\nabla+\mathrm{i}\bm{k})u と変わり、周期的な VV は掛け算のまま残るので (12.3) を得る。トーラスはコンパクトなので、Rellich の定理により H2(Td)H^2(\mathbb T^d) の単位球は L2(Td)L^2(\mathbb T^d) で相対コンパクトであり、レゾルベントはコンパクトになる(第3章のコンパクト作用素)。連続性は H(k)−H(k′)=ℏ22m[2(k−k′)⋅(−i∇+k′)+∣k−k′∣2]H(\bm{k})-H(\bm{k}')=\frac{\hbar^2}{2m}\bigl[2(\bm{k}-\bm{k}')\cdot(-\mathrm{i}\nabla+\bm{k}')+\lvert \bm{k}-\bm{k}'\rvert ^2\bigr] がH(k′)H(\bm{k}') に対して相対的に小さいことと min-max 原理から従う。

H(k)H(\bm{k}) の固有関数 unku_{n\bm{k}} に eik⋅r\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}} を掛けたものが Bloch 関数 ψnk=eik⋅runk\psi_{n\bm{k}}=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}u_{n\bm{k}} であり、Bloch の定理は定理 12.2 の言い換えになっている。ただし ψnk\psi_{n\bm{k}} は L2(Rd)L^2(\mathbb{R}^d) に入らない(2乗積分が発散する)。固有値問題 Hψ=EψH\psi=E\psi の L2L^2 の解ではないものがスペクトルを作る点が、原子の離散準位との違いである。

スペクトルはバンドの和集合

定理 12.3(スペクトルの帯構造 ★★★)

σ(H)=⋃n≥1εn(BZ)\sigma (H)=\bigcup_{n\ge1}\varepsilon _n(\mathrm{BZ}) が成り立つ。各 εn(BZ)\varepsilon _n(\mathrm{BZ}) は閉区間(nn 番目のバンド)である。

証明

⊇\supseteq:E=εn(k0)E=\varepsilon _n(\bm{k}_0) とし、滑らかな切り落とし χ\chi(∣r∣≤1\lvert \bm{r}\rvert \le1 で 11、∣r∣≥2\lvert \bm{r}\rvert \ge2 で 00)を用いてϕL(r)=χ(r/L)ψnk0(r)\phi_L(\bm{r})=\chi(\bm{r}/L)\psi_{n\bm{k}_0}(\bm{r}) とおく。(H−E)ϕL(H-E)\phi_L は χ\chi が変わる殻(体積 ∼Ld\sim L^d)にだけ値を持ち、大きさは O(1/L)\mathcal{O}(1/L) である。一方 ∥ϕL∥2∼Ld\lVert \phi_L\rVert ^2\sim L^d なので ∥(H−E)ϕL∥/∥ϕL∥=O(1/L)→0\lVert (H-E)\phi_L\rVert /\lVert \phi_L\rVert =\mathcal{O}(1/L)\to0。これは第3章の Weyl の判定法の列であり、E∈σ(H)E\in\sigma (H) を示す。⊆\subseteq:EE がどのバンドにも入らないとする。k↦dist⁡(E,σ(H(k)))\bm{k}\mapsto\operatorname{dist}(E,\sigma (H(\bm{k}))) は連続で、コンパクトな BZ 上で正なので最小値 δ>0\delta>0 を持つ。すると (H−E)−1=U−1∫⊕(H(k)−E)−1U(H-E)^{-1}=\mathcal U^{-1}\int^{\oplus}(H(\bm{k})-E)^{-1}\mathcal U は作用素ノルム 1/δ1/\delta 以下の有界作用素として存在し、E∉σ(H)E\notin\sigma (H) である。各 εn(BZ)\varepsilon _n(\mathrm{BZ}) が閉区間であることは、連続関数による連結コンパクト集合の像だからである。

さらに強く、周期 Schrödinger 作用素のスペクトルは絶対連続で、L2L^2 の固有関数を1つも持たない。これは各 εn\varepsilon _n がどの開集合上でも定数にならないことと同値で、3次元の場合を Thomas が示した(L. E. Thomas (1973), Commun. Math. Phys. 33, 335)。tight-binding の模型には完全に平らなバンド(Lieb 格子など)を持つものがあるが、−∇2+V-\nabla^2+V の形の作用素では平らなバンドは起こらない。平らなバンドは「軌道の張る部分空間へ射影した」模型の性質であり、元の作用素の性質ではない。この区別は 12.2 節の A 型の見方でもう一度現れる。

1次元:判別式で全部が決まる

1次元では、バンドの構造を1つの関数で書ける。H=−d2/dx2+V(x)H=-\mathrm{d}^2/\mathrm{d} x^2+V(x)、V(x+1)=V(x)V(x+1)=V(x)(格子定数を 11 とする単位)について、−y′′+Vy=Ey-y''+Vy=Ey の解で y(0)=1,y′(0)=0y(0)=1,y'(0)=0 のものを c(x,E)c(x,E)、y(0)=0,y′(0)=1y(0)=0,y'(0)=1 のものを s(x,E)s(x,E) とする。1周期で解を送る行列(monodromy 行列)

M(E)=(c(1,E)s(1,E)c′(1,E)s′(1,E)),det⁡M=1M(E)=\begin{pmatrix}c(1,E)&s(1,E)\\c'(1,E)&s'(1,E)\end{pmatrix},\qquad \det M=1

の行列式が 11 なのは Wronskian が保存するからである。固有値 λ,1/λ\lambda,1/\lambda は λ+1/λ=Δ(E)≔Tr⁡M(E)\lambda+1/\lambda=\Delta(E)\coloneqq\operatorname{Tr} M(E) を満たす。λ=eik\lambda=\mathrm{e}^{\mathrm{i} k} の解が Bloch 解なので

2cos⁡k=Δ(E),σ(H)={E∈R: ∣Δ(E)∣≤2}(12.4)2\cos k=\Delta(E),\qquad \sigma (H)=\{E\in\mathbb{R}:\ \lvert \Delta(E)\rvert \le2\}\tag{12.4}

を得る。∣Δ∣>2\lvert \Delta\rvert >2 では ∣λ∣≠1\lvert \lambda\rvert \ne1 の指数的に増える解と減る解しかなく、そこがギャップである。Δ\Delta はバンドの中で単調に変わり、バンドどうしは重ならず、εn(k)\varepsilon _n(k) は 0≤k≤π0\le k\le\pi で単調になる(Hill 方程式の古典的な理論。Reed–Simon 第IV巻 §XIII.16)。ギャップが閉じるのは Δ=±2\Delta=\pm2 に接する点だけで、すべてのギャップが閉じるのはVV が定数のときに限る(Borg の定理。G. Borg (1946), Acta Math. 78, 1)。周期ポテンシャルが少しでもあれば、1次元ではどこかに必ずギャップが開く。

δ\delta 関数の列(Kronig–Penney 模型)

V(x)=g∑n∈Zδ(x−n)V(x)=g\sum_{n\in\mathbb{Z}}\delta(x-n)(g>0g>0)とおくと、E=q2>0E=q^2>0 について

12Δ(E)=cos⁡q+g2qsin⁡q(12.5)\tfrac12\Delta(E)=\cos q+\frac{g}{2q}\sin q\tag{12.5}

になる(導出は章末の総合問題 (1)。名前は R. de L. Kronig と W. G. Penney(1931)の箱型の周期ポテンシャルの模型から取った)。図 12.1 は g=5g=5 のバンドで、自由電子の放物線をゾーンに折り返したものから、ゾーンの端と中心でギャップが開いている。q=πq=\pi(E=π2E=\pi^2)では sin⁡q=0\sin q=0 で 12Δ=−1\frac12\Delta=-1 になり、第1バンドの上端は gg によらず π2\pi^2 に留まる。この状態は δ\delta 関数の位置に節を持つので、ポテンシャルを感じない。

図

図 12.1 δ\delta 関数の列 g=5g=5 のバンド(点線=判別式 (12.5) による厳密なバンド)と、ゾーンへ折り返した自由電子の放物線(灰色の実線)。k=±πk=\pm\pi のギャップは (π2, 17.75)(\pi^2,\,17.75) である。検算は 検算スクリプト

有限の結晶と周期境界条件

物理では、NN 個の単位胞からなる箱に周期境界条件を課して状態を数える。この操作は、上の分解では k\bm{k} を格子 {k=∑j(μj/Nj)bj}\{\bm{k}=\sum_j(\mu_j/N_j)\bm{b}_j\} の上に制限することにそのまま当たり、箱の上の作用素 HNH_N の固有値は厳密に {εn(k):k はこの有限格子}\{\varepsilon _n(\bm{k}):\bm{k}\text{ はこの有限格子}\} になる。したがって単位胞あたりの状態数 1N#{ε≤E}\frac1N\#\{\varepsilon \le E\} は Riemann 和で、N→∞N\to\infty で

N(E)=∑n∣{k∈BZ:εn(k)≤E}∣∣BZ∣(12.6)\mathcal N(E)=\sum_n\frac{\lvert \{\bm{k}\in\mathrm{BZ}:\varepsilon _n(\bm{k})\le E\}\rvert }{\lvert \mathrm{BZ}\rvert }\tag{12.6}

へ収束する(積分した状態密度。各 εn\varepsilon _n の等エネルギー面が測度 00 であることを使う。これは絶対連続性から従う)。では本物の結晶の端(たとえば Dirichlet 条件)で数えたら違うのか。1次元では違わないことが min-max 原理だけで分かる。長さ NN の区間で、Dirichlet 条件の二次形式の定義域 H01H^1_0 は周期条件の定義域 {u∈H1:u(0)=u(N)}\{u\in H^1:u(0)=u(N)\} の中で余次元 11 の部分空間(さらに u(0)=0u(0)=0 を課す)なので、第3章の min-max 原理から固有値は λjper≤λjD≤λj+1per\lambda^{\mathrm{per}}_j\le\lambda^{\mathrm D}_j\le\lambda^{\mathrm{per}}_{j+1} と交互に並ぶ。数え上げは高々 11 しか違わず、NN で割れば同じ極限になる。dd 次元では端の寄与は表面の大きさ(N(d−1)/dN^{(d-1)/d} の程度)で、体積で割ると消える(Dirichlet と Neumann の挟み込みによる。前提の正確な形は Reed–Simon 第IV巻 第XIII章)。周期境界条件は、バルクの量(状態密度・単位体積あたりのエネルギー)に関しては極限で厳密である。端に局在する状態(表面準位・端の状態)はこの極限では消えるので、周期境界条件はそれを見る道具ではない。

例題 12.1 δ\delta 関数の列の最低エネルギー ★★

オリジナルV(x)=g∑nδ(x−n)V(x)=g\sum_n\delta(x-n)(g>0g>0)の第1バンドの下端 E0E_0 は k=0k=0 の Bloch 解(周期解)のエネルギーである。

  1. 周期解を 0<x<10<x<1 で u0(x)=cos⁡(q0(x−12))u_0(x)=\cos(q_0(x-\tfrac12))(E0=q02E_0=q_0^2)と置けることを説明し、x=0x=0 での微分の跳び u0′(0+)−u0′(0−)=g u0(0)u_0'(0^+)-u_0'(0^-)=g\,u_0(0) から2q0tan⁡(q0/2)=g2q_0\tan(q_0/2)=g を導け。
  2. 同じ式が判別式 (12.5) の 12Δ(E0)=1\frac12\Delta(E_0)=1 と同値であることを確かめよ。
  3. g=5g=5 のとき E0E_0 を数値で求め、平均ポテンシャル ∫01V dx=g\int_0^1V\,\mathrm{d} x=g と比べよ。
解答

(1) k=0k=0 の Bloch 解は周期 11 の関数で、VV は x↦−xx\mapsto-x と x↦1−xx\mapsto1-x について対称なので、最低の解は区間の中点について偶である。区間の中では −u′′=q02u-u''=q_0^2u なので u0=cos⁡(q0(x−12))u_0=\cos(q_0(x-\frac12)) と置ける。周期性から u0′(0−)=u0′(1−)=−q0sin⁡(q0/2)u_0'(0^-)=u_0'(1^-)=-q_0\sin(q_0/2)、u0′(0+)=q0sin⁡(q0/2)u_0'(0^+)=q_0\sin(q_0/2) なので、跳びの条件は 2q0sin⁡(q0/2)=gcos⁡(q0/2)2q_0\sin(q_0/2)=g\cos(q_0/2)、すなわち 2q0tan⁡(q0/2)=g2q_0\tan(q_0/2)=g である。

(2) 12Δ=1\frac12\Delta=1 は 1−cos⁡q=g2qsin⁡q1-\cos q=\frac{g}{2q}\sin q で、1−cos⁡q=2sin⁡2(q/2)1-\cos q=2\sin^2(q/2)、sin⁡q=2sin⁡(q/2)cos⁡(q/2)\sin q=2\sin(q/2)\cos(q/2) を代入するとtan⁡(q/2)=g/(2q)\tan(q/2)=g/(2q) になり、(1) と同じである。

(3) 2q0tan⁡(q0/2)=52q_0\tan(q_0/2)=5 を数値で解くと q0=1.8615q_0=1.8615、E0=3.465E_0=3.465 である(検算スクリプト)。平均ポテンシャル g=5g=5 より低い。gg が小さければ1次の摂動で E0≈gE_0\approx g だが、gg を大きくすると波動関数が δ\delta 関数の所で小さくなり、ポテンシャルを平均より安く済ませる。g→∞g\to\infty では E0→π2E_0\to\pi^2(両端で 00 になる箱の基底状態)に近づく。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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