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ほぼ自由な電子は弱い周期ポテンシャルの摂動

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第12章 固体編:一電子(周期作用素とバンド)
目次
  1. 各 では正則摂動
  2. 縮退点:2×2 の問題
  3. 次元による違い:ギャップは閉じうる
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

近似の数理 第12章 §12.3 ★★ 反対の極限。各 k の問題では正則摂動だが、ゾーン境界の縮退点だけは縮退摂動が要り、そこでギャップ 2∣VG∣2\lvert V_{\bm{G}}\rvert が開く

各 k\bm{k} では正則摂動

tight-binding と逆の端では、ポテンシャルが弱い。V→λVV\to\lambda V とし、λ→0\lambda\to0 を考える。VV を Fourier 級数 V(r)=∑GVGeiG⋅rV(\bm{r})=\sum_{\bm{G}}V_{\bm{G}}\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{G}\cdot\bm{r}} に展開すると、ファイバー H(k)H(\bm{k}) は平面波 eiG⋅r\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{G}\cdot\bm{r}} の基底で

[H(k)]GG′=ℏ22m∣k+G∣2δGG′+λVG−G′(12.9)\bigl[H(\bm{k})\bigr]_{\bm{G}\bm{G}'}=\frac{\hbar^2}{2m}\lvert \bm{k}+\bm{G}\rvert ^2\delta_{\bm{G}\bm{G}'}+\lambda V_{\bm{G}-\bm{G}'}\tag{12.9}

という行列になる(固体の教科書の中心方程式)。λV\lambda V は有界な摂動で、H(k)H(\bm{k}) はコンパクトなレゾルベントを持つので、第7章で扱った正則摂動の範囲に入る。λ=0\lambda=0 の固有値 ℏ22m∣k+G∣2\frac{\hbar^2}{2m}\lvert \bm{k}+\bm{G}\rvert ^2 が単純なら、加藤の解析的摂動論によって固有値は λ\lambda の解析関数で、

ε(k)=ℏ22m∣k+G∣2+λV0+λ2∑G′≠G∣VG′−G∣2ℏ22m(∣k+G∣2−∣k+G′∣2)+O(λ3)(12.10)\varepsilon (\bm{k})=\frac{\hbar^2}{2m}\lvert \bm{k}+\bm{G}\rvert ^2+\lambda V_{\bm{0}}+\lambda^2\sum_{\bm{G}'\ne\bm{G}}\frac{\lvert V_{\bm{G}'-\bm{G}}\rvert ^2}{\frac{\hbar^2}{2m}\bigl(\lvert \bm{k}+\bm{G}\rvert ^2-\lvert \bm{k}+\bm{G}'\rvert ^2\bigr)}+\mathcal{O}(\lambda^3)\tag{12.10}

と展開できる。展開は各 k\bm{k} で収束するが、k\bm{k} について一様ではない。分母は ∣k+G∣=∣k+G′∣\lvert \bm{k}+\bm{G}\rvert =\lvert \bm{k}+\bm{G}'\rvert となる面(Bragg 面、ゾーン境界)で 00 になり、そこに近づくほど収束半径が縮む。第7章の言葉では、「各点では正則摂動だが、一様には正則でない」という状況で、非一様性はゾーン境界の近くに集まる。

縮退点:2×2 の問題

ゾーン境界の上では2つの平面波 k+G\bm{k}+\bm{G} と k+G′\bm{k}+\bm{G}' のエネルギーが等しい。この2つの張る空間へ射影すると、その空間の中の HH は

(ε0λVG−G′λVG′−Gε0)+λV0\begin{pmatrix}\varepsilon ^0&\lambda V_{\bm{G}-\bm{G}'}\\ \lambda V_{\bm{G}'-\bm{G}}&\varepsilon ^0\end{pmatrix}+\lambda V_{\bm{0}}

で、固有値の差は 2λ∣VG−G′∣2\lambda\lvert V_{\bm{G}-\bm{G}'}\rvert である。残りの平面波との結合によるずれは O(λ2)\mathcal{O}(\lambda^2) にとどまる(縮退摂動論)。したがって、λ\lambda が小さい極限で、Bragg 面の上のギャップは

εg=2λ∣VG−G′∣+O(λ2)(12.11)\varepsilon _{\mathrm g}=2\lambda\lvert V_{\bm{G}-\bm{G}'}\rvert +\mathcal{O}(\lambda^2)\tag{12.11}

である。この2×2 の手続きは「縮退した2つの平面波の空間への射影(A 型)」と「λ→0\lambda\to0(B 型)」の組であり、その正当化は有限次元の縮退摂動論の範囲で完結する。

次元による違い:ギャップは閉じうる

1次元では、λ\lambda が小さければ VG≠0V_G\ne0 の各 GG に対応するギャップが開き、一般にはギャップが無限個ある(すべて閉じるのは VV が定数のときだけ、というのが 12.1 節の Borg の定理である)。2次元以上では事情が違う。Bragg 面の上でギャップが開いても、別の向きの k\bm{k} でエネルギーの高いバンドが下りてきて重なるので、全体としてのスペクトルのギャップはエネルギーが高い所で閉じる。滑らかな周期ポテンシャルを持つ d≥2d\ge2 の Schrödinger 作用素では、スペクトルのギャップは有限個しかない(Bethe–Sommerfeld 予想。L. Parnovski (2008), Ann. Henri Poincaré 9, 457 が任意の格子について証明した)。金属と絶縁体の区別が「Fermi 準位がギャップの中にあるか」で決まることを考えると、高いエネルギーで必ずバンドが重なることは、多くの元素が金属になることの数学的な背景の1つである。

例題 12.3 余弦ポテンシャルの第1ギャップ ★★

オリジナルMathieu 方程式 −y′′+2qcos⁡(2x)y=Ey-y''+2q\cos(2x)y=Ey(周期 π\pi、Brillouin 域は −1<k≤1-1<k\le1)で、qq が小さいときの第1ギャップを考える。

  1. V=2qcos⁡2xV=2q\cos2x の Fourier 係数 V±2V_{\pm2} を求め、(12.11) から k=1k=1 のギャップの1次の値を求めよ。
  2. ゾーン境界 k=1k=1 のギャップの端の2つの状態は、q→0q\to0 で cos⁡x\cos x と sin⁡x\sin x になる。2次の補正がギャップの幅に寄与しないことを示せ。
  3. 数値の対角化では q=0.5q=0.5 でギャップは 0.996110.99611 である。(1)(2) と合わせて、3次の項の大きさを見積もれ。
解答

(1) 2qcos⁡2x=qe2ix+qe−2ix2q\cos2x=q\mathrm{e}^{2\mathrm{i} x}+q\mathrm{e}^{-2\mathrm{i} x} なので V±2=qV_{\pm2}=q。ゾーン境界 k=1k=1 では平面波 eix\mathrm{e}^{\mathrm{i} x} と e−ix\mathrm{e}^{-\mathrm{i} x}(G=0G=0 と G=−2G=-2)が縮退していて、ギャップは1次で 2∣V2∣=2q2\lvert V_2\rvert =2q である。

(2) cos⁡x\cos x に 2qcos⁡2x2q\cos2x を掛けると q(cos⁡3x+cos⁡x)q(\cos3x+\cos x)、sin⁡x\sin x に掛けると q(sin⁡3x−sin⁡x)q(\sin3x-\sin x) である。第2項は1次のずれ ±q\pm q を与え、第1項は cos⁡3x\cos3x または sin⁡3x\sin3x(非摂動のエネルギー 99)との結合 qq を与える。2次のずれは両者とも q2/(1−9)=−q2/8q^2/(1-9)=-q^2/8 で等しく、ギャップの幅(2つの端の差)には残らない。したがってギャップは 2q+O(q3)2q+\mathcal{O}(q^3) である。

(3) 2q=12q=1 に対して数値は 0.996110.99611 なので、3次の項は −0.0039-0.0039 で、−c q3-c\,q^3 と置けば c≈0.031c\approx0.031 である。これは Mathieu 方程式の展開 a1−b1=2q−q3/32+⋯a_1-b_1=2q-q^3/32+\cdots(1/32=0.0311/32=0.031)と合う(検算スクリプト)。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの λ∣VG∣/Ezb→0\lambda\lvert V_{\bm{G}}\rvert /E_{\mathrm{zb}}\to0(周期ポテンシャルの Fourier 係数がゾーン境界の運動エネルギーより小さい) | 証明 証明済み(各 k\bm{k} で解析的摂動。一様性はゾーン境界の近くで破れ、そこは2×2 の縮退摂動で扱う。前提は VV が有界) | 行き先 近似の数理 第7章

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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