tecktom.com

出てくるもの1:Bloch の定理とバンド

2026年10月15日17分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第4章 Bloch の定理
目次
  1. 定理の2つの形
  2. ごとの固有値問題
  3. バンドの3つの性質
  4. 平面波で解く:中心方程式
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第4章 §2.4.3 ★★★ 固有関数は eik⋅runk(r)\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}u_{n\bm{k}}(\bm{r}) の形に選べ、k\bm{k} ごとに単位胞の中の固有値問題が残る。その固有値を並べたものがバンド εn(k)\varepsilon _n(\bm{k})

定理の2つの形

前節の結果を、波動関数の言葉に直す。

定理 2.4.1(Bloch の定理 ★★★)

周期ポテンシャル V(r+R)=V(r)V(\bm{r}+\bm{R})=V(\bm{r}) の中の1電子の H^=p^2/2m+V(r^)\hat H=\hat{\bm{p}}^2/2m+V(\hat{\bm{r}}) の固有関数は、次の2つの同値な形のどちらかを満たすように選べる。

  1. (a) ある波数 k\bm{k} について、すべての格子ベクトル R\bm{R} で

ψ(r+R)=eik⋅Rψ(r).(2.4.7)\psi(\bm{r}+\bm{R})=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}}\psi(\bm{r}).\tag{2.4.7} 2. (b) 格子の周期を持つ関数 u(r+R)=u(r)u(\bm{r}+\bm{R})=u(\bm{r}) を使って

ψ(r)=eik⋅ru(r).(2.4.8)\psi(\bm{r})=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}u(\bm{r}).\tag{2.4.8}

証明

前節で、H^\hat H の固有関数を T^Rψ=e−ik⋅Rψ\hat T_{\bm{R}}\psi=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}}\psi(式 (2.4.5))を満たすように選べることを示した。定義 (2.4.1) から左辺は ψ(r−R)\psi(\bm{r}-\bm{R}) なので、ψ(r−R)=e−ik⋅Rψ(r)\psi(\bm{r}-\bm{R})=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}}\psi(\bm{r}) である。R\bm{R} を −R-\bm{R} に置き換えると (a) になる。

(a) から (b):u(r)≔e−ik⋅rψ(r)u(\bm{r})\coloneqq\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}\psi(\bm{r}) と置くと u(r+R)=e−ik⋅(r+R)eik⋅Rψ(r)=u(r)u(\bm{r}+\bm{R})=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot(\bm{r}+\bm{R})}\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}}\psi(\bm{r})=u(\bm{r}) で、uu は周期的である。(b) から (a):ψ(r+R)=eik⋅(r+R)u(r)=eik⋅Rψ(r)\psi(\bm{r}+\bm{R})=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot(\bm{r}+\bm{R})}u(\bm{r})=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}}\psi(\bm{r})。

定理の名前は F. Bloch(1929)に由来する1F. Bloch (1929), Z. Phys. 52, 555.下の脚注へ。1次元の周期係数の常微分方程式についての同じ内容は、それより前に G. Floquet(1883)が示していた2G. Floquet (1883), Ann. Sci. Éc. Norm. Supér. 12, 47.下の脚注へ。形 (a) は「単位胞を1つ進むと位相が eik⋅R\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}} だけ回る」ことを、形 (b) は「平面波を格子の周期で変調したもの」であることを述べている。∣ψ∣2=∣u∣2\lvert \psi\rvert ^2=\lvert u\rvert ^2 は格子の周期を持つので、電子の存在確率はどの単位胞でも同じである。電子は結晶全体に広がっていて、特定の原子に属していない。

固有関数が「選べる」と書いたのは、縮退があると H^\hat H の固有関数のうち並進の固有関数でないもの(異なる k\bm{k} の重ね合わせ)も存在するからである。たとえば自由電子の cos⁡(kx)\cos(kx) は H^\hat H の固有関数だが、eikx\mathrm{e}^{\mathrm{i} kx} と e−ikx\mathrm{e}^{-\mathrm{i} kx} の重ね合わせで、単独の kk を持たない。定理は「重ね合わせを解いて k\bm{k} を1つに決めた基底が必ず取れる」と言っている。

k\bm{k} ごとの固有値問題

ψ=eik⋅ru\psi=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}u を Schrödinger 方程式 H^ψ=εψ\hat H\psi=\varepsilon \psi に入れる。p^(eik⋅ru)=eik⋅r(p^+ℏk)u\hat{\bm{p}}(\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}u)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}(\hat{\bm{p}}+\hbar\bm{k})u なので、

H^ku=εu,H^k≔e−ik⋅rH^eik⋅r=(p^+ℏk)22m+V(r)(2.4.9)\hat H_{\bm{k}}u=\varepsilon u,\qquad \hat H_{\bm{k}}\coloneqq\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}\hat H\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}=\frac{(\hat{\bm{p}}+\hbar\bm{k})^2}{2m}+V(\bm{r})\tag{2.4.9}

を得る。uu は周期的なので、この方程式は単位胞1つの上で、向かい合う面で uu とその導関数が一致するという周期境界条件のもとで解けばよい。無限に広い結晶の問題が、k\bm{k} を1つ決めるごとに有限の大きさの領域の問題に分かれた。

有限の領域の上の Schrödinger 型の固有値問題は、飛び飛びの固有値しか持たない(作用素の言葉では、レゾルベントがコンパクトになる。近似の数理 第3章)。そこで各 k\bm{k} ごとに固有値を小さい順に

ε1(k)≤ε2(k)≤ε3(k)≤⋯\varepsilon _1(\bm{k})\le\varepsilon _2(\bm{k})\le\varepsilon _3(\bm{k})\le\cdots

と並べ、対応する固有関数を unku_{n\bm{k}}、ψnk=eik⋅runk\psi_{n\bm{k}}=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}u_{n\bm{k}} と書く。n=1,2,…n=1,2,\dots をバンドの添字、k\bm{k} の関数 εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) をバンド(エネルギーバンド・分散関係)と呼ぶ。H^k\hat H_{\bm{k}} は k\bm{k} について多項式なので、固有値 εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) は k\bm{k} の連続関数で、k\bm{k} を第1 Brillouin 域の中で動かすと、εn\varepsilon _n の値は1つの区間を埋める。この区間がエネルギーの「帯」であり、帯と帯の間に ε\varepsilon の値が取れない隙間(ギャップ)が残ることがある。無限に広い結晶の H^\hat H のスペクトルは、各バンドの値域の和集合になる。この主張の数学的な証明(Floquet–Bloch 分解)は近似の数理 第12章に送る3周期 Schrödinger 作用素のスペクトルがバンドの値域の和集合で、絶対連続であることの証明は M. Reed and B. Simon, Methods of Modern Mathematical Physics IV: Analysis of Operators (Academic Press, 1978), § XIII.16 と L. E. Thomas (1973), Commun. Math. Phys. 33, 335。概観は P. Kuchment (2016), Bull. Amer. Math. Soc. 53, 343。下の脚注へ。

バンドの3つの性質

命題 2.4.2(バンドの対称性 ★★★)

  1. (1) εn(k+G)=εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}+\bm{G})=\varepsilon _n(\bm{k})(G\bm{G} は逆格子ベクトル)。固有関数は ψn,k+G=ψnk\psi_{n,\bm{k}+\bm{G}}=\psi_{n\bm{k}}、un,k+G=e−iG⋅runku_{n,\bm{k}+\bm{G}}=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{G}\cdot\bm{r}}u_{n\bm{k}} と選べる。
  2. (2) VV が実数でスピンを考えない(スピン軌道相互作用が無い)とき、εn(−k)=εn(k)\varepsilon _n(-\bm{k})=\varepsilon _n(\bm{k})。
  3. (3) 周期境界条件のもとで、1本のバンドには k\bm{k} の数だけ、すなわち単位胞の数 NN 個の軌道状態がある。スピンの2つの向きを数えると 2N2N 個の電子が入る。
証明

(1) e−iG⋅r\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{G}\cdot\bm{r}} は格子の周期を持つので、u′=e−iG⋅runku'=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{G}\cdot\bm{r}}u_{n\bm{k}} も周期的で、ei(k+G)⋅ru′=ψnk\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{k}+\bm{G})\cdot\bm{r}}u'=\psi_{n\bm{k}} である。したがって ψnk\psi_{n\bm{k}} は波数 k+G\bm{k}+\bm{G} の Bloch 関数としても書け、H^k+G\hat H_{\bm{k}+\bm{G}} の固有値の集合は H^k\hat H_{\bm{k}} のものと一致する。小さい順に並べた nn 番目どうしも一致する。

(2) H^\hat H が実の微分演算子なので、H^ψ=εψ\hat H\psi=\varepsilon \psi の複素共役を取ると H^ψ∗=εψ∗\hat H\psi^*=\varepsilon \psi^* である。ψnk\psi_{n\bm{k}} が式 (2.4.7) を満たすなら ψnk∗\psi_{n\bm{k}}^* はψ∗(r+R)=e−ik⋅Rψ∗(r)\psi^*(\bm{r}+\bm{R})=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}}\psi^*(\bm{r}) を満たすので、波数 −k-\bm{k} の Bloch 関数で固有値は同じ ε\varepsilon である。複素共役は時間反転の操作に当たる。

(3) 各 k\bm{k} について nn 番目の固有関数が1つずつあり、許される k\bm{k} は式 (2.4.6) で第1 Brillouin 域の中に NN 個ある。

(3) は、第2部第7章で金属と絶縁体を分ける勘定の出発点である。単位胞あたりの電子の数が偶数なら、いくつかのバンドがちょうど埋まりきる可能性があり、奇数なら必ず途中まで埋まったバンドが残る。

平面波で解く:中心方程式

式 (2.4.9) を実際に解く方法の1つとして、周期関数 unku_{n\bm{k}} を Fourier 級数に展開する。第1部第2章の流儀でポテンシャルを V(r)=∑GVGeiG⋅rV(\bm{r})=\sum_{\bm{G}}V_{\bm{G}}\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{G}\cdot\bm{r}} と書き、ψk=∑Gck+Gei(k+G)⋅r\psi_{\bm{k}}=\sum_{\bm{G}}c_{\bm{k}+\bm{G}}\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{k}+\bm{G})\cdot\bm{r}} を Schrödinger 方程式に入れて ei(k+G)⋅r\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{k}+\bm{G})\cdot\bm{r}} の係数を比べると

(ℏ2∣k+G∣22m−ε)ck+G+∑G′VG−G′ck+G′=0(2.4.10)\Bigl(\frac{\hbar^2\lvert \bm{k}+\bm{G}\rvert ^2}{2m}-\varepsilon \Bigr)c_{\bm{k}+\bm{G}}+\sum_{\bm{G}'}V_{\bm{G}-\bm{G}'}c_{\bm{k}+\bm{G}'}=0\tag{2.4.10}

を得る(中心方程式)。ポテンシャルは波数を逆格子ベクトルの分しかずらさないので、k\bm{k} の平面波は k+G\bm{k}+\bm{G} の平面波とだけ混ざり、異なる k\bm{k}(G\bm{G} の分だけずれていないもの)とは決して混ざらない。Bloch の定理を平面波の言葉で言えば、こうなる。式 (2.4.10) は G\bm{G} で番号付けた無限次元の行列の固有値問題で、実際の計算では ∣G∣\lvert \bm{G}\rvert の小さいものから有限個で打ち切る。

1次元で V(x)=2V1cos⁡(2πx/a)V(x)=2V_1\cos(2\pi x/a) のときを具体的に計算する。V±2π/a=V1V_{\pm2\pi/a}=V_1 で、ほかの VGV_G は 00 である。エネルギーの単位を、自由電子が Brillouin 域の端 k=π/ak=\pi/a で持つエネルギー

Ezb≔ℏ22m(πa)2(2.4.11)E_{\mathrm{zb}}\coloneqq\frac{\hbar^2}{2m}\Bigl(\frac{\pi}{a}\Bigr)^2\tag{2.4.11}

に取る(記号 EzbE_{\mathrm{zb}} は記法の正本に無い。zone boundary の頭文字で、サイトのエネルギー εa\varepsilon _{\mathrm a} と区別した)。κ=ka/π\kappa=ka/\pi と書くと、平面波 ei(k+2πm/a)x\mathrm{e}^{\mathrm{i}(k+2\pi m/a)x} の運動エネルギーは (κ+2m)2Ezb(\kappa+2m)^2E_{\mathrm{zb}} で、式 (2.4.10) は対角成分 (κ+2m)2(\kappa+2m)^2、隣り合う mm どうしを V1/EzbV_1/E_{\mathrm{zb}} でつなぐ三重対角行列の固有値問題になる。∣m∣≤12\lvert m\rvert \le12 の 25 個で打ち切って V1=0.3EzbV_1=0.3E_{\mathrm{zb}} で解いた結果が図 2.4.1 である。

図

図 2.4.1 1次元の余弦ポテンシャル V(x)=2V1cos⁡(2πx/a)V(x)=2V_1\cos(2\pi x/a)、V1=0.3EzbV_1=0.3E_{\mathrm{zb}} のバンド(点線=平面波 25 個の中心方程式で解いたもの。打ち切りの誤差は 10−1210^{-12} 以下で、厳密とみなせる)。細い灰色の実線は V1→0V_1\to0 の近似(自由電子の放物線 (κ+2m)2(\kappa+2m)^2 を第1 Brillouin 域へ折り返したもの、m=0,±1m=0,\pm1)。域の端 ka=±πka=\pm\pi で第1と第2のバンドの間に幅 0.599Ezb≈2V10.599E_{\mathrm{zb}}\approx2V_1 のギャップが開く。k=0k=0 の第2と第3の間の隙間は 0.045Ezb0.045E_{\mathrm{zb}} で、V1V_1 の2次の大きさしかない

図から読み取れることを3つ挙げる。第一に、すべてのバンドが kk と −k-k で対称で(命題 2.4.2 (2))、域の両端 ka=±πka=\pm\pi で同じ値を取る((1))。第二に、ポテンシャルが弱いときのバンドは、自由電子の放物線を逆格子ベクトルの分だけずらして第1 Brillouin 域へ折り返したもの(空の格子)に近い。第三に、折り返した放物線が交わる点(域の端と中心)でだけバンドが離れてギャップが開く。ギャップの大きさが V1V_1 の何次で決まるか、なぜ交点でだけ開くかは、第2部第5章でほぼ自由な電子の摂動論として扱う。この章で押さえるのは、ギャップが開いてもバンドの数え方(kk ごとに n=1,2,…n=1,2,\dots)は変わらないことである。

図 2.4.2 は、第1のバンドの ka=0.4πka=0.4\pi の Bloch 関数を実空間で描いたものである。Re⁡ψ\operatorname{Re}\psi は平面波 cos⁡(kx)\cos(kx) に近い形で振動しながら、ポテンシャルの谷(x=a/2+jax=a/2+ja)で振幅が少し大きくなっている。∣u∣=∣ψ∣\lvert u\rvert =\lvert \psi\rvert は格子の周期 aa を持ち、どの単位胞でも同じ形である。

図

図 2.4.2 図 2.4.1 の第1のバンドの ka=0.4πka=0.4\pi の Bloch 関数(ψ(0)\psi(0) が実数になるよう位相を選び、1単位胞で規格化した係数で描いた)。青の実線が Re⁡ψ\operatorname{Re}\psi、赤の破線が ∣u∣=∣ψ∣\lvert u\rvert =\lvert \psi\rvert、灰色の細線が平面波 cos⁡kx\cos kx。∣u∣\lvert u\rvert は周期 aa を持ち、ポテンシャルの谷 x=a/2+jax=a/2+ja で大きい。Re⁡ψ\operatorname{Re}\psi は5単位胞で cos⁡(2π)\cos(2\pi) に戻る(5×0.4π=2π5\times0.4\pi=2\pi)

例題 2.4.3 Bloch 関数かどうかを見分ける ★★

オリジナル格子定数 aa の1次元の結晶について、次の関数が Bloch 関数(式 (2.4.7) をある kk で満たす関数)かどうかを判定し、そうであれば kk を第1 Brillouin 域 −π/a<k≤π/a-\pi/a<k\le\pi/a の中で答え、uu を求めよ。

  1. (1) ψ(x)=sin⁡(πx/a)\psi(x)=\sin(\pi x/a)
  2. (2) ψ(x)=cos⁡(πx/2a)\psi(x)=\cos(\pi x/2a)
  3. (3) ψ(x)=e0.3ix/a(2+cos⁡(2πx/a))\psi(x)=\mathrm{e}^{0.3\mathrm{i} x/a}\bigl(2+\cos(2\pi x/a)\bigr)
解答

(1) ψ(x+a)=sin⁡(πx/a+π)=−ψ(x)=eiπψ(x)\psi(x+a)=\sin(\pi x/a+\pi)=-\psi(x)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\pi}\psi(x) なので Bloch 関数で、ka=πka=\pi、すなわち k=π/ak=\pi/a(−π/a-\pi/a と同一視される)である。u(x)=e−iπx/asin⁡(πx/a)=12i(1−e−2iπx/a)u(x)=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\pi x/a}\sin(\pi x/a)=\frac{1}{2\mathrm{i}}\bigl(1-\mathrm{e}^{-2\mathrm{i}\pi x/a}\bigr) は確かに周期 aa を持つ。sin⁡\sin は e±iπx/a\mathrm{e}^{\pm\mathrm{i}\pi x/a} の重ね合わせだが、π/a\pi/a と −π/a-\pi/a は逆格子ベクトル 2π/a2\pi/a だけ離れていて同じ kk とみなされるので、重ね合わせでも単独の kk を持つ。Brillouin 域の端の定在波はこの形をしている。

(2) ψ(x+a)=cos⁡(πx/2a+π/2)=−sin⁡(πx/2a)\psi(x+a)=\cos(\pi x/2a+\pi/2)=-\sin(\pi x/2a) で、比 ψ(x+a)/ψ(x)=−tan⁡(πx/2a)\psi(x+a)/\psi(x)=-\tan(\pi x/2a) が xx によるので、定数 eika\mathrm{e}^{\mathrm{i} ka} にならない。Bloch 関数ではない。cos⁡(πx/2a)=12(eiπx/2a+e−iπx/2a)\cos(\pi x/2a)=\frac12(\mathrm{e}^{\mathrm{i}\pi x/2a}+\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\pi x/2a}) は k=±π/2ak=\pm\pi/2a の2つの Bloch 関数の重ね合わせで、2つの kk の差 π/a\pi/a は逆格子ベクトル 2π/a2\pi/a の整数倍でない。ただし周期 2a2a の格子に対しては ψ(x+2a)=−ψ(x)\psi(x+2a)=-\psi(x) で Bloch 関数になる。どの関数が Bloch 関数かは、どの格子の並進で見るかで変わる。

(3) ψ(x+a)=e0.3ie0.3ix/a(2+cos⁡(2πx/a+2π))=e0.3iψ(x)\psi(x+a)=\mathrm{e}^{0.3\mathrm{i}}\mathrm{e}^{0.3\mathrm{i} x/a}(2+\cos(2\pi x/a+2\pi))=\mathrm{e}^{0.3\mathrm{i}}\psi(x) なので Bloch 関数で、k=0.3/ak=0.3/a、u(x)=2+cos⁡(2πx/a)u(x)=2+\cos(2\pi x/a) である。ka=0.3ka=0.3 は π\pi より小さいので、そのまま第1 Brillouin 域に入っている。

ほかの巻では

1 F. Bloch (1929), Z. Phys. 52, 555.

2 G. Floquet (1883), Ann. Sci. Éc. Norm. Supér. 12, 47.

3 周期 Schrödinger 作用素のスペクトルがバンドの値域の和集合で、絶対連続であることの証明は M. Reed and B. Simon, Methods of Modern Mathematical Physics IV: Analysis of Operators (Academic Press, 1978), § XIII.16 と L. E. Thomas (1973), Commun. Math. Phys. 33, 335。概観は P. Kuchment (2016), Bull. Amer. Math. Soc. 53, 343。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『虎の巻』の記事一覧へ