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出てくるもの2:結晶運動量と群速度

2026年10月15日14分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第4章 Bloch の定理
目次
  1. は運動量ではない
  2. 結晶運動量の保存
  3. 群速度
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第4章 §2.4.4 ★★★ ℏk\hbar\bm{k} は運動量でないが逆格子ベクトルを法として保存し、Bloch 状態の平均の速度は ∇kεn/ℏ\nabla_{\bm{k}}\varepsilon _n/\hbar

ℏk\hbar\bm{k} は運動量ではない

自由電子の平面波 eik⋅r\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}} は運動量 p^\hat{\bm{p}} の固有関数で、固有値は ℏk\hbar\bm{k} である。Bloch 関数 eik⋅runk\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}u_{n\bm{k}} では、unku_{n\bm{k}} が定数でない限りp^\hat{\bm{p}} の固有関数にならない。Fourier 展開 ψnk=∑Gck+Gei(k+G)⋅r\psi_{n\bm{k}}=\sum_{\bm{G}}c_{\bm{k}+\bm{G}}\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{k}+\bm{G})\cdot\bm{r}} で見ると、運動量 ℏ(k+G)\hbar(\bm{k}+\bm{G}) の平面波が重み ∣ck+G∣2\lvert c_{\bm{k}+\bm{G}}\rvert ^2 で混ざっている。ℏk\hbar\bm{k} は、並進 T^R\hat T_{\bm{R}} の固有値 e−ik⋅R\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}} を番号付ける量で、逆格子ベクトルの分の不定性を持つ。これを結晶運動量と呼ぶ。

結晶運動量の保存

結晶運動量が「保存する」とはどういう意味かを、遷移の選択則として述べる。電子に、空間的に eiq⋅r\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}\cdot\bm{r}} の形で変わる摂動(光・フォノン・中性子と電子の相互作用に現れる摂動の Fourier 成分)がかかったとする。遷移の行列要素 ⟨ψn′k′∣eiq⋅r∣ψnk⟩\langle \psi_{n'\bm{k}'} | \mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}\cdot\bm{r}} | \psi_{n\bm{k}} \rangle に、ユニタリな T^R\hat T_{\bm{R}} を両側から差し込む。T^Reiq⋅rT^R−1=eiq⋅(r−R)\hat T_{\bm{R}}\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}\cdot\bm{r}}\hat T_{\bm{R}}^{-1}=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}\cdot(\bm{r}-\bm{R})}(関数を掛ける演算子をずらすと引数がずれる)と式 (2.4.5) から

⟨ψn′k′∣eiq⋅r∣ψnk⟩=⟨T^Rψn′k′∣T^Reiq⋅rT^R−1∣T^Rψnk⟩=ei(k′−k−q)⋅R⟨ψn′k′∣eiq⋅r∣ψnk⟩\langle \psi_{n'\bm{k}'} | \mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}\cdot\bm{r}} | \psi_{n\bm{k}} \rangle =\langle \hat T_{\bm{R}}\psi_{n'\bm{k}'} | \hat T_{\bm{R}}\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}\cdot\bm{r}}\hat T_{\bm{R}}^{-1} | \hat T_{\bm{R}}\psi_{n\bm{k}} \rangle =\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{k}'-\bm{k}-\bm{q})\cdot\bm{R}}\langle \psi_{n'\bm{k}'} | \mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}\cdot\bm{r}} | \psi_{n\bm{k}} \rangle

を得る。これがすべての格子ベクトル R\bm{R} で成り立つので、行列要素が 00 でないなら ei(k′−k−q)⋅R=1\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{k}'-\bm{k}-\bm{q})\cdot\bm{R}}=1、すなわち

k′=k+q+G(G は逆格子ベクトル)(2.4.12)\bm{k}'=\bm{k}+\bm{q}+\bm{G}\qquad(\bm{G}\text{ は逆格子ベクトル})\tag{2.4.12}

である。結晶運動量は摂動の波数 q\bm{q} の分だけ変わり、余りの ℏG\hbar\bm{G} は結晶全体の運動量として格子に移る。G=0\bm{G}=\bm{0} の過程を正常過程、G≠0\bm{G}\neq\bm{0} の過程を Umklapp 過程と呼ぶ。Umklapp 過程は第3部第2章の熱抵抗の主な原因になる。連続の並進対称性から運動量保存を導くのが Noether の定理(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部第10章)なら、式 (2.4.12) は離散の並進対称性に対する同じ議論の結論である。

群速度

Bloch 状態の電子の平均の速度を求める。速度の演算子は v^=p^/m\hat{\bm{v}}=\hat{\bm{p}}/m である(r^˙=[r^, H^]/(iℏ)=p^/m\dot{\hat{\bm{r}}}=\left[\hat{\bm{r}},\,\hat H\right]/(\mathrm{i}\hbar)=\hat{\bm{p}}/m)。

定理 2.4.3(群速度の定理 ★★★)

εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) が縮退していない k\bm{k} で

⟨ψnk∣p^m∣ψnk⟩=1ℏ∇kεn(k)(2.4.13)\langle \psi_{n\bm{k}} | \frac{\hat{\bm{p}}}{m} | \psi_{n\bm{k}} \rangle =\frac{1}{\hbar}\nabla_{\bm{k}}\varepsilon _n(\bm{k})\tag{2.4.13}

(ψnk\psi_{n\bm{k}} は規格化してある)。

証明

式 (2.4.9) の H^k\hat H_{\bm{k}} を k\bm{k} で微分すると ∇kH^k=ℏ(p^+ℏk)/m\nabla_{\bm{k}}\hat H_{\bm{k}}=\hbar(\hat{\bm{p}}+\hbar\bm{k})/m である。規格化した固有ベクトル unku_{n\bm{k}} について、εn=⟨unk∣H^k∣unk⟩\varepsilon _n=\langle u_{n\bm{k}} | \hat H_{\bm{k}} | u_{n\bm{k}} \rangle を k\bm{k} で微分すると、uu の微分を含む2項はεn∇k⟨unk∣unk⟩=0\varepsilon _n\nabla_{\bm{k}}\langle u_{n\bm{k}} | u_{n\bm{k}} \rangle =0 にまとまり(Hellmann–Feynman の定理)、

∇kεn=⟨unk∣∇kH^k∣unk⟩=ℏm⟨unk∣p^+ℏk∣unk⟩\nabla_{\bm{k}}\varepsilon _n=\langle u_{n\bm{k}} | \nabla_{\bm{k}}\hat H_{\bm{k}} | u_{n\bm{k}} \rangle =\frac{\hbar}{m}\langle u_{n\bm{k}} | \hat{\bm{p}}+\hbar\bm{k} | u_{n\bm{k}} \rangle

となる。(p^+ℏk)u=e−ik⋅rp^(eik⋅ru)(\hat{\bm{p}}+\hbar\bm{k})u=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}\hat{\bm{p}}(\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}u) なので、右辺の行列要素は ⟨ψnk∣p^∣ψnk⟩\langle \psi_{n\bm{k}} | \hat{\bm{p}} | \psi_{n\bm{k}} \rangle に等しい。両辺を ℏ\hbar で割ると式 (2.4.13) を得る。

自由電子なら ε=ℏ2k2/2m\varepsilon =\hbar^2k^2/2m で右辺は ℏk/m\hbar\bm{k}/m になり、平面波の速度に戻る。結晶の中では、速度は結晶運動量 ℏk\hbar\bm{k} ではなくバンドの傾きで決まる。命題 2.4.2 の (1)(2) から εn\varepsilon _n は k\bm{k} について偶関数で周期的なので、1次元では Brillouin 域の中心と端で dεn/dk=0\mathrm{d}\varepsilon _n/\mathrm{d} k=0 になり、そこでは電子は平均として止まっている。端の状態は、+π/a+\pi/a と −π/a-\pi/a の平面波が同じ重みで重なった定在波で、例題 2.4.3 (1) の sin⁡(πx/a)\sin(\pi x/a) がその例である。

式 (2.4.13) は、εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) を Hamiltonian とみなしたときの Hamilton 方程式 r˙=∂H/∂(ℏk)\dot{\bm{r}}=\partial H/\partial(\hbar\bm{k}) と同じ形をしている。外力のもとで ℏk˙=F\hbar\dot{\bm{k}}=\bm{F} が成り立つことと合わせて、バンドの中の電子の運動を古典の Hamilton 方程式で追う見方(半古典運動)は、解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部第10章で扱う。

前の第2部第3章の tight-binding の輪では、Bloch 関数は原子軌道 ϕ(r−R)\phi(\bm{r}-\bm{R}) の位相つきの和(Bloch 和)

ψk(r)=1N∑Reik⋅Rϕ(r−R)(2.4.14)\psi_{\bm{k}}(\bm{r})=\frac{1}{\sqrt N}\sum_{\bm{R}}\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}}\phi(\bm{r}-\bm{R})\tag{2.4.14}

で書けていた。これが式 (2.4.7) を満たすことは、和の変数を R→R+R′\bm{R}\to\bm{R}+\bm{R}' とずらせば分かる。平面波の展開 (2.4.10) と Bloch 和 (2.4.14) は、同じ定理の2つの基底での表し方で、ポテンシャルが弱いときは前者、原子の軌道がよく局在しているときは後者が少ない項で済む。1次元の Bloch 和では ε(k)=εa−2tcos⁡(ka)\varepsilon (k)=\varepsilon _{\mathrm a}-2t\cos(ka) なので、群速度は v=(2ta/ℏ)sin⁡(ka)v=(2ta/\hbar)\sin(ka) で、ka=π/2ka=\pi/2(帯の中央)で最大になる。

図

図 2.4.3 図 2.4.1 の第1のバンドの平均の速度 ⟨p^⟩/m\langle \hat p \rangle /m(点線=平面波の係数から ∑∣c∣2ℏ(k+G)/m\sum\lvert c\rvert ^2\hbar(k+G)/m で計算したもの)と、V1→0V_1\to0 の近似(自由電子 ℏk/m\hbar k/m、灰色の実線)。数値微分した ℏ−1dε1/dk\hbar^{-1}\mathrm{d}\varepsilon _1/\mathrm{d} k と 10−810^{-8} の精度で一致する。域の端に近づくと速度は下がり、ka=πka=\pi で 00 になる

例題 2.4.4 平面波の重みから群速度を出す ★★

オリジナル図 2.4.1 の模型(V1=0.3EzbV_1=0.3E_{\mathrm{zb}})の第1のバンドの ka=π/2ka=\pi/2 の状態を、平面波 25 個で計算すると、固有値は ε1=0.1913Ezb\varepsilon _1=0.1913E_{\mathrm{zb}} で、係数の重みは ∣ck∣2=0.9767\lvert c_{k}\rvert ^2=0.9767、∣ck−2π/a∣2=0.0209\lvert c_{k-2\pi/a}\rvert ^2=0.0209、∣ck+2π/a∣2=0.0024\lvert c_{k+2\pi/a}\rvert ^2=0.0024(残りは合わせて 2×10−52\times10^{-5} 以下)だった。

  1. (1) 平均の速度 ⟨p^⟩/m\langle \hat p \rangle /m を ℏπ/(ma)\hbar\pi/(ma) を単位として求めよ。
  2. (2) 自由電子の速度 ℏk/m\hbar k/m と比べ、遅くなる理由を重みから説明せよ。
  3. (3) 定理 2.4.3 と矛盾しないことを、図 2.4.1 の傾きで確かめる方法を述べよ。
解答

(1) 平面波 ei(k+G)x\mathrm{e}^{\mathrm{i}(k+G)x} は運動量 ℏ(k+G)\hbar(k+G) を持つので、⟨p^⟩=∑G∣ck+G∣2ℏ(k+G)\langle \hat p \rangle =\sum_G\lvert c_{k+G}\rvert ^2\hbar(k+G) である。κ=ka/π=0.5\kappa=ka/\pi=0.5 として ℏ(k+2πm/a)=(ℏπ/a)(κ+2m)\hbar(k+2\pi m/a)=(\hbar\pi/a)(\kappa+2m) だから

⟨p^⟩m=ℏπma(0.9767×0.5+0.0209×(−1.5)+0.0024×2.5)=0.463 ℏπma\frac{\langle \hat p \rangle }{m}=\frac{\hbar\pi}{ma}\bigl(0.9767\times0.5+0.0209\times(-1.5)+0.0024\times2.5\bigr)=0.463\,\frac{\hbar\pi}{ma}

となる(重みを丸めない計算では 0.462970.46297)。

(2) 自由電子なら ℏk/m=0.5 ℏπ/(ma)\hbar k/m=0.5\,\hbar\pi/(ma) である。結晶の中では、逆向き(k−2π/ak-2\pi/a、運動量 −1.5-1.5)の平面波が 2% 混ざるので、平均の速度が下がる。k−2π/ak-2\pi/a の平面波が k+2π/ak+2\pi/a より多く混ざるのは、その運動エネルギー (κ−2)2=2.25(\kappa-2)^2=2.25 が (κ+2)2=6.25(\kappa+2)^2=6.25 より κ2=0.25\kappa^2=0.25 に近く、摂動で混ざりやすいからである。域の端 ka=πka=\pi に近づくと kk と k−2π/ak-2\pi/a の運動エネルギーが等しくなって2つが同じ重みで混ざり、速度は 00 に向かう(図 2.4.3)。

(3) 定理は ⟨p^⟩/m=ℏ−1dε1/dk\langle \hat p \rangle /m=\hbar^{-1}\mathrm{d}\varepsilon _1/\mathrm{d} k を言う。単位をそろえると ℏ−1dε/dk=ℏπ2mad(ε/Ezb)/dκ\hbar^{-1}\mathrm{d}\varepsilon /\mathrm{d} k=\frac{\hbar\pi}{2ma}\mathrm{d}(\varepsilon /E_{\mathrm{zb}})/\mathrm{d}\kappa なので、図 2.4.1 の第1のバンドの κ=0.5\kappa=0.5 での傾き d(ε/Ezb)/dκ\mathrm{d}(\varepsilon /E_{\mathrm{zb}})/\mathrm{d}\kappa が 2×0.463=0.9262\times0.463=0.926 になっていればよい。κ=0.45\kappa=0.45 と 0.550.55 の値 0.14710.1471 と 0.23960.2396 から中心差分で (0.2396−0.1471)/0.1=0.925(0.2396-0.1471)/0.1=0.925 となり、一致する。

例題 2.4.5 光の波数はなぜ「縦の遷移」になるか ★

オリジナルエネルギー 2.0 eV2.0\,\mathrm{eV} の光が格子定数 a=0.5 nma=0.5\,\mathrm{nm} の結晶に吸収され、電子が下のバンドから上のバンドへ移る。光の波数 qq と、Brillouin 域の端までの波数 π/a\pi/a の比を求め、式 (2.4.12) から遷移の前後で k\bm{k} がほとんど変わらないことを示せ。

解答

光の波長は λ=hc/E=1239.84 eV nm/2.0 eV=620 nm\lambda=hc/E=1239.84\,\mathrm{eV\,nm}/2.0\,\mathrm{eV}=620\,\mathrm{nm}、波数は q=2π/λ=1.01×107 m−1q=2\pi/\lambda=1.01\times10^{7}\,\mathrm{m^{-1}} である。一方 π/a=6.28×109 m−1\pi/a=6.28\times10^{9}\,\mathrm{m^{-1}} なので、比は q/(π/a)=1.61×10−3q/(\pi/a)=1.61\times10^{-3} である。式 (2.4.12) で G=0\bm{G}=\bm{0} とすると k′=k+q\bm{k}'=\bm{k}+\bm{q} で、k\bm{k} の変化は Brillouin 域の大きさの 0.2%0.2\% にとどまる。バンド図の上では遷移はほぼ真上(縦)に向かい、これを縦の遷移(直接遷移)と呼ぶ。光の波長が格子定数より3桁長いことが、この近似の根拠である。バンドの底と天井が異なる k\bm{k} にある物質(Si など)で光を吸収させるには、大きな波数を持つフォノンの吸収・放出を伴う必要がある(間接遷移。第4部第6章)。

木下の勉強ステータス

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