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当てる道具:交換する演算子の同時対角化と並進の固有値

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第4章 Bloch の定理
目次
  1. 同時対角化
  2. 固有値の形
  3. 周期境界条件と、許される
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第4章 §2.4.2 ★★★ 並進がすべて互いに交換し H^\hat H とも交換することから、固有値は e−ik⋅R\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}} の形に限られ、k\bm{k} は逆格子ベクトルを法として決まる

同時対角化

線形代数の事実を思い出す。エルミート演算子 A^\hat A とユニタリ演算子 B^\hat B が交換するなら、A^\hat A の固有空間 {ψ∣A^ψ=λψ}\{\psi\mid\hat A\psi=\lambda\psi\} は B^\hat B で自分自身に移る(A^B^ψ=B^A^ψ=λB^ψ\hat A\hat B\psi=\hat B\hat A\psi=\lambda\hat B\psi)。その固有空間の中で B^\hat B を対角化すれば、A^\hat A と B^\hat B の両方の固有ベクトルになる基底を取ることができる。交換する演算子がいくつあっても、互いに交換していれば同じ議論を繰り返すことができる。

ここでは A^=H^\hat A=\hat H、B^\hat B を並進の族 {T^R}\{\hat T_{\bm{R}}\} とする。前節の (i) で並進どうしが交換し、式 (2.4.2) で H^\hat H とも交換するので、H^\hat H の固有関数は、すべての T^R\hat T_{\bm{R}} の固有関数にもなるように選べる。そこで、すべての T^R\hat T_{\bm{R}} の同時固有関数 ψ\psi についてT^Rψ=λ(R)ψ\hat T_{\bm{R}}\psi=\lambda(\bm{R})\psi と書き、固有値 λ(R)\lambda(\bm{R}) がどんな関数でありうるかを調べる。

固有値の形

性質 (i) から、同時固有関数 ψ\psi に T^RT^R′=T^R+R′\hat T_{\bm{R}}\hat T_{\bm{R}'}=\hat T_{\bm{R}+\bm{R}'} を当てると

λ(R)λ(R′)=λ(R+R′)(2.4.3)\lambda(\bm{R})\lambda(\bm{R}')=\lambda(\bm{R}+\bm{R}')\tag{2.4.3}

を得る。性質 (ii) のユニタリ性から ∣λ(R)∣=1\lvert \lambda(\bm{R})\rvert =1 である(ユニタリ演算子の固有値は単位円の上にある)。基本並進ベクトル aj\bm{a}_j に対する値を λ(aj)=e−iθj\lambda(\bm{a}_j)=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\theta_j}(θj\theta_j は実数)と書くと、式 (2.4.3) を繰り返し使って、R=∑jnjaj\bm{R}=\sum_jn_j\bm{a}_j に対してλ(R)=∏je−injθj\lambda(\bm{R})=\prod_j\mathrm{e}^{-\mathrm{i} n_j\theta_j} となる。ここで逆格子の基本ベクトル bj\bm{b}_j(ai⋅bj=2πδij\bm{a}_i\cdot\bm{b}_j=2\pi\delta_{ij}、第1部第2章)を使い

k=∑j=13θj2πbj(2.4.4)\bm{k}=\sum_{j=1}^3\frac{\theta_j}{2\pi}\bm{b}_j\tag{2.4.4}

と置くと、k⋅R=∑jnjθj\bm{k}\cdot\bm{R}=\sum_jn_j\theta_j なので

T^Rψ=e−ik⋅Rψ(すべての格子ベクトル R)(2.4.5)\hat T_{\bm{R}}\psi=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}}\psi\qquad(\text{すべての格子ベクトル }\bm{R})\tag{2.4.5}

とまとめることができる。並進の同時固有関数は、1つのベクトル k\bm{k} で番号付けられる。θj\theta_j には 2π2\pi の整数倍の不定性があり、それは k\bm{k} に逆格子ベクトル G=∑jmjbj\bm{G}=\sum_jm_j\bm{b}_j を足す不定性に当たる。実際 e−i(k+G)⋅R=e−ik⋅R\mathrm{e}^{-\mathrm{i}(\bm{k}+\bm{G})\cdot\bm{R}}=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}}(G⋅R∈2πZ\bm{G}\cdot\bm{R}\in2\pi\mathbb{Z})なので、k\bm{k} と k+G\bm{k}+\bm{G} は同じ固有値に対応する。したがって k\bm{k} は逆格子ベクトルを法として決まり、代表を第1 Brillouin 域の中に1つずつ選べば足りる。

周期境界条件と、許される k\bm{k}

ここまでの議論は、k\bm{k} が実ベクトルであることを使っていた。∣λ∣=1\lvert \lambda\rvert =1 はユニタリ性から出たが、無限に広い結晶で ψ\psi を規格化可能な関数に限らず、有界でない解(たとえば ∣ψ∣\lvert \psi\rvert が単位胞ごとに eκa\mathrm{e}^{\kappa a} 倍になる解)まで考えると、形式的には ∣λ∣≠1\lvert \lambda\rvert \neq1、すなわち複素数の k\bm{k} も方程式を満たす。こうした解は結晶の中では指数関数的に増えるので、バルクの状態になることはできない。ただし表面や不純物の近くでは、片側へ減衰する解として意味を持つ(第6節の例題でエネルギーのギャップの中に現れる)。

バルクの状態を数えるために、第1部第2章と同じく周期境界条件 T^Njaj=1\hat T_{N_j\bm{a}_j}=1(NjN_j は aj\bm{a}_j の向きの単位胞の数)を課す。式 (2.4.5) から e−iNjθj=1\mathrm{e}^{-\mathrm{i} N_j\theta_j}=1、すなわち

k=∑j=13μjNjbj,μj∈Z(2.4.6)\bm{k}=\sum_{j=1}^3\frac{\mu_j}{N_j}\bm{b}_j,\qquad\mu_j\in\mathbb{Z}\tag{2.4.6}

で、第1 Brillouin 域の中にはちょうど N=N1N2N3N=N_1N_2N_3 個(単位胞の数)の k\bm{k} がある。周期境界条件のもとでは λNj=1\lambda^{N_j}=1 なので、∣λ∣=1\lvert \lambda\rvert =1 は仮定でなく結論になる。

例題 2.4.2 サイトのエネルギーが交互に違う6個の輪 ★★

オリジナル原子 6 個の輪(間隔 aa)で、隣どうしのホッピングを t>0t>0 とし、サイトのエネルギーを偶数番目 +Δ/2+\Delta/2、奇数番目 −Δ/2-\Delta/2 と交互に変える(差が Δ\Delta。巻の中で A・B 交互のサイトのエネルギーはこの書き方に揃える)。T^∣j⟩=∣j+1⟩\hat T| j \rangle =| j+1 \rangle とする。

  1. (1) [H^, T^]≠0\left[\hat H,\,\hat T\right]\neq0 だが [H^, T^2]=0\left[\hat H,\,\hat T^2\right]=0 であることを確かめよ。
  2. (2) T^2\hat T^2 の固有値は何種類あり、それぞれ何重に縮退しているか。
  3. (3) H^\hat H の固有値を求めよ。t=1t=1、Δ=1\Delta=1(単位はそろえる)の数値も答えよ。
解答

(1) T^\hat T はサイト jj の振幅を j+1j+1 へ移すので、サイトのエネルギー ±Δ/2\pm\Delta/2 の並びを1つずらす。T^H^T^−1\hat T\hat H\hat T^{-1} ではサイトのエネルギーが ∓Δ/2\mp\Delta/2 に入れ替わるので H^\hat H と一致しない。T^2\hat T^2 では2つずれるので並びが元に戻り、ホッピングの項も変わらないので [H^, T^2]=0\left[\hat H,\,\hat T^2\right]=0 である。周期が aa から 2a2a に伸び、単位胞(原子2個)は3個になった。

(2) (T^2)3=T^6=1(\hat T^2)^3=\hat T^6=1 なので T^2\hat T^2 の固有値は e−ik⋅2a\mathrm{e}^{-\mathrm{i} k\cdot2a}、k⋅2a∈{0,2π/3,4π/3}k\cdot2a\in\{0,2\pi/3,4\pi/3\} の3種類である。状態空間は6次元なので、各固有値は2重である。1つの kk に、単位胞の中の原子の数(2個)だけの状態が属する。

(3) 固有値 e−2ika\mathrm{e}^{-2\mathrm{i} ka} の固有空間は、元の輪の T^\hat T の固有ベクトル ∣k⟩| k \rangle と ∣k+π/a⟩| k+\pi/a \rangle(T^2\hat T^2 の固有値が同じ)の張る2次元空間である。サイトのエネルギーの交互の並び (Δ/2)(−1)j=(Δ/2) eiπj(\Delta/2)(-1)^j=(\Delta/2)\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}\pi j} は ∣k⟩| k \rangle と ∣k+π/a⟩| k+\pi/a \rangle をつなぎ、行列要素は Δ/2\Delta/2 である。この2次元空間での H^\hat H は

(−2tcos⁡(ka)Δ/2Δ/22tcos⁡(ka)),ε±=±Δ2/4+4t2cos⁡2(ka)\begin{pmatrix}-2t\cos(ka)&\Delta/2\\ \Delta/2&2t\cos(ka)\end{pmatrix},\qquad \varepsilon _\pm=\pm\sqrt{\Delta^2/4+4t^2\cos^2(ka)}

になる(−2tcos⁡((k+π/a)a)=+2tcos⁡(ka)-2t\cos((k+\pi/a)a)=+2t\cos(ka))。ka∈{0,π/3,2π/3}ka\in\{0,\pi/3,2\pi/3\} で cos⁡2(ka)=1,14,14\cos^2(ka)=1,\tfrac14,\tfrac14 なので、固有値は ±Δ2/4+4t2\pm\sqrt{\Delta^2/4+4t^2} が各1個、±Δ2/4+t2\pm\sqrt{\Delta^2/4+t^2} が各2個である。数値では ±2.062\pm2.062 と ±1.118\pm1.118(2重)で、6×66\times6 の行列の数値対角化と一致する。Δ→0\Delta\to0 で ±2,±1\pm2,\pm1(2重)、すなわち元の輪の −2tcos⁡(2πν/6)-2t\cos(2\pi\nu/6) に戻る。周期を2倍にすると Brillouin 域が半分になり、外へはみ出した分が折り返されて1つの kk に2本のバンドが乗る。この折り返しは第2部第3章の総合問題(交互の輪)でも同じ形で現れる。

木下の勉強ステータス

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