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トーラスの偏極:状態の数は N=eBA/hN=eBA/h

2026年10月17日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第10部 第4章 偏極
目次
  1. 設定
  2. トーラスの上の切断
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第10部 第4章 §10.4.5 ★★ 整数条件を満たす面積 AA のトーラスを偏極すると、実偏極でも正則偏極でも状態の数が N=∫ω/(2πℏ)N=\int\omega/(2\pi\hbar) になる。一様磁場の案内中心では Landau 準位の縮退 eBA/heBA/h

設定

第10部第3章の総合問題では、一様磁場 BB の中の電荷 +e+e の粒子の案内中心が平面 (x,y)(x,y) に住む相空間で、ωB=−eB dx∧dy\omega_B=-eB\,\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y であること、平面を周期的に閉じた面積 AA のトーラスでは整数条件から eBA/h∈ZeBA/h\in\mathbb{Z} となることを示し、偏極した空間の次元が N=eBA/hN=eBA/h になることをこの章へ送った(第10部第3章)。符号を気にせずに済むよう、向きを合わせて ω=κ dx∧dy\omega=\kappa\,\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y(κ>0\kappa>0)と書き、トーラスを x∼x+ax\sim x+a、y∼y+by\sim y+b(面積 A=abA=ab)とする。案内中心では κ=eB\kappa=eB で、xx と yy の役を入れ替えれば ωB\omega_B の向きになる。整数条件は

N=κab2πℏ∈Z>0(10.4.21)N=\frac{\kappa ab}{2\pi\hbar}\in\mathbb{Z}_{>0}\tag{10.4.21}

である。

トーラスの上の切断

θ=−κy dx\theta=-\kappa y\,\mathrm{d} x と取る(dθ=κ dx∧dy\mathrm{d}\theta=\kappa\,\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y)。θ\theta は xx について周期的だが、y→y+by\to y+b で θ→θ−κb dx=θ+dλ\theta\to\theta-\kappa b\,\mathrm{d} x=\theta+\mathrm{d}\lambda(λ=−κbx\lambda=-\kappa bx)と変わる。トーラスの上の切断は、平面の上の関数で、yy 方向に1周したときに第10部第3章のゲージ変換の規則 F→e−iλ/ℏFF\to\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\lambda/\hbar}F で貼り合うもの

F(x+a,y)=F(x,y),F(x,y+b)=eiκbx/ℏF(x,y)(10.4.22)F(x+a,y)=F(x,y),\qquad F(x,y+b)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\kappa bx/\hbar}F(x,y)\tag{10.4.22}

として表される。2つの条件が両立する(x→x+ax\to x+a で位相 eiκab/ℏ=e2πiN=1\mathrm{e}^{\mathrm{i}\kappa ab/\hbar}=\mathrm{e}^{2\pi\mathrm{i} N}=1)ことが、ちょうど整数条件 (10.4.21) である。

定理 10.4.5(トーラスの偏極した空間の次元 ★★)

整数条件 (10.4.21) のもとで、次が成り立つ。

  1. (i) yy 方向の実偏極 span⁡{∂y}\operatorname{span}\{\partial_y\} について偏極した切断は、NN 本の葉 xk=ka/Nx_k=ka/N(k=0,1,…,N−1k=0,1,\dots,N-1)の上だけに台を持ち、その空間は NN 次元である。
  2. (ii) 正の正則偏極(w=x−iyw=x-\mathrm{i} y の正則関数)について偏極した切断の空間は NN 次元である。
証明

(i) θ(∂y)=0\theta(\partial_y)=0 なので ∇∂y=∂y\nabla_{\partial_y}=\partial_y で、偏極した切断は F=ϕ(x)F=\phi(x)。条件 (10.4.22) の2つ目は ϕ(x)=eiκbx/ℏϕ(x)\phi(x)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\kappa bx/\hbar}\phi(x) となり、eiκbx/ℏ≠1\mathrm{e}^{\mathrm{i}\kappa bx/\hbar}\neq1 の xx では ϕ(x)=0\phi(x)=0。κb/ℏ=2πN/a\kappa b/\hbar=2\pi N/a なので、ϕ\phi が0でありうるのは x=ka/Nx=ka/N の上だけで、xx の周期 aa の中に NN 本ある。したがって偏極した切断は ϕ(x)=∑k=0N−1ck δ(x−xk)\phi(x)=\sum_{k=0}^{N-1}c_k\,\delta(x-x_k) の形の超関数で、NN 個の係数で決まる。葉 x=xkx=x_k は、yy 方向に1周したときのホロノミー(位相 eiκbx/ℏ\mathrm{e}^{\mathrm{i}\kappa bx/\hbar})が1になる葉、すなわち Bohr–Sommerfeld の葉である。

(ii) w=x−iyw=x-\mathrm{i} y について ∂wˉ=12(∂x−i∂y)\partial_{\bar w}=\frac12(\partial_x-\mathrm{i}\partial_y) で、i ω(∂w,∂wˉ)=κ/2>0\mathrm{i}\,\omega(\partial_w,\partial_{\bar w})=\kappa/2>0 なので正の偏極である。θ(∂wˉ)=−κy/2\theta(\partial_{\bar w})=-\kappa y/2 から、偏極の条件 ∂wˉF−iκy2ℏF=0\partial_{\bar w}F-\frac{\mathrm{i}\kappa y}{2\hbar}F=0 の解は、∂wˉ(y2)=−iy\partial_{\bar w}(y^2)=-\mathrm{i} y を使って

F=e−κy2/(2ℏ)g(w)(g は正則関数)F=\mathrm{e}^{-\kappa y^2/(2\hbar)}g(w)\qquad(g\text{ は正則関数})

である。条件 (10.4.22) の1つ目は g(w+a)=g(w)g(w+a)=g(w) で、gg は Fourier 級数 g(w)=∑n∈Zcne2πinw/ag(w)=\sum_{n\in\mathbb{Z}}c_n\mathrm{e}^{2\pi\mathrm{i} nw/a} に展開できる。2つ目は、ix+y=iw\mathrm{i} x+y=\mathrm{i} w を使うと

g(w−ib)=eiκbw/ℏ+κb2/(2ℏ)g(w)=eπNb/a e2πiNw/ag(w)g(w-\mathrm{i} b)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\kappa bw/\hbar+\kappa b^2/(2\hbar)}g(w)=\mathrm{e}^{\pi Nb/a}\,\mathrm{e}^{2\pi\mathrm{i} Nw/a}g(w)

となる。両辺の e2πimw/a\mathrm{e}^{2\pi\mathrm{i} mw/a} の係数を比べると

cm e2πmb/a=eπNb/a cm−N.(10.4.23)c_m\,\mathrm{e}^{2\pi mb/a}=\mathrm{e}^{\pi Nb/a}\,c_{m-N}.\tag{10.4.23}

これは cmc_m を cm−Nc_{m-N} から決める漸化式で、c0,c1,…,cN−1c_0,c_1,\dots,c_{N-1} を自由に選べば残りはすべて決まる。cr+kNc_{r+kN} を解くとln⁡∣cr+kN/cr∣=kπNb/a−2πba(kr+Nk(k+1)2)\ln\lvert c_{r+kN}/c_r\rvert =k\pi Nb/a-\frac{2\pi b}{a}\bigl(kr+\frac{Nk(k+1)}{2}\bigr) で、k→±∞k\to\pm\infty で −πNbk2/a-\pi Nbk^2/a のように減るので、級数はすべての ww で収束する。したがって偏極した切断の空間は NN 次元である。

偏極の向きを逆にする(x+iyx+\mathrm{i} y の正則関数を取る)と、同じ計算で因子が e+κy2/(2ℏ)\mathrm{e}^{+\kappa y^2/(2\hbar)}、係数が e+πNbk2/a\mathrm{e}^{+\pi Nbk^2/a} のように増え、0以外の解は無い。正の条件は、ここでも状態が存在するための条件になっている。(ii) の gg は Jacobi のテータ関数で、整数 NN はトーラスの上の線束の次数(ω/(2πℏ)\omega/(2\pi\hbar) の全積分)にあたる。次数 NN の正の線束の正則切断が NN 個あることは Riemann–Roch の定理の特別な場合で、上の証明はそれを Fourier 級数で直接示したものである。

2つの偏極で次元が一致するのは、状態の数が偏極の選び方によらず、相空間の面積を 2πℏ=h2\pi\hbar=h で割った数で決まることを示している。案内中心の相空間では N=eBA/hN=eBA/h で、これは1つの Landau 準位の縮退度(単位面積あたり eB/heB/h。解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部第6章)と一致する。B=1.0008 TB=1.0008\,\mathrm T、A=1 μm2A=1\,\mu\mathrm m^2 では N=242N=242 である(第10部第3章の総合問題 (4))。「相空間の体積 hfdh^{f_{\mathrm d}} あたり1つの状態」という統計力学の数え方が、ここでは偏極した空間の次元として厳密に成り立っている。

図

図 10.4.3 トーラス(x∼x+ax\sim x+a、y∼y+by\sim y+b、N=5N=5)の yy 方向の実偏極。葉は鉛直の線で、1周のホロノミー eiκbx/ℏ\mathrm{e}^{\mathrm{i}\kappa bx/\hbar} が1になる NN 本の葉 xk=ka/Nx_k=ka/N(実線)だけに偏極した切断が載る。点線の葉(例えば x=(k+12)a/Nx=(k+\frac12)a/N)ではホロノミーが −1-1 で、切断は0でなければならない。

例題 10.4.5 N=1N=1 のトーラスとテータ関数 ★★

オリジナルa=b=1a=b=1、κ=2πℏ\kappa=2\pi\hbar(N=1N=1)のトーラスで考える。

  1. (1) 実偏極の Bohr–Sommerfeld の葉は何本で、どこにあるか。
  2. (2) 正則偏極の漸化式 (10.4.23) を解き、g(w)=∑ncne2πinwg(w)=\sum_nc_n\mathrm{e}^{2\pi\mathrm{i} nw} を c0c_0 で表せ。
  3. (3) ∣F∣2=e−2πy2∣g∣2\lvert F\rvert ^2=\mathrm{e}^{-2\pi y^2}\lvert g\rvert ^2 が x→x+1x\to x+1、y→y+1y\to y+1 で不変であることを確かめよ。
解答

(1) xk=k/Nx_k=k/N で N=1N=1 なので、x=0x=0 の1本だけである。

(2) 漸化式は cme2πm=eπcm−1c_m\mathrm{e}^{2\pi m}=\mathrm{e}^{\pi}c_{m-1}。cm=c0exp⁡(πm−2π∑j=1mj)=c0eπm−πm(m+1)=c0e−πm2c_m=c_0\exp\bigl(\pi m-2\pi\sum_{j=1}^mj\bigr)=c_0\mathrm{e}^{\pi m-\pi m(m+1)}=c_0\mathrm{e}^{-\pi m^2}(負の mm にも同じ式が使える)。したがって

g(w)=c0∑n∈Ze−πn2+2πinw,g(w)=c_0\sum_{n\in\mathbb{Z}}\mathrm{e}^{-\pi n^2+2\pi\mathrm{i} nw},

これは Jacobi のテータ関数 ϑ3(πw,e−π)\vartheta_3(\pi w,\mathrm{e}^{-\pi}) である。偏極した空間は gg の定数倍だけの1次元で、トーラス全体で状態が1つである。

(3) x→x+1x\to x+1 は w→w+1w\to w+1 で gg は周期1。y→y+1y\to y+1 は条件 (10.4.22) から FF に位相 eiκx/ℏ=e2πix\mathrm{e}^{\mathrm{i}\kappa x/\hbar}=\mathrm{e}^{2\pi\mathrm{i} x} が掛かるだけで、∣F∣2\lvert F\rvert ^2 は変わらない。∣F∣2\lvert F\rvert ^2 はトーラスの上の関数として well-defined で、全面積 1 の上の確率密度として規格化できる。

木下の勉強ステータス

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