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運動方程式とエネルギーを表の式にする

2026年10月17日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第1章 観測量だけで理論を作る(Heisenberg 1925 の動機)
目次
  1. 運動方程式を表の上で要請する
  2. エネルギーの表は対角になる
  3. 対角要素の時間微分は0
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第2部 第1章 §2.1.3 ★★★ 古典の運動方程式を表の方程式として要請する。エネルギーの表は対角で、時間微分はエネルギーの表との交換子になる

運動方程式を表の上で要請する

Heisenberg が古典から持ち込んだ3つ目の要請は、運動方程式の形である。1次元でポテンシャル VV の中を動く質量 mm の粒子について、

x˙=pm,p˙=−V′(x)(2.1.13)\dot{\mathbf x}=\frac{\mathbf p}{m},\qquad \dot{\mathbf p}=-V'(\mathbf x)\tag{2.1.13}

を表の等式として要請する。V′(x)V'(\mathbf x) は、V′V' が多項式なら積の規則 (2.1.12) で計算し、一般の関数はその極限で定める。古典では x(t)x(t) の時間発展を解くことがこの方程式の意味だったが、表の時間依存は式 (2.1.8) で既に決めてある。したがって式 (2.1.13) は、振幅 xnmx_{nm} と振動数 ωnm\omega_{nm} が満たすべき代数方程式になる。

エネルギーの表は対角になる

エネルギーの表を H=p2/(2m)+V(x)\mathbf H=\mathbf p^2/(2m)+V(\mathbf x) と置く。定常状態はエネルギーが一定の状態だから、H\mathbf H は時間によらないはずである。ところが H\mathbf H も遷移の表なので、その要素は HnmeiωnmtH_{nm}\mathrm{e}^{\mathrm{i}\omega_{nm}t} と振動する。時間によらないためには、ωnm≠0\omega_{nm}\neq0 の要素がすべて0でなければならない。準位に縮退がなければ、H\mathbf H は対角になる。対角要素 HnnH_{nn} を状態 nn のエネルギー EnE_n とみなすと、振動数条件 (2.1.3) は

Hnm=Enδnm,ℏωnm=Hnn−Hmm(2.1.14)H_{nm}=E_n\delta_{nm},\qquad \hbar\omega_{nm}=H_{nn}-H_{mm}\tag{2.1.14}

と書ける。ここで「H\mathbf H が時間によらない」は要請として置いた。運動方程式 (2.1.13) から H˙=0\dot{\mathbf H}=0 を導くには、次節の交換関係が要る(Born と Jordan は交換関係を使ってエネルギーの保存を証明した)。

式 (2.1.14) を使うと、時間微分を表の積で書ける。対角な H\mathbf H との交換子の要素は(xH−Hx)nm=xnm(Em−En)=−ℏωnmxnm(\mathbf x\mathbf H-\mathbf H\mathbf x)_{nm}=x_{nm}(E_m-E_n)=-\hbar\omega_{nm}x_{nm} なので、

x˙=1iℏ(xH−Hx)(2.1.15)\dot{\mathbf x}=\frac{1}{\mathrm{i}\hbar}\bigl(\mathbf x\mathbf H-\mathbf H\mathbf x\bigr)\tag{2.1.15}

が成り立つ。どの表についても同じである。これが Heisenberg の運動方程式で、古典の x˙={x,H}\dot x=\{x,H\} と同じ形をしている。一般のハミルトニアンでのこの式と、古典の正準方程式との対応は第2部第3章で扱う。

対角要素の時間微分は0

式 (2.1.8) から、どんな表 F\mathbf F についても

(dFdt)nn=iωnnFnn=0(2.1.16)\Bigl(\frac{\mathrm{d} \mathbf F}{\mathrm{d} t}\Bigr)_{nn}=\mathrm{i}\omega_{nn}F_{nn}=0\tag{2.1.16}

である。古典では、周期運動で有界な量 FF の時間微分は、1周期で平均すると0になる(1T∫0TF˙ dt=F(T)−F(0)T=0\frac1T\int_0^T\dot F\,\mathrm{d} t=\frac{F(T)-F(0)}{T}=0)。対角要素は古典の時間平均の量子版だったので(例題 2.1.2)、式 (2.1.16) は「時間微分の時間平均は0」の量子版である。この性質から、古典の時間平均についての関係式が表の対角要素の関係式として移ってくる。その代表がビリアル定理で、次の例題で導く。

例題 2.1.3 ビリアル定理を表の対角要素で出す ★★

オリジナルF=12(xp+px)\mathbf F=\frac12(\mathbf x\mathbf p+\mathbf p\mathbf x) と置く。

  1. (1) 運動方程式 (2.1.13) を使って F˙\dot{\mathbf F} を求め、式 (2.1.16) から 2Tnn=(xV′(x))nn2T_{nn}=(\mathbf xV'(\mathbf x))_{nn}(T=p2/(2m)\mathbf T=\mathbf p^2/(2m))を導け。
  2. (2) 調和振動子 V=12mω2x2V=\frac12m\omega^2x^2 では TnnT_{nn} と VnnV_{nn} の関係はどうなるか。
  3. (3) ℏ=m=ω=1\hbar=m=\omega=1 となる単位で V=12x2+x4V=\frac12x^2+x^4 とする。基底状態のエネルギーは E0=0.80377E_0=0.80377、(x2)00=0.25715(\mathbf x^2)_{00}=0.25715 である(数値対角化の値)。T00T_{00} と (x4)00(\mathbf x^4)_{00} を求めよ。
解答

(1) Leibniz 則と式 (2.1.13) から

F˙=12(x˙p+xp˙+p˙x+px˙)=p2m−12(xV′(x)+V′(x)x).\dot{\mathbf F}=\tfrac12\bigl(\dot{\mathbf x}\mathbf p+\mathbf x\dot{\mathbf p}+\dot{\mathbf p}\mathbf x+\mathbf p\dot{\mathbf x}\bigr) =\frac{\mathbf p^2}{m}-\tfrac12\bigl(\mathbf xV'(\mathbf x)+V'(\mathbf x)\mathbf x\bigr).

V′(x)V'(\mathbf x) は x\mathbf x の多項式なので x\mathbf x と可換で、xV′(x)=V′(x)x\mathbf xV'(\mathbf x)=V'(\mathbf x)\mathbf x。対角要素をとると、式 (2.1.16) から0=2Tnn−(xV′(x))nn0=2T_{nn}-(\mathbf xV'(\mathbf x))_{nn}。古典の時間平均のビリアル定理 2T‾=xV′‾2\overline{T}=\overline{xV'} と同じ形である。

(2) xV′=mω2x2=2VxV'=m\omega^2x^2=2V なので Tnn=VnnT_{nn}=V_{nn}。エネルギー En=Tnn+VnnE_n=T_{nn}+V_{nn} は運動と位置の部分に半分ずつ分かれる。

(3) xV′=x2+4x4xV'=x^2+4x^4 だから 2T00=(x2)00+4(x4)002T_{00}=(\mathbf x^2)_{00}+4(\mathbf x^4)_{00}。一方 E0=T00+12(x2)00+(x4)00E_0=T_{00}+\frac12(\mathbf x^2)_{00}+(\mathbf x^4)_{00}。第2式を4倍して第1式を引くと 4E0−2T00=4T00+(x2)004E_0-2T_{00}=4T_{00}+(\mathbf x^2)_{00}、すなわち

T00=4E0−(x2)006=4×0.80377−0.257156=0.49298,T_{00}=\frac{4E_0-(\mathbf x^2)_{00}}{6}=\frac{4\times0.80377-0.25715}{6}=0.49298,

(x4)00=E0−T00−12(x2)00=0.80377−0.49298−0.12858=0.18221(\mathbf x^4)_{00}=E_0-T_{00}-\frac12(\mathbf x^2)_{00}=0.80377-0.49298-0.12858=0.18221。どちらも数値対角化で直接求めた値と5桁で一致する。4次の項があると T00>V00=0.31079T_{00}>V_{00}=0.31079 となり、(2) の等分は成り立たない。

木下の勉強ステータス

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