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回路の一般の処方:節点の磁束と静電容量行列

2026年10月17日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第5章 回路の量子化:LC 回路と Josephson 接合
目次
  1. 処方
  2. 順序の曖昧さが起きない理由
  3. 集中定数の近似と、その外側
  4. 外部の磁束と平行移動
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第2部 第5章 §2.5.3 ★★★ どんな集中定数の回路も「節点の磁束を座標に、静電容量行列を慣性に」選べば H^=12Q^TC−1Q^+U(Φ^)\hat H=\frac12\hat Q^{\mathsf T}\mathsf C^{-1}\hat Q+U(\hat\Phi) の形になり、順序の曖昧さなしに量子化できる

処方

LC 回路の手順は、節点がいくつあっても同じように進む。この手順は Yurke と Denker が線形と非線形の回路網の量子論として定式化し(B. Yurke and J. S. Denker (1984), Phys. Rev. A 29, 1419)、現在の超伝導回路の設計で標準になっている。

  1. (R1) 接地を1つ選び、ほかの節点 i=1,…,Ni=1,\dots,N の磁束 Φi\Phi_i を座標にする。
  2. (R2) コンデンサのエネルギーの和を 12Φ˙TC Φ˙\frac12\dot\Phi^{\mathsf T}\mathsf C\,\dot\Phi と書く。C\mathsf C は静電容量行列で、対角要素 Cii\mathsf C_{ii} は節点 ii につながる容量の和、非対角要素 Cij\mathsf C_{ij} は節点 ii, jj の間の容量の −1-1 倍である。
  3. (R3) インダクタと接合のエネルギーの和をポテンシャル U(Φ1,…,ΦN)U(\Phi_1,\dots,\Phi_N) にまとめる。閉じたループを外部の磁束 Φx\Phi_{\mathrm x} が貫くときは、ループを回る枝の磁束の和が Φx\Phi_{\mathrm x} になるという制約(Faraday の法則)を使って、枝の磁束を節点の磁束と Φx\Phi_{\mathrm x} で書く。
  4. (R4) Lagrangian L=12Φ˙TC Φ˙−U(Φ)L=\frac12\dot\Phi^{\mathsf T}\mathsf C\,\dot\Phi-U(\Phi) から運動量 Q=CΦ˙Q=\mathsf C\dot\Phi を出し、Legendre 変換で

H=12QTC−1Q+U(Φ)(2.5.13)H=\frac12Q^{\mathsf T}\mathsf C^{-1}Q+U(\Phi)\tag{2.5.13}

を得る。5. (R5) [Φ^i, Q^j]=iℏδij\left[\hat\Phi_i,\,\hat Q_j\right]=\mathrm{i}\hbar\delta_{ij} を課す。

QiQ_i は節点 ii につながるコンデンサの板の電荷の和で、Hamilton 方程式 Q˙i=−∂U/∂Φi\dot Q_i=-\partial U/\partial\Phi_i は節点 ii の Kirchhoff の電流則になる。

2つの節点を結合容量 CcC_{\mathrm c} でつなぎ、それぞれが接地へ C1C_1, C2C_2 を持つ回路では

C=(C1+Cc−Cc−CcC2+Cc),C−1=1D(C2+CcCcmathbbCcC1+Cc),D=C1C2+Cc(C1+C2)(2.5.14)\mathsf C=\begin{pmatrix}C_1+C_{\mathrm c}&-C_{\mathrm c}\\-C_{\mathrm c}&C_2+C_{\mathrm c}\end{pmatrix},\qquad \mathsf C^{-1}=\frac{1}{D}\begin{pmatrix}C_2+C_{\mathrm c}&C_{\mathrm c}\\mathbb{C}_{\mathrm c}&C_1+C_{\mathrm c}\end{pmatrix},\quad D=C_1C_2+C_{\mathrm c}(C_1+C_2)\tag{2.5.14}

で、運動エネルギーの項に Q1Q2 Cc/DQ_1Q_2\,C_{\mathrm c}/D という交差項が現れる。Cc→0C_{\mathrm c}\to0 ではこれが Q1Q2 Cc/(C1C2)Q_1Q_2\,C_{\mathrm c}/(C_1C_2) になる。この交差項が、章末の総合問題で2つの共振器の間を光子が行き来する原因になる。

順序の曖昧さが起きない理由

第2部第2章で、正準量子化には「q2p2q^2p^2 のような積をどの順に並べるか」という曖昧さがあり、位置で変わる質量 p f(q) pp\,f(q)\,p では順序の選び方の違いがポテンシャルの差として観測にかかることを見た。回路では、静電容量行列 C\mathsf C は素子の形と配置で決まる定数で、磁束に依らない。そのため (2.5.13) の運動エネルギーは電荷だけの2次式、ポテンシャルは磁束だけの関数になり、正準変数の積 ΦiQj\Phi_iQ_j が Hamiltonian に現れない。Φ^i\hat\Phi_i どうし、Q^i\hat Q_i どうしは交換するから、帽子を付けるだけで演算子が一意に決まる。

この性質は回路の作り方からの帰結であって、どんな回路でも成り立つわけではない。電圧で静電容量が変わる素子(バラクタ)を入れると C\mathsf C が Φ\Phi に依り、運動エネルギーが 12QTC(Φ)−1Q\frac12Q^{\mathsf T}\mathsf C(\Phi)^{-1}Q になって、位置で変わる質量と同じ順序の問題が戻ってくる。超伝導の量子回路が線形の容量と非線形の接合(ポテンシャルの側の非線形性)で組まれることは、量子化の手続きの上でも都合がよい。

集中定数の近似と、その外側

集中定数で書けるのは、回路の大きさが波長より十分小さいときに限る。共振器の長さが波長と同じ桁になると(伝送線路の共振器)、電圧と電流は位置の関数になり、回路は無限個の LC の連なりになる。その基準振動を1つずつ量子化するのは第6部第1章で弦を量子化したのと同じ手続きで、実際の回路の設計では、使う振動数の近くのモード1つだけを残して LC 回路として扱う。

外部の磁束と平行移動

インダクタのループを外部の磁束 Φx\Phi_{\mathrm x} が貫くと、(R3) によりインダクタの枝の磁束は Φ−Φx\Phi-\Phi_{\mathrm x} になり、ポテンシャルは (Φ−Φx)2/(2Lind)(\Phi-\Phi_{\mathrm x})^2/(2L_{\mathrm{ind}}) になる。線形の回路では、この Φx\Phi_{\mathrm x} は座標の平行移動で消える。量子論では平行移動はユニタリ演算子で書け、そのことを次の例題で確かめる。非線形の接合と同じループにあるときは平行移動で消えず、外部の磁束で準位を動かす「磁束で調整できる量子ビット」になる。

例題 2.5.3 外部の磁束は平行移動で消える ★★

オリジナルLC 回路のインダクタのループを外部の磁束 Φx\Phi_{\mathrm x} が貫き、H^x=Q^2/(2C)+(Φ^−Φx)2/(2Lind)\hat H_{\mathrm x}=\hat Q^2/(2C)+(\hat\Phi-\Phi_{\mathrm x})^2/(2L_{\mathrm{ind}}) となったとする。

  1. (1) T^(s)=e−isQ^/ℏ\hat T(s)=\mathrm{e}^{-\mathrm{i} s\hat Q/\hbar} について T^(s)Φ^T^(s)†=Φ^−s\hat T(s)\hat\Phi\hat T(s)^\dagger=\hat\Phi-s、T^(s)Q^T^(s)†=Q^\hat T(s)\hat Q\hat T(s)^\dagger=\hat Q を示せ。
  2. (2) H^x=T^(Φx)H^T^(Φx)†\hat H_{\mathrm x}=\hat T(\Phi_{\mathrm x})\hat H\hat T(\Phi_{\mathrm x})^\dagger(H^\hat H は Φx=0\Phi_{\mathrm x}=0 の Hamiltonian)を示し、H^x\hat H_{\mathrm x} のスペクトルが Φx\Phi_{\mathrm x} に依らないことを結論せよ。
  3. (3) H^x\hat H_{\mathrm x} の基底状態での ⟨Φ^⟩\langle \hat\Phi \rangle と ΔΦ\Delta\Phi を求めよ。
解答

(1) X^=−isQ^/ℏ\hat X=-\mathrm{i} s\hat Q/\hbar とすると [X^, Φ^]=(−is/ℏ)[Q^, Φ^]=(−is/ℏ)(−iℏ)=−s\left[\hat X,\,\hat\Phi\right]=(-\mathrm{i} s/\hbar)\left[\hat Q,\,\hat\Phi\right]=(-\mathrm{i} s/\hbar)(-\mathrm{i}\hbar)=-s は数なので、eX^Φ^e−X^=Φ^+[X^, Φ^]+12[X^, [X^, Φ^]]+⋯=Φ^−s\mathrm{e}^{\hat X}\hat\Phi\mathrm{e}^{-\hat X}=\hat\Phi+\left[\hat X,\,\hat\Phi\right]+\frac12\left[\hat X,\,\left[\hat X,\,\hat\Phi\right]\right]+\cdots=\hat\Phi-s(2重以上の交換子は0)。Q^\hat Q は X^\hat X と交換するので変わらない。これは第2部第2章の「運動量は並進の生成子」を、回路の電荷と磁束で書いたものである。

(2) (1) を s=Φxs=\Phi_{\mathrm x} で使うと T^Φ^T^†=Φ^−Φx\hat T\hat\Phi\hat T^\dagger=\hat\Phi-\Phi_{\mathrm x}、T^Q^T^†=Q^\hat T\hat Q\hat T^\dagger=\hat Q なので、ユニタリ変換は演算子の関数の中へそのまま入りT^H^T^†=Q^2/(2C)+(Φ^−Φx)2/(2Lind)=H^x\hat T\hat H\hat T^\dagger=\hat Q^2/(2C)+(\hat\Phi-\Phi_{\mathrm x})^2/(2L_{\mathrm{ind}})=\hat H_{\mathrm x} となる。H^∣ψ⟩=E∣ψ⟩\hat H| \psi \rangle =E| \psi \rangle なら H^x(T^∣ψ⟩)=E T^∣ψ⟩\hat H_{\mathrm x}(\hat T| \psi \rangle )=E\,\hat T| \psi \rangle だから、H^x\hat H_{\mathrm x} と H^\hat H の固有値は同じで、スペクトル ℏω(n+12)\hbar\omega(n+\frac12) は Φx\Phi_{\mathrm x} に依らない。

(3) H^x\hat H_{\mathrm x} の基底状態は T^(Φx)∣0⟩\hat T(\Phi_{\mathrm x})| 0 \rangle で、⟨Φ^⟩=⟨0∣T^†Φ^T^∣0⟩=⟨0∣Φ^+Φx∣0⟩=Φx\langle \hat\Phi \rangle =\langle 0 | \hat T^\dagger\hat\Phi\hat T | 0 \rangle =\langle 0 | \hat\Phi+\Phi_{\mathrm x} | 0 \rangle =\Phi_{\mathrm x}。ゆらぎは平行移動で変わらず ΔΦ=ℏZ/2\Delta\Phi=\sqrt{\hbar Z/2}。外部の磁束は、ゆらぎの中心を動かすだけである。

木下の勉強ステータス

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