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1つのモード:振動子の代数を「個数」で読む

2026年10月17日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第6部 第1章 1粒子の â、↠から場へ
目次
  1. 第2部第4章から借りる代数
  2. 励起を「量子の個数」と読む
  3. この代数は有限次元では表せない
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第6部 第1章 §6.1.1 ★★★ 第2部第4章の代数を、エネルギー ℏω\hbar\omega の量子が何個あるかという読み方に切り替える

第6部は、量子力学を Fock 空間と生成消滅演算子で組み立てる構成(第二量子化)を扱う。この部の型(出発点の要請 → 基本の対象 → 基準との同値 → 共通例題 → 得意な問題 → 限界)のうち、この章は最初の2つを受け持つ。出発点には、第2部第4章で交換関係 [x^, p^]=iℏ\left[\hat x,\,\hat p\right]=\mathrm{i}\hbar だけから組み立てた1つの調和振動子の代数

[a^, a^†]=1,H^=ℏω(a^†a^+12)\left[\hat a,\,\hat a^\dagger\right]=1,\qquad \hat H=\hbar\omega\Bigl(\hat a^\dagger\hat a+\frac12\Bigr)

を置く。新しい公理は1つも足さない。この代数を、互いに独立な振動子がたくさん並んだ系に1つずつ当てはめると、状態は「どのモードに何個の量子が入っているか」という数の組 {nk}\{n_k\} で指定され、その全体が Fock 空間になる。これがこの部の基本の対象である。

章の筋は次のとおりである。6.1.1 節で1つの振動子の代数を「量子の個数を数える」言葉で読み直す。6.1.2 節でばねでつながった原子の列を基準振動に分け、独立な振動子の集まりにする。6.1.3 節で間隔を 0 にして弦(場)にし、場の演算子と Fock 空間を導入する。6.1.4 節では同じ手続きを Schrödinger 方程式に従う古典の場 ψ(x,t)\psi(x,t) に当て、「第二量子化」という名前の由来になった形を出す。そこでは1粒子の量子力学(基準)が、Fock 空間の「粒子1個の部分」としてそのまま戻ってくる。6.1.5 節で共通例題①(調和振動子)と③(自由粒子の伝播)を場の言葉で解き、6.1.6 節で行列力学(第2部)から第二量子化への橋を式で並べる。NN 粒子の波動関数の対称化と Fock 空間の同値は次の第2章で、フェルミ粒子は第3章で扱う。

第2部第4章から借りる代数

質量 mm、角振動数 ω\omega の1次元の調和振動子 H^=p^2/(2m)+mω2x^2/2\hat H=\hat p^2/(2m)+m\omega^2\hat x^2/2 を考える。第2部第4章では、

a^=mω2ℏ(x^+ip^mω),a^†=mω2ℏ(x^−ip^mω)(6.1.1)\hat a=\sqrt{\frac{m\omega}{2\hbar}}\Bigl(\hat x+\frac{\mathrm{i}\hat p}{m\omega}\Bigr),\qquad \hat a^\dagger=\sqrt{\frac{m\omega}{2\hbar}}\Bigl(\hat x-\frac{\mathrm{i}\hat p}{m\omega}\Bigr)\tag{6.1.1}

とおくと、[x^, p^]=iℏ\left[\hat x,\,\hat p\right]=\mathrm{i}\hbar から [a^, a^†]=1\left[\hat a,\,\hat a^\dagger\right]=1 が従い、ハミルトニアンが

H^=ℏω(a^†a^+12)(6.1.2)\hat H=\hbar\omega\Bigl(\hat a^\dagger\hat a+\frac12\Bigr)\tag{6.1.2}

と書けることを示した。数演算子 n^=a^†a^\hat n=\hat a^\dagger\hat a の固有値は 0,1,2,…0,1,2,\dots に限られ、固有状態 ∣n⟩| n \rangle は

a^∣n⟩=n ∣n−1⟩,a^†∣n⟩=n+1 ∣n+1⟩,∣n⟩=(a^†)nn!∣0⟩(6.1.3)\hat a| n \rangle =\sqrt n\,| n-1 \rangle ,\qquad \hat a^\dagger| n \rangle =\sqrt{n+1}\,| n+1 \rangle ,\qquad | n \rangle =\frac{(\hat a^\dagger)^n}{\sqrt{n!}}| 0 \rangle\tag{6.1.3}

を満たす。エネルギーは En=ℏω(n+12)E_n=\hbar\omega(n+\frac12) である。この章ではこれらを結果として使い、導き直さない。

逆に解くと、位置と運動量は

x^=ℏ2mω (a^+a^†),p^=imℏω2 (a^†−a^)(6.1.4)\hat x=\sqrt{\frac{\hbar}{2m\omega}}\,(\hat a+\hat a^\dagger),\qquad \hat p=\mathrm{i}\sqrt{\frac{m\hbar\omega}{2}}\,(\hat a^\dagger-\hat a)\tag{6.1.4}

になる。古典力学でも、同じ組み合わせ a=mω/(2ℏ) (x+ip/(mω))a=\sqrt{m\omega/(2\hbar)}\,(x+\mathrm{i} p/(m\omega)) を複素振幅と呼ぶ。これを使うとエネルギーは H=ℏω∣a∣2H=\hbar\omega\lvert a\rvert ^2、Hamilton 方程式は a˙=−iωa\dot a=-\mathrm{i}\omega a になり、解は a(t)=a(0)e−iωta(t)=a(0)\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t} の1行で済む。Poisson 括弧は

{a,a∗}=mω2ℏ({x,−ip/(mω)}+{ip/(mω),x})=−iℏ(6.1.5)\{a,a^*\}=\frac{m\omega}{2\hbar}\Bigl(\{x,-\mathrm{i} p/(m\omega)\}+\{\mathrm{i} p/(m\omega),x\}\Bigr)=-\frac{\mathrm{i}}{\hbar}\tag{6.1.5}

で、正準量子化の規則 {⋅,⋅}→[⋅, ⋅]/(iℏ)\{\cdot,\cdot\}\to\left[\cdot,\,\cdot\right]/(\mathrm{i}\hbar) を当てると [a^, a^†]=iℏ⋅(−i/ℏ)=1\left[\hat a,\,\hat a^\dagger\right]=\mathrm{i}\hbar\cdot(-\mathrm{i}/\hbar)=1 になる(複素振幅と a^\hat a の対応は 解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部第4章にも同じ形で出ている)。式 (6.1.5) は 6.1.4 節で Schrödinger 場の各モードを振動子とみなすときにもう一度使う。

励起を「量子の個数」と読む

En−E0=nℏωE_n-E_0=n\hbar\omega なので、状態 ∣n⟩| n \rangle のエネルギーは「基底状態の上に ℏω\hbar\omega の塊が nn 個載っている」と読める。a^†\hat a^\dagger は塊を1個足し、a^\hat a は1個取り去り、n^\hat n は個数を数える。振動子が1つだけなら、この読み方は言葉の上の言い換えにすぎない。しかし振動子がたくさんあるとき、各振動子の個数 nkn_k の組で状態を指定すると、この「塊」はエネルギーと運動量を持ち、生成されたり消えたりする粒子として振る舞う(6.1.3 節)。第二量子化の考え方の中心は、この読み替えだけである。

なぜ「個数」と読めるのか

個数と読むために必要なのは、(i) スペクトルが等間隔で、(ii) 間隔 ℏω\hbar\omega が状態によらない、の2点である。非調和振動子では準位の間隔が nn とともに変わるので、「2個目の塊」と「1個目の塊」のエネルギーが違い、塊を同じ種類の粒子とみなせない。準位が等間隔になる理由は、ハミルトニアンが x^,p^\hat x,\hat p について2次であることによる。実際の結晶や液体のハミルトニアンは2次の部分(調和の部分)とそれ以外に分かれ、厳密に等間隔の準位を持つのは2次の部分だけである。物性で使う「準粒子」が近似的な概念であるのはこのためである。

この代数は有限次元では表せない

a^\hat a を有限の DD 次元の行列で表そうとすると、交換関係が必ず破れる。行列の積のトレースは順序によらない(Tr⁡(AB)=Tr⁡(BA)\operatorname{Tr}(AB)=\operatorname{Tr}(BA))ので Tr⁡[a^, a^†]=0\operatorname{Tr}\left[\hat a,\,\hat a^\dagger\right]=0 だが、右辺の単位行列のトレースは DD である。したがって[a^, a^†]=1\left[\hat a,\,\hat a^\dagger\right]=1 を満たす表現は無限次元のヒルベルト空間にしか無い。同じ議論で [x^, p^]=iℏ\left[\hat x,\,\hat p\right]=\mathrm{i}\hbar も有限次元では表せない。したがって、モードが1つでも、第二量子化で使うヒルベルト空間は無限次元である。さらにモードが無限個になると、交換関係を満たす表現が1つに定まらなくなる(6.1.6 節の終わり)。

例題 6.1.1 打ち切った行列で見る1つのモード ★★

オリジナル

  1. (1) 式 (6.1.4) と (6.1.3) を使い、⟨n∣x^∣n⟩\langle n | \hat x | n \rangle と ⟨n∣x^2∣n⟩\langle n | \hat x^2 | n \rangle を求めよ。
  2. (2) a^\hat a を ∣0⟩,…,∣D−1⟩| 0 \rangle ,\dots,| D-1 \rangle の DD 次元に打ち切った行列 AA(An−1,n=nA_{n-1,n}=\sqrt n、ほかは 0)で表す。[A, A†]\left[A,\,A^\dagger\right] を求め、そのトレースが 0 になることを確かめよ。D=3D=3 の場合を具体的に書け。
解答

(1) a^∣n⟩\hat a| n \rangle は ∣n−1⟩| n-1 \rangle に、a^†∣n⟩\hat a^\dagger| n \rangle は ∣n+1⟩| n+1 \rangle に比例するので、⟨n∣a^∣n⟩=⟨n∣a^†∣n⟩=0\langle n | \hat a | n \rangle =\langle n | \hat a^\dagger | n \rangle =0、したがって ⟨n∣x^∣n⟩=0\langle n | \hat x | n \rangle =0 である。2乗は

x^2=ℏ2mω(a^2+a^†2+a^a^†+a^†a^)\hat x^2=\frac{\hbar}{2m\omega}\bigl(\hat a^2+\hat a^{\dagger2}+\hat a\hat a^\dagger+\hat a^\dagger\hat a\bigr)

で、対角成分に残るのは後ろの2項だけである。⟨n∣a^a^†∣n⟩=n+1\langle n | \hat a\hat a^\dagger | n \rangle =n+1、⟨n∣a^†a^∣n⟩=n\langle n | \hat a^\dagger\hat a | n \rangle =n なので

⟨n∣x^2∣n⟩=ℏ2mω(2n+1)\langle n | \hat x^2 | n \rangle =\frac{\hbar}{2m\omega}(2n+1)

となる。量子の個数 nn が増えるほど振幅の揺らぎは大きくなるが、平均の位置は 0 のままである。

(2) (AA†)nn=∑l∣Anl∣2(AA^\dagger)_{nn}=\sum_l\lvert A_{nl}\rvert ^2 は n<D−1n<D-1 で n+1n+1、n=D−1n=D-1 で 00(AA の最後の行は全部 0)である。(A†A)nn=∑l∣Aln∣2=n(A^\dagger A)_{nn}=\sum_l\lvert A_{ln}\rvert ^2=n である。非対角成分はどちらも 0 なので

[A, A†]=diag⁡(1,1,…,1, −(D−1))\left[A,\,A^\dagger\right]=\operatorname{diag}\bigl(1,1,\dots,1,\,-(D-1)\bigr)

で、トレースは (D−1)−(D−1)=0(D-1)-(D-1)=0 になる。D=3D=3 なら

A=(010002000),[A, A†]=(10001000−2)A=\begin{pmatrix}0&1&0\\0&0&\sqrt2\\0&0&0\end{pmatrix},\qquad \left[A,\,A^\dagger\right]=\begin{pmatrix}1&0&0\\0&1&0\\0&0&-2\end{pmatrix}

である。交換関係は打ち切りの縁の1行だけで破れ、そこに全体のトレースを 0 にする分 −(D−1)-(D-1) が集まる。個数の小さい状態だけを扱う計算では打ち切った行列で十分だが、交換関係そのものは有限次元では成り立たない。

木下の勉強ステータス

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