量子力学の様々な構成方法 第6部 第2章 §6.2.3 ★★ ψ^(x) を N 回当てて真空との内積をとると N 粒子の波動関数が出てくる。密度と対密度は Fock 空間の期待値になる
場の演算子
1粒子の状態として位置の固有状態 ∣x⟩(波動関数 δ(⋅−x))を形式的に入れたものを、場の演算子と呼ぶ。
ψ^(x)=a^(δx)=i∑φi(x)a^i,ψ^†(x)=i∑φi∗(x)a^i†(6.2.16)
2つ目の等号は δx=∑iφi∗(x)φi(完全性)と a^(φ) の反線形性から出る。定理 6.2.2 からψ^(x)ψ^†(y)∓ψ^†(y)ψ^(x)=⟨δx∣δy⟩=δ(x−y) で、ボース粒子では第1章で Schrödinger 場を正準量子化して出した交換関係 [ψ^(x),ψ^†(y)]=δ(x−y)(第6部第1章)と同じものになる。第1章では古典の場の Poisson 括弧から、この章では対称化した波動関数の空間から、同じ関係式に着いた。
ψ^(x) を N 粒子の状態に当てると、(6.2.9) で φ=δx とおいて
(ψ^(x)Ψ)(x2,…,xN)=NΨ(x,x2,…,xN)(6.2.17)
になる。波動関数の1番目の変数に値 x を入れ、係数 N を掛けるだけの操作である。
波動関数を読み出す公式
(6.2.17) を N 回繰り返す。ψ^(x1) で1番目の変数に x1 が入り、次の ψ^(x2) は残りの N−1 変数の先頭(もとの2番目)に x2 を入れ、係数は NN−1⋯1=N! になる。最後に残るのは粒子0個の空間 C の数なので、
Ψ(x1,…,xN)=N!1⟨0∣ψ^(xN)⋯ψ^(x2)ψ^(x1)∣Ψ⟩(6.2.18)
を得る。左辺は基準の N 粒子の波動関数、右辺は Fock 空間の行列要素である。フェルミ粒子では ψ^ の順を入れ替えると符号が変わるので、この並べ方(x1 の ψ^ が一番右)を守る。順を逆にすると (±1)N(N−1)/2 が掛かる。第1章の命題(粒子1個の部分)で位置の固有状態 ∣x⟩ に ψ^†(x)∣0⟩ が対応したのは、この公式の N=1 の場合である。
密度と対密度
同種粒子で測れる量は対称な組み合わせだけだった(6.2.1 節)。その代表である密度と対密度は、(6.2.17) から直ちに Fock 空間の期待値になる。
ρ(x)ρ2(x,y)=⟨Ψ∣ψ^†(x)ψ^(x)∣Ψ⟩=∥ψ^(x)Ψ∥2=N∫dx2⋯dxN∣Ψ(x,x2,…,xN)∣2,=⟨Ψ∣ψ^†(x)ψ^†(y)ψ^(y)ψ^(x)∣Ψ⟩=N(N−1)∫dx3⋯dxN∣Ψ(x,y,x3,…,xN)∣2.(6.2.19)(6.2.20)
右辺は基準の言葉での「どれか1つの粒子が x にいる確率密度の N 倍」「ある粒子が x に、別のある粒子が y にいる確率密度」で、全体を積分すると∫ρ=N、∬ρ2=N(N−1)(順序のついた粒子の組の数)になる。ρ2 を y で積分すると (N−1)ρ(x) に戻る。
例題 6.2.3 箱の中の2粒子の対密度 ★★
オリジナル幅 L の無限に深い井戸の軌道 φn(x)=2/Lsin(nπx/L) を使う。第1章の例題と同じ状態 a^1†a^2†∣0⟩(ボース粒子)と、c^1†c^2†∣0⟩(フェルミ粒子)を考える。
- (1) 対密度 ρ2(x,y) を軌道で書け。
- (2) x=y=L/4 での値を、ボース粒子・フェルミ粒子・区別できる2粒子(φ1⊗φ2 と φ2⊗φ1 を確率 21 ずつ混ぜたもの)で比べよ。
- (3) 密度 ρ(x) は3つの場合で違うか。
解答
(1) 例題 6.2.2 の波動関数 Ψ=21[φ1(x)φ2(y)±φ2(x)φ1(y)] を (6.2.20) に入れると、N(N−1)=2 なので
ρ2(x,y)=∣φ1(x)φ2(y)±φ2(x)φ1(y)∣2=∣φ1(x)∣2∣φ2(y)∣2+∣φ2(x)∣2∣φ1(y)∣2±2φ1(x)φ2(x)φ1(y)φ2(y)
である(軌道は実数)。最後の項が交換項で、区別できる粒子には無い。
(2) φ1(L/4)=2/Lsin(π/4)=1/L、φ2(L/4)=2/L である。x=y では交換項が前の2項の和と同じ大きさになるので、ボース粒子は ∣2φ1φ2∣2=4⋅L1⋅L2=8/L2、フェルミ粒子は 0、区別できる粒子は前の2項だけで 2⋅L1⋅L2=4/L2 である。ボース粒子は同じ場所に来やすく、フェルミ粒子は同じ場所に来ない。フェルミ粒子の ρ2(x,x)=0 は x によらず成り立つ(反対称な波動関数は x=y で0)。この x=y のまわりの谷を交換の穴と呼ぶ。
(3) ρ(x)=∫ρ2(x,y)dy/(N−1) で交換項は直交性 ∫φ1φ2dy=0 によって消えるので、3つとも ρ(x)=∣φ1(x)∣2+∣φ2(x)∣2 で同じである(第1章の例題の答えと一致する)。統計の違いは1体の量には現れず、2体の相関に初めて現れる。
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