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化学ポテンシャルの決め方:保存する粒子と保存しない量子

2026年10月17日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第6部 第5章 熱平衡と占有数:Bose 分布と Fermi 分布
目次
  1. 粒子数が保存する場合
  2. 粒子数が保存しない場合: と共通例題①
  3. 2種類の振動子に注意する
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第6部 第5章 §6.5.3 ★★ μ\mu は保存する粒子数の Lagrange 乗数で、粒子数が保存しないフォノン・光子では μ=0\mu=0 になり、共通例題①の Planck 分布に戻る

粒子数が保存する場合

μ\mu は「平均の粒子数を指定する」ための Lagrange 乗数なので、閉じた系で粒子数 NN が決まっているときは

N=∑α1eβ(εα−μ)∓1(6.5.10)N=\sum_\alpha\frac{1}{\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon _\alpha-\mu)}\mp1}\tag{6.5.10}

を μ\mu について解く。右辺は μ\mu について単調に増える((6.5.6) の2つ目の式から、傾きは分散を kBTk_{\mathrm B} T で割ったもので正)ので、解はただ1つある。フェルミ粒子では T→0T\to0 で ff が階段関数になり、下から NN 個の準位が埋まる。T=0T=0 の μ\mu を Fermi エネルギー εF\varepsilon _{\mathrm F} と呼ぶ。金属の電子では低温の μ(T)\mu(T) の補正が (kBT/εF)2( k_{\mathrm B} T/\varepsilon _{\mathrm F})^2 の大きさで、その計算(Sommerfeld 展開)は ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部第1章にある。

ボース粒子では μ<εmin⁡\mu<\varepsilon _{\min} でなければ Ξ\Xi が発散するので、(6.5.10) の右辺には μ→εmin⁡\mu\to\varepsilon _{\min} のときの上限が生じる場合がある。この上限が有限になる系で起こるのが 6.5.4 節の Bose–Einstein 凝縮である。

粒子数が保存しない場合:μ=0\mu=0 と共通例題①

フォノン(第1章・第4章)や光子は、熱浴とのエネルギーのやりとりで個数そのものが増えたり減ったりする。N^\hat N は保存量でないので、Gibbs の変分原理に ⟨N^⟩\langle \hat N \rangle の制約を課す理由が無く、Lagrange 乗数 μ\mu は現れない。すなわち ρ^=e−βH^/Z\hat\rho=\mathrm{e}^{-\beta\hat H}/Z で、Fock 空間の上でも μ=0\mu=0 と置いたことになる。別の言い方をすると、個数 NN を自由に選べるなら、自由エネルギー F(N)F(N) を最小にする NN が実現し、そこでは μ=∂F/∂N=0\mu=\partial F/\partial N=0 である。

1つのモード(振動数 ω\omega)に当てると、零点エネルギー ℏω/2\hbar\omega/2 を足した H^=ℏω(n^+12)\hat H=\hbar\omega(\hat n+\frac12) について、x=βℏωx=\beta\hbar\omega として

Z=e−x/2Ξμ=0=e−x/21−e−x=12sinh⁡(βℏω/2),⟨n^⟩=1eβℏω−1(6.5.11)Z=\mathrm{e}^{-x/2}\Xi_{\mu=0}=\frac{\mathrm{e}^{-x/2}}{1-\mathrm{e}^{-x}}=\frac{1}{2\sinh(\beta\hbar\omega/2)},\qquad \langle \hat n \rangle =\frac{1}{\mathrm{e}^{\beta\hbar\omega}-1}\tag{6.5.11}

で、共通例題①の正答(第4部第4章の ZZ と ⟨n⟩\langle n \rangle)と同じ形である。第4部第4章は振動子の固有値 ℏω(n+12)\hbar\omega(n+\frac12) の和として出したが、ここでは「量子が nn 個いる」と読み、μ=0\mu=0 の Bose 分布として出した。2つの読み方は、同じ Fock 空間の同じ基底 ∣n⟩| n \rangle についての同じトレースである。verify_ch6-05.py は2つの式の一致を sympy で確かめている。

2種類の振動子に注意する

第1章で注意したとおり、調和ポテンシャル V=mω2x2/2V=m\omega^2x^2/2 の中の Schrödinger 場では2種類の振動子が現れる。1つは粒子が感じるポテンシャルで、その準位 εj=ℏω(j+12)\varepsilon _j=\hbar\omega(j+\frac12) の番号 jj がモードの名前になる。もう1つはモード jj の場の振動子で、その「量子の個数」が占有数 njn_j である。大正準の状態で、モード jj の場の振動子は振動数 (εj−μ)/ℏ(\varepsilon _j-\mu)/\hbar の振動子の熱平衡にあり、占有数は

⟨n^j⟩=1eβ(εj−μ)∓1\langle \hat n_j \rangle =\frac{1}{\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon _j-\mu)}\mp1}

である。共通例題①の答えは、粒子の振動子(ω\omega)の側では「1粒子のスペクトル εj\varepsilon _j」として、場の振動子の側では「振動数 (εj−μ)/ℏ(\varepsilon _j-\mu)/\hbar の Planck 分布」として現れる。2つを取り違えないために、この章では粒子の振動子の量子数を jj(または3次元の nn)、場の振動子の量子数を占有数 njn_j と書き分ける。

例題 6.5.3 1次元の調和トラップのフェルミ粒子の化学ポテンシャル ★★

オリジナルスピンをそろえたフェルミ粒子 NN 個が、1次元の調和ポテンシャル(準位 εj=ℏω(j+12)\varepsilon _j=\hbar\omega(j+\frac12)、j=0,1,…j=0,1,\dots)に入っている。

  1. (1) T=0T=0 での μ\mu の範囲を求めよ。
  2. (2) μ0≔Nℏω\mu_0\coloneqq N\hbar\omega と置くと、どの温度でも ⟨N^⟩(μ0)−N=∑k≥Nf(ℏω(k+12))\langle \hat N \rangle (\mu_0)-N=\sum_{k\ge N}f\bigl(\hbar\omega(k+\frac12)\bigr)(ff は μ=0\mu=0 に対する Fermi 分布の形 1/(eβε+1)1/(\mathrm{e}^{\beta\varepsilon }+1))となることを示せ。
  3. (3) N=10N=10、kBT=ℏωk_{\mathrm B} T=\hbar\omega で μ\mu を求めよ。
解答

(1) T=0T=0 では j=0,…,N−1j=0,\dots,N-1 が埋まり j=Nj=N 以上が空なので、μ\mu は εN−1=ℏω(N−12)\varepsilon _{N-1}=\hbar\omega(N-\frac12) と εN=ℏω(N+12)\varepsilon _N=\hbar\omega(N+\frac12) の間ならどこでもよい。T→0+T\to0^+ の極限は、(2) で示すとおりその中点 NℏωN\hbar\omega になる。

(2) μ0\mu_0 から測ると、j=N+kj=N+k の準位は +ℏω(k+12)+\hbar\omega(k+\frac12)、j=N−1−kj=N-1-k の準位は −ℏω(k+12)-\hbar\omega(k+\frac12) の高さにある。Fermi 分布は f(−y)=1−f(y)f(-y)=1-f(y) を満たすので、下の準位の占有数は 1−f(ℏω(k+12))1-f(\hbar\omega(k+\frac12)) と書ける(ff の引数は μ0\mu_0 から測ったエネルギー)。下の準位は k=0,…,N−1k=0,\dots,N-1 の NN 個しか無いので

⟨N^⟩(μ0)=∑k=0N−1[1−f(ℏω(k+12))]+∑k=0∞f(ℏω(k+12))=N+∑k≥Nf(ℏω(k+12)).\langle \hat N \rangle (\mu_0)=\sum_{k=0}^{N-1}\Bigl[1-f\bigl(\hbar\omega(k+\tfrac12)\bigr)\Bigr]+\sum_{k=0}^{\infty}f\bigl(\hbar\omega(k+\tfrac12)\bigr) =N+\sum_{k\ge N}f\bigl(\hbar\omega(k+\tfrac12)\bigr).

上の空き(正孔)と下の詰まり(粒子)は k<Nk<N では打ち消し合い、下に対応する準位の無い k≥Nk\ge N の分だけ粒子が多く出る。

(3) kBT=ℏωk_{\mathrm B} T=\hbar\omega では超過は ∑k≥101/(ek+1/2+1)≈e−10.5/(1−e−1)=4.36×10−5\sum_{k\ge10}1/(\mathrm{e}^{k+1/2}+1)\approx\mathrm{e}^{-10.5}/(1-\mathrm{e}^{-1})=4.36\times10^{-5} である。∂⟨N^⟩∂μ=β∑jf(1−f)\frac{\partial \langle \hat N \rangle }{\partial \mu}=\beta\sum_jf(1-f) はこの温度で 1.000/(ℏω)1.000/(\hbar\omega) なので、μ=Nℏω−4.36×10−5ℏω\mu=N\hbar\omega-4.36\times10^{-5}\hbar\omega となる。等間隔の準位では、μ\mu のずれは e−βℏωN\mathrm{e}^{-\beta\hbar\omega N} の程度で、kBT/ℏωk_{\mathrm B} T/\hbar\omega のべきの補正は現れない。準位の密度が一定なので Sommerfeld 展開の補正の係数がすべて 0 になるためで、ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部第1章の2次元の電子気体と同じ事情である。数値は方程式 (6.5.10) を数値で解いて確かめた。

木下の勉強ステータス

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