tecktom.com

共通例題を軌道で解く

2026年10月17日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第7部 第4章 Bohm の軌道:案内方程式と、構成としての同値と解釈の境目
目次
  1. ③ 自由粒子の波束:軌道は相似に広がる
  2. ① 調和振動子:止まる軌道と、揺れる軌道
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第7部 第4章 §7.4.2 ★★★ 共通例題③の波束の広がりと①の調和振動子を、1本1本の軌道で読み、正答表の答えと一致させる

③ 自由粒子の波束:軌道は相似に広がる

初めの幅 σ0\sigma_0、平均の運動量 ℏk0\hbar k_0 のガウス波束 ψ(x,0)∝exp⁡(−x2/(4σ02)+ik0x)\psi(x,0)\propto\exp(-x^2/(4\sigma_0^2)+\mathrm{i} k_0x) を自由に発展させる。時刻 tt の波動関数は

ψ(x,t)∝1α(t)exp⁡(−(x−ℏk0t/m)24σ02α(t)+ik0x−iℏk02t2m),α(t)=1+iℏt2mσ02\psi(x,t)\propto\frac{1}{\sqrt{\alpha(t)}}\exp\Bigl(-\frac{(x-\hbar k_0t/m)^2}{4\sigma_0^2\alpha(t)}+\mathrm{i} k_0x-\frac{\mathrm{i}\hbar k_0^2t}{2m}\Bigr),\qquad \alpha(t)=1+\frac{\mathrm{i}\hbar t}{2m\sigma_0^2}

で(伝播関数からの導出は 第3部第3章)、密度の幅は共通例題③の正答

σ(t)2=σ02+(ℏt2mσ0)2=σ02(1+t2t∗2),t∗=2mσ02ℏ(7.4.5)\sigma(t)^2=\sigma_0^2+\Bigl(\frac{\hbar t}{2m\sigma_0}\Bigr)^2=\sigma_0^2\Bigl(1+\frac{t^2}{t_*^2}\Bigr),\qquad t_*=\frac{2m\sigma_0^2}{\hbar}\tag{7.4.5}

に従う。∇ψ/ψ\nabla\psi/\psi の虚部を取ると速度場は

v(x,t)=ℏk0m+σ˙σ(x−ℏk0tm),σ˙σ=tt∗2+t2(7.4.6)v(x,t)=\frac{\hbar k_0}{m}+\frac{\dot\sigma}{\sigma}\Bigl(x-\frac{\hbar k_0t}{m}\Bigr),\qquad \frac{\dot\sigma}{\sigma}=\frac{t}{t_*^2+t^2}\tag{7.4.6}

である(k0=0k_0=0 の場合は第7部第1章の第5節で求めた)。重心と一緒に進み、重心からの距離に比例して外へ広がる一様な膨張である。

案内方程式 X˙=v(X,t)\dot X=v(X,t) は線形なので解ける。Y=X−ℏk0t/mY=X-\hbar k_0t/m と置くと Y˙=(σ˙/σ)Y\dot Y=(\dot\sigma/\sigma)Y、つまり dln⁡Y/dt=dln⁡σ/dt\mathrm{d}\ln Y/\mathrm{d} t=\mathrm{d}\ln\sigma/\mathrm{d} t で、

X(t)=ℏk0tm+x0 σ(t)σ0=ℏk0tm+x01+t2t∗2(7.4.7)X(t)=\frac{\hbar k_0t}{m}+x_0\,\frac{\sigma(t)}{\sigma_0}=\frac{\hbar k_0t}{m}+x_0\sqrt{1+\frac{t^2}{t_*^2}}\tag{7.4.7}

を得る。すべての軌道は、重心から見て同じ倍率 σ(t)/σ0\sigma(t)/\sigma_0 で引き伸ばされる。重心から測った「標準偏差何個分の所にいるか」(X−ℏk0t/m)/σ(t)=x0/σ0(X-\hbar k_0t/m)/\sigma(t)=x_0/\sigma_0 は軌道ごとに一定で、だから分布はずっと幅 σ(t)\sigma(t) のガウス分布である。これは等変性(定理 7.4.1)の具体例で、共通例題③の答え σ(t)2=σ02+(ℏt/2mσ0)2\sigma(t)^2=\sigma_0^2+(\hbar t/2m\sigma_0)^2 が、1本1本の軌道の広がりの積み重ねとして出てくる。

図 7.4.1 に k0=0k_0=0 の軌道を描いた。t≪t∗t\ll t_* では軌道はほとんど動かず、t≫t∗t\gg t_* では直線 X≈x0t/t∗X\approx x_0t/t_* に近づく。初めの位置 x0x_0 の粒子の終わりの速さは

v∞=lim⁡t→∞X(t)t=x0t∗=ℏx02mσ02(7.4.8)v_\infty=\lim_{t\to\infty}\frac{X(t)}{t}=\frac{x_0}{t_*}=\frac{\hbar x_0}{2m\sigma_0^2}\tag{7.4.8}

で、x0x_0 が標準偏差 σ0\sigma_0 のガウス分布に従うので、v∞v_\infty は標準偏差 ℏ/(2mσ0)\hbar/(2m\sigma_0) のガウス分布に従う。これは初めの運動量の分布の幅 Δp=ℏ/(2σ0)\Delta p=\hbar/(2\sigma_0) を mm で割ったものに等しい。ところが k0=0k_0=0 の実のガウスでは、初めの速度場は v(x,0)=0v(x,0)=0 で、どの粒子も初めは止まっている。Bohm の力学では、運動量の分布は「粒子が初めから持っている速さの分布」ではなく、飛行時間で測ったときに初めて現れる終わりの速さの分布である。止まっていた粒子を外へ押し出すのは、第7部第1章の例題(ガウス分布の量子ポテンシャル)で求めた、量子ポテンシャルの外向きの力である。

図

図 7.4.1 共通例題③:k0=0k_0=0 の自由ガウス波束の Bohm の軌道 (7.4.7)(点線。初めの位置 x0/σ0=0,±0.5,±1,±1.5,±2x_0/\sigma_0=0,\pm0.5,\pm1,\pm1.5,\pm2)。赤の実線は密度の標準偏差 ±σ(t)\pm\sigma(t) で、x0=±σ0x_0=\pm\sigma_0 の軌道と重なる。灰色の細い実線は t≫t∗t\gg t_* の漸近線 X=x0t/t∗X=x_0t/t_*(近似)。軌道は交わらず、どれも同じ倍率で広がる。

例題 7.4.2 冷たい原子の飛行時間測定 ★★

オリジナル87^{87}Rb 原子(質量 1.443×10−25 kg1.443\times10^{-25}\,\mathrm{kg})を幅 σ0=1 μm\sigma_0=1\,\mu\mathrm m のガウス波束(k0=0k_0=0、実数)に用意し、閉じ込めを切って自由に飛ばす。

  1. t∗t_* と、飛行時間 100 ms100\,\mathrm{ms} 後の雲の幅 σ\sigma を求めよ。
  2. 初めに x0=σ0x_0=\sigma_0 にいた原子の Bohm の軌道で、t=0t=0 の速さと 100 ms100\,\mathrm{ms} 後の速さを求めよ。
  3. 飛行時間の後の位置の分布から「初めの運動量の分布」を読む測定は、Bohm の力学では何を測っていることになるか。
解答

(1) t∗=2mσ02/ℏ=2×1.443×10−25×10−12/(1.055×10−34)=2.74×10−3 st_*=2m\sigma_0^2/\hbar=2\times1.443\times10^{-25}\times10^{-12}/(1.055\times10^{-34})=2.74\times10^{-3}\,\mathrm s。t=0.1 st=0.1\,\mathrm s は t∗t_* の約 36.536.5 倍なので σ=σ01+(t/t∗)2=36.6 μm\sigma=\sigma_0\sqrt{1+(t/t_*)^2}=36.6\,\mu\mathrm m である。

(2) (7.4.7) を微分して X˙=x0 (t/t∗2)/1+t2/t∗2\dot X=x_0\,(t/t_*^2)/\sqrt{1+t^2/t_*^2}。t=0t=0 では 00 で、原子は止まっている。t=0.1 st=0.1\,\mathrm s では 1+t2/t∗2≈t/t∗\sqrt{1+t^2/t_*^2}\approx t/t_* なので X˙≈x0/t∗=ℏ/(2mσ0)=3.65×10−4 m s−1\dot X\approx x_0/t_*=\hbar/(2m\sigma_0)=3.65\times10^{-4}\,\mathrm{m\,s^{-1}} である。

(3) 遠くの位置の分布は終わりの速さ v∞v_\infty の分布で、その幅 ℏ/(2mσ0)\hbar/(2m\sigma_0) は基準の運動量の分布の幅 Δp/m\Delta p/m と一致する(等変性があるので、位置の分布はどの時刻でも基準と同じ)。Bohm の力学で測っているのは、量子ポテンシャルに押し出されたあとの漸近の速さであり、初めの時刻に原子が持っていた速さ(すべて 00)ではない。予言される数は基準と同じで、数の読み方だけが違う。

① 調和振動子:止まる軌道と、揺れる軌道

固有状態 ψn(x)e−iEnt/ℏ\psi_n(x)\mathrm{e}^{-\mathrm{i} E_nt/\hbar} は位置の関数部分が実数なので、速度場は 00 で、粒子はどこにいても止まっている。第7部第1章の第5節で示したとおり、そのとき V+Q=EnV+Q=E_n は一定で、力が釣り合っている(例題 7.4.1 の水素原子と同じ)。

コヒーレント状態では様子が変わる。基底状態の幅を σg=ℏ/(2mω)\sigma_{\mathrm g}=\sqrt{\hbar/(2m\omega)} と書くと、コヒーレント状態の波動関数は古典の軌道 (Xc(t),Pc(t))(X_{\mathrm c}(t),P_{\mathrm c}(t)) を中心に持つ幅 σg\sigma_{\mathrm g} のガウス分布で、

ψ(x,t)∝exp⁡(−(x−Xc)24σg2+iPcxℏ+iθ(t)),Xc(t)=2σgRe⁡(αe−iωt),Pc=mX˙c\psi(x,t)\propto\exp\Bigl(-\frac{(x-X_{\mathrm c})^2}{4\sigma_{\mathrm g}^2}+\frac{\mathrm{i} P_{\mathrm c}x}{\hbar}+\mathrm{i}\theta(t)\Bigr),\qquad X_{\mathrm c}(t)=2\sigma_{\mathrm g}\operatorname{Re}\bigl(\alpha\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t}\bigr),\quad P_{\mathrm c}=m\dot X_{\mathrm c}

と書ける(θ(t)\theta(t) は xx によらない位相)。速度場は v=Pc(t)/mv=P_{\mathrm c}(t)/m で、xx によらない。したがって軌道は

X(t)=x0+Xc(t)−Xc(0)(7.4.9)X(t)=x_0+X_{\mathrm c}(t)-X_{\mathrm c}(0)\tag{7.4.9}

で、すべての粒子が古典の軌道と同じ振動を、初めの位置のずれを保ったまま行う。2階の形 (7.4.4) で見ると、このガウスの量子ポテンシャルはQ=ℏω/2−mω2(x−Xc)2/2Q=\hbar\omega/2-m\omega^2(x-X_{\mathrm c})^2/2 なので ∂x(V+Q)=mω2Xc\partial_x(V+Q)=m\omega^2X_{\mathrm c} が xx によらず、どの粒子にも同じ力 −mω2Xc(t)-m\omega^2X_{\mathrm c}(t) が働く。粒子自身の位置 XX でなく波束の中心 XcX_{\mathrm c} で力が決まる点に、量子ポテンシャルの役割が見える。

軌道は ρ^\hat\rho でなくアンサンブルで決まる

熱平衡の状態 ρ^=e−βH^/Z\hat\rho=\mathrm{e}^{-\beta\hat H}/Z は1つの波動関数で書けないので、Bohm の力学では「どの波動関数の混合として用意したか」を決めないと軌道が決まらない。固有状態の混合(重み (1−e−βℏω)e−nβℏω(1-\mathrm{e}^{-\beta\hbar\omega})\mathrm{e}^{-n\beta\hbar\omega})として読めば粒子は全部止まっており、コヒーレント状態の混合(P(α)=e−∣α∣2/nˉ/(πnˉ)P(\alpha)=\mathrm{e}^{-\lvert \alpha\rvert ^2/\bar n}/(\pi\bar n))として読めば全部が揺れている。どちらでも位置の分散はσg2coth⁡(βℏω/2)\sigma_{\mathrm g}^2\coth(\beta\hbar\omega/2) で同じで、共通例題①の熱平衡の位置の分布を正しく与える。同じ ρ^\hat\rho を作るアンサンブルが1つでないことは第4部第3章(第4部第3章)の主題で、そこではアンサンブルの違いは記録なしには観測できないことが示された。Bohm の力学では、その観測できない違いが軌道の違いとして現れる。章末の総合問題で詳しく扱う。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『虎の巻』の記事一覧へ