tecktom.com

出てくるもの1:実在の結晶の格子と基底

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第2章 結晶構造と逆格子
目次
  1. 立方格子の3種
  2. 面心立方の逆格子は体心立方
  3. 基底を持つ結晶
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第1部 第2章 §1.2.3 ★★ 立方格子3種・六方最密・ダイヤモンド・NaCl・CsCl を「格子+基底」で書き、面心立方の逆格子が体心立方になることを確かめる

立方格子の3種

1辺 aa の立方体の頂点に格子点を置いたものが単純立方格子(sc)、立方体の中心にも置いたものが体心立方格子(bcc)、6つの面の中心にも置いたものが面心立方格子(fcc)である。いずれも、1辺 aa の立方体(慣用単位胞)を並べて書くと対称性が見やすい。基本並進ベクトルは次のように取れる(ex,ey,ez\bm{e}_x,\bm{e}_y,\bm{e}_z は立方体の辺の向きの単位ベクトル)。

sc:a1=aex, a2=aey, a3=aez,bcc:a1=a2(−1,1,1), a2=a2(1,−1,1), a3=a2(1,1,−1),fcc:a1=a2(0,1,1), a2=a2(1,0,1), a3=a2(1,1,0).\begin{align*}\text{sc}:&\quad \bm{a}_1=a\bm{e}_x,\ \bm{a}_2=a\bm{e}_y,\ \bm{a}_3=a\bm{e}_z,\tag{1.2.11}\\\text{bcc}:&\quad \bm{a}_1=\tfrac a2(-1,1,1),\ \bm{a}_2=\tfrac a2(1,-1,1),\ \bm{a}_3=\tfrac a2(1,1,-1),\tag{1.2.12}\\\text{fcc}:&\quad \bm{a}_1=\tfrac a2(0,1,1),\ \bm{a}_2=\tfrac a2(1,0,1),\ \bm{a}_3=\tfrac a2(1,1,0).\tag{1.2.13}\end{align*}

基本単位胞の体積は式 (1.2.2) から sc で a3a^3、bcc で a3/2a^3/2、fcc で a3/4a^3/4 になる。慣用単位胞(体積 a3a^3)の中の格子点の数はそれぞれ 11、22、44 個で、体積の比と合っている。

格子点に半径の等しい球を、隣どうしが接するように置いたときの充填率(球が占める体積の割合)は、最近接距離が sc で aa、bcc で 32a\frac{\sqrt3}{2}a、fcc で a2\frac{a}{\sqrt2} であることから、それぞれ π6≈0.524\frac{\pi}{6}\approx0.524、3π8≈0.680\frac{\sqrt3\pi}{8}\approx0.680、2π6≈0.740\frac{\sqrt2\pi}{6}\approx0.740 になる。最近接の数(配位数)は 66、88、1212 である。fcc の充填率は、等しい球を3次元に詰める詰め方のうち最大の値であることが知られている(Kepler 予想。T. C. Hales(2005)、Ann. Math. 162、1065 頁で証明された)。

面心立方の逆格子は体心立方

命題 1.2.6(fcc と bcc は互いの逆格子 ★★★)

格子定数 aa の fcc の逆格子は、格子定数 4π/a4\pi/a の bcc である。逆に、格子定数 aa の bcc の逆格子は、格子定数 4π/a4\pi/a の fcc である。sc の逆格子は格子定数 2π/a2\pi/a の sc である。

証明

fcc の (1.2.13) で a1⋅(a2×a3)=a3/4\bm{a}_1\cdot(\bm{a}_2\times\bm{a}_3)=a^3/4、a2×a3=a24(−1,1,1)\bm{a}_2\times\bm{a}_3=\frac{a^2}{4}(-1,1,1) なので、式 (1.2.4) からb1=2πa(−1,1,1)\bm{b}_1=\frac{2\pi}{a}(-1,1,1)、同様に b2=2πa(1,−1,1)\bm{b}_2=\frac{2\pi}{a}(1,-1,1)、b3=2πa(1,1,−1)\bm{b}_3=\frac{2\pi}{a}(1,1,-1) を得る。これは (1.2.12) で aa を 4π/a4\pi/a に置き換えたものである。逆の主張は、逆格子の逆格子が元に戻ることから従う。sc は式 (1.2.4) にそのまま入れれば bj=2πaej\bm{b}_j=\frac{2\pi}{a}\bm{e}_j である。

この命題は、慣用単位胞の言葉に直すと見通しがよい。fcc の逆格子ベクトルは G=2πa(h,k,l)\bm{G}=\frac{2\pi}{a}(h,k,l) と書いたとき、h,k,lh,k,l がすべて偶数かすべて奇数のものに限られる。例えば 2πa(1,0,0)\frac{2\pi}{a}(1,0,0) は fcc の逆格子ベクトルでない。fcc の格子点 a2(0,1,1)\frac a2(0,1,1) との内積が 00 でも、a2(1,1,0)\frac a2(1,1,0) との内積が π\pi になるからである。この「偶奇の規則」は第4節の格子面と、第1部第3章の回折で消える反射の規則として現れる。

基底を持つ結晶

多くの実在の結晶は、上の格子に2個以上の原子からなる基底を置いたものである。代表的なものを挙げる。

  • ダイヤモンド構造(C・Si・Ge):fcc に、τ1=0\bm{\tau}_1=\bm{0}、τ2=a4(1,1,1)\bm{\tau}_2=\frac a4(1,1,1) の同じ原子2個を置く。各原子は正四面体の頂点にある4個の原子と結合する。2個の原子が別の元素なら閃亜鉛鉱構造(GaAs など)になる。
  • NaCl 構造:fcc に、Na を 0\bm{0}、Cl を a2(1,0,0)\frac a2(1,0,0) に置く。
  • CsCl 構造:sc に、Cs を 0\bm{0}、Cl を a2(1,1,1)\frac a2(1,1,1) に置く。原子の位置は bcc と同じだが、立方体の中心の原子が別の元素なので bcc ではない。
  • 六方最密構造(hcp):3次元の六方格子(図 1.2.1 の a1,a2\bm{a}_1,\bm{a}_2 に、垂直な a3=cez\bm{a}_3=c\bm{e}_z を足したもの)に、τ1=0\bm{\tau}_1=\bm{0}、τ2=13a1+13a2+12a3\bm{\tau}_2=\frac13\bm{a}_1+\frac13\bm{a}_2+\frac12\bm{a}_3 の同じ原子2個を置く。球が接して詰まるときは c/a=8/3c/a=\sqrt{8/3} で、充填率は fcc と同じ 2π6\frac{\sqrt2\pi}{6} になる。

格子は並進の対称性を、基底は単位胞の中身を表す。逆格子と波数の同一視は格子だけで決まるので、ダイヤモンド構造の Si も fcc の Al も、波数を考える領域(第4節の Brillouin 域)は同じ形になる。違いは Fourier 係数 (1.2.7) の基底の因子に現れる。

例題 1.2.3 fcc の逆格子と、波数空間の体積 ★★

オリジナル格子定数 aa の fcc 結晶が NN 個の基本単位胞からなるとする。

  1. (1) 逆格子の基本単位胞の体積を求め、b1⋅(b2×b3)\bm{b}_1\cdot(\bm{b}_2\times\bm{b}_3) を直接計算した値と比べよ。
  2. (2) 慣用の逆格子ベクトル 2πa(h,k,l)\frac{2\pi}{a}(h,k,l) のうち、(1,1,1)(1,1,1)・(2,0,0)(2,0,0)・(1,1,0)(1,1,0)・(2,2,0)(2,2,0) のどれが fcc の逆格子ベクトルか。
  3. (3) 周期境界条件のもとで、半径 qq の球の中にある許される波数の数を、NN・aa・qq で表せ(qq は 2π/a2\pi/a より十分大きいとする)。
解答

(1) 命題 1.2.3 より (2π)3/vc=(2π)3/(a3/4)=4(2π/a)3(2\pi)^3/v_{\mathrm c}=(2\pi)^3/(a^3/4)=4(2\pi/a)^3 である。直接計算すると、b2×b3=(2πa)2(1,−1,1)×(1,1,−1)=(2πa)2(0,2,2)\bm{b}_2\times\bm{b}_3=\bigl(\frac{2\pi}{a}\bigr)^2(1,-1,1)\times(1,1,-1)=\bigl(\frac{2\pi}{a}\bigr)^2(0,2,2)、b1⋅(0,2,2)(2πa)2=(2πa)3(−1,1,1)⋅(0,2,2)=4(2πa)3\bm{b}_1\cdot(0,2,2)\bigl(\frac{2\pi}{a}\bigr)^2=\bigl(\frac{2\pi}{a}\bigr)^3(-1,1,1)\cdot(0,2,2)=4\bigl(\frac{2\pi}{a}\bigr)^3 で一致する。

(2) 「すべて偶数かすべて奇数」の規則から、(1,1,1)(1,1,1) と (2,0,0)(2,0,0) と (2,2,0)(2,2,0) は逆格子ベクトルで、(1,1,0)(1,1,0) は違う。確かめとして、(1,1,1)(1,1,1) は b1+b2+b3\bm{b}_1+\bm{b}_2+\bm{b}_3、(2,0,0)(2,0,0) は b2+b3\bm{b}_2+\bm{b}_3、(2,2,0)(2,2,0) は 2b3+b1+b22\bm{b}_3+\bm{b}_1+\bm{b}_2 と書ける。

(3) 1つの波数が占める体積は (2π)3/(Nvc)=4(2π)3/(Na3)(2\pi)^3/(Nv_{\mathrm c})=4(2\pi)^3/(Na^3) なので、球の中の数は4πq3/34(2π)3/(Na3)=Na3q324π2\frac{4\pi q^3/3}{4(2\pi)^3/(Na^3)}=\frac{Na^3q^3}{24\pi^2} である。qq が大きいとき、球の表面付近の数え落としは体積に比べて無視できる。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『虎の巻』の記事一覧へ