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出てくるもの2:格子面・Miller 指数と Brillouin 域

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第2章 結晶構造と逆格子
目次
  1. 格子面の族と逆格子ベクトル
  2. Wigner–Seitz 胞と第1 Brillouin 域
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第1部 第2章 §1.2.4 ★★★ 逆格子ベクトル1本が実空間の格子面の族1つに対応し、面間隔が 2π/∣G∣2\pi/\lvert \bm{G}\rvert になることを示す。Wigner–Seitz 胞と第1 Brillouin 域を定義する

格子面の族と逆格子ベクトル

格子点を含む平面で、その平面の上の格子点が2次元の格子をなすものを格子面と呼ぶ。1つの格子面と平行で等間隔に並び、全体ですべての格子点を含む格子面の集まりを格子面の族と呼ぶ。格子面の族は、逆格子ベクトルとちょうど1対1に対応する。

定理 1.2.7(格子面の族と逆格子ベクトル ★★★)

面間隔 dd の格子面の族に対し、面に垂直で長さ 2π/d2\pi/d の逆格子ベクトルが存在し、それはその向きで最も短い逆格子ベクトルである。逆に、ある向きで最も短い逆格子ベクトル G\bm{G} に対し、G\bm{G} に垂直な面間隔 2π/∣G∣2\pi/\lvert \bm{G}\rvert の格子面の族がある。すなわち

d=2π∣Gmin⁡∣.(1.2.14)d=\frac{2\pi}{\lvert \bm{G}_{\min}\rvert }.\tag{1.2.14}

証明

(逆向き)G=∑jmjbj\bm{G}=\sum_jm_j\bm{b}_j がその向きで最も短いことは、整数 m1,m2,m3m_1,m_2,m_3 の最大公約数が 11 であることと同じである(公約数 p>1p>1 があれば G/p\bm{G}/p も逆格子ベクトルになる)。平面の族 G⋅r=2πℓ\bm{G}\cdot\bm{r}=2\pi\ell(ℓ∈Z\ell\in\mathbb{Z})を考える。どの格子点も G⋅R=2π∑jmjnj\bm{G}\cdot\bm{R}=2\pi\sum_jm_jn_j なので、このどれかの平面に乗る。最大公約数が 11 なので、整数の組 (n1,n2,n3)(n_1,n_2,n_3) をうまく選ぶと ∑jmjnj=1\sum_jm_jn_j=1 にでき(Bézout の等式)、どの ℓ\ell の平面にも格子点がある。1つの平面に格子点が1つあれば、その点から面内の格子ベクトルだけずらした点もすべてその平面に乗るので、各平面は格子面である。隣り合う平面の距離は 2π/∣G∣2\pi/\lvert \bm{G}\rvert である。

(順向き)面間隔 dd の族の単位法線を n\bm{n} とし、G=2πn/d\bm{G}=2\pi\bm{n}/d とおく。すべての格子点はどれかの面に乗るので n⋅R\bm{n}\cdot\bm{R} は dd の整数倍で、eiG⋅R=1\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{G}\cdot\bm{R}}=1 が成り立つ。よって G\bm{G} は逆格子ベクトルである。もし G/p\bm{G}/p(p>1p>1 の整数)も逆格子ベクトルなら、逆向きの主張から面間隔 pdpd の族があるが、その族の面の間に元の族の面が挟まり、元の族の面の上の格子点を含まない。これは族の面が全格子点を含むことに反する。

最も短い G=hb1+kb2+lb3\bm{G}=h\bm{b}_1+k\bm{b}_2+l\bm{b}_3(h,k,lh,k,l は最大公約数 11 の整数)の係数を並べた (hkl)(hkl) を、その格子面の族の Miller 指数と呼ぶ(ここの kk は整数で、太字の波数 k\bm{k} とは別のものである)。負の指数は数字の上に横線を引いて (1ˉ10)(\bar1 10) のように書く。平面 G⋅r=2π\bm{G}\cdot\bm{r}=2\pi は、a1/h\bm{a}_1/h、a2/k\bm{a}_2/k、a3/l\bm{a}_3/l の3点を通る(例えば G⋅a1/h=2π\bm{G}\cdot\bm{a}_1/h=2\pi)。「格子面が軸を切る点の座標の逆数」という Miller 指数の結晶学での定義(第6節)は、この事実を言い換えたものである。

立方格子の慣用単位胞の軸で指数を付けると、G=2πa(h,k,l)\bm{G}=\frac{2\pi}{a}(h,k,l) で

dhkl=ah2+k2+l2(1.2.15)d_{hkl}=\frac{a}{\sqrt{h^2+k^2+l^2}}\tag{1.2.15}

になる。ただし fcc と bcc では 2πa(h,k,l)\frac{2\pi}{a}(h,k,l) が逆格子ベクトルとは限らないので、式 (1.2.15) を使うときはその (h,k,l)(h,k,l) が実際に逆格子ベクトルかを先に確かめる必要がある。fcc で「(100)(100) 面」と呼ばれる面の族の本当の面間隔は d200=a/2d_{200}=a/2 である(立方体の面の中心の原子が、間の面に乗る)。

図

図 1.2.3 2次元の正方格子(格子定数 aa)の格子面の族の一例。灰色の線が x+2y=ℓax+2y=\ell a(ℓ∈Z\ell\in\mathbb{Z})で、すべての格子点を含む。線に垂直な最も短い逆格子ベクトルは G=2πa(1,2)\bm{G}=\frac{2\pi}{a}(1,2) で、線の間隔は 2π/∣G∣=a/52\pi/\lvert \bm{G}\rvert =a/\sqrt5 である

Wigner–Seitz 胞と第1 Brillouin 域

第2節で、格子点の上の量では波数が逆格子ベクトルの分だけ同一視されることを見た。同一視した波数の代表を1つずつ選ぶ領域として、原点に最も近いものを選ぶのが自然である。そのための領域を、一般の格子について定義しておく。

定義 1.2.8(Wigner–Seitz 胞と第1 Brillouin 域)

格子点 R0\bm{R}_0 の Wigner–Seitz 胞とは、他のどの格子点よりも R0\bm{R}_0 に近い点の全体である(名前は E. Wigner と F. Seitz に由来する)。逆格子の原点の Wigner–Seitz 胞を第1 Brillouin 域(BZ)と呼ぶ。

Wigner–Seitz 胞は、R0\bm{R}_0 と他の格子点を結ぶ線分の垂直二等分面で囲まれた領域で、基本単位胞の1つである(体積は vcv_{\mathrm c})。格子の回転・鏡映の対称性をすべてそのまま持つので、対称性の議論に向いている。第1 Brillouin 域は逆格子の基本単位胞の1つなので体積は (2π)3/vc(2\pi)^3/v_{\mathrm c} で、周期境界条件で許される波数がちょうど NN 個入る(境界の上の点は向かい合う境界の点と G\bm{G} だけずれて同一視されるので、片方だけ数える)。

第1 Brillouin 域の境界は、原点と逆格子ベクトル G\bm{G} を結ぶ線分の垂直二等分面の一部で、その上の波数は

∣k∣=∣k−G∣⟺2k⋅G=∣G∣2(1.2.16)\lvert \bm{k}\rvert =\lvert \bm{k}-\bm{G}\rvert \quad\Longleftrightarrow\quad 2\bm{k}\cdot\bm{G}=\lvert \bm{G}\rvert ^2\tag{1.2.16}

を満たす。これは、波数 k\bm{k} の波が G\bm{G} の分だけ向きを変えても波数の大きさ(エネルギー)が変わらない条件で、回折の Bragg 条件の逆格子での形である(第1部第3章)。第2部では、電子の波がまさにこの面の上で強く反射され、エネルギーのギャップが開く(第2部第5章)。

いくつかの格子の第1 Brillouin 域の形を挙げておく。sc の逆格子は sc なので、Brillouin 域は1辺 2π/a2\pi/a の立方体である。fcc の逆格子は bcc で、bcc の Wigner–Seitz 胞は正方形の面6枚と正六角形の面8枚で囲まれた切頂八面体になる。bcc の逆格子は fcc で、その Wigner–Seitz 胞は菱形の面12枚の菱形十二面体である。2次元の六方格子の Brillouin 域は正六角形で(図 1.2.4)、その頂点が第2部第9章のグラフェンで Dirac コーンの現れる点になる。Brillouin 域の中の対称性の高い点には名前を付けて呼ぶ。原点を Γ\Gamma、六方格子の頂点を K、辺の中点を M と書く。

図

図 1.2.4 図 1.2.1 の六方格子の逆格子(黒丸。単位は 2π/a2\pi/a)と第1 Brillouin 域(緑の正六角形)。b1=2πa(1,−13)\bm{b}_1=\frac{2\pi}{a}(1,-\frac{1}{\sqrt3})、b2=2πa(0,23)\bm{b}_2=\frac{2\pi}{a}(0,\frac{2}{\sqrt3})。破線は原点と逆格子ベクトル b1+b2\bm{b}_1+\bm{b}_2 を結ぶ線分で、M はその中点、六角形の辺はその垂直二等分線の一部である。頂点 K までの距離は 4π3a\frac{4\pi}{3a}

例題 1.2.4 Si の格子面の間隔 ★★

オリジナルSi はダイヤモンド構造(fcc+基底2個)で、CODATA 2018 の推奨値では格子定数(真空中・22.5∘C22.5^\circ\mathrm{C} の理想的な結晶)が a=543.1020511 pma=543.1020511\,\mathrm{pm} である(E. Tiesinga, P. J. Mohr, D. B. Newell, B. N. Taylor(2021)、Rev. Mod. Phys. 93、025010)。

  1. (1) 慣用の指数で (111)(111) と (220)(220) の面の族の面間隔を pm で求めよ。
  2. (2) 慣用の指数 (110)(110) の向きで最も短い fcc の逆格子ベクトルはどれか。その向きの格子面の本当の面間隔を求めよ。
解答

(1) (1,1,1)(1,1,1) も (2,2,0)(2,2,0) も「すべて奇数」「すべて偶数」なので fcc の逆格子ベクトルである。式 (1.2.15) から

d111=a3=313.560 pm,d220=a8=192.016 pm.d_{111}=\frac{a}{\sqrt3}=313.560\,\mathrm{pm},\qquad d_{220}=\frac{a}{\sqrt8}=192.016\,\mathrm{pm}.

d220d_{220} は Si の格子面の間隔として、X 線干渉計による格子定数の測定で直接比べられる量である。

(2) 2πa(1,1,0)\frac{2\pi}{a}(1,1,0) は奇数と偶数が混ざるので逆格子ベクトルでない。同じ向きで次に短い 2πa(2,2,0)\frac{2\pi}{a}(2,2,0) は逆格子ベクトルなので、これが最も短い。したがってその向きの格子面の本当の面間隔は d220=192.016 pmd_{220}=192.016\,\mathrm{pm} で、慣用単位胞の対角面の間隔 a/2a/\sqrt2 の半分になる。間に挟まる面には、面心の原子が乗っている。

木下の勉強ステータス

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