実験計画法 第2章 §2.5
2.1 データの取り方・データの集計・データの構造式
2.1-1 任意の定数 c=0 をとり、次のようにおく。
μ′=μ+c,ai′=ai−c(i=1,…,a)
このとき μ′+ai′=μ+ai なので、xij=μ′+ai′+εij はもとの構造式と同じデータの分布を表す。データの分布が同じなので、データからは (μ,ai) と (μ′,ai′) を区別できない。制約 ∑ai=0 を課すと、∑ai′=∑ai−ac=−ac=0 となる。つまり置き換えた組は制約を満たさないので、パラメータは一通りに決まる。
2.1-2 水準合計は 18, 27, 9、総合計は54で、N=9 である。水準平均と総平均は次のとおりである。
xˉ1⋅=6,xˉ2⋅=9,xˉ3⋅=3,μ^=xˉˉ=6
主効果は次のとおりで、和は0である。
a^1=6−6=0,a^2=9−6=3,a^3=3−6=−3
残差は次のとおりで、どの水準でも和は0である。
A1: (5−6,7−6,6−6)=(−1,1,0)A2: (9−9,8−9,10−9)=(0,−1,1)A3: (3−3,4−3,2−3)=(0,1,−1)
2.1-3 xˉ1⋅=μ+a1+εˉ1⋅、xˉˉ=μ+εˉˉ。定数は共分散に関係しないのでCov(xˉ1⋅,xˉˉ)=Cov(εˉ1⋅,εˉˉ)。εˉˉ=a1∑iεˉi⋅ であり、水準ごとの誤差平均どうしは独立なので、次を得る。
Cov(εˉ1⋅,εˉˉ)=a1V[εˉ1⋅]=a1⋅rσ2=Nσ2
したがって
V[xˉ1⋅−xˉˉ]=V[xˉ1⋅]+V[xˉˉ]−2Cov(xˉ1⋅,xˉˉ)=rσ2+Nσ2−N2σ2=rσ2−arσ2=N(a−1)σ2.
また E[a^1]=E[xˉ1⋅]−E[xˉˉ]=(μ+a1)−μ=a1 である。E[xˉˉ]=μ は ∑ai=0 による。
2.1-4 2水準の場合、母平均は η(0)=10 と η(4)=10+16−16=10 で等しい。μ=10、a1=a2=0 となり、主効果は0である。
3水準の場合は η(2)=10+8−4=14 なので、母平均は 10, 14, 10 である。一般平均と主効果は次のとおりで、主効果は0でない。
μ=334,a1=a3=10−334=−34,a2=14−334=38
2水準の場合、真の応答は u=2 を頂点とする山形で、両端の値がたまたま等しいため、2点を結ぶ直線は水平になる。2水準では直線的な変化しか表せず、曲がりは両端の差に現れないので、因子の効果が実際にはあっても検出できない。
2.2 平方和と自由度の計算・分散分析表の作成
2.2-1 誤差平方和は残差 eij=xij−xˉi⋅ の2乗和で、残差は全部で N=ar 個ある。残差は水準ごとに ∑jeij=0 を満たす。この制約は水準ごとに1本ずつ、合わせて a 本ある。各水準で r−1 個の残差を決めれば残り1個が決まるので、独立に動ける残差は a(r−1) 個である。
2.2-2 総合計は T=54 で、修正項は CT=542/9=324。平方和は次のとおりである。
∑∑xij2STSASe=(25+49+36)+(81+64+100)+(9+16+4)=110+245+29=384,=384−324=60,=3182+272+92−324=3324+729+81−324=378−324=54,=60−54=6.
自由度は ϕA=2, ϕe=6, ϕT=8 である。平均平方は VA=27, Ve=1 で、F0=27 となる。
| 要因 | S | ϕ | V | F0 | E(V) |
| A | 54 | 2 | 27 | 27.0∗∗ | σ2+3σA2 |
| e | 6 | 6 | 1 | | σ2 |
| T | 60 | 8 | | | |
F0=27≥F2,6(0.01)=10.92 なので、有意水準1%で有意(5%でも有意)。
2.2-3 この変換は x0=2.30, h=100 の形である。命題 2.10 より、平方和は h2=104 で割って戻す。
SA=54/104=0.0054,Se=6/104=0.0006
自由度は変わらないので、VA=0.0027、Ve=0.0001 となる。分散比は F0=27 で、変換後と同じである。
2.2-4 xˉi⋅=Ti⋅/r、xˉˉ=T/N を代入して展開する。
ri=1∑a(rTi⋅−NT)2=i=1∑arTi⋅2−N2Ti=1∑aTi⋅+N2raT2=i=1∑arTi⋅2−N2T2+NT2=i=1∑arTi⋅2−NT2.
途中で ∑iTi⋅=T と ra=N を使った。
2.2-5 SA′=SA−ϕAVe=54−2×1=52、Se′=6+2=8。ρA=52/60=0.867(86.7%)、ρe=8/60=0.133(13.3%)。期待値は次のとおりである。
E(SA)=ϕAσ2+r∑ai2
主効果がまったく無いときでも、SA の期待値は ϕAσ2>0 である。そのため SA/ST は、誤差の分だけ効果を大きく見積もる。ϕAVe を差し引いた純変動は、期待値が r∑ai2 で、効果の分だけを表す。
2.3 分散分析後の推定と予測
2.3-1 有効反復数は、母平均の点推定量の分散を σ2/ne と書いたときの ne で、その点推定量がデータ何個の平均と同じ精度をもつかを表す。水準平均による点推定には一般平均と要因 A を使うので、田口の式の分子は 1+ϕA=1+(a−1)=a。1/ne=a/(ar)=1/r となり、V[xˉi⋅]=σ2/r と一致する。
2.3-2 μ^(A2)=9 で、Ve=1, ne=3, ϕe=6 である。9±2.4471/3=9±2.447×0.5774=9±1.41、すなわち 7.59≤μ(A2)≤10.41。
2.3-3 差の点推定は 9−6=3。3±2.4472×1/3=3±2.447×0.8165=3±2.00、すなわち 1.00≤μ(A2)−μ(A1)≤5.00。区間が0を含まないので A2 の母平均は A1 より大きいと判断する。予測区間は 9±2.447(1+1/3)×1=9±2.447×1.1547=9±2.83、すなわち 6.17≤x≤11.83。
2.3-4 Ve=Se/ϕe であり、Se は水準ごとの偏差平方和の和である。
Qi=j∑(xij−xˉi⋅)2,Se=i∑Qi
水準 i のデータは、正規母集団 N(μ+ai,σ2) からの無作為標本である。そのため (2.12) より、その標本平均 xˉi⋅ と偏差平方和 Qi は独立である。
他の水準の偏差平方和 Qi′ は別のデータだけの関数なので、xˉi⋅ と独立である。各水準の組 (xˉk⋅,Qk) は水準間で独立で、各組の中でも独立である。そのため Q1,…,Qa と xˉi⋅ は全体として独立である。その和 Se も、xˉi⋅ と独立になる。
2.3-5 水準合計は 46, 48, 50 で、総合計は T=144 である。修正項は CT=1442/12=1728。
∑∑xij2STSASe=(100+144+121+169)+(144+121+169+144)+(169+144+121+196)=534+578+630=1742,=1742−1728=14,=4462+482+502−1728=42116+2304+2500−1728=1730−1728=2,=14−2=12.
自由度は ϕA=2, ϕe=9、平均平方は VA=1, Ve=12/9=1.333 である。F0=0.75<F2,9(0.05)=4.26 なので有意でない。
プーリングすると次のようになる。
Ve′=2+92+12=1114=1.273,ϕe′=11,μ^=xˉˉ=12,ne=N=12
信頼区間は 12±2.2011.273/12=12±2.201×0.3257=12±0.717、すなわち 11.28≤μ≤12.72。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com