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確率と期待値

2026年10月17日14分で読めますAI生成教科書『資格試験』第3章 場合の数と確率
目次
  1. 確率の定義
  2. 確率の計算:余事象
  3. 確率と独立
  4. 和事象の確率
  5. 期待値
  6. 確認テスト
  7. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

統計学の復習 第3章 §3.3 ★★ 等確率の確率から余事象・加法定理を導き、独立を積で定義する。期待値の線形性まで

確率の定義

定義 3.11(等確率の場合の確率)

標本空間 Ω\Omega が有限集合で、どの根元事象も同じ程度に起こりやすいとする。このとき事象 AA の確率を

P(A)=#A#Ω(3.6)P(A)=\frac{\#A}{\#\Omega}\tag{3.6}

で定める。

この定義から、確率の次の3つの性質がすぐに出る。

  1. (P1) 0≤P(A)≤10\le P(A)\le1。特に P(∅)=0P(\emptyset)=0。
  2. (P2) P(Ω)=1P(\Omega)=1。
  3. (P3) AA と BB が排反なら P(A∪B)=P(A)+P(B)P(A\cup B)=P(A)+P(B)。

(P1) と (P2) は 0≤#A≤#Ω0\le \#A\le \#\Omega から、(P3) は和の法則 #(A∪B)=#A+#B\#(A\cup B)=\#A+\#B から従う。

等確率でない試行(表の出る確率が 0.6 の硬貨など)や、根元事象が無限にある試行では (3.6) を使うことができない。そこでは逆に、(P1)〜(P3) を確率がみたすべき規則として先に置き、それをみたす数の割り当てを確率と呼ぶ。この章でこのあと導く性質は、すべて (P1)〜(P3) だけから導かれるので、等確率でない場合にもそのまま使える。規則の正確な形(可算個の和への拡張を含む Kolmogorov の公理)は数理統計の解説 第1章 §1.1 で扱う。また、同じ試行を何回も繰り返したときに事象の起こった割合が確率に近づくことは、第8章の大数の法則で示す。

等確率になるように根元事象をとる

2個のさいころを投げて目の和を見る試行で、和の値 2,3,…,122,3,\dots,12 の11通りを根元事象にとると、それらは同じ程度に起こりやすくはない。和が 2 になるのは (1,1)(1,1) の1通りだが、和が 7 になるのは (1,6),(2,5),…,(6,1)(1,6),(2,5),\dots,(6,1) の6通りあるからである。2個のさいころを区別して、目の組 (i,j)(i,j) の36通りを根元事象にとれば、これらは等確率になる。(3.6) を使う前に、「この根元事象は本当に等確率か」を答案に1行で書くとよい。区別できない玉や同じ色の玉でも、番号をつけて区別して数えるのが安全である。

確率の計算:余事象

命題 3.12(余事象の確率)

P(Ac)=1−P(A)P(A^c)=1-P(A)。

証明

AA と AcA^c は排反で、A∪Ac=ΩA\cup A^c=\Omega である。(P3) と (P2) から P(A)+P(Ac)=P(Ω)=1P(A)+P(A^c)=P(\Omega)=1。

「少なくとも1つ起こる」の確率は、そのままでは場合分けが多くなる。de Morgan の法則から、その余事象は「どれも起こらない」であり、こちらは1通りの条件で書ける。そこで P(少なくとも1つ)=1−P(どれも起こらない)P(\text{少なくとも1つ})=1-P(\text{どれも起こらない}) として計算する。この形は、二項分布やPoisson 分布で「1件以上」の確率を求めるときにも同じ形で使う(第5章)。

確率と独立

定義 3.13(2つの事象の独立)

事象 A,BA,B が

P(A∩B)=P(A) P(B)(3.7)P(A\cap B)=P(A)\,P(B)\tag{3.7}

をみたすとき、AA と BB は独立であるという。独立でないとき従属であるという。

独立は「一方が起こったかどうかを知っても、他方の起こりやすさが変わらない」という性質を式にしたものである。この読み方は §3.4 で条件付き確率を使って正確に述べる。ここでは、定義が確率の値を使っていることに注意する。排反は Ω\Omega の部分集合の関係だけで決まったが、独立かどうかは確率の割り当て方で決まる。同じ2つの部分集合でも、確率の割り当てを変えれば独立になったりならなかったりする。

定理 3.14(排反と独立の関係)

P(A)>0P(A)>0 かつ P(B)>0P(B)>0 である事象 A,BA,B が排反なら、AA と BB は独立でない。

証明

排反なら A∩B=∅A\cap B=\emptyset なので P(A∩B)=0P(A\cap B)=0 である。一方、仮定から P(A)P(B)>0P(A)P(B)>0 である。よって (3.7) は成り立たない。

排反な2つの事象では、一方が起こったと分かれば他方は確実に起こらない。一方の情報が他方の起こりやすさを最も大きく変えている状態であり、独立とは正反対の関係になる。「排反」と「独立」を混同しやすいのは、どちらも「無関係」という日常語で言い換えられてしまうからで、答案では必ず定義の式(A∩B=∅A\cap B=\emptyset か、P(A∩B)=P(A)P(B)P(A\cap B)=P(A)P(B) か)に戻って判定する。

独立はもう1つ、別々の試行を組み合わせるときにも使う。

定義 3.15(独立な試行)

2つの試行 T1,T2T_1,T_2 について、T1T_1 の結果だけで決まる任意の事象 AA と T2T_2 の結果だけで決まる任意の事象 BB がP(A∩B)=P(A)P(B)P(A\cap B)=P(A)P(B) をみたすとき、T1T_1 と T2T_2 は独立な試行であるという。3つ以上の試行についても、それぞれの試行で決まる事象の積の確率が確率の積になることで定める。

さいころを2回投げる、硬貨を何回も投げる、のように、互いの結果が影響し合わない仕組みで行う試行を独立な試行とみなす。等確率の場合には、2つのさいころの目の組 36 通りを等確率とおくことが、1回目と2回目を独立な試行とみなすことと同じ内容になる。

命題 3.16(反復試行の確率)

1回の試行で事象 AA が起こる確率を pp とする。この試行を独立に nn 回繰り返すとき、AA がちょうど kk 回起こる確率は

(nk)pk(1−p)n−k(k=0,1,…,n).(3.8)\binom nk p^k(1-p)^{n-k}\qquad(k=0,1,\dots,n).\tag{3.8}

証明

nn 回のうち AA が起こる回を指定した1つの結果(たとえば最初の kk 回だけ起こる)の確率は、試行が独立なので各回の確率の積pk(1−p)n−kp^k(1-p)^{n-k} になる。AA が起こる kk 回をどの回にするかは (nk)\binom nk 通りあり、これらの結果は互いに排反で、どれも同じ確率を持つ。(P3) を繰り返し使って足すと (3.8) になる。

(3.8) は第5章で二項分布 Bin(n,p)\mathrm{Bin}(n,p) の確率関数として改めて登場する。二項定理(定理3.6 の 4)でa=pa=p、b=1−pb=1-p とおくと、(3.8) を k=0,…,nk=0,\dots,n について足した値が (p+1−p)n=1(p+1-p)^n=1 になることも確かめられる。

和事象の確率

定理 3.17(加法定理)

任意の事象 A,B,CA,B,C について

P(A∪B)=P(A)+P(B)−P(A∩B),P(A∪B∪C)=P(A)+P(B)+P(C)−P(A∩B)−P(B∩C)−P(C∩A)+P(A∩B∩C).\begin{align*}P(A\cup B)&=P(A)+P(B)-P(A\cap B),\tag{3.9}\\P(A\cup B\cup C)&=P(A)+P(B)+P(C)-P(A\cap B)-P(B\cap C)-P(C\cap A)+P(A\cap B\cap C).\tag{3.10}\end{align*}

証明

定理3.10 の証明で、個数 #(⋅)\#(\cdot) を確率 P(⋅)P(\cdot) に置き換え、和の法則の代わりに (P3) を使う。たとえば A∪BA\cup B は互いに排反な3つの部分 A∩BcA\cap B^c、A∩BA\cap B、Ac∩BA^c\cap B の和なので、(P3) を2回使うとP(A∪B)=P(A∩Bc)+P(A∩B)+P(Ac∩B)P(A\cup B)=P(A\cap B^c)+P(A\cap B)+P(A^c\cap B) である。ここに P(A)=P(A∩Bc)+P(A∩B)P(A)=P(A\cap B^c)+P(A\cap B) と P(B)=P(Ac∩B)+P(A∩B)P(B)=P(A^c\cap B)+P(A\cap B) を使えば(3.9) になる。(3.10) も定理3.10 と同じ手順で (3.9) から導く。

この証明は個数の数え上げを使っていないので、等確率でない場合にも成り立つ。A,BA,B が排反なら P(A∩B)=0P(A\cap B)=0 で、(3.9) は (P3) に戻る。A,BA,B が独立なら P(A∩B)=P(A)P(B)P(A\cap B)=P(A)P(B) を代入して P(A∪B)=P(A)+P(B)−P(A)P(B)P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A)P(B) になる。和事象の確率を求める問題は、「排反なら足す」「独立なら積を引く」「どちらでもなければ P(A∩B)P(A\cap B) を別に求める」の3通りに分かれる。

例題 3.4 部品の直列・並列とシステムの信頼度 ★★

オリジナルある装置は、部品1と部品2を並列につないだ部分と、部品3を直列につないだ構成になっている。装置が動くのは「部品1と部品2の少なくとも一方が動き、かつ部品3が動く」ときである。部品1・2・3が動く確率はそれぞれ 0.9・0.8・0.95 で、各部品が動くかどうかは互いに独立とする。装置が動く確率を求めよ。

解答

部品 ii が動くという事象を EiE_i とする。装置が動く事象は (E1∪E2)∩E3(E_1\cup E_2)\cap E_3 である。

まず並列部分 E1∪E2E_1\cup E_2 の確率を求める。余事象は de Morgan の法則から E1c∩E2cE_1^c\cap E_2^c(両方とも動かない)である。E1,E2E_1,E_2 が独立ならE1c,E2cE_1^c,E_2^c も独立になる(確認テスト 3.3-4)ので

P(E1∪E2)=1−P(E1c)P(E2c)=1−0.1×0.2=0.98.P(E_1\cup E_2)=1-P(E_1^c)P(E_2^c)=1-0.1\times0.2=0.98.

加法定理で計算しても 0.9+0.8−0.9×0.8=0.980.9+0.8-0.9\times0.8=0.98 で一致する。

次に、事象 E1∪E2E_1\cup E_2 は部品1・2の状態だけで決まり、E3E_3 は部品3の状態だけで決まる。部品どうしが独立なので、この2つの事象も独立である。したがって

P((E1∪E2)∩E3)=P(E1∪E2) P(E3)=0.98×0.95=0.931.P\bigl((E_1\cup E_2)\cap E_3\bigr)=P(E_1\cup E_2)\,P(E_3)=0.98\times0.95=0.931.

期待値

試行の結果に応じて値が決まる数量(くじの賞金、さいころの目、出た目の種類の数など)を考える。こうした数量は第4章で確率変数として定式化する。ここでは Ω\Omega が有限集合の場合に限って、その平均的な値を定義する。

定義 3.18(期待値)

数量 XX のとりうる値が x1,…,xmx_1,\dots,x_m で、X=xkX=x_k となる確率が pkp_k(p1+⋯+pm=1p_1+\cdots+p_m=1)であるとき、

E[X]=∑k=1mxkpk(3.11)E[X]=\sum_{k=1}^m x_kp_k\tag{3.11}

を XX の期待値と呼ぶ。

同じ期待値は、根元事象ごとの和として書き直すことができる。根元事象 ω\omega での XX の値を X(ω)X(\omega) と書くと

E[X]=∑ω∈ΩX(ω) P({ω}).(3.12)E[X]=\sum_{\omega\in\Omega}X(\omega)\,P(\{\omega\}).\tag{3.12}

(3.12) の和を、X(ω)X(\omega) の値が等しい ω\omega ごとにまとめると、X(ω)=xkX(\omega)=x_k となる ω\omega の確率の和は pkp_k なので(3.11) に戻る。2つの書き方は同じ量である。

定理 3.19(期待値の線形性)

数量 X,YX,Y と定数 a,ba,b について E[aX+bY]=aE[X]+bE[Y]E[aX+bY]=aE[X]+bE[Y]。この等式は XX と YY が独立でなくても成り立つ。

証明

(3.12) の形で書くと

E[aX+bY]=∑ω{aX(ω)+bY(ω)}P({ω})=a∑ωX(ω)P({ω})+b∑ωY(ω)P({ω})=aE[X]+bE[Y].E[aX+bY]=\sum_\omega\{aX(\omega)+bY(\omega)\}P(\{\omega\})=a\sum_\omega X(\omega)P(\{\omega\})+b\sum_\omega Y(\omega)P(\{\omega\})=aE[X]+bE[Y].

途中で使ったのは有限和の分配と並べ替えだけで、XX と YY の関係についての仮定は使っていない。

線形性が特に役立つのは、数えたい個数を「事象が起これば1、起こらなければ0」という数量の和に分けるときである。事象 AA に対して、AA が起これば1、起こらなければ0をとる数量を 1A\mathbf 1_A と書き、AA の指示関数と呼ぶ。(3.11) からE[1A]=1⋅P(A)+0⋅P(Ac)=P(A)E[\mathbf 1_A]=1\cdot P(A)+0\cdot P(A^c)=P(A) である。数えたい個数が 1A1+⋯+1An\mathbf 1_{A_1}+\cdots+\mathbf 1_{A_n} と書ければ、その期待値はP(A1)+⋯+P(An)P(A_1)+\cdots+P(A_n) になる。AiA_i どうしが独立でなくてもこの計算は正しい。

例題 3.5 出た目の種類の数の期待値 ★★

オリジナル公正なさいころを nn 回投げるとき、出た目の種類の数(何種類の目が少なくとも1回出たか)を XX とする。E[X]E[X] を nn の式で求め、n=6n=6 と n=10n=10 の値を小数第3位まで求めよ。

解答

目 jj(j=1,…,6j=1,\dots,6)が少なくとも1回出るという事象を AjA_j とすると、X=1A1+⋯+1A6X=\mathbf 1_{A_1}+\cdots+\mathbf 1_{A_6} である。XX の分布(X=kX=k となる確率)を直接求めるのは大変だが、線形性を使えば各 P(Aj)P(A_j) だけで足りる。

各回の目は独立で、1回の試行で目 jj が出ない確率は 5/65/6 である。AjcA_j^c(nn 回とも目 jj が出ない)の確率は (5/6)n(5/6)^n なので、余事象から

P(Aj)=1−(56)n.P(A_j)=1-\Bigl(\frac56\Bigr)^n .

これは jj によらない。線形性から

E[X]=∑j=16P(Aj)=6{1−(56)n}.E[X]=\sum_{j=1}^6P(A_j)=6\Bigl\{1-\Bigl(\frac56\Bigr)^n\Bigr\}.

n=6n=6 では 6{1−15625/46656}=31031/7776≈3.9916\{1-15625/46656\}=31031/7776\approx3.991、n=10n=10 では 6{1−(5/6)10}≈5.0316\{1-(5/6)^{10}\}\approx5.031 である。6回投げても平均して4種類しか出ないことになる。A1,…,A6A_1,\dots,A_6 は独立でない(たとえば1種類も出ないことはありえない)が、線形性は独立を使わないのでこの計算は正しい。

確認テスト

オリジナル

  1. 3.3-1 P(A)=0.3P(A)=0.3、P(B)=0.5P(B)=0.5 とする。(a) A,BA,B が排反のとき P(A∪B)P(A\cup B) を求めよ。(b) A,BA,B が独立のとき P(A∪B)P(A\cup B) を求めよ。(c) この A,BA,B が排反かつ独立であることはありうるか。
  2. 3.3-2 2個のさいころを投げる。目の和が 7 になる確率と、目の和が 10 以上になる確率を求めよ。
  3. 3.3-3 1回の射撃で的に当たる確率が 0.3 の人が、独立に5回射撃する。少なくとも2回当たる確率を小数第4位まで求めよ。
  4. 3.3-4 A,BA,B が独立なら、AcA^c と BcB^c も独立であることを示せ。
  5. 3.3-5 1000本のくじがあり、1等(10000円)が1本、2等(1000円)が10本、3等(100円)が100本、残りははずれ(0円)である。(a) 1本引いたときの賞金の期待値を求めよ。(b) 同時に2本引いたとき(引いたくじは戻さない)の賞金の合計の期待値を求めよ。

木下の勉強ステータス

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