統計学の復習 第6章 §6.6 ★★ 値が偏らない分布。分散 (N2−1)/12 と (b−a)2/12 を和と積分で導き、一様乱数から任意の分布を作る変換へつなぐ
離散一様分布
定義 6.13(離散一様分布)
1,2,…,N の各値を確率 1/N ずつでとる分布を、{1,…,N} 上の離散一様分布と呼ぶ。
公正なサイコロの目は N=6 の離散一様分布に従う。期待値と分散は、和の公式 ∑k=1Nk=N(N+1)/2 と ∑k=1Nk2=N(N+1)(2N+1)/6 から
E[X]=N1⋅2N(N+1)=2N+1,E[X2]=N1⋅6N(N+1)(2N+1)=6(N+1)(2N+1)
となり、
V[X]=6(N+1)(2N+1)−4(N+1)2=12(N+1){2(2N+1)−3(N+1)}=12(N+1)(N−1)=12N2−1(6.16)
である。サイコロでは E[X]=3.5、V[X]=35/12=2.917 になる。
値が a,a+1,…,b の連続した整数に一様に散らばる場合は、X−(a−1) が {1,…,N}(N=b−a+1)上の離散一様分布に従うので、期待値は (a+b)/2、分散は同じ (N2−1)/12 である。定数をずらしても分散は変わらない。
連続一様分布
定義 6.14(連続一様分布)
a<b に対して、密度
f(x)=b−a1(a<x<b),f(x)=0(それ以外)(6.17)
を持つ分布を区間 (a,b) 上の連続一様分布と呼び、X∼U(a,b) と書く。
記号 U(a,b) は指示書の記号表に無いが、2級でも1級でも標準的な書き方なので、この巻ではこれを使う。密度が一定なので、区間 (a,b) に含まれる小区間に入る確率は、その長さに比例する。累積分布関数は a≤x≤b で F(x)=(x−a)/(b−a) と1次関数になる。
定理 6.15(連続一様分布の期待値と分散)
X∼U(a,b) のとき、E[X]=(a+b)/2、V[X]=(b−a)2/12 である。
証明
定義どおり積分すると
E[X]=∫abb−axdx=2(b−a)b2−a2=2a+b,E[X2]=∫abb−ax2dx=3(b−a)b3−a3=3a2+ab+b2
である。したがって
V[X]=3a2+ab+b2−4(a+b)2=124a2+4ab+4b2−3a2−6ab−3b2=12(b−a)2.□
分散が区間の幅 b−a だけで決まり、位置によらないのは、X=a+(b−a)U(U∼U(0,1))と書けて、V[X]=(b−a)2V[U]=(b−a)2/12 となるからである。
測定値を幅 h の目盛りで丸めると、丸めの誤差は (−h/2,h/2) 上の一様分布に従うと見なせることが多く、その分散は h2/12 である。第1章で、階級内一様の仮定をおくと分散が ∑jfjhj2/12 だけ大きくなることを確かめた。その h2/12 は、ここで求めた一様分布の分散である。
離散一様分布の分散 (N2−1)/12 と連続一様分布の分散 (b−a)2/12 は、N が大きいとほぼ同じ形になる。{1,…,N} の値に幅 1 の一様な揺らぎ (−1/2,1/2) を独立に足すと (1/2,N+1/2) 上の連続一様分布になり、分散は (N2−1)/12+1/12=N2/12 でちょうど一致する。
確率積分変換
定理 6.16(確率積分変換)
F を連続で、F(x) が 0 と 1 の間をとる範囲で狭義に増加する累積分布関数とし、その逆関数を F−1 とする。
- X の累積分布関数が F なら、U=F(X)∼U(0,1) である。
- U∼U(0,1) なら、X=F−1(U) の累積分布関数は F である。
証明
(1) 0<u<1 に対して、F が狭義増加なので {F(X)≤u}={X≤F−1(u)} であり、P(U≤u)=P(X≤F−1(u))=F(F−1(u))=u となる。これは U(0,1) の累積分布関数である。
(2) {F−1(U)≤x}={U≤F(x)} なので、P(X≤x)=P(U≤F(x))=F(x) である。U(0,1) の累積分布関数が P(U≤u)=u であることを使った。
(2) を使うと、計算機の一様乱数から任意の分布の乱数を作ることができる。指数分布では F(x)=1−e−λx を u と置いて解くと x=−log(1−u)/λ なので、X=−log(1−U)/λ∼Ex(λ) である。1−U も U(0,1) に従うので、X=−logU/λ としてもよい(第4章の例題で −logU∼Ex(1) を変数変換で確かめた)。1級では、(1) の性質が検定の p 値の分布(帰無仮説の下で一様分布)として現れる。一般の累積分布関数で逆関数を一般化した形は数理統計の解説 第3章で扱う。
例題 6.11 時刻表どおりのバスと、ポアソン過程のバス ★★
オリジナルあるバス停には、バスが正確に 12 分おきに来る。時刻表を見ずにバス停に着いたときの待ち時間 W は U(0,12) に従うとする。
- E[W]、V[W] と、9 分以上待つ確率を求めよ。
- バスが時刻表に従わず、1時間に平均 5 台(12 分に1台)のポアソン過程で来るとすると、待ち時間の期待値と 9 分以上待つ確率はいくらになるか。
解答
(1) 定理 6.15 から E[W]=(0+12)/2=6 分、V[W]=122/12=12 で、標準偏差は 12=3.46 分である。密度が 1/12 で一定なので、P(W≥9)=(12−9)/12=0.25 である。
(2) 分を単位にすると発生率は 1/12 で、無記憶性から、いつバス停に着いてもそこからの待ち時間は Ex(1/12) に従う。期待値は 12 分で、
P(W≥9)=e−9/12=e−0.75=0.4724
である。平均の運行間隔は同じ 12 分でも、待ち時間の期待値は時刻表どおりの場合の2倍になる。ポアソン過程では運行間隔そのものがばらつき、長い間隔の中に着く確率がその長さに比例して大きくなるので、平均すると長い間隔の中で待つことになるからである。
確認テスト
オリジナル
- 6.6-1 0,1,…,9 の数字が等確率で出る乱数の期待値と分散を、式 (6.16) から求めよ。
- 6.6-2 X∼U(a,b) で E[X]=10、V[X]=3 のとき、a と b を求めよ。
- 6.6-3 X と Y が独立に U(0,1) に従うとき、S=X+Y の密度を畳み込みの式 (6.8) で求め、P(S≤1.5) を求めよ。
- 6.6-4 U∼U(0,1) のとき、関数 g を定理 6.16 の (2) で選んで、g(U) が密度 2x(0<x<1)を持つようにせよ。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com