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中心極限定理

2026年10月17日10分で読めますAI生成教科書『資格試験』第8章 標本抽出と大数の法則・中心極限定理
目次
  1. 定理の主張
  2. 二項分布の正規近似と連続補正
  3. 確認テスト
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

統計学の復習 第8章 §8.5 ★★★ 標準化した標本平均の分布は、母集団分布によらず n→∞n\to\infty で標準正規分布に近づく。平均と分散は正確に決まり、近似になるのは分布の形だけで、二項分布の正規近似は連続補正をつけて使う

定理の主張

定理 8.8(中心極限定理)

X1,X2,…X_1,X_2,\dots を、平均 μ\mu・分散 σ2\sigma^2(0<σ2<∞0<\sigma^2<\infty)の母集団からの無作為標本とする。標準化した標本平均

Zn=Xˉn−μσ/n=X1+⋯+Xn−nμn σ(8.13)Z_n=\frac{\bar X_n-\mu}{\sigma/\sqrt n}=\frac{X_1+\cdots+X_n-n\mu}{\sqrt n\,\sigma}\tag{8.13}

について、すべての実数 zz で

lim⁡n→∞P(Zn≤z)=Φ(z)=∫−∞z12πe−t2/2 dt(8.14)\lim_{n\to\infty}P(Z_n\le z)=\Phi(z)=\int_{-\infty}^z\frac1{\sqrt{2\pi}}\mathrm{e}^{-t^2/2}\,\mathrm{d} t\tag{8.14}

が成り立つ。

この定理の証明には積率母関数(または特性関数)の収束を使い、2級の範囲の道具では閉じない。証明は数理統計の解説 第5章 §5.3 で扱う。ここでは主張の意味と、何が正確で何が近似かを区別する。

式 (8.13) の2つの形が等しいことは、分子と分母に nn を掛ければ分かる。定理 8.2 から E[Zn]=0E[Z_n]=0、V[Zn]=1V[Z_n]=1 はどの nn でも正確に成り立ち、ここには近似も極限も入っていない。中心極限定理が述べるのはその先で、平均 00・分散 11 にそろえた ZnZ_n の分布の形が、母集団分布が二項分布でも一様分布でも指数分布でも、標準正規分布の形に近づくということである。平均と分散がそろっていても、歪み方や裾の厚さが正規分布と違う分布はいくらでもあるので、この主張は平均と分散の計算からは出てこない。

実際の使い方は、nn が十分大きいとき

Xˉn ≈ N(μ, σ2n),X1+⋯+Xn ≈ N(nμ, nσ2)(8.15)\bar X_n\ \approx\ \mathrm{N}\Bigl(\mu,\ \frac{\sigma^2}n\Bigr),\qquad X_1+\cdots+X_n\ \approx\ \mathrm{N}(n\mu,\ n\sigma^2)\tag{8.15}

と置き換え、標準化して標準正規分布表を引くことである。母集団分布が正規分布なら、正規分布の再生性(第6章)によって Xˉn∼N(μ,σ2/n)\bar X_n\sim\mathrm{N}(\mu,\sigma^2/n) がどの nn でも正確に成り立つ。母集団分布が正規分布から遠い(歪みが大きい)ほど、近似に要る nn は大きくなる。2級では「nn がおよそ30以上」を目安とすることが多いが、これは分布の形によって変わる目安である。

和の分布の広がりは n σ\sqrt n\,\sigma で nn とともに大きくなり、平均の分布の広がりは σ/n\sigma/\sqrt n で小さくなる。標準化はどちらの場合も、この n\sqrt n の速さに合わせて目盛りを取り直す操作で、その結果として形の比較ができるようになる。大数の法則が「Xˉn\bar X_n は μ\mu に縮む」ことを述べるのに対し、中心極限定理は「縮んでいく途中のぶれを n\sqrt n 倍に拡大して見ると正規分布の形をしている」ことを述べる。

例題 8.7 標本平均の確率と、平均の95%が入る範囲 ★★★

オリジナルある部品の重さは、平均 5050 g、標準偏差 1212 g の分布に従う(正規分布かどうかは分からない)。無作為に 3636 個を取り出す。

  1. 標本平均 Xˉ\bar X の期待値と標準誤差を求めよ。どちらが正確な値で、どちらが近似を含むかも答えよ。
  2. P(Xˉ≥53)P(\bar X\ge53) を中心極限定理で近似せよ。
  3. Xˉ\bar X が確率 0.950.95 で入る、5050 について対称な区間を求めよ。
解答

(1) 定理 8.2 から E[Xˉ]=50E[\bar X]=50、標準誤差は 12/36=212/\sqrt{36}=2 g である。この2つは母集団分布の形によらない正確な値である。近似を含むのは、次の (2) で Xˉ\bar X の分布の形を正規分布で置き換える部分だけである。

(2) 中心極限定理から Xˉ≈N(50,22)\bar X\approx\mathrm{N}(50,2^2) とすると

P(Xˉ≥53)=P(Xˉ−502≥53−502)≈P(Z≥1.5)=1−Φ(1.5)=1−0.9332=0.0668.P(\bar X\ge53)=P\Bigl(\frac{\bar X-50}2\ge\frac{53-50}2\Bigr)\approx P(Z\ge1.5)=1-\Phi(1.5)=1-0.9332=0.0668.

(3) P(∣Z∣≤1.96)=0.95P(\lvert Z\rvert \le1.96)=0.95 なので、Xˉ\bar X が確率 0.950.95 で入る区間は 50±1.96×250\pm1.96\times2、すなわち [46.08, 53.92][46.08,\ 53.92] である。この区間は「μ\mu が分かっているときに、Xˉ\bar X がどこに出るか」を表している。第10章の信頼区間は向きが逆で、Xˉ\bar X の実現値から μ\mu の範囲を作る。

二項分布の正規近似と連続補正

X∼Bin(n,p)X\sim\mathrm{Bin}(n,p) は、成功なら1・失敗なら0をとる独立なベルヌーイ変数 B1,…,BnB_1,\dots,B_n の和である(第5章)。各 BiB_i の平均は pp、分散は p(1−p)p(1-p) なので、中心極限定理から

X ≈ N(np, np(1−p))(8.16)X\ \approx\ \mathrm{N}\bigl(np,\ np(1-p)\bigr)\tag{8.16}

となる。この近似を de Moivre–Laplace の定理と呼ぶ。目安は np≥5np\ge5 かつ n(1−p)≥5n(1-p)\ge5 で、pp が 00 や 11 に近く npnp が小さいときは、正規近似よりポアソン近似(第5章 §5.2)を使う。

二項分布は整数の上にしか確率を持たないので、正規分布の面積で近似するときは、整数 kk の確率を「k−0.5k-0.5 から k+0.5k+0.5 までの幅1の棒の面積」とみなす。これを連続補正と呼ぶ。不等号の向きごとの書き換えは次の4つで、「その整数の棒を含めたい側へ、境界を 0.50.5 外へ広げる」と覚える。

  1. P(X≥k)≈P(Y≥k−0.5)P(X\ge k)\approx P(Y\ge k-0.5)(kk の棒を含める)
  2. P(X≤k)≈P(Y≤k+0.5)P(X\le k)\approx P(Y\le k+0.5)(kk の棒を含める)
  3. P(X>k)=P(X≥k+1)≈P(Y≥k+0.5)P(X>k)=P(X\ge k+1)\approx P(Y\ge k+0.5)(kk の棒を含めない)
  4. P(X<k)=P(X≤k−1)≈P(Y≤k−0.5)P(X<k)=P(X\le k-1)\approx P(Y\le k-0.5)(kk の棒を含めない)

ここで Y∼N(np,np(1−p))Y\sim\mathrm{N}(np,np(1-p)) である。補正をしないと、境界の整数の棒の半分が抜けるか余分に入る。その棒の確率は nn が大きくなると小さくなるので、補正の影響は nn が小さいときほど大きい(図 8.2)。

図

図 8.2 Bin(20,0.4)\mathrm{Bin}(20,0.4) の確率(棒)と、平均・分散をそろえた正規分布 N(8,4.8)\mathrm{N}(8,4.8) の密度(曲線)。紺の棒の和 P(X≥10)=0.2447P(X\ge10)=0.2447 を、曲線の下の x≥9.5x\ge9.5 の面積(薄く塗った部分)0.24680.2468 で近似するのが連続補正である。境界を 1010 にとると面積は 0.18070.1807 になり、k=10k=10 の棒の左半分が抜ける。

例題 8.8 6の目の回数の正規近似 ★★★

オリジナル公平なサイコロを 180180 回振り、6の目が出た回数を XX とする。

  1. XX の期待値と標準偏差を求め、正規近似の目安を満たすことを確かめよ。
  2. P(X≥36)P(X\ge36) を、連続補正をした正規近似で求めよ。補正をしない場合の値も求め、二項分布の正確な値 0.13640.1364 と比べよ。
解答

(1) X∼Bin(180,1/6)X\sim\mathrm{Bin}(180,1/6) なので E[X]=180/6=30E[X]=180/6=30、V[X]=180×16×56=25V[X]=180\times\frac16\times\frac56=25 で、標準偏差は 55 である。np=30≥5np=30\ge5、n(1−p)=150≥5n(1-p)=150\ge5 で目安を満たす。

(2) 規則 1 から、Y∼N(30,25)Y\sim\mathrm{N}(30,25) として

P(X≥36)≈P(Y≥35.5)=P(Z≥35.5−305)=P(Z≥1.1)=1−0.8643=0.1357P(X\ge36)\approx P(Y\ge35.5)=P\Bigl(Z\ge\frac{35.5-30}5\Bigr)=P(Z\ge1.1)=1-0.8643=0.1357

となる。補正をしないと P(Z≥(36−30)/5)=P(Z≥1.2)=1−0.8849=0.1151P(Z\ge(36-30)/5)=P(Z\ge1.2)=1-0.8849=0.1151 である。正確な値 0.13640.1364 との差は、補正ありで 0.00070.0007、補正なしで 0.02130.0213 で、補正をすると誤差はおよそ30分の1になる。

例題 8.9 Chebyshev の不等式と中心極限定理で必要な nn を比べる ★★

オリジナル例題 8.6 のサイコロについて、P(∣Xˉn−3.5∣≥0.1)≤0.05P(\lvert \bar X_n-3.5\rvert \ge0.1)\le0.05 となる nn を中心極限定理で求め、Chebyshev の不等式による n≥5834n\ge5834 と比べよ。

解答

σ2=35/12\sigma^2=35/12 で、中心極限定理から Xˉn≈N(3.5,σ2/n)\bar X_n\approx\mathrm{N}(3.5,\sigma^2/n) とする。P(∣Z∣≥1.96)=0.05P(\lvert Z\rvert \ge1.96)=0.05 なので、条件は 0.1≥1.96 σ/n0.1\ge1.96\,\sigma/\sqrt n、すなわち

n≥(1.96 σ0.1)2=1.962×35/120.01=3.8416×2.91670.01=1120.5n\ge\Bigl(\frac{1.96\,\sigma}{0.1}\Bigr)^2=\frac{1.96^2\times35/12}{0.01}=\frac{3.8416\times2.9167}{0.01}=1120.5

で、n≥1121n\ge1121 である。Chebyshev の不等式による 58345834 のおよそ5分の1である。Chebyshev の不等式は、平均と分散が同じであればどんな分布でも成り立つ上界なので、正規分布に近いと分かっている場合には大きすぎる値を出す。1.962=3.841.96^2=3.84 と 1/0.05=201/0.05=20 の比がそのまま nn の比になっている。

確認テスト

オリジナル

  1. 8.5-1 平均 μ\mu・分散 σ2\sigma^2 の母集団からの無作為標本について、次のうち中心極限定理を使わなければ言えないものを選べ。(a) E[Xˉ]=μE[\bar X]=\mu (b) V[Xˉ]=σ2/nV[\bar X]=\sigma^2/n (c) nn が大きいとき P(Xˉ≤μ+σ/n)≈0.84P(\bar X\le\mu+\sigma/\sqrt n)\approx0.84 (d) 母集団が正規分布なら Xˉ\bar X は正規分布に従う
  2. 8.5-2 U1,…,U12U_1,\dots,U_{12} を独立に (0,1)(0,1) の一様分布に従う確率変数とし、T=U1+⋯+U12−6T=U_1+\cdots+U_{12}-6 と置く。E[T]=0E[T]=0、V[T]=1V[T]=1 を示し、P(∣T∣>2)P(\lvert T\rvert >2) を中心極限定理で近似せよ。
  3. 8.5-3 X∼Bin(200,0.3)X\sim\mathrm{Bin}(200,0.3) のとき、P(50≤X≤70)P(50\le X\le70) を連続補正をした正規近似で求めよ。
  4. 8.5-4 X∼Po(100)X\sim\mathrm{Po}(100) は、独立な Po(1)\mathrm{Po}(1) に従う100個の確率変数の和と同じ分布を持つ(第5章 ポアソン分布の再生性)。このことを使って P(X≥120)P(X\ge120) を連続補正をした正規近似で求めよ。
  5. 8.5-5 1袋の重さが平均 250250 g、標準偏差 1010 g の袋菓子を独立に40袋集めた箱の総重量 WW について、P(W>10100)P(W>10100) を中心極限定理で近似せよ。

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