統計学の復習 第12章 §12.4 ★★★ 有意水準 α の両側検定で μ0 が棄却されないことと、μ0 が信頼係数 1−α の信頼区間に入ることは同値である
棄却域を標本平均で書く
棄却域は検定統計量の値の集まりとして決めるが、Xˉ の値で書き直すこともできる。母分散既知、H0:μ=μ0、H1:μ=μ0 の有意水準 α の検定では
∣Z∣>zα/2⟺Xˉ<μ0−zα/2nσ または Xˉ>μ0+zα/2nσ
である。採択域は μ0 を中心とする幅 2zα/2σ/n の区間で、その両外側が棄却域になる。棄却域の端の値を臨界値(棄却限界)と呼ぶ。
例題 12.1 で見たように、統計量が離散型のときは、H0 のもとで棄却域に入る確率を α にちょうど合わせられないことがある。そのときは確率が α を超えない範囲で最も広い棄却域を取り、実際の棄却の確率は α より小さくなる。確率を α にちょうど合わせるために境界の点でくじを引く方法(確率化検定)は、数理統計の解説 第7章で扱う。
区間推定と検定の双対性
検定の採択域と第10章の信頼区間は、同じ不等式の2つの読み方である。
定理 12.5(信頼区間と検定の双対性)
母分散既知の正規母集団からの標本で、H0:μ=μ0、H1:μ=μ0 の有意水準 α の両側 z 検定を考える。このとき
H0 を棄却しない⟺μ0∈[ xˉ−zα/2nσ, xˉ+zα/2nσ ]
である。右辺の区間は第10章の信頼係数 1−α の信頼区間である。したがって、有意水準 α の検定で棄却されない μ0 の全体が、信頼係数 1−α の信頼区間になる。
証明
e=zα/2σ/n と置く。棄却しないことは ∣xˉ−μ0∣≤e と同値である。この不等式は
−e≤xˉ−μ0≤e⟺xˉ−e≤μ0≤xˉ+e
と書き換えることができる(各辺から xˉ を引いて −1 を掛け、左右を入れ替えた)。右端は μ0 が区間に入ることそのものである。
検定は「μ0 を固定して xˉ が μ0 の周りの採択域に入るか」を見て、区間推定は「xˉ を固定して μ0 が xˉ の周りの区間に入るか」を見ている。不等式 ∣xˉ−μ0∣≤e は同じで、どちらの文字について解くかだけが違う。片側検定は片側の信頼限界と同じ関係にある(第10章 §10.2 の片側の信頼限界)。t 検定と t 区間についても、zα/2 と σ を tn−1(α/2) と s に取り替えて同じことが成り立つ(確認テスト 12.4-4)。
例題 12.4 信頼区間から検定の結論を読む ★★★
オリジナル菓子の例(σ=6、n=36、xˉ=202.3)について答えよ。
- 母平均の 95% 信頼区間を求め、μ0=200, 201, 204, 205 のそれぞれについて、有意水準 5% の両側検定の結論を答えよ。
- 99% 信頼区間を求め、μ0=200 の有意水準 1% の両側検定の結論を答えよ。例題 12.2 の p 値と矛盾しないことを確かめよ。
解答
(1) 標準誤差は 1 なので、区間は 202.3±1.96=[200.34, 204.26] である。定理 12.5 から、区間に入る μ0=201, 204 は棄却されず、区間の外の μ0=200, 205 は棄却される。たとえば μ0=204 なら zobs=(202.3−204)/1=−1.7 で ∣−1.7∣<1.96、μ0=205 なら zobs=−2.7 で棄却域に入り、区間による判定と一致する。
(2) 区間は 202.3±2.576=[199.72, 204.88] で、200 を含むので μ0=200 は有意水準 1% では棄却されない。例題 12.2 の両側の p 値は 0.0214 で、0.01<p<0.05 である。したがって 5% では棄却し 1% では棄却しないはずで、95% 区間が 200 を含まず 99% 区間が含むことと一致する。
確認テスト
オリジナル
- 12.4-1 母標準偏差 10 が既知の正規母集団から n=25 の標本を取り、H0:μ=80、H1:μ=80 を有意水準 1% で検定する。棄却域を Xˉ の範囲で書け(z0.005=2.576)。
- 12.4-2 ある母平均の 95% 信頼区間が [12.4, 15.8] であった。(a) μ0=12, 15, 16 のそれぞれについて、有意水準 5% の両側検定の結論を答えよ。(b) μ0=12 の有意水準 1% の両側検定の結論は、この区間だけから分かるか。
- 12.4-3 硬貨を10回投げ、H0:θ=1/2、H1:θ>1/2 を「X≥k なら棄却」の形で有意水準 5% で検定する。最小の k と、そのときの実際の棄却の確率を求めよ。
- 12.4-4 正規母集団で母分散が未知のとき、T=(Xˉ−μ0)/(S/n) を使う有意水準 α の両側検定で H0:μ=μ0 が棄却されないことと、μ0 が第10章の t 分布による信頼係数 1−α の区間に入ることが同値であることを示せ。
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