仮説検定とは
AI 生成・木下が未勉強
統計学の復習 第12章 §12.1 ★★★ 母数を1つの値に仮定すると統計量の分布が決まる。観測値がその分布で珍しすぎれば仮定を棄てる、という確率版の背理法
この章は、対策本の第22章(仮説検定の準備)と第23章(平均の検定)に当たる。
第10章では、分布が母数によらない量(ピボット)を作り、その確率の式を母数について解いて信頼区間を組んだ。仮説検定は同じ道具を逆向きに使う。母数の値を1つ仮定すると、統計量の分布が完全に決まる。その分布のもとで観測値がどれだけ珍しいかを確率で測り、珍しすぎれば最初の仮定を棄てる。区間推定が「 はどのあたりにあるか」に答えるのに対して、検定は「 は特定の値 と異なるといえるか」という二択の問いに答える。
前半の5節(§12.1〜§12.5)では、検定の論理・用語・2種類の誤り・棄却域・片側と両側を、母分散が既知の正規母集団という最も簡単な場面で立てる。後半の4節(§12.6〜§12.9)では、母分散が未知の場面に移り、第10章の 分布を使って1標本の両側・片側の検定と、2標本の検定を組む。
2級の検定問題での誤りは、 値を「帰無仮説が正しい確率」と読む、片側と両側で臨界値を取り違える、 を使うべき所で を使う、対応の有無を見落とす、の4つに集中する。この章ではそれぞれがなぜ誤りになるかを、検定の定義から説明する。1級との関係では、第2種の過誤の確率(検出力)を母数の関数として計算すること、区間推定と検定が同じ不等式の2つの読み方であること、の2点が統計数理の検定の大問の出発点になる。一般論は数理統計の解説 第7章で扱う。
見えている差は本物か
ある菓子の袋には内容量 と表示されている。製造工程の記録から、1袋の内容量は標準偏差 の正規分布に従うことが分かっている。36袋を無作為に選んで量ったところ、平均は であった。この工程の母平均 は からずれているといえるだろうか。
標本平均は標本を取り直すたびに変わる確率変数なので、 が でなかったというだけでは何も結論することができない。 であっても、 が にちょうど一致する確率は である。問題は「 のずれが、標本のばらつきで説明できる大きさかどうか」である。
問いを裏返す
の値は分からないので、「 はいくつか」を直接問うことはできない。そこで問いを裏返し、「もし だとしたら、 はどれくらい珍しいか」を問う。この問いには答えを計算することができる。 と値を1つに決めれば、第8章の標本平均の分布と第6章の再生性から
となり、 のばらつき方が完全に分かるからである。標準化した
は標準正規分布に従う。観測値を入れると である。 の世界で となる確率は、第6章の対称性 から
である。 が正しいなら、今回のずれ以上のずれは約 の確率でしか起こらない。
ここで推論は2通りに分かれる。 が正しく、約 でしか起きないことがたまたま起きたと考えるか、 という仮定の方が誤っていると考えるかである。仮説検定は、珍しさの基準をあらかじめ決めておき(たとえば )、観測値がその基準より珍しければ後者を選ぶ手続きである。
確率版の背理法
この論理は数学の背理法に似ている。背理法は「仮定から矛盾が出たので仮定は偽」と結論する。検定は「仮定のもとでは滅多に起きないことが起きたので、仮定を疑う」と結論する。矛盾の代わりに「確率が小さい」を使うので、結論が誤っている可能性が残る。仮定が本当は正しいのに棄ててしまう確率がそれで、§12.3 で第1種の過誤と呼ぶ量になる。
仮定する側を帰無仮説 、その否定の側を対立仮説 と呼ぶ。菓子の例では
である。 が等号の形をしているのは慣習ではない。上の計算は「 を1つの値に決めれば の分布が決まる」ことに依存していた。 という仮定からは、 が なのか なのかが決まらないので、 の分布も1つに決まらず、珍しさを計算することができない。したがって、確率を計算する側、すなわち値が1つに決まる側を に置く。
この非対称性から、結論の強さも非対称になる。 を棄却したときは「 のもとでは滅多に起きないことが起きた」という根拠がある。一方、棄却しなかったときに言えるのは「 のもとでも起こりうる値だった」ことだけで、 のもとでも同じくらい起こりうる値だったかもしれない。棄却しなかったことは、 が正しいことの証拠にならない。このため、データで示したい主張は の側に置く。
検定の手順
- 帰無仮説 (値が1つに決まる側)と対立仮説 (示したい側)を立てる。
- 有意水準 (珍しさの基準。 や )を、データを見る前に決める。
- のもとで分布が完全に分かる統計量(検定統計量)を選ぶ。
- のもとでの確率が になる、 の方向の珍しい値の集まり(棄却域)を決める。
- 観測値から統計量を計算し、棄却域に入れば を棄却し、入らなければ棄却しない。
菓子の例で とすると、棄却域は で、 はこれに入る。したがって「有意水準 で、母平均は と異なる」と結論する。
例題 12.1 硬貨の偏りを二項分布で検定する ★★
オリジナルある硬貨を20回投げたところ、表が16回出た。表の出る確率を とし、「この硬貨は表が出やすい」かどうかを有意水準 で調べる。
- 帰無仮説と対立仮説を立て、 のもとで表の回数 が16以上になる確率を求めて結論を述べよ。
- 「 なら棄却」という形の規則で、 のもとで棄却する確率が 以下になる最小の を求めよ。そのときの棄却する確率はいくらか。
解答
(1) 示したいのは「表が出やすい」なので 、値が1つに決まる側を とする。 のもとで なので
である。 のもとで16回以上は約 でしか起きず、 より小さいので を棄却し、「表が出やすい」と結論する。
(2) 、 なので
である。 では を超えるので、最小の は である。そのとき のもとで棄却する確率は で、 にちょうどは一致しない。 は整数の値しかとらないので、棄却する確率もとびとびの値しかとらず、 を超えない最大の値 を選ぶことになる。
確認テスト
オリジナル
- 12.1-1 次の2つの文の誤りを指摘せよ。(a)「主張したい『』を帰無仮説に置き、それが棄却されなければ主張が示されたとする。」(b)「 が棄却されなかったので、 であることが示された。」
- 12.1-2 内容量の母標準偏差が と分かっている飲料で、25本の平均は であった。、 を有意水準 で検定せよ。
- 12.1-3 硬貨を10回投げて表が9回出た。、 として、 のもとで となる確率を求め、有意水準 と での結論をそれぞれ述べよ。
- 12.1-4 のとき、規則「 なら棄却」で を棄却する確率がちょうど になることを、 を使って示せ。
木下の勉強ステータス
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