統計学の復習 第12章 §12.7 ★★ 上側なら T>tn−1(α) で棄却する。α を半分にしない。帰無仮説を不等号で書いても、境界の値で第1種の過誤の確率が最大になる
片側の棄却域
H1:μ>μ0 のときは、Xˉ が μ0 より大きいほど H1 の証拠になるので、棄却域を右の裾に置く。H0 のもとで T∼tn−1 なので
棄却域: T>tn−1(α),p=P(Tn−1≥tobs)
である。H1:μ<μ0 なら左の裾に置き、棄却域は T<−tn−1(α)、p=P(Tn−1≤tobs) である。臨界値は tn−1(α) で、両側の tn−1(α/2) と取り違えないように注意する。t 分布表の「上側確率 0.05」の列は、片側 5% と両側 10% の臨界値である。
帰無仮説を不等号で書く場合
命題 12.6 と同じことが、母分散が未知の t 検定でも成り立つ。
命題 12.8(片側 t 検定の第1種の過誤の確率)
規則「T=(Xˉ−μ0)/(S/n)>tn−1(α) なら棄却」は、真の母平均が μ≤μ0 のどの値でも、棄却する確率が α 以下である。
証明
真の母平均 μ を使った Tμ=(Xˉ−μ)/(S/n) は tn−1 に従う。T はこれを使って
T=S/nXˉ−μ+S/nμ−μ0=Tμ+S(μ−μ0)n
と書くことができる。μ≤μ0 で S>0 なので第2項は 0 以下で、どの標本でも T≤Tμ である。したがって事象 {T>tn−1(α)} は事象 {Tμ>tn−1(α)} に含まれ、
Pμ(T>tn−1(α))≤P(Tμ>tn−1(α))=α
である。μ=μ0 のとき T=Tμ で等号が成り立つ。
この証明は、σ が未知で T の分布が μ=μ0 では t 分布でなくなる場合にも、分布を計算せずに不等式だけで結論を出している。標本ごとに2つの確率変数の大小を比べ、事象の包含から確率の大小を出す方法である。
例題 12.7 上側の片側 t 検定 ★★★
オリジナル従来の飼料での子豚の1か月の増体重の平均は 30.0kg である。新しい飼料を16頭に与えたところ、増体重の平均は 31.64kg、不偏標準偏差は 2.88kg であった。増体重は正規分布に従うとする。
- 新しい飼料で増体重が増えたといえるかを、有意水準 5% で検定せよ(t15(0.05)=1.753)。
- 有意水準 1% ではどうか(t15(0.01)=2.602)。p 値の範囲を答えよ。
解答
(1) 示したいのは「増えた」なので H0:μ=30.0、H1:μ>30.0 の上側検定である。標準誤差は 2.88/16=0.72 で
tobs=0.7231.64−30.0=0.721.64=2.278
である。2.278>1.753 なので H0 を棄却し、増体重は増えたと結論する。
(2) 2.278<2.602 なので、有意水準 1% では棄却しない。t15(0.025)=2.131<2.278<2.602=t15(0.01) なので、p 値は 0.01<p<0.025 の範囲にある(計算すると p=0.019)。
確認テスト
オリジナル
- 12.7-1 ある部品の重さの基準は 10.0g 以上である。25個の平均が 9.4g、不偏標準偏差が 1.5g のとき、「基準を下回っている」といえるかを有意水準 5% で検定せよ(t24(0.05)=1.711)。
- 12.7-2 n=9 の標本で H0:μ=μ0、H1:μ<μ0 を有意水準 1% で検定する。棄却域を T で書け(t8(0.01)=2.896)。
- 12.7-3 上側の片側 t 検定で、自由度 15、tobs=2.0 であった。t 分布表の t15(0.05)=1.753、t15(0.025)=2.131 から p 値の範囲を答え、有意水準 5% での結論を述べよ。
- 12.7-4 n=12、xˉ=52.1、不偏標準偏差 3.5 のとき、μ0=50 について、上側の片側検定と両側検定をそれぞれ有意水準 5% で行え(t11(0.05)=1.796、t11(0.025)=2.201)。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com