この章のまとめと試験での出方
AI 生成・木下が未勉強
統計学の復習 第13章 §13.5
この章では、度数のデータの検定を4つ組み立てた。
母比率の検定では、 の下での の分布を二項分布の正規近似で求め、標準誤差に を入れた。検定は の世界での分布を計算する手続きなので、 が指定した値をそのまま使う。この検定を裏返すと、第11章の Wilson の区間が得られる。母比率の差の検定では、差の分散 に を入れて を括り出し、共通の を2群をまとめた比率で推定した。区間推定では を置かないので、各群の比率を入れる。2群の大きさが大きく違い比率が小さいと、非プールの検定は有意水準を保たない。
適合度検定と独立性検定は、どちらも Pearson の を使う。カテゴリが2つの場合、 は母比率の検定の に厳密に一致し、 表の はプールした比率の差の に厳密に一致する。 の検定はこの意味で、 検定を多くのカテゴリに広げたものである。自由度は、カテゴリの数から拘束の数を引いて数える。適合度では「カテゴリ数 推定した母数の数」、独立性では同じ数え方から が出る。 はずれのベクトルの長さの2乗なので、検定は常に右片側である。
| 検定 | 帰無仮説 | 統計量 | 帰無分布 |
| 母比率 | |||
| 比率の差 | |||
| 適合度 | 、 | ||
| 独立性 | 、 |
( はデータから推定した母数の数。)
2級でこの章の失点が多いのは、検定の標準誤差に を入れること、比率の差の検定と区間でプールの有無を取り違えること、適合度で推定した母数の分だけ自由度を減らし忘れること、独立性の期待度数を で割ったまま止めること、 の検定を両側にしてしまうこと、の5つである。
1級の統計数理では、多項分布の検定は「尤度を書く → の下と全体とで最尤推定量を求める → 尤度比統計量 を作る → と が近似的に等しいことを対数の展開で示す → 自由度をパラメータの次元の差で数える」という小問の連鎖で問われる。 と の関係、 が に近づくことの証明(多次元の中心極限定理と射影)、推定した母数による自由度の減少は数理統計の解説 第7章 §7.3・§7.4 で扱う。この章の の計算は、その一般の証明を2級の道具で確かめた特別な場合にあたる。統計応用(理工学)では、分割表の独立性の検定や、不良品の発生率の比較が、手続きと解釈の問題として出る。
次の総合問題は、本章の比率の差の検定と 表を、第5章・第7章の分散の計算、第11章の差の区間推定、第12章の 値につなぐ。
総合問題 ウェブページの2つの版の比較 ★★★
オリジナルあるウェブページの2つの版 A・B を、訪問者に無作為に割り当てて表示した。A を見た 人のうち 人、B を見た 人のうち 人が申し込んだ。、 は独立とする。
- (1) ()の期待値と分散を求めよ。(使う道具:第5章 二項分布の平均と分散、第7章 独立な確率変数の差の分散)
- (2) の下で、プールした比率 が の不偏推定量であることを示し、 を標準化した検定統計量 を書け。(使う道具:本章 §13.2)
- (3) を 表とみたときの独立性の統計量 が、(2) の の2乗に等しいことを示せ。(使う道具:本章 §13.4)
- (4) 、、、 だった。 の値と両側検定の 値を求め、有意水準 で結論を述べよ。 の値も求めよ。(使う道具:本章 §13.2、第12章 値)
- (5) 同じデータで の95% 信頼区間を求めよ。区間が を含むかを調べ、(4) の結論と食い違う場合はその理由を説明せよ。(使う道具:第11章 母比率の差の信頼区間)
解答
(1) 、 から、、 である。期待値の線形性から で、 と が独立なので共分散は 、 から
(2) の下で なので で、 は不偏である。また (1) で とおくと 、 で、 を で推定して
とする。 の下で、 が大きければ は近似的に に従う。
(3) 、、、 とおくと、行の和は 、第1列の和は である。定理 13.7 の証明のとおり、、(、、)なので、
(4) 、、 である。 で、
から である。両側の 値は で、 をわずかに上回るので、有意水準 では を棄却しない。 で、 をわずかに下回る。
(5) 非プールの標準誤差は
で、区間は
である。区間は をわずかに含まず、「差 は区間の外」と読める一方、(4) の検定は差 を棄却しない。
食い違いの原因は、2つの手続きが別の標準誤差を使っていることにある。検定は の下での分散を使い、プールした標準誤差 を、区間は を置かずに非プールの標準誤差 を使った。分散を項ごとに比べると、プールでは 、非プールでは である。比率の大きい A の群は が全体の より大きいが、人数が多く の重みが小さい。比率の小さい B の群は と小さく、人数が少なく重みが大きい。重みの大きい側で が小さいので、非プールの分散の方が小さくなった。そのため区間がわずかに狭くなり、境目のすぐ近くにある差 について結論が分かれた。§13.1 で見たように、検定と区間が厳密に裏返しになるのは、同じ標準誤差の作り方を使ったときだけである。このように境目の近くで結論が分かれたときは、「 でちょうど境目にある差」と報告し、片方の結論だけを強く主張しないのが妥当である。
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