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確率変数と確率分布の収束

2026年10月15日17分で読めますAI生成教科書『資格試験』第5章 標本分布とその近似
目次
  1. 収束の種類
  2. Chebyshev の不等式と大数の法則
  3. 中心極限定理
  4. 二項分布の正規近似と連続修正。
  5. 二項分布のポアソン近似。
  6. Slutsky の定理とデルタ法
  7. 確認テスト
  8. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

数理統計 第5章 §5.3 ★★★ 確率収束・分布収束、大数の法則、中心極限定理、Slutsky、デルタ法。近似分布と漸近的な信頼区間の基礎

正規母集団でなければ、統計量の厳密な分布はたいてい求まらない。そこで標本の大きさ nn を大きくしたときの極限の分布で近似する。この節では、まず「確率変数の列が収束する」ことの意味を定め、次に統計で繰り返し使う4つの定理(大数の法則、中心極限定理、Slutsky の定理、デルタ法)を示す。

収束の種類

定義 5.11(確率収束・分布収束・平均二乗収束)

確率変数の列 T1,T2,…T_1,T_2,\dots と確率変数 TT(定数でもよい)について、

  1. 任意の ε>0\varepsilon>0 で次が成り立つとする。

P(∣Tn−T∣>ε)→0.P(|T_n-T|>\varepsilon)\to0 .

このとき TnT_n は TT に確率収束するという。記号では Tn→PTT_n\xrightarrow{P}T と書く。2. TT の分布関数を FTF_T とする。FTF_T の連続点 xx のすべてで次が成り立つとする。

P(Tn≤x)→FT(x).P(T_n\le x)\to F_T(x) .

このとき TnT_n は TT に分布収束(法則収束)するという。記号では Tn→dTT_n\xrightarrow{d}T と書く。極限の分布の名前を書いて Tn→dN(0,1)T_n\xrightarrow{d}\mathrm{N}(0,1) のようにも書く。3. E[(Tn−T)2]→0E[(T_n-T)^2]\to0 が成り立つとする。このとき TnT_n は TT に平均二乗収束するという。

推定量 θ^n\hat\theta_n が母数 θ\theta に確率収束するとする。このとき θ^n\hat\theta_n は一致推定量であるという。

このほかに、確率1で数列として収束する概収束がある(強い意味の収束で、強大数の法則がこの形)。1級の範囲では確率収束と分布収束を使い分けられれば足りる。

強さの関係は「平均二乗収束 ⇒\Rightarrow 確率収束 ⇒\Rightarrow 分布収束」で、逆は一般には成り立たない。ただし極限が定数 cc のときは分布収束と確率収束は同じになる(確認テスト 5.3-5)。

分布収束の定義で連続点に限る理由を例で見る。Tn=1/nT_n=1/n(定数)は0に収束する。ところが P(Tn≤0)=0P(T_n\le0)=0 は F0(0)=1F_0(0)=1 に収束しない。不連続点0を除外しないと、この自然な収束が収束にならない。

Chebyshev の不等式と大数の法則

補題 5.12(Markov と Chebyshev の不等式)

Y≥0Y\ge0 なら、任意の a>0a>0 で次が成り立つ(Markov)。

P(Y≥a)≤E[Y]a.P(Y\ge a)\le\frac{E[Y]}{a}.

とくに分散が有限な XX について

P(∣X−E[X]∣≥ε)≤V[X]ε2(Chebyshev).(5.11)P(|X-E[X]|\ge\varepsilon)\le\frac{V[X]}{\varepsilon^2}\qquad(\text{Chebyshev}).\tag{5.11}

証明

1{⋅}\bm 1\{\cdot\} を事象の指示関数とする。Y≥0Y\ge0 なので、次の不等式が常に成り立つ。

Y≥a⋅1{Y≥a}.Y\ge a\cdot\bm 1\{Y\ge a\}.

期待値をとれば E[Y]≥aP(Y≥a)E[Y]\ge aP(Y\ge a)。Chebyshev は Y=(X−E[X])2Y=(X-E[X])^2、a=ε2a=\varepsilon^2 とおけばよい。

定理 5.13(大数の弱法則)

母集団分布の平均を μ\mu、分散を σ2<∞\sigma^2<\infty とする。その無作為標本について Xˉ→Pμ\bar X\xrightarrow{P}\mu。

証明

Chebyshev の不等式 (5.11) に V[Xˉ]=σ2/nV[\bar X]=\sigma^2/n を入れると

P(∣Xˉ−μ∣≥ε)≤σ2nε2→0.P(|\bar X-\mu|\ge\varepsilon)\le\frac{\sigma^2}{n\varepsilon^2}\to0 .

(分散が有限でなくても平均が存在すれば成り立つが、その証明は特性関数か切断の議論が要る。試験では上の形で十分である。)大数の法則を Xi2X_i^2 に使えば 1n∑Xi2→PE[X2]\frac1n\sum X_i^2\xrightarrow{P}E[X^2] となる。これと恒等式 (5.3)、次の連続写像定理から S2→Pσ2S^2\xrightarrow{P}\sigma^2 も出る(4次の積率が無くても成り立つ)。

定理 5.14(連続写像定理)

gg を連続関数とする。このとき次が成り立つ。

  1. Tn→PTT_n\xrightarrow{P}T なら g(Tn)→Pg(T)g(T_n)\xrightarrow{P}g(T)。
  2. Tn→dTT_n\xrightarrow{d}T なら g(Tn)→dg(T)g(T_n)\xrightarrow{d}g(T)。

極限が定数 cc で、gg がその点で連続な場合を考える。この場合の確率収束の主張は、ε\varepsilon-δ\delta で直ちに示せる。gg は cc で連続である。よって任意の ε\varepsilon に対し、次を満たす δ\delta がある。

∣t−c∣≤δ ⇒ ∣g(t)−g(c)∣≤ε.|t-c|\le\delta\ \Rightarrow\ |g(t)-g(c)|\le\varepsilon .

よって P(∣g(Tn)−g(c)∣>ε)≤P(∣Tn−c∣>δ)→0P(|g(T_n)-g(c)|>\varepsilon)\le P(|T_n-c|>\delta)\to0。

一般の場合の証明は測度論の道具を使うので省く。1級で使うのはほとんど極限が定数の場合である。

中心極限定理

定理 5.15(中心極限定理)

母集団分布の平均を μ\mu、分散を σ2∈(0,∞)\sigma^2\in(0,\infty) とする。その無作為標本について

n(Xˉ−μ)σ→dN(0,1).(5.12)\frac{\sqrt n(\bar X-\mu)}{\sigma}\xrightarrow{d}\mathrm{N}(0,1).\tag{5.12}

証明

積率母関数が0の近くで存在する場合に示す(一般の場合は特性関数で同じ計算をする)。Yi=(Xi−μ)/σY_i=(X_i-\mu)/\sigma とおく。すると E[Yi]=0E[Y_i]=0、V[Yi]=1V[Y_i]=1 である。このとき

Zn=n(Xˉ−μ)σ=1n∑Yi.Z_n=\frac{\sqrt n(\bar X-\mu)}{\sigma}=\frac{1}{\sqrt n}\sum Y_i .

独立性から

MZn(u)={MY(un)}n.M_{Z_n}(u)=\Bigl\{M_Y\Bigl(\frac{u}{\sqrt n}\Bigr)\Bigr\}^n .

MY(s)M_Y(s) を s=0s=0 のまわりで Taylor 展開する。係数は次のとおりである。

MY(0)=1,MY′(0)=E[Y]=0,MY′′(0)=E[Y2]=1.M_Y(0)=1,\qquad M_Y'(0)=E[Y]=0,\qquad M_Y''(0)=E[Y^2]=1 .

よって MY(s)=1+s2/2+r(s)M_Y(s)=1+s^2/2+r(s) と書ける。ただし s→0s\to0 で r(s)/s2→0r(s)/s^2\to0 である。s=u/ns=u/\sqrt n を入れて対数をとると

log⁡MZn(u)=nlog⁡{1+u22n+r(un)}.\log M_{Z_n}(u)=n\log\Bigl\{1+\frac{u^2}{2n}+r\Bigl(\frac{u}{\sqrt n}\Bigr)\Bigr\}.

ここで次の2つを使う。

log⁡(1+h)=h+O(h2),n r(un)=u2⋅r(u/n)(u/n)2→0.\log(1+h)=h+\mathcal{O}(h^2),\qquad n\,r\Bigl(\frac{u}{\sqrt n}\Bigr)=u^2\cdot\frac{r(u/\sqrt n)}{(u/\sqrt n)^2}\to0 .

すると右辺は u2/2u^2/2 に収束する。eu2/2\mathrm{e}^{u^2/2} は N(0,1)\mathrm{N}(0,1) の積率母関数である。積率母関数が0の近傍で各点収束すれば分布が収束する(積率母関数の連続性定理)ので、(5.12) を得る。

中心極限定理は「Xˉ\bar X はおよそ N(μ,σ2/n)\mathrm{N}(\mu,\sigma^2/n) に従う」と使う。これを和で書けば ∑Xi\sum X_i はおよそ N(nμ,nσ2)\mathrm{N}(n\mu,n\sigma^2) である。

二項分布の正規近似と連続修正。

X∼Bin(n,p)X\sim\mathrm{Bin}(n,p) はベルヌーイの和である。よって (X−np)/np(1−p)(X-np)/\sqrt{np(1-p)} はおよそ N(0,1)\mathrm{N}(0,1) に従う。XX は整数値である。そのため P(X≥k)P(X\ge k) を近似するときは、区間 [k−12,k+12)[k-\frac12,k+\frac12) の幅を考えて

P(X≥k)≈1−Φ(k−12−npnp(1−p))P(X\ge k)\approx1-\Phi\Bigl(\frac{k-\frac12-np}{\sqrt{np(1-p)}}\Bigr)

とする。これを連続修正という。

ポアソン分布 Po(λ)\mathrm{Po}(\lambda) も、λ\lambda が大きければ正規分布で近似できる。Po(λ)\mathrm{Po}(\lambda) を、Po(1)\mathrm{Po}(1) に従う独立な変数の和と見る。項の数は λ\lambda 個である(整数でなくても再生性から同じ)。そうして N(λ,λ)\mathrm{N}(\lambda,\lambda) で近似する。

二項分布のポアソン近似。

np=λnp=\lambda を一定に保って n→∞n\to\infty とする。このとき Bin(n,λ/n)\mathrm{Bin}(n,\lambda/n) の確率関数は

(nk)(λn)k(1−λn)n−k=λkk!⋅n(n−1)⋯(n−k+1)nk⋅(1−λn)n(1−λn)−k→λkk!e−λ\binom nk\Bigl(\frac\lambda n\Bigr)^k\Bigl(1-\frac\lambda n\Bigr)^{n-k} =\frac{\lambda^k}{k!}\cdot\frac{n(n-1)\cdots(n-k+1)}{n^k}\cdot\Bigl(1-\frac\lambda n\Bigr)^{n}\Bigl(1-\frac\lambda n\Bigr)^{-k} \to\frac{\lambda^k}{k!}\mathrm{e}^{-\lambda}

となる(第2因子と第4因子は1に、第3因子は e−λ\mathrm{e}^{-\lambda} に収束する)。これは中心極限定理とは別の極限で、まれな事象の回数の近似に使う。

Slutsky の定理とデルタ法

定理 5.16(Slutsky の定理)

Xn→dXX_n\xrightarrow{d}X、Yn→PcY_n\xrightarrow{P}c(定数)なら

Xn+Yn→dX+c,YnXn→dcX,Xn/Yn→dX/c (c≠0).X_n+Y_n\xrightarrow{d}X+c,\qquad Y_nX_n\xrightarrow{d}cX,\qquad X_n/Y_n\xrightarrow{d}X/c\ (c\ne0).

証明

和の場合を示す。XX の分布関数を FXF_X とする。FXF_X の連続点を1つとり、それを x−cx-c と書く。さらに ε>0\varepsilon>0 を、x−c±εx-c\pm\varepsilon も連続点になるように選ぶ(不連続点は高々可算個なので選べる)。

2つの事象 Xn+Yn≤xX_n+Y_n\le x と ∣Yn−c∣≤ε|Y_n-c|\le\varepsilon が同時に起きるとする。このとき Xn≤x−c+εX_n\le x-c+\varepsilon なので

P(Xn+Yn≤x)≤P(Xn≤x−c+ε)+P(∣Yn−c∣>ε).P(X_n+Y_n\le x)\le P(X_n\le x-c+\varepsilon)+P(|Y_n-c|>\varepsilon).

逆に、Xn≤x−c−εX_n\le x-c-\varepsilon と ∣Yn−c∣≤ε|Y_n-c|\le\varepsilon が同時に起きるとする。このとき Xn+Yn≤xX_n+Y_n\le x なので

P(Xn+Yn≤x)≥P(Xn≤x−c−ε)−P(∣Yn−c∣>ε).P(X_n+Y_n\le x)\ge P(X_n\le x-c-\varepsilon)-P(|Y_n-c|>\varepsilon).

n→∞n\to\infty とすると P(∣Yn−c∣>ε)→0P(|Y_n-c|>\varepsilon)\to0 である。よって上極限と下極限は次を満たす。

lim sup⁡n→∞P(Xn+Yn≤x)≤FX(x−c+ε),lim inf⁡n→∞P(Xn+Yn≤x)≥FX(x−c−ε).\limsup_{n\to\infty}P(X_n+Y_n\le x)\le F_X(x-c+\varepsilon),\qquad \liminf_{n\to\infty}P(X_n+Y_n\le x)\ge F_X(x-c-\varepsilon).

ε→0\varepsilon\to0 とする。FXF_X は x−cx-c で連続なので

P(Xn+Yn≤x)→FX(x−c)=P(X+c≤x).P(X_n+Y_n\le x)\to F_X(x-c)=P(X+c\le x).

積と商も、∣Yn−c∣≤ε|Y_n-c|\le\varepsilon の事象とその余事象に分けて同じ形で評価できる。

Slutsky の定理は、中心極限定理の σ\sigma を推定量で置き換えるときに使う。分散が有限な任意の母集団で、S→PσS\xrightarrow{P}\sigma なので

n(Xˉ−μ)S=n(Xˉ−μ)σ⋅σS→dN(0,1).(5.13)\frac{\sqrt n(\bar X-\mu)}{S}=\frac{\sqrt n(\bar X-\mu)}{\sigma}\cdot\frac{\sigma}{S}\xrightarrow{d}\mathrm{N}(0,1).\tag{5.13}

正規母集団なら左辺は厳密に tn−1t_{n-1} に従い(系5.8)、正規でなくても nn が大きければ近似的に標準正規に従う。

定理 5.17(デルタ法)

n(Tn−θ)→dN(0,τ2)\sqrt n(T_n-\theta)\xrightarrow{d}\mathrm{N}(0,\tau^2) とする。関数 gg は次の3つを満たすとする。

  • θ\theta で微分可能である。
  • 導関数 g′g' は θ\theta の近くで連続である。
  • g′(θ)≠0g'(\theta)\ne0 である。

このとき

n{g(Tn)−g(θ)}→dN(0, g′(θ)2τ2).(5.14)\sqrt n\{g(T_n)-g(\theta)\}\xrightarrow{d}\mathrm{N}\bigl(0,\ g'(\theta)^2\tau^2\bigr).\tag{5.14}

証明

まず Tn→PθT_n\xrightarrow{P}\theta を確かめる。次のように分解する。

Tn−θ=1n⋅n(Tn−θ).T_n-\theta=\frac{1}{\sqrt n}\cdot\sqrt n(T_n-\theta).

第1因子は0に収束し、第2因子は分布収束する。よって Slutsky の定理(積)から Tn−θ→d0T_n-\theta\xrightarrow{d}0 である。極限が定数なので、これは Tn→PθT_n\xrightarrow{P}\theta と同じである。

平均値の定理から、ある点 θn∗\theta_n^* で次が成り立つ。

n{g(Tn)−g(θ)}=g′(θn∗)⋅n(Tn−θ).\sqrt n\{g(T_n)-g(\theta)\}=g'(\theta_n^*)\cdot\sqrt n(T_n-\theta).

ここで θn∗\theta_n^* は TnT_n と真値の間の点である。∣θn∗−θ∣≤∣Tn−θ∣|\theta_n^*-\theta|\le|T_n-\theta| なので θn∗→Pθ\theta_n^*\xrightarrow{P}\theta である。g′g' の連続性と連続写像定理から g′(θn∗)→Pg′(θ)g'(\theta_n^*)\xrightarrow{P}g'(\theta)。Slutsky の定理(積)を使えば右辺は g′(θ)⋅N(0,τ2)=N(0,g′(θ)2τ2)g'(\theta)\cdot\mathrm{N}(0,\tau^2)=\mathrm{N}(0,g'(\theta)^2\tau^2) に分布収束する。

g′(θ)=0g'(\theta)=0 のとき

このとき (5.14) の極限は0に退化し、n\sqrt n の拡大では足りない。2次の Taylor 展開

g(Tn)−g(θ)≈12g′′(θ)(Tn−θ)2g(T_n)-g(\theta)\approx\frac12g''(\theta)(T_n-\theta)^2

から、次が成り立つ(2次のデルタ法)。

n{g(Tn)−g(θ)}→d12g′′(θ)τ2χ12.n\{g(T_n)-g(\theta)\}\xrightarrow{d}\frac12g''(\theta)\tau^2\chi^2_1 .

例題 5.4 指数分布の率のデルタ法と近似信頼区間 ★★★

オリジナルX1,…,XnX_1,\dots,X_n を Ex(λ)\mathrm{Ex}(\lambda) からの無作為標本とする。

  1. n(1/Xˉ−λ)\sqrt n(1/\bar X-\lambda) の極限分布を求めよ。
  2. n(log⁡Xˉ+log⁡λ)\sqrt n(\log\bar X+\log\lambda) の極限分布を求めよ。
  3. n=50n=50、xˉ=0.4\bar x=0.4 とする。(2) を使って λ\lambda の近似 95% 信頼区間を作れ。z0.025=1.960z_{0.025}=1.960 とする。
解答

指数分布の平均は 1/λ1/\lambda、分散は 1/λ21/\lambda^2 である。よって中心極限定理から

n(Xˉ−1/λ)→dN(0,1/λ2).\sqrt n(\bar X-1/\lambda)\xrightarrow{d}\mathrm{N}(0,1/\lambda^2).

  1. g(x)=1/xg(x)=1/x とすると、次のようになる。

g(1/λ)=λ,g′(x)=−1/x2,g′(1/λ)=−λ2.g(1/\lambda)=\lambda,\qquad g'(x)=-1/x^2,\qquad g'(1/\lambda)=-\lambda^2 .

デルタ法 (5.14) から、漸近分散は λ4⋅(1/λ2)=λ2\lambda^4\cdot(1/\lambda^2)=\lambda^2 である。よって n(1/Xˉ−λ)→dN(0,λ2)\sqrt n(1/\bar X-\lambda)\xrightarrow{d}\mathrm{N}(0,\lambda^2)。2. g(x)=log⁡xg(x)=\log x とする。g(1/λ)=−log⁡λg(1/\lambda)=-\log\lambda、g′(1/λ)=λg'(1/\lambda)=\lambda である。漸近分散は λ2⋅(1/λ2)=1\lambda^2\cdot(1/\lambda^2)=1 で、n(log⁡Xˉ+log⁡λ)→dN(0,1)\sqrt n(\log\bar X+\log\lambda)\xrightarrow{d}\mathrm{N}(0,1)。極限の分散が λ\lambda によらない点が (1) との違いである。3. (2) から P(∣n(log⁡Xˉ+log⁡λ)∣≤1.960)≈0.95P\bigl(|\sqrt n(\log\bar X+\log\lambda)|\le1.960\bigr)\approx0.95。括弧の中を λ\lambda について解くと

1Xˉe−1.960/n≤λ≤1Xˉe1.960/n.\frac{1}{\bar X}\mathrm{e}^{-1.960/\sqrt n}\le\lambda\le\frac1{\bar X}\mathrm{e}^{1.960/\sqrt n}.

1/xˉ=2.51/\bar x=2.5、1.960/50=0.27721.960/\sqrt{50}=0.2772 を入れると

[2.5e−0.2772, 2.5e0.2772]=[1.895, 3.299].[2.5\mathrm{e}^{-0.2772},\,2.5\mathrm{e}^{0.2772}]=[1.895,\,3.299].

(1) を使う方法でも区間は作れる。区間 1/Xˉ±1.960⋅λ/n1/\bar X\pm1.960\cdot\lambda/\sqrt n で、未知の λ\lambda を推定値で置き換えればよい。結果は [1.807, 3.193] である。

(2) は分散が母数によらないので置き換えの誤差が入らず、区間は λ\lambda の大きい側に伸びた非対称な形になる。こうした変換を§5.5 で分散安定化変換として一般化する。

例題 5.5 二項分布の正規近似と連続修正 ★★

オリジナルX∼Bin(100,0.4)X\sim\mathrm{Bin}(100,0.4) とする。P(X≥50)P(X\ge50) を、連続修正をした正規近似と、連続修正をしない正規近似で求めよ。正確な値は 0.0271(小数第4位まで)である。

解答

E[X]=40,V[X]=100⋅0.4⋅0.6=24,24=4.899.E[X]=40,\qquad V[X]=100\cdot0.4\cdot0.6=24,\qquad \sqrt{24}=4.899 .

連続修正をすると、X≥50X\ge50 を連続量の X≥49.5X\ge49.5 と読み替えて

P(X≥50)≈P(Z≥49.5−404.899)=P(Z≥1.939)=0.0262.P(X\ge50)\approx P\Bigl(Z\ge\frac{49.5-40}{4.899}\Bigr)=P(Z\ge1.939)=0.0262 .

連続修正をしないと P(Z≥10/4.899)=P(Z≥2.041)=0.0206P(Z\ge10/4.899)=P(Z\ge2.041)=0.0206。

正確な値 0.0271 との差は、修正ありで 0.0009、修正なしで 0.0065 である。整数の上に乗った確率を連続な密度の面積で近似するとき、X=50X=50 の確率は区間 [49.5,50.5)[49.5,50.5) の面積に対応する。そのため境界を 49.5 に置く方が正しい。

確認テスト

オリジナル

  1. 5.3-1 P(Tn=n)=1/nP(T_n=n)=1/n、P(Tn=0)=1−1/nP(T_n=0)=1-1/n とする。Tn→P0T_n\xrightarrow{P}0 を示し、E[Tn]E[T_n] が0に収束しないことを確かめよ。
  2. 5.3-2 X1,…,XnX_1,\dots,X_n を Po(λ)\mathrm{Po}(\lambda) からの無作為標本とする。n(Xˉ−λ)/Xˉ→dN(0,1)\sqrt n(\bar X-\lambda)/\sqrt{\bar X}\xrightarrow{d}\mathrm{N}(0,1) を示せ。
  3. 5.3-3 成功確率 pp のベルヌーイ標本で、n{Xˉ(1−Xˉ)−p(1−p)}\sqrt n\{\bar X(1-\bar X)-p(1-p)\} の極限分布をデルタ法で求めよ。p=1/2p=1/2 のとき何が起きるか述べよ。
  4. 5.3-4 X∼Po(100)X\sim\mathrm{Po}(100) のとき、P(X≤90)P(X\le90) を連続修正つきの正規近似で求めよ。
  5. 5.3-5 cc を定数とする。Tn→dcT_n\xrightarrow{d}c なら Tn→PcT_n\xrightarrow{P}c であることを示せ。

木下の勉強ステータス

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