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正準変換

2026年10月22日13分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第14章 シンプレクティック幾何と解析力学
目次
  1. 定義と同値な言い換え
  2. 母関数
  3. 確認テスト
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

物理のための微分幾何入門 第14章 §14.4 ★★★ 正準変換は ω\omega を保つ写像で、局所には1つの関数(母関数)で書ける

定義と同値な言い換え

定義 14.19(正準変換)

相空間の開集合の間の微分同相写像 FF が F∗ω=ωF^*\omega=\omega を満たすとき、これを正準変換(シンプレクティック写像)と呼ぶ。正準座標で (Q,P)=F(q,p)(Q,P)=F(q,p) と書くと、条件は次のとおりである。

dPi∧dQi=dpi∧dqi(14.18)\mathrm{d} P_i\wedge\mathrm{d} Q^i=\mathrm{d} p_i\wedge\mathrm{d} q^i\tag{14.18}

新しい変数を (Q,P)(Q,P) と書く記法は、虎の巻と同じである。

命題 14.20(正準変換の判定)

古い変数を z=(q,p)z=(q,p)、新しい変数を Z=(Q,P)Z=(Q,P) とする。ヤコビ行列を M=∂Z/∂z\mathsf M=\partial Z/\partial z と書く。次の3つは同値である。

  1. (a) FF は正準変換である。
  2. (b) 各点で MTΩ M=Ω\mathsf M^{\mathsf T}\Omega\,\mathsf M=\Omega が成り立つ。
  3. (c) 新しい変数の Poisson 括弧を古い変数で計算すると、次のとおりになる。

{Qi,Pj}=δij,{Qi,Qj}={Pi,Pj}=0\{Q^i,P_j\}=\delta^i{}_j,\qquad \{Q^i,Q^j\}=\{P_i,P_j\}=0

とくに n=1n=1 では、これらは det⁡M=1\det\mathsf M=1 と同値である。すなわち FF が向きと面積を保つことと同値である。

証明

(a)⇔\Leftrightarrow(b)。接ベクトル UU は、写像で MU\mathsf MU に押し出される。(14.7) から次を得る。

(F∗ω)(U,V)=ω(MU,MV)=UTMTΩ MV(F^*\omega)(U,V)=\omega(\mathsf MU,\mathsf MV)=U^{\mathsf T}\mathsf M^{\mathsf T}\Omega\,\mathsf MV

これがすべての接ベクトルの組で UTΩVU^{\mathsf T}\Omega V に等しいことは、(b) と同値である。

(b)⇔\Leftrightarrow(c)。Ω\Omega の逆行列を J\mathsf J と書く。

J=Ω−1=−Ω=(0In−In0)\mathsf J=\Omega^{-1}=-\Omega=\begin{pmatrix}0&I_n\\-I_n&0\end{pmatrix}

(14.11) は {f,g}=(∇zf)TJ ∇zg\{f,g\}=(\nabla_zf)^{\mathsf T}\mathsf J\,\nabla_zg と書ける。したがって、新しい変数どうしの括弧を並べた行列は MJMT\mathsf M\mathsf J\mathsf M^{\mathsf T} である。

(c) は MJMT=J\mathsf M\mathsf J\mathsf M^{\mathsf T}=\mathsf J のことである。両辺の逆行列をとると M−TΩ M−1=Ω\mathsf M^{-\mathsf T}\Omega\,\mathsf M^{-1}=\Omega となり、これは (b) と同値である。

n=1n=1 では、2次の行列について MTΩ M=(det⁡M) Ω\mathsf M^{\mathsf T}\Omega\,\mathsf M=(\det\mathsf M)\,\Omega が成り立つ(成分を書けば確かめられる)。したがって (b) は det⁡M=1\det\mathsf M=1 と同値である。

正準変換の合成と逆写像は、正準変換である(確認テスト 14.4-4)。定理 14.15 から、Hamilton の流れは各時刻で正準変換である。時間発展は、正準変換の1パラメータの族である。

正準変換で変数を取り替えても、運動方程式は Hamilton の形のままである。

命題 14.21(正準変換と Hamilton 方程式)

FF を正準変換とし、Hamiltonian を新しい変数で書いたものを K=H∘F−1K=H\circ F^{-1} と置く。このとき F∗XH=XKF_*X_H=X_K である。すなわち、新しい変数も Hamilton 方程式に従う。

Q˙i=∂K∂Pi,P˙i=−∂K∂Qi\dot Q^i=\frac{\partial K}{\partial P_i},\qquad \dot P_i=-\frac{\partial K}{\partial Q^i}

証明

Y=F∗XHY=F_*X_H と置く。任意の接ベクトル VV について、F∗ω=ωF^*\omega=\omega から次が成り立つ。

(ιYω)(F∗V)=ω(F∗XH,F∗V)=ω(XH,V)=−dH(V)(\iota_Y\omega)(F_*V)=\omega(F_*X_H,F_*V)=\omega(X_H,V)=-\mathrm{d} H(V)

H=K∘FH=K\circ F なので、右辺は −dK(F∗V)-\mathrm{d} K(F_*V) に等しい。F∗VF_*V は任意の接ベクトルを動くので、ιYω=−dK\iota_Y\omega=-\mathrm{d} K となる。定義から Y=XKY=X_K である。

母関数

FF を正準変換とすると、1形式 F∗θ−θF^*\theta-\theta は閉である。

d(F∗θ−θ)=F∗ω−ω=0\mathrm{d}(F^*\theta-\theta)=F^*\omega-\omega=0

正準座標では、新しい変数を古い変数の関数と見て F∗θ=Pi dQiF^*\theta=P_i\,\mathrm{d} Q^i である。したがって pi dqi−Pi dQip_i\,\mathrm{d} q^i-P_i\,\mathrm{d} Q^i が閉形式である。

Poincaré の補題から、可縮な領域ではこれは完全形式で、ある関数の外微分に等しい。その関数を独立に選べる変数で書いたものが母関数である。

定理 14.22(第1種の母関数)

正準変換 FF で、ある領域で (q,Q)(q,Q) が座標として使えるとする。すなわち det⁡(∂Q/∂p)≠0\det(\partial Q/\partial p)\ne0 とする。このとき、可縮な領域で関数 F1(q,Q)F_1(q,Q) が存在して、次が成り立つ。

pi=∂F1∂qi,Pi=−∂F1∂Qi(14.19)p_i=\frac{\partial F_1}{\partial q^i},\qquad P_i=-\frac{\partial F_1}{\partial Q^i}\tag{14.19}

逆に、関数 F1(q,Q)F_1(q,Q) が det⁡(∂2F1/∂qi∂Qj)≠0\det(\partial^2F_1/\partial q^i\partial Q^j)\ne0 を満たすなら、(14.19) は局所的に正準変換を定める。

証明

上で見たとおり、pi dqi−Pi dQip_i\,\mathrm{d} q^i-P_i\,\mathrm{d} Q^i は閉形式である。可縮な領域では、これを dF1\mathrm{d} F_1 と書ける。(q,Q)(q,Q) を座標にして外微分を展開すると、次のとおりである。

dF1=∂F1∂qidqi+∂F1∂QidQi\mathrm{d} F_1=\frac{\partial F_1}{\partial q^i}\mathrm{d} q^i+\frac{\partial F_1}{\partial Q^i}\mathrm{d} Q^i

係数を比べると (14.19) を得る。

逆向きを示す。仮定の行列式の条件と陰関数定理(第1章 §1.4)から、pi=∂F1/∂qip_i=\partial F_1/\partial q^i を局所的に QQ について解くことができる。得た Q(q,p)Q(q,p) を Pi=−∂F1/∂QiP_i=-\partial F_1/\partial Q^i に入れると、新しい運動量が決まる。

こうして定めた写像では、pi dqi−Pi dQi=dF1p_i\,\mathrm{d} q^i-P_i\,\mathrm{d} Q^i=\mathrm{d} F_1 が成り立つ。外微分をとると次のようになり、(14.18) が成り立つ。

dpi∧dqi−dPi∧dQi=d2F1=0\mathrm{d} p_i\wedge\mathrm{d} q^i-\mathrm{d} P_i\wedge\mathrm{d} Q^i=\mathrm{d}^2F_1=0

(q,Q)(q,Q) が座標にならない変換もある。恒等写像 Q=qQ=q がその例である。このときは F2(q,P)=F1+PiQiF_2(q,P)=F_1+P_iQ^i に置き換える。dF2=pi dqi+Qi dPi\mathrm{d} F_2=p_i\,\mathrm{d} q^i+Q^i\,\mathrm{d} P_i なので、次の関係が成り立つ。

pi=∂F2∂qi,Qi=∂F2∂Pi(14.20)p_i=\frac{\partial F_2}{\partial q^i},\qquad Q^i=\frac{\partial F_2}{\partial P_i}\tag{14.20}

恒等写像は F2=qiPiF_2=q^iP_i で生成される。配位空間の座標の取り替え Q=Q(q)Q=Q(q) は、F2=Qi(q)PiF_2=Q^i(q)P_i で生成される。このとき (14.20) から pj=Pi ∂Qi/∂qjp_j=P_i\,\partial Q^i/\partial q^j となり、これは (14.2) そのものである。§14.1 の正準座標の誘導は、正準変換の特別な場合である。

Hamiltonian や変換そのものが時刻を含むときは、新しい Hamiltonian が K=H+∂F/∂tK=H+\partial F/\partial t に変わる。これは、時刻を座標に加えた拡大相空間で考えると出る。2つの1形式 pi dqi−H dtp_i\,\mathrm{d} q^i-H\,\mathrm{d} t と Pi dQi−K dtP_i\,\mathrm{d} Q^i-K\,\mathrm{d} t の差が、ある関数の外微分になればよい。母関数の4つの型と時刻を含む場合の計算は、虎の巻『解析力学から様々な理論分野を組み立てる』第1部第12章にある。

例題 14.5 調和振動子を回転に直す正準変換 ★★★

オリジナルH=p2/2m+mω02q2/2H=p^2/2m+m\omega_0^2q^2/2 とし、次の変換を考える(P>0P>0)。

q=2Pmω0 sin⁡Q,p=2mω0P cos⁡Qq=\sqrt{\frac{2P}{m\omega_0}}\,\sin Q,\qquad p=\sqrt{2m\omega_0P}\,\cos Q

  1. (1) dp∧dq=dP∧dQ\mathrm{d} p\wedge\mathrm{d} q=\mathrm{d} P\wedge\mathrm{d} Q を示せ。
  2. (2) 新しい Hamiltonian を求め、新しい変数の時間発展を解け。
  3. (3) この変換の第1種の母関数が F1(q,Q)=12mω0q2cot⁡QF_1(q,Q)=\tfrac12m\omega_0q^2\cot Q であることを確かめよ。
解答

(1) qq と pp の外微分は次のとおりである。

dq=sin⁡Q2mω0P dP+2Pmω0cos⁡Q dQ,dp=mω02Pcos⁡Q dP−2mω0P sin⁡Q dQ\mathrm{d} q=\frac{\sin Q}{\sqrt{2m\omega_0P}}\,\mathrm{d} P+\sqrt{\frac{2P}{m\omega_0}}\cos Q\,\mathrm{d} Q,\qquad \mathrm{d} p=\sqrt{\frac{m\omega_0}{2P}}\cos Q\,\mathrm{d} P-\sqrt{2m\omega_0P}\,\sin Q\,\mathrm{d} Q

ウェッジ積では、dP∧dQ\mathrm{d} P\wedge\mathrm{d} Q に比例する項だけが残る。

dp∧dq=(mω02P2Pmω0cos⁡2Q+2mω0P 12mω0Psin⁡2Q)dP∧dQ=dP∧dQ\mathrm{d} p\wedge\mathrm{d} q=\Bigl(\sqrt{\tfrac{m\omega_0}{2P}}\sqrt{\tfrac{2P}{m\omega_0}}\cos^2Q+\sqrt{2m\omega_0P}\,\frac{1}{\sqrt{2m\omega_0P}}\sin^2Q\Bigr)\mathrm{d} P\wedge\mathrm{d} Q=\mathrm{d} P\wedge\mathrm{d} Q

(2) 代入すると、2つの項は次のとおりである。

p22m=ω0Pcos⁡2Q,mω02q22=ω0Psin⁡2Q\frac{p^2}{2m}=\omega_0P\cos^2Q,\qquad \frac{m\omega_0^2q^2}{2}=\omega_0P\sin^2Q

和をとって K=ω0PK=\omega_0P を得る。変換は時刻を含まないので、命題 14.21 から次のとおりである。

Q˙=∂K∂P=ω0,P˙=−∂K∂Q=0\dot Q=\frac{\partial K}{\partial P}=\omega_0,\qquad \dot P=-\frac{\partial K}{\partial Q}=0

したがって Q=ω0t+Q0Q=\omega_0t+Q_0 で、P=E/ω0P=E/\omega_0 は一定である。相空間の楕円の運動が、角度の等速回転になる。

(3) 変換の2式の比から p/q=mω0cot⁡Qp/q=m\omega_0\cot Q である。与えられた母関数を qq で偏微分すると、∂F1/∂q=mω0qcot⁡Q=p\partial F_1/\partial q=m\omega_0q\cot Q=p を得る。QQ で偏微分すると、次のとおりである。

−∂F1∂Q=mω0q22sin⁡2Q-\frac{\partial F_1}{\partial Q}=\frac{m\omega_0q^2}{2\sin^2Q}

変換の1つ目の式から q2/sin⁡2Q=2P/(mω0)q^2/\sin^2Q=2P/(m\omega_0) なので、これは PP に等しい。

例題 14.6 どれが正準変換か ★★

オリジナルn=1n=1 の次の写像が正準変換かどうかを判定せよ。正準変換なら、母関数を1つ求めよ。

  1. (1) (Q,P)=(p,−q)(Q,P)=(p,-q)。
  2. (2) (Q,P)=(λq, p/λ)(Q,P)=(\lambda q,\,p/\lambda)。ここで λ≠0\lambda\ne0 は定数である。
  3. (3) (Q,P)=(q, 2p)(Q,P)=(q,\,2p)。
解答

(1) dP∧dQ=−dq∧dp=dp∧dq\mathrm{d} P\wedge\mathrm{d} Q=-\mathrm{d} q\wedge\mathrm{d} p=\mathrm{d} p\wedge\mathrm{d} q なので、正準変換である。新しい位置 Q=pQ=p は古い位置と独立に動くので、組 (q,Q)(q,Q) が座標になる。F1=qQF_1=qQ とすると、(14.19) の2式は次のとおりに成り立つ。

∂F1∂q=Q=p,−∂F1∂Q=−q=P\frac{\partial F_1}{\partial q}=Q=p,\qquad -\frac{\partial F_1}{\partial Q}=-q=P

位置と運動量を入れ替える写像も正準変換である。正準変換のもとでは、位置と運動量の区別は保たれない。

(2) dP∧dQ=(dp/λ)∧(λ dq)=dp∧dq\mathrm{d} P\wedge\mathrm{d} Q=(\mathrm{d} p/\lambda)\wedge(\lambda\,\mathrm{d} q)=\mathrm{d} p\wedge\mathrm{d} q なので、正準変換である。QQ は qq だけで決まるので、第1種は使えない。第2種 F2=λqPF_2=\lambda qP を使うと、(14.20) の2式は次のとおりに成り立つ。

∂F2∂q=λP=p,∂F2∂P=λq=Q\frac{\partial F_2}{\partial q}=\lambda P=p,\qquad \frac{\partial F_2}{\partial P}=\lambda q=Q

(3) dP∧dQ=2 dp∧dq\mathrm{d} P\wedge\mathrm{d} Q=2\,\mathrm{d} p\wedge\mathrm{d} q で、正準変換でない。ヤコビ行列の行列式は2で、この写像は面積を2倍にする。

確認テスト

オリジナル

  1. 14.4-1 q>0q>0 で (Q,P)=(q2, p/(2q))(Q,P)=(q^2,\,p/(2q)) が正準変換であることを示せ。
  2. 14.4-2 平行移動 Q=q+aQ=q+a、P=p+bP=p+b を生成する第2種の母関数を求めよ。ここで a,ba,b は定数である。
  3. 14.4-3 定数 m,τ>0m,\tau>0 について F1(q,Q)=m(q−Q)2/(2τ)F_1(q,Q)=m(q-Q)^2/(2\tau) が生成する変換を求めよ。それが、自由粒子の時間 τ\tau の運動を逆向きにたどる写像であることを示せ。
  4. 14.4-4 正準変換の合成と逆写像が正準変換であることを示せ。
  5. 14.4-5 円柱 T∗S1T^*S^1 の写像 F(q,p)=(q, p+1)F(q,p)=(q,\,p+1) が正準変換であることを示せ。さらに F∗θ−θF^*\theta-\theta を求め、それが円柱全体の上の関数の外微分としては書けないことを示せ。

木下の勉強ステータス

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