電磁気学入門 第5章 §5.7
- 5.1-1 Ohm の法則 J=σcE より、伝導率の単位は
V/mA/m2=A/(V⋅m)=S/m
である。ε0 の単位は F/m=C/(V⋅m) なので
σcε0 の単位=A/(V⋅m)C/(V⋅m)=AC=s.
2. 5.1-2 内導体から外導体へ電流 I が放射状に流れているとする。半径 s、長さ L の円筒面を通る電流は、どの半径でも同じ値をとる。したがって
J=2πsLI,E=2πσcsLI,V=∫abEds=2πσcLIlnab.
よって R=2πσcLln(b/a) である。数値は
R=2π(1.0×10−12)(1.0)ln4 Ω=6.283×10−121.386 Ω=2.2×1011Ω.
3. 5.1-3 電流は板に垂直に流れ、電流密度の法線成分は境界で連続なので、両方の層で同じ J である。各層の電場は Ei=J/σci で、電位差の和が V になるので
V=J(σc1d1+σc2d2),I=JS=d1/σc1+d2/σc2SV.
これは抵抗 d1/(σc1S) と d2/(σc2S) の直列接続である。電流は電極1から電極2へ、つまり層1から層2へ流れる。法線を層1から層2へ向けると Jn=J>0 なので、(5.11) より
σ=ε0J(σc21−σc11)=d1/σc1+d2/σc2ε0V(σc21−σc11).
σc1=σc2 なら 0 になる。伝導率が下流で小さくなる(σc2<σc1)と、正の電荷がたまる。4. 5.1-4 電極1から電極2へ電流 I が流れているとする。電位差が V のときの電場を E とする。
一様な物質の中では ∇2ϕ=0 である。電極の上で電位が一定という境界条件は、物質を取り除いて電極に電荷を置いた静電場の問題と同じである。どちらも Laplace 方程式と同じ境界条件なので、一意性から同じ電位の分布になる。電極1を囲む閉曲面 S をとると
I=∮SJ⋅dS=σc∮SE⋅dS,Q=ε0∮SE⋅dS
である(Q は同じ電位差の静電場の問題で電極1に置かれる電荷、後者は Gauss の法則)。したがって
RC=IV⋅VQ=σc∮E⋅dSε0∮E⋅dS=σcε0.
5. 5.2-1 磁気的な力 qv×B は速度に垂直なので、仕事率は q(v×B)⋅v=0 である。したがって dtd21mv2=0 である。6. 5.2-2 1辺は中心から距離 s=a/2 にある。中心から両端を見る角は θ1=−45∘、θ2=45∘ である。(5.17) より1辺の寄与は
4π(a/2)μ0I(22+22)=2πa2μ0I.
4辺の寄与はすべて同じ向き(ループの面に垂直)なので、合計は B□=πa22μ0I=0.900aμ0I。周の長さ 4a の円の半径は R=2a/π である。その中心の磁場は
B∘=2Rμ0I=4aπμ0I=0.785aμ0I
である。比は
B∘B□=π/422/π=π282=1.146
で、正方形の方が約 1.15 倍大きい。正方形の辺の中点は中心に近い(a/2=0.785R)からである。7. 5.2-3 K=1.602×10−13J なので
v=mp2K=1.673×10−272(1.602×10−13) m/s=1.38×107m/s
(光速の 4.6%)。サイクロトロン半径と振動数は
r=eBmpv=(1.602×10−19)(1.0)(1.673×10−27)(1.384×107) m=0.145m,f=2πmpeB=1.52×107Hz.
8. 5.2-4 力の合計は F=∮Idl×B で、B が一様なので積分の外に出せる。
F=I(∮dl)×B=I0×B=0.
閉曲線を1周したときの変位 ∮dl は 0 だからである。9. 5.3-1 閉曲面に入る磁力線の本数と出る本数が常に等しいので、磁力線はどこからも湧き出さず、どこにも吸い込まれない(閉じた曲線になるか、無限遠へ続く)。10. 5.3-2 板は z=0 の面について対称で、薄い面電流 (5.28) を重ね合わせたものとみなせる。したがって磁場は ±y^ を向き、By(−z)=−By(z) である。
長方形の閉曲線に Ampère の法則を使う。長方形の横の辺は y 方向に長さ L とする。縦の辺は高さ −z から z までにとる。向きは +x から見て反時計回りとする。
z≥0 の高さでの磁場を By(z) とする。上の辺は −y の向きに進み、下の辺は +y の向きに進む。したがって循環は
[By(−z)−By(z)]L=−2By(z)L
である。貫く電流は次のとおりである。
Ienc={2zLJ2dLJ(0≤z<d)(z≥d)
したがって
B=⎩⎨⎧−μ0Jzy^−μ0Jdy^+μ0Jdy^(∣z∣<d)(z≥d)(z≤−d)
となる。外部は面電流 K=2Jd の (5.28) に一致する。内部で B=By(z)y^ の回転を計算すると、(∇×B)x=−∂z∂By=μ0J である。他の成分は 0 なので、∇×B=μ0Jx^=μ0J が成り立つ。11. 5.3-3 位置 z′ にある厚さ dz′ の部分を考える。これは電流 nIdz′ の円電流である。したがって軸上の点 z の磁場は
Bz(z)=∫−L/2L/22(a2+(z−z′)2)3/2μ0nIa2dz′=2μ0nI[a2+(z′−z)2z′−z]z′=−L/2L/2
(∫a2du/(a2+u2)3/2=u/a2+u2)。中心 z=0 と端 z=L/2 では
Bz(0)=L2+4a2μ0nIL,Bz(2L)=2μ0nI⋅a2+L2L.
L≫a では中心で μ0nI、端でその半分になる。数値では
L2+4a2L=0.0400+0.00160.20=0.981
で、無限に長いソレノイドの 98% である。12. 5.3-4 芯の中(a<s<b)の円に Ampère の法則を使うと、B=μ0NI/(2πs) である。断面は幅 b−a、高さ h の長方形なので
Φ=∫ab2πsμ0NIhds=2πμ0NIhlnab.
数値は
Φ=2π(1.2566×10−6)(500)(0.50)(0.020)ln1.4 Wb
=(1.000×10−6)(0.3365) Wb=3.37×10−7Wb.
13. 5.3-5 任意のベクトル場の回転の発散は 0 である。∇×B=μ0J の発散をとると 0=μ0∇⋅J となる。したがって ∇⋅J=0 が必要である。
充電中のコンデンサーでは、極板に電荷がたまり続けるので ∂ρ/∂t=0 である。連続の式から、極板のところで ∇⋅J=0 となる。
導線を囲む閉曲線 C をとり、それを縁とする面を2通りに選ぶ。
- 導線を横切る面 S1 をとると Ienc=I である。
- 極板のあいだを通る面 S2 をとると、そこには電流が流れていないので Ienc=0 である。
同じ左辺 ∮CB⋅dl に対して右辺が2つの異なる値をとるので、(5.25) はこの場合には正しくない。
原因は、S1 と S2 を合わせた閉曲面を通る電流が 0 でないことである。第8章では、極板のあいだの電場の時間変化を電流とみなす項(変位電流)を加えて修正する。14. 5.4-1 線積分を分けると
∮(A+∇Λ)⋅dl=∮A⋅dl+∮∇Λ⋅dl
である。勾配の線積分は端点の値の差 Λ(終点)−Λ(始点) であり、閉曲線では 0 である。15. 5.4-2 対称ゲージ:回転と発散は
(∇×AS)z∇⋅AS=∂x∂2Bx−∂y∂(−2By)=B,=∂x∂(−2By)+∂y∂2Bx=0
である。Az=0 である。Ax,Ay は z によらない。したがって回転の x,y 成分は 0 である。
Landau ゲージ:同じように
(∇×AL)z=∂x∂(Bx)=B,∇⋅AL=∂y∂(Bx)=0
で、回転の他の成分は 0 である。差は
AL−AS=(2By,2Bx,0)=∇(2Bxy)
なので Λ=21Bxy(定数を除く)。∇2Λ=0 なので、Coulomb ゲージの中での変換になっている。16. 5.4-3 円上で A は接線方向を向き、大きさは一定である。したがって ∮A⋅dl=2πsAφ(s) となる。
- 内部(s<R)では 2πs⋅B0s/2=πs2B0 で、円の内側の一様な磁場の磁束に等しい。
- 外部(s>R)では 2πs⋅B0R2/(2s)=πR2B0 である。ソレノイドの断面全体の磁束に等しく、半径によらない。
- 5.4-4 電流密度は導線の内部で J=I/(πa2)、外部で 0 である。Az(s) のラプラシアンは s1dsd(sdsdAz) なので
s1dsd(sdsdAz)=−πa2μ0I (s<a),=0 (s>a).
内部で1回積分すると
sdsdAz=−2πa2μ0Is2+c1
となる。軸の上で傾きが発散しないことから c1=0 である。もう1回積分し、Az(a)=0 を使うと
Az=4πa2μ0I(a2−s2)(s<a).
外部では sdAz/ds=c2 である。境界での傾きの連続から
c2=a⋅(−2πaμ0I)=−2πμ0I
となる。Az(a)=0 と合わせて
Az=−2πμ0Ilnas(s>a).
磁場は Bφ=−dAz/ds なので
Bφ=2πa2μ0Is(s<a),Bφ=2πsμ0I(s>a)
となり、(5.26) に一致する。18. 5.4-5 D=A−A′ とおく。同じ磁場を与えるので ∇×D=0 である。どちらも Coulomb ゲージなので ∇⋅D=0 である。第1章の恒等式から
∇2D=∇(∇⋅D)−∇×(∇×D)=0
で、D の各成分は全空間で調和関数である。
半径 ρ の球に最大値原理を使うと、球の内部で ∣Di∣≤maxr=ρ∣Di∣ である。遠方で A,A′→0 なので、半径を無限大にすると右辺は 0 に近づく。よって D=0 である。19. 5.5-1 U=−μ⋅B より [μ]=J/T である。Lorentz 力 F=qvB から
T=C⋅m/sN=N/(A⋅m)
なので、J/T=N⋅m⋅A⋅m/N=A⋅m2 となる。これは μ=Ia の単位と一致する。20. 5.5-2 磁気モーメントは
μ=2evr=2(1.602×10−19)(2.19×106)(5.29×10−11) J/T=9.28×10−24J/T
で、Bohr 磁子 9.274×10−24J/T にほぼ等しい。角運動量は
meva0=(9.109×10−31)(2.19×106)(5.29×10−11) J⋅s=1.055×10−34J⋅s=ℏ
である。(5.44) より μ=2meeL である。L=ℏ を入れると μ=eℏ/(2me)=μB になる。2つの結果は同じ事実を表している。21. 5.5-3 軸上の磁場を
Bz=2z3μ0Ia2(1+(za)2)−3/2
と書く。(1+x)−3/2=1−23x+O(x2) に x=(a/z)2 を入れると、示すべき式になる。双極子の近似は第1因子だけを残したものなので、正確な値との比は
BexactBdip=(1+(a/z)2)3/2=(1.04)3/2=1.0606
で、z=5a では約 6.1% 上回る。22. 5.5-4 ループの頂点を (±a/2,±b/2,0) とする。x 方向の辺は dl∥B なので力は 0。y 方向の2辺の力は次のとおりである。
- 右の辺(x=a/2):電流は +y の向きに流れる。力は Iby^×Bx^=−IbBz^ である。
- 左の辺(x=−a/2):電流は −y の向きに流れる。力は +IbBz^ である。
中心のまわりのトルクは
N=2ax^×(−IbBz^)+(−2ax^)×(IbBz^)=2IabBy^+2IabBy^=IabBy^.
一方、μ=Iabz^ で μ×B=IabBz^×x^=IabBy^ となり、一致する。23. 5.5-5 双極子1が軸上の距離 z に作る磁場を求める。(5.40) で r^∥μ1 とすると
B1=4πμ0z32μ1
で、向きは μ1 と同じである。よって
U(z)=−μ2B1=−2πz3μ0μ1μ2,Fz=−dzdU=−2πz43μ0μ1μ2.
Fz<0 なので、双極子2は双極子1の方へ引かれる(引力)。数値は
∣Fz∣=2π(0.050)43(1.2566×10−6)(1.0)(1.0) N=3.927×10−53.770×10−6 N=9.6×10−2N.
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