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導波管と共振器

2026年10月15日22分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第9章 電磁波
目次
  1. 完全導体の壁の境界条件
  2. 導波管の中の場
  3. 長方形の導波管
  4. 群速度.
  5. 空洞共振器
  6. 共振器の Q 値.
  7. 確認テスト
  8. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

電磁気学入門 第9章 §9.4 ★★ 金属の壁で囲んだ空間の電磁波をモードに分け、遮断周波数・群速度・共振周波数を求める

完全導体の壁の境界条件

§9.2 で見たように、良導体の中に場が入る深さは表皮深さ δ\delta 程度で、マイクロ波では μm\mu\mathrm m の程度である。そこで、まず σc→∞\sigma_{\mathrm c}\to\infty(δ→0\delta\to0)の完全導体で壁を作った場合を考え、壁による損失はあとで補正として見積もる。

完全導体の中では E=0\bm{E}=\bm{0} である。Faraday の法則

∂B∂t=−∇×E=0\frac{\partial \bm{B}}{\partial t}=-\nabla\times\bm{E}=\bm{0}

から、時間変化する磁場も0である。境界条件 (9.2) を壁の内側の表面に当てはめると、壁のすぐ外(空洞の側)の場について

n×E=0,n⋅B=0(9.41)\bm{n}\times\bm{E}=\bm{0},\qquad \bm{n}\cdot\bm{B}=0\tag{9.41}

が成り立つ。電場は壁に垂直、磁場は壁に平行である。壁の表面には面電荷と面電流が生じる(n\bm{n} は壁から空洞へ向く法線)。

σ=ε0n⋅E,K=1μ0n×B\sigma=\varepsilon_0\bm{n}\cdot\bm{E},\qquad \bm{K}=\frac{1}{\mu_0}\bm{n}\times\bm{B}

これらは場が決まってから従うもので、条件には入らない。

導波管の中の場

断面の形が zz によらない、まっすぐな金属の管(導波管)を考える。管の中は真空とする。zz の向きに進む単色の波を探すので、場を次の形におく。

E=E(x,y) ei(kzz−ωt),B=B(x,y) ei(kzz−ωt)\bm{E}=\bm{E}(x,y)\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}(k_zz-\omega t)},\qquad \bm{B}=\bm{B}(x,y)\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}(k_zz-\omega t)}

波動方程式 (9.4) に入れると、各成分は断面の上の2次元の方程式

(∂2∂x2+∂2∂y2+kc2)ψ=0,kc2=ω2c2−kz2(9.42)\Bigl(\frac{\partial ^2}{\partial x^2}+\frac{\partial ^2}{\partial y^2}+k_{\mathrm c}^2\Bigr)\psi=0,\qquad k_{\mathrm c}^2=\frac{\omega^2}{c^2}-k_z^2\tag{9.42}

を満たす。ここで ψ\psi は電場または磁場の各成分である。次に ∂z→ikz\partial_z\to\mathrm{i} k_z、∂t→−iω\partial_t\to-\mathrm{i}\omega と置き換えた2つの式

∇×E=iωB,∇×B=−iωc2E\nabla\times\bm{E}=\mathrm{i}\omega\bm{B},\qquad \nabla\times\bm{B}=-\mathrm{i}\frac{\omega}{c^2}\bm{E}

を成分で書くと

∂yEz−ikzEy=iωBx,∂yBz−ikzBy=−iωc2Ex,ikzEx−∂xEz=iωBy,ikzBx−∂xBz=−iωc2Ey\begin{aligned}\partial_yE_z-\mathrm{i} k_zE_y&=\mathrm{i}\omega B_x, & \partial_yB_z-\mathrm{i} k_zB_y&=-\mathrm{i}\frac{\omega}{c^2}E_x,\\ \mathrm{i} k_zE_x-\partial_xE_z&=\mathrm{i}\omega B_y, & \mathrm{i} k_zB_x-\partial_xB_z&=-\mathrm{i}\frac{\omega}{c^2}E_y\end{aligned}

である。左の第2式と右の第1式から ByB_y を消去して、ExE_x を求める。

By=−ikz∂yBz+ωc2kzEx(右の第1式を By について解いた)ikz2Ex−kz∂xEz=ω∂yBz+iω2c2Ex(左の第2式に入れて kz を掛けた)i(kz2−ω2c2)Ex=kz∂xEz+ω∂yBz(移項した)\begin{aligned}B_y&=-\frac{\mathrm{i}}{k_z}\partial_yB_z+\frac{\omega}{c^2k_z}E_x &&\text{(右の第1式を }{B_y}\text{ について解いた)}\\ \mathrm{i} k_z^2E_x-k_z\partial_xE_z&=\omega\partial_yB_z+\mathrm{i}\frac{\omega^2}{c^2}E_x &&\text{(左の第2式に入れて }{k_z}\text{ を掛けた)}\\ \mathrm{i}\Bigl(k_z^2-\frac{\omega^2}{c^2}\Bigr)E_x&=k_z\partial_xE_z+\omega\partial_yB_z &&\text{(移項した)}\end{aligned}

ほかの3成分も同じ操作で求まり、次の結果になる。

命題 9.6(縦成分による横成分の表示)

kc≠0k_{\mathrm c}\neq0 のとき、場の横成分は2つの縦成分を使って

Ex=ikc2(kz∂xEz+ω∂yBz),Ey=ikc2(kz∂yEz−ω∂xBz),Bx=ikc2(kz∂xBz−ωc2∂yEz),By=ikc2(kz∂yBz+ωc2∂xEz)(9.43)\begin{aligned} E_x&=\frac{\mathrm{i}}{k_{\mathrm c}^2}\bigl(k_z\partial_xE_z+\omega\partial_yB_z\bigr), & E_y&=\frac{\mathrm{i}}{k_{\mathrm c}^2}\bigl(k_z\partial_yE_z-\omega\partial_xB_z\bigr),\\ B_x&=\frac{\mathrm{i}}{k_{\mathrm c}^2}\Bigl(k_z\partial_xB_z-\frac{\omega}{c^2}\partial_yE_z\Bigr), & B_y&=\frac{\mathrm{i}}{k_{\mathrm c}^2}\Bigl(k_z\partial_yB_z+\frac{\omega}{c^2}\partial_xE_z\Bigr) \end{aligned}\tag{9.43}

と書ける。

したがって、EzE_z と BzB_z を (9.42) と境界条件のもとで解けば、場はすべて決まる。壁の上の境界条件は次の2つである。

  • Ez=0E_z=0(電場の接線成分)。
  • 壁に垂直な向きの微分 ∂Bz/∂n=0\partial B_z/\partial n=0。壁が例えば x=0x=0 の面のときを考える。Ez=0E_z=0 のとき、(9.43) の

Ey∝∂xBz,Bx∝∂xBzE_y\propto\partial_xB_z,\qquad B_x\propto\partial_xB_z

が壁の上で0になることから従う。

EzE_z と BzB_z の方程式と境界条件は別々なので、解は2種類に分かれる。

  1. TE モード(transverse electric):Ez=0E_z=0。BzB_z は (9.42) を、壁の上で法線微分が0という条件のもとで解く。
  2. TM モード(transverse magnetic):Bz=0B_z=0。EzE_z は (9.42) を、壁の上で0という条件のもとで解く。

命題 9.7(中空の導波管に TEM モードは無い)

壁が1つの連結な導体からなる中空の導波管では、Ez=Bz=0E_z=B_z=0 の波(TEM モード)は存在しない。

証明

Ez=Bz=0E_z=B_z=0 とする。kc≠0k_{\mathrm c}\neq0 なら (9.43) から横成分もすべて0なので、kc=0k_{\mathrm c}=0 の場合を考えればよい。

  1. 2つの微分方程式:次の2つが出る。

∂xEx+∂yEy=0(Ez=0 と ∇⋅E=0 から)∂xEy−∂yEx=0(Bz=0 と Faraday の法則の z 成分から)\begin{aligned}\partial_xE_x+\partial_yE_y&=0 &&\text{($E_z=0$ と $\nabla\cdot\bm{E}=0$ から)}\\ \partial_xE_y-\partial_yE_x&=0 &&\text{(}{B_z=0}\text{ と Faraday の法則の }{z}\text{ 成分から)}\end{aligned} 2. ポテンシャルがとれる:第2式から、断面の上で (Ex,Ey)=−(∂xΦ,∂yΦ)(E_x,E_y)=-(\partial_x\Phi,\partial_y\Phi) となる関数 Φ(x,y)\Phi(x,y) がとれる(断面は穴の無い領域)。第1式から、Φ\Phi は2次元の Laplace 方程式を満たす。3. 最大値原理:壁の上で電場の接線成分が0なので、Φ\Phi は壁に沿って一定である。第3章 §3.1 の最大値原理により、調和関数の最大値と最小値は境界でとられる。したがって Φ\Phi は断面の全体で一定であり、E=0\bm{E}=\bm{0} となる。

同軸ケーブルのように内側と外側の2つの導体がある場合は、2つの導体の電位が異なってよいので、上の議論は使えず、TEM モードが存在する。TEM モードは kc=0k_{\mathrm c}=0、つまり ω=ckz\omega=ck_z で、どんなに低い振動数でも伝わる。

長方形の導波管

長方形の導波管を考える。断面は次の長方形である。

0<x<a,0<y<b(a≥b)0<x<a,\qquad 0<y<b\qquad(a\ge b) TE モードでは、次の境界条件を満たす (9.42) の解を求める。

∂xBz=0  (x=0,a),∂yBz=0  (y=0,b)\partial_xB_z=0\ \ (x=0,a),\qquad \partial_yB_z=0\ \ (y=0,b)

変数分離 Bz=X(x)Y(y)B_z=X(x)Y(y) により X′′/X+Y′′/Y=−kc2X''/X+Y''/Y=-k_{\mathrm c}^2 となり、各項は定数でなければならない。境界条件 X′(0)=X′(a)=0X'(0)=X'(a)=0 を満たす解は X=cos⁡(mπx/a)X=\cos(m\pi x/a) である。ここで mm は0以上の整数である。YY も同様なので

Bz=B0cos⁡mπxacos⁡nπyb,kc2=(mπa)2+(nπb)2(9.44)B_z=B_0\cos\frac{m\pi x}{a}\cos\frac{n\pi y}{b},\qquad k_{\mathrm c}^2=\Bigl(\frac{m\pi}{a}\Bigr)^2+\Bigl(\frac{n\pi}{b}\Bigr)^2\tag{9.44}

を得る。これを TEmn\mathrm{TE}_{mn} モードと呼ぶ。

m=n=0m=n=0 は kc=0k_{\mathrm c}=0 で、縦の磁場が一様な場合に当たる。このとき命題 9.6 が使えない。横成分は TEM モードの条件を満たすので、命題 9.7 により0になる。TE00\mathrm{TE}_{00} は存在しない。

TM モードでは Ez=0E_z=0 を壁の上で課すので、三角関数は sin⁡\sin になる。

Ez=E0sin⁡mπxasin⁡nπyb(m,n=1,2,… )(9.45)E_z=E_0\sin\frac{m\pi x}{a}\sin\frac{n\pi y}{b}\qquad(m,n=1,2,\dots)\tag{9.45}

で、kck_{\mathrm c} は同じ式である。

各モードの分散関係は (9.42) の定義から ω2=c2(kz2+kc2)\omega^2=c^2(k_z^2+k_{\mathrm c}^2) である。kzk_z が実数になる(波が減衰せずに伝わる)のは

ω>ωmn=ckc=cπ(ma)2+(nb)2(9.46)\omega>\omega_{mn}=ck_{\mathrm c}=c\pi\sqrt{\Bigl(\frac{m}{a}\Bigr)^2+\Bigl(\frac{n}{b}\Bigr)^2}\tag{9.46}

のときである。ωmn\omega_{mn} を遮断角周波数と呼ぶ。ω<ωmn\omega<\omega_{mn} では kzk_z が純虚数になる。そのモードは管の中を e−∣kz∣z\mathrm{e}^{-\left\vert k_z\right\vert z} で減衰する。

最も低い遮断周波数を持つのは TE10\mathrm{TE}_{10} モードで、ω10=cπ/a\omega_{10}=c\pi/a である。つまり遮断波長は真空中で 2a2a である。管の幅が波長の半分より狭いと、電磁波は管を通れない。次の範囲では TE10\mathrm{TE}_{10} だけが伝わるので、実用の導波管はこの範囲で使う。

ω10<ω<min⁡(ω20,ω01)\omega_{10}<\omega<\min(\omega_{20},\omega_{01})

TE10\mathrm{TE}_{10} モードの場を書いておく。Bz=B0cos⁡(πx/a)B_z=B_0\cos(\pi x/a) を (9.43) に入れ、kc=π/ak_{\mathrm c}=\pi/a を使うと

Bz=B0cos⁡πxa,Ey=iωaπB0sin⁡πxa,Bx=−ikzaπB0sin⁡πxa,Ex=Ez=By=0(9.47)B_z=B_0\cos\frac{\pi x}{a},\qquad E_y=\frac{\mathrm{i}\omega a}{\pi}B_0\sin\frac{\pi x}{a},\qquad B_x=-\frac{\mathrm{i} k_za}{\pi}B_0\sin\frac{\pi x}{a},\qquad E_x=E_z=B_y=0\tag{9.47}

となる(それぞれに ei(kzz−ωt)\mathrm{e}^{\mathrm{i}(k_zz-\omega t)} が掛かる)。電場は yy の向きを向く。管の中央 x=a/2x=a/2 で最も強く、側壁 x=0,ax=0,a で0になる。

群速度.

分散関係 ω=ckz2+kc2\omega=c\sqrt{k_z^2+k_{\mathrm c}^2} から、位相速度と群速度は

vp=ωkz=c1−ωmn2/ω2>c,vg=dωdkz=c2kzω=c1−ωmn2ω2<c(9.48)v_{\mathrm p}=\frac{\omega}{k_z}=\frac{c}{\sqrt{1-\omega_{mn}^2/\omega^2}}>c,\qquad v_{\mathrm g}=\frac{d \omega}{d k_z}=\frac{c^2k_z}{\omega}=c\sqrt{1-\frac{\omega_{mn}^2}{\omega^2}}<c\tag{9.48}

で、vpvg=c2v_{\mathrm p}v_{\mathrm g}=c^2 である。プラズマの分散関係 (9.25) と同じ形で、ωp\omega_{\mathrm p} の役を遮断角周波数が担っている。

管の中の波は、壁で斜めに反射を繰り返しながら進む平面波の重ね合わせとみなせる。TE10\mathrm{TE}_{10} の場合、

sin⁡πxa eikzz=12i(ei(πx/a+kzz)−ei(−πx/a+kzz))\sin\frac{\pi x}{a}\,\mathrm{e}^{\mathrm{i} k_zz}=\frac{1}{2\mathrm{i}}\Bigl(\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\pi x/a+k_zz)}-\mathrm{e}^{\mathrm{i}(-\pi x/a+k_zz)}\Bigr)

である。右辺のそれぞれは波数 ω/c\omega/c の平面波である。その平面波は、管の軸と角 ϑ\vartheta(cos⁡ϑ=ckz/ω\cos\vartheta=ck_z/\omega)をなして進んでいる。エネルギーは速さ cc で斜めに進むので、軸の向きの速さは ccos⁡ϑ=vgc\cos\vartheta=v_{\mathrm g} になる。

図

図 9.4 a/b=2.25a/b=2.25 の長方形の導波管の分散関係。下から TE10\mathrm{TE}_{10}、TE20\mathrm{TE}_{20}、TE01\mathrm{TE}_{01}。破線は真空中の光の分散関係 ω=ckz\omega=ck_z で、各モードは遮断角周波数より上で、この線に下から近づく。

空洞共振器

導波管の両端 z=0z=0 と z=dz=d を導体の板でふさぐと、箱の中に閉じ込められた電磁波は特定の角振動数でしか存在できない。これを空洞共振器と呼ぶ。長方形の箱を考える。

0<x<a,0<y<b,0<z<d0<x<a,\qquad 0<y<b,\qquad 0<z<d

すべての壁の上で電場の接線成分が0になる解を、直接探す。

Ex=E1cos⁡mπxasin⁡nπybsin⁡pπzd,Ey=E2sin⁡mπxacos⁡nπybsin⁡pπzd,Ez=E3sin⁡mπxasin⁡nπybcos⁡pπzd(9.49)\begin{aligned} E_x&=E_1\cos\frac{m\pi x}{a}\sin\frac{n\pi y}{b}\sin\frac{p\pi z}{d},\\ E_y&=E_2\sin\frac{m\pi x}{a}\cos\frac{n\pi y}{b}\sin\frac{p\pi z}{d},\\ E_z&=E_3\sin\frac{m\pi x}{a}\sin\frac{n\pi y}{b}\cos\frac{p\pi z}{d} \end{aligned}\tag{9.49}

(それぞれに e−iωt\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t} が掛かる)とおく。

ExE_x は、y=0,by=0,b の2枚の壁の上で0になる。z=0,dz=0,d の2枚の壁の上でも0になる。ExE_x が接線成分になる壁は、ちょうどこの4枚である。ほかの2成分も同様である。各成分は波動方程式 (9.4) を

ωmnp=cπ(ma)2+(nb)2+(pd)2(9.50)\omega_{mnp}=c\pi\sqrt{\Bigl(\frac{m}{a}\Bigr)^2+\Bigl(\frac{n}{b}\Bigr)^2+\Bigl(\frac{p}{d}\Bigr)^2}\tag{9.50}

のときに満たす。残る条件は ∇⋅E=0\nabla\cdot\bm{E}=0 で、これは

maE1+nbE2+pdE3=0(9.51)\frac{m}{a}E_1+\frac{n}{b}E_2+\frac{p}{d}E_3=0\tag{9.51}

を要求する。磁場は Faraday の法則 B=(iω)−1∇×E\bm{B}=(\mathrm{i}\omega)^{-1}\nabla\times\bm{E} から決まる。壁の上で磁場の法線成分が0になることは、確認テスト 9.4-5 で確かめる。

(9.51) から、独立なモードの数が数えられる。

  1. 指数がすべて1以上:(E1,E2,E3)(E_1,E_2,E_3) はベクトル (m/a,n/b,p/d)(m/a,n/b,p/d) に垂直な平面の中で選べる。独立な偏光は2つある。
  2. 1つの指数が0:例えば p=0p=0 とする。sin⁡(pπz/d)=0\sin(p\pi z/d)=0 なので、Ex=Ey=0E_x=E_y=0 である。E3E_3 だけが残り、(9.51) は自動的に満たされる。モードは1つである。
  3. 2つ以上の指数が0:場はすべて0になる。

共振器の Q 値.

現実の壁は有限の伝導率を持つので、共振器に蓄えたエネルギーは表面の Joule 熱で失われていく。蓄えられたエネルギーの時間平均を UU、損失の電力を PP とする。

Q=ωUP(9.52)\mathcal Q=\frac{\omega U}{P}\tag{9.52}

を、第7章 §7.4 の回路と同じくQ 値と呼ぶ。エネルギーは次の式に従って e−ωt/Q\mathrm{e}^{-\omega t/\mathcal Q} で減る。

dUdt=−P=−ωQU\frac{d U}{d t}=-P=-\frac{\omega}{\mathcal Q}U

したがって Q 値は、エネルギーが 1/e1/\mathrm{e} になるまでの振動の回数の 2π2\pi 倍である。共振の幅(共鳴曲線の半値全幅)は Δω=ω/Q\Delta\omega=\omega/\mathcal Q になる。

完全導体のときの場を使い、損失は (9.30) の表面抵抗で見積もる。蓄えられたエネルギーは電場と磁場で時間平均が等しいので、エネルギーと損失は

U=μ02∫∣H0∣2dV,P=Rs2∮∣H0∣2dSU=\frac{\mu_0}{2}\int\left\vert \bm{H}_0\right\vert ^2\mathrm{d} V,\qquad P=\frac{R_{\mathrm s}}{2}\oint\left\vert \bm{H}_{0}\right\vert ^2\mathrm{d} S

である。ωμ0σcδ=2/δ\omega\mu_0\sigma_{\mathrm c}\delta=2/\delta を使うと

Q=2δ ∫V∣H0∣2dV∮S∣H0∣2dS(9.53)\mathcal Q=\frac{2}{\delta}\,\frac{\int_V\left\vert \bm{H}_0\right\vert ^2\mathrm{d} V}{\oint_S\left\vert \bm{H}_0\right\vert ^2\mathrm{d} S}\tag{9.53}

となる。右辺の積分の比は、体積と表面積の比 V/SV/S に1の程度の数を掛けたものである。したがって Q\mathcal Q は「箱の寸法と表皮深さの比」の程度の大きさになる。

数 cm の銅の箱で数 GHz なら δ∼1 μm\delta\sim1\,\mu\mathrm m、V/S∼0.5 cmV/S\sim0.5\,\mathrm{cm} である。このとき Q\mathcal Q は 10410^4 の程度になる。

例題 9.7 マイクロ波の導波管 ★★

オリジナル長方形の導波管に、f=10.0 GHzf=10.0\,\mathrm{GHz} のマイクロ波を通す。導波管の内寸は次のとおりである(Xバンドで標準的に使われる寸法)。

a=22.86 mm,b=10.16 mma=22.86\,\mathrm{mm},\qquad b=10.16\,\mathrm{mm}

  1. 次の3つのモードの遮断周波数を求めよ。

TE10,TE20,TE01\mathrm{TE}_{10},\qquad \mathrm{TE}_{20},\qquad \mathrm{TE}_{01} 10.0 GHz で伝わるモードを答えよ。2. 伝わるモードについて、管の中の波長(管内波長)λg=2π/kz\lambda_{\mathrm g}=2\pi/k_z、群速度、位相速度を求めよ。

解答
  1. (9.46) から fmn=ωmn/(2π)=c2(m/a)2+(n/b)2f_{mn}=\omega_{mn}/(2\pi)=\frac{c}{2}\sqrt{(m/a)^2+(n/b)^2} である。

f10=c2a=2.998×1082×0.02286 Hz=6.56 GHz,f_{10}=\frac{c}{2a}=\frac{2.998\times10^{8}}{2\times0.02286}\,\mathrm{Hz}=6.56\,\mathrm{GHz},

f20=ca=13.1 GHz,f01=c2b=14.8 GHzf_{20}=\frac{c}{a}=13.1\,\mathrm{GHz},\qquad f_{01}=\frac{c}{2b}=14.8\,\mathrm{GHz}

なので、10.0 GHz で伝わるのは TE10\mathrm{TE}_{10} だけである。TM モードの最低は TM11\mathrm{TM}_{11} で、f11=16.1 GHzf_{11}=16.1\,\mathrm{GHz} である。2. 真空中の波長は λ0=c/f=30.0 mm\lambda_0=c/f=30.0\,\mathrm{mm} である。比の値は

f10f=0.6557,1−0.65572=0.7550\frac{f_{10}}{f}=0.6557,\qquad \sqrt{1-0.6557^2}=0.7550

である。kz=(ω/c)1−f102/f2k_z=(\omega/c)\sqrt{1-f_{10}^2/f^2} なので

λg=λ01−f102/f2=30.0 mm0.7550=39.7 mm\lambda_{\mathrm g}=\frac{\lambda_0}{\sqrt{1-f_{10}^2/f^2}}=\frac{30.0\,\mathrm{mm}}{0.7550}=39.7\,\mathrm{mm}

で、管内波長は真空中の波長より長い。(9.48) から

vg=0.755 c=2.26×108 m/s,vp=c0.755=1.32 cv_{\mathrm g}=0.755\,c=2.26\times10^{8}\,\mathrm{m/s},\qquad v_{\mathrm p}=\frac{c}{0.755}=1.32\,c

である。

例題 9.8 長方形の空洞共振器の最低の共振周波数 ★★

オリジナル長方形の空洞共振器がある。内寸は次のとおりである。

a=4.0 cm,b=2.0 cm,d=5.0 cma=4.0\,\mathrm{cm},\qquad b=2.0\,\mathrm{cm},\qquad d=5.0\,\mathrm{cm}

  1. 共振周波数の低い方から3つ(縮退があれば区別して)を、モードの指数 (m,n,p)(m,n,p) とともに求めよ。
  2. 最低のモードの電場の形を書け。
解答
  1. (9.50) から

fmnp=c2(ma)2+(nb)2+(pd)2f_{mnp}=\frac{c}{2}\sqrt{\Bigl(\frac{m}{a}\Bigr)^2+\Bigl(\frac{n}{b}\Bigr)^2+\Bigl(\frac{p}{d}\Bigr)^2}

で、少なくとも2つの指数が1以上でなければならない。各辺の逆数の2乗は

1a2=625 m−2,1b2=2500 m−2,1d2=400 m−2\frac{1}{a^2}=625\,\mathrm{m^{-2}},\qquad \frac{1}{b^2}=2500\,\mathrm{m^{-2}},\qquad \frac{1}{d^2}=400\,\mathrm{m^{-2}}

なので、

f101=c2625+400 m−1=1.499×108×32.02 Hz=4.80 GHz,f102=1.499×108625+1600=7.07 GHz,f011=1.499×1082500+400=8.07 GHz,f201=1.499×1082500+400=8.07 GHz\begin{aligned}f_{101}&=\frac{c}{2}\sqrt{625+400}\,\mathrm{m^{-1}}=1.499\times10^{8}\times32.02\,\mathrm{Hz}=4.80\,\mathrm{GHz},\\ f_{102}&=1.499\times10^{8}\sqrt{625+1600}=7.07\,\mathrm{GHz},\\ f_{011}&=1.499\times10^{8}\sqrt{2500+400}=8.07\,\mathrm{GHz},\\ f_{201}&=1.499\times10^{8}\sqrt{2500+400}=8.07\,\mathrm{GHz}\end{aligned}

である。低い方から並べると次のとおりである。

  • 4.80 GHz:(1,0,1)(1,0,1)。
  • 7.07 GHz:(1,0,2)(1,0,2)。
  • 8.07 GHz:(0,1,1)(0,1,1) と (2,0,1)(2,0,1) の2つが縮退。

どれも1つの指数が0なので、各組に1つずつのモードである。bb が最も短いので、n≥1n\ge1 のモードは周波数が高くなる。2. (m,n,p)=(1,0,1)(m,n,p)=(1,0,1) では sin⁡(nπy/b)=0\sin(n\pi y/b)=0 である。そのため ExE_x と EzE_z が消える。残る電場は

E=E2sin⁡πxasin⁡πzd e−iωt y^\bm{E}=E_2\sin\frac{\pi x}{a}\sin\frac{\pi z}{d}\,\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t}\,\hat{\bm{y}}

となる。電場は最も短い辺の向き yy を向き、箱の中央で最も強い。

確認テスト

オリジナル

  1. 9.4-1 a=2ba=2b の長方形の導波管について、遮断周波数を低い方から5つ(TE と TM を区別して)挙げよ。単位は c/(2a)c/(2a) とする。TE10\mathrm{TE}_{10} だけが伝わる振動数の範囲は何倍の幅か。
  2. 9.4-2 TE10\mathrm{TE}_{10} モードの場 (9.47) が、電場と磁場の発散が0であることと、4つの壁の上の境界条件 (9.41) を満たすことを確かめよ。
  3. 9.4-3 TE10\mathrm{TE}_{10} モードが運ぶ電力の時間平均が次の値であることを、Poynting ベクトルを断面で積分して示せ(B0B_0 は実数とする)。

⟨P⟩=ωkza3b4π2μ0B02\langle P \rangle =\frac{\omega k_za^3b}{4\pi^2\mu_0}B_0^2 4. 9.4-4 導波管のモードの分散関係 ω2=c2(kz2+kc2)\omega^2=c^2(k_z^2+k_{\mathrm c}^2) から vpvg=c2v_{\mathrm p}v_{\mathrm g}=c^2 を示せ。f=1.25fcf=1.25f_{\mathrm c} のとき、管内波長は真空中の波長の何倍か。5. 9.4-5 一辺 LL の立方体の空洞共振器の最低の共振周波数と、その周波数のモードの数(縮退度)を求めよ。L=10 cmL=10\,\mathrm{cm} のときの値を求めよ。また、(9.49) の電場から Faraday の法則で磁場を求め、その xx 成分が壁 x=0x=0 の上で0になることを確かめよ。

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