次元解析入門 第4章 §4.3 ★★ 無次元量を「何と何の比か」と読む論法は、実験の考察で何度も使う
質量 m の物体がばね(弾性力 −kx)と速度に比例する抵抗(−ax˙)を受けて振動する。周期 τ の形を次元解析で調べる。第3章の例のとおり、量は m,k,a,τ の4つ、次元行列の階数は2なので、無次元量は2個である。
求めたい τ は Π1 にだけ入れ、ばね弾性に対する抵抗の効果を表す量は a,m,k だけで Π2 に作る。
Π1=τmk,Π2=mka,τ=kmϕ(mka).
無次元量の物理的な意味
振動の時間スケールを τ、振幅の大きさを x とすると、慣性力 mx¨ はおよそ mx/τ2、ばね弾性力は kx、抵抗力 ax˙ はおよそ ax/τ の大きさを持つ。これらの比をとると
Π12=mkτ2=mx/τ2kx=慣性力ばね弾性力,Π2=kxax/ττ=m/k=ばね弾性力抵抗力
となる。Π1 は単振動の特徴(ばね弾性力と慣性力のつり合い)を、Π2 はばね弾性力に対する抵抗の強さを表す。Π2≪1(a≪mk)なら抵抗は無視でき、Π1 だけで決まる単振動、すなわち τ∝m/k になると予想できる。
運動方程式との対応
運動方程式 mx¨=−kx−ax˙ を x¨+2γx˙+ω02x=0 と書くと、ばねだけのときの角振動数は ω0=k/m(周期の逆数の目安)、減衰率は γ=a/(2m)(寿命の逆数)であり、
ω0γ=2mka=2Π2
となる。Π2 は「減衰の速さ」と「振動の速さ」の比にほかならない。γ<ω0 のとき解はx=Ae−γtcos(ωt+φ)、ω=ω01−(Π2/2)2 なので、次元解析で残った関数は
ϕ(Π2)=1−Π22/42π
と決まる。Π2=2 が臨界減衰で、これより大きいと振動せずに減衰する(過減衰)。
| Π2=a/mk | 運動の様子 | 何が無視できるか |
| 0.01 | ほとんど減らずに何十回も振動する | 摩擦による減衰 |
| 1 | 数回振動しながら減衰する | どちらも無視できない |
| 10 | 振動せず、ゆっくり元に戻る(過減衰) | 振動 |
第2.4節で述べたように、「抵抗 a が大きい」という言い方には意味がなく、意味を持つのは γ≫ω0、つまり Π2≫1 という比較である。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com