確率論入門 第12章 §12.6
12.1 の解答
- 12.1-1 すべての番号で Xˉn=n1⋅nX=X である。よって標本平均は確率変数 X に(各点で)収束し、定数 E[X] には確率収束しない。実際、V[X]>0 なら、ある正の数について P(∣X−E[X]∣≥ε)>0 となる。共分散は Cov(Xj,Xk)=V[X] で、番号の差によらない。よって r(m)≥V[X]>0 となり、r(m)→0 が満たされない。
- 12.1-2 (12.7) を使う場合は、次の同値から最小の n は 2000 である。
4n(0.05)21≤0.05⟺n≥4⋅0.0025⋅0.051=2000
Hoeffding の不等式を使う場合は、次の同値から最小の n は 738 である。
2e−2n(0.05)2≤0.05⟺e−0.005n≤0.025⟺n≥0.005log40≈737.78
指数的に減る上界の方が、必要な回数を約 0.37 倍(738/2000)に抑える。3. 12.1-3 分散と共分散は次のとおりである。
V[Xk]=41(σ2+σ2)=2σ2,Cov(Xk,Xk+1)=41Cov(ξk+ξk+1,ξk+1+ξk+2)=41V[ξk+1]=4σ2
番号の差が2以上では、共通の項が無いので共分散は 0 である。(12.5) から
V[Sn]=n⋅2σ2+2(n−1)⋅4σ2=2(2n−1)σ2.
別の方法では、和を次のように書き直す(中の ξ2,…,ξn は2回ずつ現れる)。
Sn=21ξ1+ξ2+⋯+ξn+21ξn+1
独立性から
V[Sn]=(41+(n−1)+41)σ2=2(2n−1)σ2
となり、一致する。期待値は μ で、V[Sn]/n2=2n2(2n−1)σ2→0 である。よって定理 12.2 から XˉnPμ である。4. 12.1-4 次のように展開できる。
σ^n2=n1k∑(Xk−Xˉn)2=n1k∑Xk2−2Xˉn⋅Xˉn+Xˉn2=n1k∑Xk2−Xˉn2
各項を順に扱う。
- 2乗の列は独立同分布で、E[X12]<∞ である。Khinchin の弱法則(定理 12.4)から、n1∑kXk2PE[X12] である。
- 同じく XˉnPμ である。
- 標本平均の2乗について、Xˉn2Pμ2 を示す。まず次の分解がある。
Xˉn2−μ2=Xˉn−μXˉn+μ
Xˉn−μ<η≤1 なら、Xˉn+μ<2∣μ∣+1 である。そこで η=min(1,ε/(2∣μ∣+1)) とすると、次が成り立つ。
P(Xˉn2−μ2≥ε)≤P(Xˉn−μ≥η)→0
4. 2つの確率収束する列の差は確率収束する。次の不等式による。
P(∣An+Bn−a−b∣≥ε)≤P(∣An−a∣≥ε/2)+P(∣Bn−b∣≥ε/2)
よって σ^n2PE[X12]−μ2=σ2 を得る(第11章 §11.4 の連続写像定理を使ってもよい)。
12.2 の解答
- 12.2-1 2乗の列は独立同分布で、値は区間 [0,1] にある。よって4次モーメントは有限で、定理 12.5 から次が成り立つ。
n1k∑Uk2→E[U12]=∫01u2du=31a.s.
2. 12.2-2 対数をとると log(U1⋯Un)1/n=n1∑klogUk である。モーメントは次のとおりである。
E[logU1]=∫01logudu=[ulogu−u]01=−1
4次のモーメントは、u=e−s と置換して次のように有限である。
E[(logU1)4]=∫01(logu)4du=∫0∞s4e−sds=Γ(5)=24<∞
中心化した4次モーメント E[(logU1+1)4] も、4次以下のモーメントの和で有限である。よって定理 12.5 から、n1∑klogUk→−1 a.s. である。指数関数は連続なので、相乗平均は確率 1 で e−1≈0.3679 に収束する。相加平均の極限 E[U1]=21 より小さいことは、相加・相乗平均の不等式と整合する。3. 12.2-3 定理 12.5 の証明と同じく、4乗の展開で期待値が残るのは次の項だけである。
- Yi4 の形の n 項。期待値は m4 である。
- 異なる添字の Yi2Yj2 の形の 3n(n−1) 項。期待値は独立性から E[Yi2]E[Yj2]=σ4 である。
よって E[(Y1+⋯+Yn)4]=nm4+3n(n−1)σ4 である。±1 の場合は Y2=Y4=1 である。よって σ2=m4=1 である。よって値は n+3n(n−1)=3n2−2n である。
たとえば n=1 で 1、n=2 で 8 となる。後者は、(Y1+Y2)4 が確率 1/2 で 16、確率 1/2 で 0 をとることと一致する。4. 12.2-4 M>0 を固定し、Xk(M)=min(Xk,M) と置く。これは区間 [0,M] に値をとる独立同分布の確率変数である。よって定理 12.5 から
n1k∑Xk(M)→E[min(X1,M)]a.s.
である。Xk≥Xk(M) だから、liminfnXˉn≥E[min(X1,M)] a.s. となる。M=1,2,… に対する可算個の確率 1 の事象の共通部分の上で、これが同時に成り立つ。単調収束定理から、M→∞ で次となる。
E[min(X1,M)]↑E[X1]=∞
よって下極限は無限大であり、標本平均は確率 1 で無限大に発散する。
12.3 の解答
- 12.3-1 数列の級数が収束するかどうかは、最初の m 項を取り除いた級数 ∑n>mxn が収束するかどうかと同じである(有限個の項の和は有限)。したがって事象は {∑n>mXn が収束する} に等しい。部分和 Tk=∑n=m+1m+kXn は、σ加法族 σ(Xm+1,Xm+2,…) に関して可測である。収束の事象は、次の Cauchy 条件で書ける。
j≥1⋂N≥1⋃k,l≥N⋂{∣Tk−Tl∣≤1/j}
よってこの σ加法族に属する。2. 12.3-2 A=1 として、3級数定理の (i) を見る。絶対値が 1 を超えるのは、n≥2 で Xn=n2 のときだけである。よって
n∑P(∣Xn∣>1)≤n∑n21<∞
である。Borel–Cantelli の第1補題から、確率 1 で有限個の番号を除いて Xn=0 となる。よって級数は有限和として収束する。
一方、期待値は E[Xn]=n2⋅n21=1 である。各項は非負だから、単調収束定理から E[∑nXn]=∑nE[Xn]=∞ である。ほとんど確実に有限な確率変数でも、期待値は無限になりうる。3. 12.3-3 A=21 として3級数定理を使う。絶対値が 1/2 を超えるのは Xn=±1 のときで、その確率は pn である。切断した変数は Yn=Xn1{∣Xn∣≤1/2}=0 なので、(ii) と (iii) は常に 0 の和で収束する。よって級数がほとんど確実に収束することは、(i) ∑npn<∞ と同値である。∑npn=∞ のときは、Borel–Cantelli の第2補題から ∣Xn∣=1 が無限回起きる。項が 0 に近づかないので級数は発散する。これは必要性の部分を直接確かめたことになる。4. 12.3-4 各項 Xn/n1/2+δ は独立で、平均 0、分散 σ2/n1+2δ をもつ。分散の和 ∑nσ2/n1+2δ は有限である。
よって定理 12.7 から、級数 ∑nXn/n1/2+δ はほとんど確実に収束する。bn=n1/2+δ は正で、単調に無限大へ増える。Kronecker の補題から、次が成り立つ。
n1/2+δ1k≤n∑Xk→0a.s.
中心極限定理の尺度 n よりわずかに大きい n1/2+δ で割れば、部分和はほとんど確実に 0 に近づく。
12.4 の解答
- 12.4-1 nFn(x)=∑k≤n1{Xk≤x} は、独立な Bernoulli 試行 n 回の成功回数である。成功確率は P(Xk≤x)=F(x) である。よって Bin(n,F(x)) に従う。二項分布の平均と分散から、次を得る。
E[Fn(x)]=F(x),V[Fn(x)]=n2nF(x)(1−F(x))=nF(x)(1−F(x))
2. 12.4-2 I=e−1 であり、E[e2U]=∫01e2udu=2e2−1 である。よって
σ2=2e2−1−(e−1)2≈3.194528−2.952492=0.242036
である。次の同値から、最小の n は 242036 である。
E[(I^n−I)2]=nσ≤0.001⟺n≥10−6σ2≈242035.6
3. 12.4-3 1−U も一様分布に従うので、V[e1−U]=σ2 である。共分散は次のとおりである。
Cov(eU,e1−U)=E[eUe1−U]−(e−1)2=e−(e−1)2
よって
V[21(eU+e1−U)]=41(2σ2+2(e−(e−1)2))=2σ2+e−(e−1)2≈20.242036−0.234211≈0.003912
である。よって V[Iˇn]≈0.003912/n である。
同じ 2n 回の関数値を使う推定値の分散は、V[I^2n]=σ2/(2n)≈0.121018/n である。よって分散は約 1/31 になる。指数関数は単調なので、eU と e1−U は負の相関をもつ。和をとると揺れが打ち消し合う。4. 12.4-4 Yk は独立同分布である。次の重みも独立同分布である(分母が 0 のときは Wk=0 と置く)。
Wk=q(Yk)g(Yk)f(Yk)
Yk の密度が q なので、変数変換公式から
E[∣W1∣]=∫{q>0}q(y)∣g(y)∣f(y)q(y)dy=∫{q>0}∣g∣fdy=∫∣g∣fdy<∞
である(最後の等号は、{q=0} の上では仮定から gf=0 であることによる)。同じ計算で E[W1]=∫gfdy となる。Kolmogorov の強法則(定理 12.6)から、次が成り立つ。
I~n=n1k∑Wk→∫gfdya.s.
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