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当てる道具:レンズは Fourier 変換器

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第7章 Fourier 光学
目次
  1. レンズの Fourier 変換の定理
  2. ABCD 行列で見る: の系
  3. Fourier 変換で形の変わらないモード
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第7章 §7.2 ★★★ レンズの前の焦点面の場と後ろの焦点面の場は Fourier 変換で結ばれる。ABCD 行列で A=0A=0 の系がちょうどこの性質を持つ

レンズの Fourier 変換の定理

レンズの前方の距離 dd の面に場 U1(x)U_1(\bm{x}) があり、それが自由空間を dd だけ進み、焦点距離 ff の薄いレンズを通り、さらに ff だけ進んで後ろの焦点面に着いたときの場 Uf(u)U_f(\bm{u}) を求める(u\bm{u} は後ろの焦点面の中の位置)。

定理 7.1(レンズの Fourier 変換 ★★★)

Fresnel 近似 (7.4) と薄いレンズの透過率 (7.8) のもとで

Uf(u)=eik(d+f)iλfexp⁡[ik2f(1−df)∣u∣2] U~1(kuf)(7.9)U_f(\bm{u})=\frac{\mathrm{e}^{\mathrm{i} k(d+f)}}{\mathrm{i}\lambda f}\exp\Bigl[\frac{\mathrm{i} k}{2f}\Bigl(1-\frac df\Bigr)\lvert \bm{u}\rvert ^2\Bigr]\,\tilde U_1\Bigl(\frac{k\bm{u}}{f}\Bigr)\tag{7.9}

が成り立つ。特に d=fd=f(物体を前の焦点面に置く)なら、2次の位相の因子が消え、Uf(u)U_f(\bm{u}) は定数倍を除いて U1U_1 の Fourier 変換そのものになる。

証明

レンズの直前の場を U−U_- とすると、式 (7.3) と (7.4) から U~−(K)=eikde−i∣K∣2d/(2k)U~1(K)\tilde U_-(\bm{K})=\mathrm{e}^{\mathrm{i} kd}\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\lvert \bm{K}\rvert ^2d/(2k)}\tilde U_1(\bm{K}) である。レンズの直後の場 tLU−t_{\mathrm L}U_- を Fresnel の核 (7.5) で ff だけ進めると

Uf(u)=eikfiλf∫d2x exp⁡[ik∣u−x∣22f−ik∣x∣22f]U−(x)=eikfiλf eik∣u∣2/(2f)∫d2x e−iku⋅x/f U−(x).U_f(\bm{u})=\frac{\mathrm{e}^{\mathrm{i} kf}}{\mathrm{i}\lambda f}\int\mathrm{d}^2x\,\exp\Bigl[\frac{\mathrm{i} k\lvert \bm{u}-\bm{x}\rvert ^2}{2f}-\frac{\mathrm{i} k\lvert \bm{x}\rvert ^2}{2f}\Bigr]U_-(\bm{x}) =\frac{\mathrm{e}^{\mathrm{i} kf}}{\mathrm{i}\lambda f}\,\mathrm{e}^{\mathrm{i} k\lvert \bm{u}\rvert ^2/(2f)}\int\mathrm{d}^2x\,\mathrm{e}^{-\mathrm{i} k\bm{u}\cdot\bm{x}/f}\,U_-(\bm{x}).

指数の中の ∣x∣2\lvert \bm{x}\rvert ^2 の項は、伝搬の核の分とレンズの分が打ち消し合って消えた。残った積分は U~−\tilde U_- を K=ku/f\bm{K}=k\bm{u}/f で読んだもので、

Uf(u)=eikfiλf eik∣u∣2/(2f) eikd e−ik∣u∣2d/(2f2) U~1(kuf)U_f(\bm{u})=\frac{\mathrm{e}^{\mathrm{i} kf}}{\mathrm{i}\lambda f}\,\mathrm{e}^{\mathrm{i} k\lvert \bm{u}\rvert ^2/(2f)}\,\mathrm{e}^{\mathrm{i} kd}\,\mathrm{e}^{-\mathrm{i} k\lvert \bm{u}\rvert ^2d/(2f^2)}\,\tilde U_1\Bigl(\frac{k\bm{u}}{f}\Bigr)

となる。2つの2次の位相をまとめると式 (7.9) を得る。

式 (7.9) の対応 K=ku/f\bm{K}=k\bm{u}/f は、幾何光学の言葉では次のことを言っている。物体から角度 θ\theta の向きに出た平面波の成分(∣K∣=ksin⁡θ\lvert \bm{K}\rvert =k\sin\theta)は、レンズを通ると焦点面の1点 ∣u∣=fsin⁡θ\lvert \bm{u}\rvert =f\sin\theta に集まる(近軸では fθf\theta)。平行な光線の束がレンズの焦点面の1点に集まることを、波の言葉で書くと、平面波のモードが焦点面の点に1対1で対応する、という形になる。焦点面の強度 ∣Uf∣2\lvert U_f\rvert ^2 は ∣U~1∣2\lvert \tilde U_1\rvert ^2 に比例するので、dd によらず物体の空間周波数の分布(パワースペクトル)を表す。dd によって変わるのは焦点面の位相だけである。第6章の Fraunhofer 回折は、レンズを置かずに距離 z→∞z\to\infty で同じ ∣U~1∣2\lvert \tilde U_1\rvert ^2 を見たもので、レンズはその無限遠を距離 ff に持ってくる。

例として、幅 b=0.1 mmb=0.1\,\mathrm{mm} のスリットを前の焦点面に置き、λ=633 nm\lambda=633\,\mathrm{nm}、f=200 mmf=200\,\mathrm{mm} のレンズの後ろの焦点面を見る。スリットの Fourier 変換は b sincb\,\mathrm{sinc} 型で、最初の零は Kxb/2=πK_xb/2=\pi、すなわち u=λf/b=1.27 mmu=\lambda f/b=1.27\,\mathrm{mm} にある。狭いスリットほど焦点面の像が広がる関係は、Fourier 変換の幅の反比例そのものである。

ABCD 行列で見る:A=0A=0 の系

第2章(第2章)の光線行列で、距離 dd の伝搬・焦点距離 ff のレンズ・距離 ff の伝搬を順に掛けると

(1f01)(10−1/f1)(1d01)=(0f−1/f1−d/f)(7.10)\begin{pmatrix}1&f\\0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&0\\-1/f&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&d\\0&1\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}0&f\\-1/f&1-d/f\end{pmatrix}\tag{7.10}

となる。左上の成分 A=0A=0 は、焦点面での光線の位置が入口での位置によらず、入口での傾きだけで決まる(位置と傾きを入れ替える)ことを表す。近軸の光学系を通した場の変換は、ABCD 行列だけで

U2(x2)=eikLiλB∫d2x1 exp⁡[ik2B(A∣x1∣2−2x1⋅x2+D∣x2∣2)]U1(x1)(7.11)U_2(\bm{x}_2)=\frac{\mathrm{e}^{\mathrm{i} kL}}{\mathrm{i}\lambda B}\int\mathrm{d}^2x_1\,\exp\Bigl[\frac{\mathrm{i} k}{2B}\bigl(A\lvert \bm{x}_1\rvert ^2-2\bm{x}_1\cdot\bm{x}_2+D\lvert \bm{x}_2\rvert ^2\bigr)\Bigr]U_1(\bm{x}_1)\tag{7.11}

と書けることが知られている(LL は光軸に沿った光路長。S. A. Collins, Jr. (1970), J. Opt. Soc. Am. 60, 1168)。式 (7.10) の A=0A=0、B=fB=f、D=1−d/fD=1-d/f を入れると、∣x1∣2\lvert \bm{x}_1\rvert ^2 の項が消えて式 (7.9) が再び出る。A=0A=0 の系がどれも Fourier 変換器になるのはこのためで、たとえば第3章の放物型の屈折率の棒レンズを 1/41/4 ピッチの長さで切ったもの(A=D=0A=D=0)も、焦点距離 1/(n0α)1/(n_0\alpha) のレンズと同じ Fourier 変換を行う。

Fourier 変換で形の変わらないモード

放物型の媒質の中の伝搬は、第4章で見たとおり2次元の調和振動子の時間発展と同じ形をしている。調和振動子の 1/41/4 周期の時間発展は、位置の表示と運動量の表示を入れ替える。したがって調和振動子の固有関数である Hermite–Gauss 関数は、Fourier 変換で形を変えないはずである。実際、

∫−∞∞dξ Hm(ξ) e−ξ2/2 e−iκξ=2π (−i)mHm(κ) e−κ2/2(7.12)\int_{-\infty}^\infty\mathrm{d}\xi\,H_m(\xi)\,\mathrm{e}^{-\xi^2/2}\,\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\kappa\xi}=\sqrt{2\pi}\,(-\mathrm{i})^mH_m(\kappa)\,\mathrm{e}^{-\kappa^2/2}\tag{7.12}

が成り立つ(HmH_m は Hermite 多項式)。ビーム半径 w0w_0 の Hermite–Gauss ビーム U1=Hm(2x/w0)Hl(2y/w0)e−∣x∣2/w02U_1=H_m(\sqrt2x/w_0)H_l(\sqrt2y/w_0)\mathrm{e}^{-\lvert \bm{x}\rvert ^2/w_0^2} を前の焦点面に置き、式 (7.9) に入れると、後ろの焦点面の場は再び Hermite–Gauss 型になり、その半径は λf/(πw0)\lambda f/(\pi w_0) である。半径が w02=λf/πw_0^2=\lambda f/\pi を満たすときは前後の半径が等しく、

Uf(u)=e2ikf (−i)m+l+1 U1(u)(w02=λfπ)(7.13)U_f(\bm{u})=\mathrm{e}^{2\mathrm{i} kf}\,(-\mathrm{i})^{m+l+1}\,U_1(\bm{u})\qquad\Bigl(w_0^2=\frac{\lambda f}{\pi}\Bigr)\tag{7.13}

となる。前の焦点面から後ろの焦点面までの伝搬は、ビームのくびれから遠方までの伝搬を距離 ff に縮めたものなので、位相 (m+l+1)π/2(m+l+1)\pi/2 は第4章の式 (4.24) の Gouy 位相 (m+l+1)ψG(m+l+1)\psi_{\mathrm G} のうち、くびれから遠方までの分(ψG\psi_{\mathrm G} が 00 から π/2\pi/2 まで進む分)に等しい。

例題 7.2 Gauss ビームをレンズの焦点面で見る ★★

オリジナルビーム半径 w0w_0 のくびれ U1(x)=e−∣x∣2/w02U_1(\bm{x})=\mathrm{e}^{-\lvert \bm{x}\rvert ^2/w_0^2} を、焦点距離 ff のレンズの前の焦点面に置く。

  1. 後ろの焦点面の場の形を求め、そのビーム半径 wfw_f を w0w_0、ff、λ\lambda で表せ。
  2. λ=633 nm\lambda=633\,\mathrm{nm}、f=100 mmf=100\,\mathrm{mm}、w0=1 mmw_0=1\,\mathrm{mm} のとき wfw_f を求めよ。また、前後でビーム半径が等しくなる w0w_0 を求めよ。
  3. (1) の結果を、第4章の Gauss ビームの言葉(くびれから遠方への広がり角)で説明せよ。
解答

(1) Gauss 積分から U~1(K)=πw02 e−∣K∣2w02/4\tilde U_1(\bm{K})=\pi w_0^2\,\mathrm{e}^{-\lvert \bm{K}\rvert ^2w_0^2/4}。定理 7.1 で d=fd=f、K=ku/f\bm{K}=k\bm{u}/f とおくと

Uf(u)=e2ikfπw02iλfexp⁡(−k2w02∣u∣24f2)U_f(\bm{u})=\frac{\mathrm{e}^{2\mathrm{i} kf}\pi w_0^2}{\mathrm{i}\lambda f}\exp\Bigl(-\frac{k^2w_0^2\lvert \bm{u}\rvert ^2}{4f^2}\Bigr)

となり、後ろの焦点面の場も平らな位相の Gauss 型で、その半径は wf=2f/(kw0)=λf/(πw0)w_f=2f/(kw_0)=\lambda f/(\pi w_0) である。前後の半径の積 w0wf=λf/πw_0w_f=\lambda f/\pi は w0w_0 によらない。

(2) wf=633×10−9×0.1/(π×10−3) m=20.1 μmw_f=633\times10^{-9}\times0.1/(\pi\times10^{-3})\,\mathrm m=20.1\,\mu\mathrm m。前後が等しくなるのは w0=λf/π=0.142 mmw_0=\sqrt{\lambda f/\pi}=0.142\,\mathrm{mm} のときで、式 (7.13) の m=l=0m=l=0 の場合に当たる。

(3) くびれの半径 w0w_0 の Gauss ビームは、遠方で半角 θ0=λ/(πw0)\theta_0=\lambda/(\pi w_0) で広がる(第4章)。レンズはこの角度の分布を焦点面の位置の分布 u=fθu=f\theta に移すので、wf=fθ0=λf/(πw0)w_f=f\theta_0=\lambda f/(\pi w_0) となり (1) と一致する。細いビームほど広がり角が大きく、焦点面では太くなる。レーザー光をレンズで絞るときに、レンズに入るビームを太くするほど焦点が小さくなるのも同じ式による。

ほかの巻では

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