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出てくるもの(3):金と銀と銅の色

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第13章 Drude と金属
目次
  1. 自由電子だけでは色が出ない
  2. バンド間遷移を段で入れる
  3. 遮蔽されたプラズマ周波数と銀の谷
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第13章 §13.5 ★★★ 自由電子だけなら貴金属はどれも銀色になる。満ちた d バンドからのバンド間遷移を ε2\varepsilon_2 の段として足し、ε1\varepsilon_1 を Kramers–Kronig で作ると、遷移の始まりの位置で金・銀・銅の色が分かれる

自由電子だけでは色が出ない

金・銀・銅は伝導電子が原子1個あたり1個で、自由電子の数密度から出す ℏωp\hbar\omega_{\mathrm p} はどれも 9∼11 eV9\sim11\,\mathrm{eV} の紫外にある。可視光(1.65∼3.26 eV1.65\sim3.26\,\mathrm{eV})は緩和の帯に入り、(13.13) の反射率は周波数によらないので、自由電子だけの模型では3つとも白く(銀色に)見えるはずである。金が黄色く銅が赤いのは、伝導電子以外の電子が可視光に応答するからである。

これらの金属では、満ちた d バンドが Fermi 準位の数 eV 下にあり、そこから Fermi 準位の上の空いた状態へ電子を上げるバンド間遷移が、ある光子のエネルギー ℏωt\hbar\omega_{\mathrm t} から始まる。H. Ehrenreich と H. R. Philipp は銀と銅の光学定数の測定を、自由電子の応答・バンド間遷移・集団振動の3つで解釈した1H. Ehrenreich and H. R. Philipp (1962), Physical Review 128, 1622.下の脚注へ。遷移の始まる位置が、銀では紫外に、金と銅では可視の中にある。結晶のバンドからこの遷移を数える話(結合状態密度と吸収端の形)は ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部第6章で扱う。この節では、その結果をもっとも簡単な形の ε2\varepsilon_2 として模型に入れる。

バンド間遷移を段で入れる

バンド間遷移の ε2\varepsilon_2 を、ωt<ω<ωc\omega_{\mathrm t}<\omega<\omega_{\mathrm c} で一定値 AA、それ以外で 00 の段(箱)で近似する。実部は (13.9) で

ε1inter(ω)=2π P ⁣∫ωtωcAω′ω′2−ω2 dω′=Aπln⁡∣ωc2−ω2ωt2−ω2∣(13.17)\varepsilon_1^{\mathrm{inter}}(\omega)=\frac{2}{\pi}\,\mathrm P\!\int_{\omega_{\mathrm t}}^{\omega_{\mathrm c}}\frac{A\omega'}{\omega'^2-\omega^2}\,\mathrm{d}\omega' =\frac{A}{\pi}\ln\lvert \frac{\omega_{\mathrm c}^2-\omega^2}{\omega_{\mathrm t}^2-\omega^2}\rvert\tag{13.17}

になる。ω<ωt\omega<\omega_{\mathrm t} で正で、ω→ωt\omega\to\omega_{\mathrm t} に向かって大きくなる。吸収の段の手前では、その段を作る電子が束縛された振動子のように分極し、正の誘電率を足す。(13.17) は吸収の端で対数的に発散する。端をなめらかにするには、ω\omega を上半面の z=ω+iηz=\omega+\mathrm{i}\eta に置き換えた

εr(ω)=1−ωp2ω(ω+iγ)+Aπ[ln⁡(ωc2−z2)−ln⁡(ωt2−z2)],z=ω+iη(13.18)\varepsilon_{\mathrm r}(\omega)=1-\frac{\omega_{\mathrm p}^2}{\omega(\omega+\mathrm{i}\gamma)}+\frac{A}{\pi}\Bigl[\ln(\omega_{\mathrm c}^2-z^2)-\ln(\omega_{\mathrm t}^2-z^2)\Bigr],\qquad z=\omega+\mathrm{i}\eta\tag{13.18}

を使う(対数は主値の枝)。角括弧の関数は上半面で正則で、∣z∣→∞\lvert z\rvert \to\infty で 00 に近づくので、η>0\eta>0 でも Kramers–Kronig の関係を満たす。η→+0\eta\to+0 では虚部が ωt<ω<ωc\omega_{\mathrm t}<\omega<\omega_{\mathrm c} で AA、外で 00 に戻り、実部が (13.17) に戻る。先頭の 11 は、より深い内殻の寄与を無視した値である。

段が総和則に足す面積は ∫ωε2interdω=A(ωc2−ωt2)/2\int\omega\varepsilon_2^{\mathrm{inter}}\mathrm{d}\omega=A(\omega_{\mathrm c}^2-\omega_{\mathrm t}^2)/2 で、これを (13.10) の形 π2ωp,inter2\frac{\pi}{2}\omega_{\mathrm{p,inter}}^2 に書けば、段の電子の数を伝導電子の (ωp,inter/ωp)2(\omega_{\mathrm{p,inter}}/\omega_{\mathrm p})^2 倍と数えたことになる。模型の値は表 13.1 のように選ぶ。3つの金属で ℏωp\hbar\omega_{\mathrm p} を共通の 9.0 eV9.0\,\mathrm{eV} にそろえ、遷移の始まり ℏωt\hbar\omega_{\mathrm t} と段の高さ AA だけを変えた。これは色の分かれ方を見るための模型の値で、測定値を再現するように合わせたものではない。

表 13.1 (13.18) の模型の値(単位は eV。AA は無次元)
ℏωp\hbar\omega_{\mathrm p}ℏγ\hbar\gammaAAℏωt\hbar\omega_{\mathrm t}ℏωc\hbar\omega_{\mathrm c}ℏη\hbar\eta
銀の模型9.09.00.020.022.52.53.93.920200.10.1
金の模型9.09.00.070.074.04.02.42.420200.10.1
銅の模型9.09.00.090.095.05.02.12.120200.10.1
図

図 13.4 表 13.1 の模型 (13.18) で計算した垂直入射の反射率。帯は可視光(1.65∼3.26 eV1.65\sim3.26\,\mathrm{eV})。銀の模型は可視で R≈0.99R\approx0.99 が平らに続き、3.85 eV3.85\,\mathrm{eV} に鋭い谷がある。金と銅の模型は遷移の始まり(2.42.4 と 2.1 eV2.1\,\mathrm{eV})から上で反射率が落ち、青の側を反射しにくい

遮蔽されたプラズマ周波数と銀の谷

ω<ωt\omega<\omega_{\mathrm t} では、段の寄与 (13.17) は吸収を持たない背景の誘電率 εb(ω)=1+ε1inter(ω)\varepsilon_{\mathrm b}(\omega)=1+\varepsilon_1^{\mathrm{inter}}(\omega) として振る舞う。ε1=0\varepsilon_1=0 になる周波数は

ω∗=ωpεb(ω∗)\omega^*=\frac{\omega_{\mathrm p}}{\sqrt{\varepsilon_{\mathrm b}(\omega^*)}}

で、自由電子の ωp\omega_{\mathrm p} より下がる。d 電子の分極が伝導電子の振動の電場を弱めるので、これを遮蔽されたプラズマ周波数と呼ぶ。銀の模型では ω∗\omega^* が遷移の始まり ωt\omega_{\mathrm t} のすぐ下に来るので、ε1=0\varepsilon_1=0 の点で ε2\varepsilon_2 がまだ小さい。εr≈0\varepsilon_{\mathrm r}\approx0 なら n~≈0\tilde n\approx0 で、(13.8) は R≈1R\approx1 でなく 00 に近づく。反射率は ω∗\omega^* の上で鋭く落ち、谷を作る。ω∗\omega^* が吸収の中に入る金と銅では、ε2\varepsilon_2 が大きいので谷は浅くぼやける。Ehrenreich と Philipp が「伝導電子と d 電子の両方が関わるプラズマ共鳴」と呼んだものが、この ω∗\omega^* の振動である。

例題 13.7 銀の模型の遮蔽されたプラズマ周波数 ★★

オリジナル表 13.1 の銀の模型について次を求めよ。

  1. (1) ε1(ω)=0\varepsilon_1(\omega)=0 になる ℏω∗\hbar\omega^*(3∼3.9 eV3\sim3.9\,\mathrm{eV} の範囲)と、そこでの背景の誘電率 Re⁡ εb(ω∗)\operatorname{Re}\,\varepsilon_{\mathrm b}(\omega^*)。
  2. (2) 静電場の極限の背景 εb(0)=1+(A/π)ln⁡(ωc2/ωt2)\varepsilon_{\mathrm b}(0)=1+(A/\pi)\ln(\omega_{\mathrm c}^2/\omega_{\mathrm t}^2) を使った見積もり ωp/εb(0)\omega_{\mathrm p}/\sqrt{\varepsilon_{\mathrm b}(0)} との違い。
  3. (3) 段が総和則に足す面積を ℏ2ωp,inter2=A(ℏ2ωc2−ℏ2ωt2)/π\hbar^2\omega_{\mathrm{p,inter}}^2=A(\hbar^2\omega_{\mathrm c}^2-\hbar^2\omega_{\mathrm t}^2)/\pi で表し、伝導電子の ℏ2ωp2\hbar^2\omega_{\mathrm p}^2 と比べよ。
解答

(1) (13.18) の実部を数値で 00 にすると ℏω∗=3.79 eV\hbar\omega^*=3.79\,\mathrm{eV} で、そこでの Re⁡ εb=5.64\operatorname{Re}\,\varepsilon_{\mathrm b}=5.64、9.0/5.64=3.799.0/\sqrt{5.64}=3.79 と矛盾なくそろう。ε2(ω∗)=0.61\varepsilon_2(\omega^*)=0.61 と小さいので反射率の谷が深い(図 13.4 の最小は 3.85 eV3.85\,\mathrm{eV} で R=0.09R=0.09)。

(2) εb(0)=1+(2.5/π)ln⁡(400/15.21)=3.60\varepsilon_{\mathrm b}(0)=1+(2.5/\pi)\ln(400/15.21)=3.60 で、9.0/3.60=4.74 eV9.0/\sqrt{3.60}=4.74\,\mathrm{eV} になる。段の手前で εb(ω)\varepsilon_{\mathrm b}(\omega) が大きくなるので、静電場の値で見積もると ω∗\omega^* を 1 eV ほど高く出してしまう。

(3) ℏ2ωp,inter2=2.5×(400−15.21)/π=306 eV2\hbar^2\omega_{\mathrm{p,inter}}^2=2.5\times(400-15.21)/\pi=306\,\mathrm{eV^2} で、伝導電子の 81 eV281\,\mathrm{eV^2} の 3.83.8 倍である。20 eV20\,\mathrm{eV} までの吸収に、伝導電子1個に対して d 電子 3.83.8 個分の重みを割り当てた模型になっている。

例題 13.8 金と銅の模型の反射の色 ★★

オリジナル表 13.1 の3つの模型で、赤(1.9 eV1.9\,\mathrm{eV}, 653 nm653\,\mathrm{nm})・緑(2.3 eV2.3\,\mathrm{eV}, 539 nm539\,\mathrm{nm})・青(2.75 eV2.75\,\mathrm{eV}, 451 nm451\,\mathrm{nm})の垂直入射の反射率を求め、白色光を反射したときの色を述べよ。

解答

(13.18) と (13.8) から次のようになる。

赤 1.9 eV1.9\,\mathrm{eV}緑 2.3 eV2.3\,\mathrm{eV}青 2.75 eV2.75\,\mathrm{eV}
銀の模型0.9940.9940.9920.9920.9860.986
金の模型0.9660.9660.8550.8550.4950.495
銅の模型0.9230.9230.5890.5890.4240.424

銀の模型は3色をほぼ同じに反射するので、反射光は白い。金の模型は青を半分しか反射せず、赤と緑を多く返すので、反射光は黄色に寄る。銅の模型は緑も6割に落ち、赤だけが強く残るので赤みが強い。3つの違いは ℏωt\hbar\omega_{\mathrm t} を 3.93.9, 2.42.4, 2.1 eV2.1\,\mathrm{eV} と変えたことだけから出ている。遷移の始まりが可視の中に入ると、それより短い波長の光は電子をバンド間で上げることに使われ、反射されにくくなる。

1 H. Ehrenreich and H. R. Philipp (1962), Physical Review 128, 1622.

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