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出てくるもの(2):受動モード同期とソリトン

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第23章 モード同期と光周波数コム
目次
  1. 速い可飽和吸収体
  2. 分散と自己位相変調
  3. ソリトン
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第23章 §23.4 ★★ 強い光ほど損失が小さい素子はパルスの山だけを残し、負の群速度分散と自己位相変調がつり合うと sech\mathrm{sech} 型のソリトンが1周ごとに形を保つ。幅は τ=2∣D∣/(δKWp)\tau=2\lvert D\rvert /(\delta_{\mathrm K}W_{\mathrm p}) でエネルギーに反比例する

速い可飽和吸収体

能動モード同期のパルスの幅は、前節で見たように変調の周波数で制限される。パルス自身の強度で損失を変えれば、損失の変化はパルスと同じ速さで起こり、この制限が無くなる。回復の時間がパルスの幅より短い可飽和吸収体(速い可飽和吸収体)では、振幅の損失が瞬間の出力 ∣a∣2\lvert a\rvert ^2 で決まり、q(∣a∣2)=q0/(1+∣a∣2/Psat)≈q0−(q0/Psat)∣a∣2q(\lvert a\rvert ^2)=q_0/(1+\lvert a\rvert ^2/P_{\mathrm{sat}})\approx q_0-(q_0/P_{\mathrm{sat}})\lvert a\rvert ^2 となる。主方程式には +ηsa∣a∣2a+\eta_{\mathrm{sa}}\lvert a\rvert ^2a(ηsa=q0/Psat\eta_{\mathrm{sa}}=q_0/P_{\mathrm{sat}})の項が加わる。パルスの山は損失が小さく、裾は損失が大きいので、1周ごとにパルスは短くなり、利得の帯域による広がりとつり合う所で止まる。固体の中の Kerr 効果で光の強い所に凸レンズができ(Kerr レンズ)、強い光ほど開口を通りやすくなる配置も、同じ働きをする速い可飽和吸収体になる。分散を補償した Ti:サファイアのレーザーでこの仕組みを使い、60 fs60\,\mathrm{fs} のパルスが直接得られた(Spence, Kean, Sibbett (1991), Opt. Lett. 16, 42)。

分散と自己位相変調

パルスが短くなると、共振器の中の群速度分散と、強度に比例する屈折率の変化 n=n0+n2In=n_0+n_2I(Kerr 効果、第17章)による位相を無視できなくなる。1周の群速度分散を D=∑iki′′LiD=\sum_ik''_iL_i とすると、23.2節のとおり包絡線は角周波数のずれ ω\omega ごとに位相 Dω2/2D\omega^2/2 を受け、ω2→−∂t2\omega^2\to-\partial_t^2 から主方程式に −i(D/2)∂t2a-\mathrm{i}(D/2)\partial_t^2a の項が加わる。Kerr 効果は瞬間の出力に比例する位相 δK∣a∣2\delta_{\mathrm K}\lvert a\rvert ^2 を与え、δK=k0n2LK/Aeff\delta_{\mathrm K}=k_0n_2L_{\mathrm K}/A_{\mathrm{eff}}(LKL_{\mathrm K} は1周で Kerr 媒質を通る長さ、AeffA_{\mathrm{eff}} はビームの実効的な断面積)である。利得と損失がつり合っていて、その帯域の効果が分散と非線形性より小さいとき、主方程式は

trt ∂a∂T=−iD2∂2a∂t2+iδK∣a∣2a(23.13)t_{\mathrm{rt}}\,\frac{\partial a}{\partial T}=-\mathrm{i}\frac D2\frac{\partial ^2a}{\partial t^2}+\mathrm{i}\delta_{\mathrm K}\lvert a\rvert ^2a\tag{23.13}

になる。これは非線形 Schrödinger 方程式で、TT が時間、tt が空間の役をしている。

ソリトン

a(T,t)=A0 sech(t/τ) eiθT/trta(T,t)=A_0\,\mathrm{sech}(t/\tau)\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}\theta T/t_{\mathrm{rt}}} を入れる。sech′′=(sech−2 sech3)/τ2\mathrm{sech}''=(\mathrm{sech}-2\,\mathrm{sech}^3)/\tau^2 を使うと、右辺は

i[−D2τ2]a+i[Dτ2+δKA02]A0 sech3(t/τ)\mathrm{i}\Bigl[-\frac{D}{2\tau^2}\Bigr]a+\mathrm{i}\Bigl[\frac{D}{\tau^2}+\delta_{\mathrm K}A_0^2\Bigr]A_0\,\mathrm{sech}^3(t/\tau)

で、左辺は iθa\mathrm{i}\theta a である。sech3\mathrm{sech}^3 の項が消えるには D/τ2+δKA02=0D/\tau^2+\delta_{\mathrm K}A_0^2=0 が要り、これは D<0D<0(負の群速度分散、異常分散)のときだけ満たせる。そのとき θ=∣D∣/(2τ2)\theta=\lvert D\rvert /(2\tau^2) である。パルスのエネルギー Wp=∫∣a∣2dt=2A02τW_{\mathrm p}=\int\lvert a\rvert ^2\mathrm{d} t=2A_0^2\tau を使って A0A_0 を消すと、

∣D∣=δKA02τ2,τ=2∣D∣δKWp(23.14)\lvert D\rvert =\delta_{\mathrm K}A_0^2\tau^2,\qquad \tau=\frac{2\lvert D\rvert }{\delta_{\mathrm K}W_{\mathrm p}}\tag{23.14}

を得る。この解を(基本の)ソリトンと呼ぶ。強度は sech2\mathrm{sech}^2 型で、半値全幅は τp=1.763 τ\tau_{\mathrm p}=1.763\,\tau、チャープは無いので時間帯域幅積は 0.3150.315 である。

つり合いの中身は次のとおりである。Kerr 効果の位相 δK∣a∣2\delta_{\mathrm K}\lvert a\rvert ^2 はパルスの前半で時間とともに増え、後半で減る。電場 e−iωct+iδK∣a∣2\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega_{\mathrm c}t+\mathrm{i}\delta_{\mathrm K}\lvert a\rvert ^2} の瞬間の角周波数は ωc−δK∂t∣a∣2\omega_{\mathrm c}-\delta_{\mathrm K}\partial_t\lvert a\rvert ^2 なので、前半は周波数が下がり(赤)、後半は上がる(青)。これを自己位相変調と呼ぶ。負の群速度分散の中では青い成分が赤い成分より速く進むので、後ろの青が前の赤に追いつき、自己位相変調で広がろうとするパルスが押し縮められる。2つが1周ごとに打ち消し合う幅が式 (23.14) である。正の分散の中では、どちらの効果もパルスの前を赤、後ろを青にする向きに働くので、つり合いは成り立たない。

例題 23.4 Er ファイバーのソリトンレーザー ★★

オリジナル中心の波長 1560 nm1560\,\mathrm{nm} のリング型のファイバーレーザーの共振器が、長さ Lf=2.04 mL_{\mathrm f}=2.04\,\mathrm m のファイバーだけでできている。ファイバーの群屈折率を 1.471.47、群速度分散を β2=k′′=−22 ps2/km\beta_2=k''=-22\,\mathrm{ps^2/km}、非線形係数を k0n2/Aeff=1.3 W−1km−1k_0n_2/A_{\mathrm{eff}}=1.3\,\mathrm{W^{-1}km^{-1}} とする(標準的な単一モードファイバーに近い値として与える)。共振器の中のパルスのエネルギーは Wp=50 pJW_{\mathrm p}=50\,\mathrm{pJ} とする。

  1. (1) νrep\nu_{\mathrm{rep}}、DD、δK\delta_{\mathrm K} を求めよ。
  2. (2) ソリトンの τ\tau、強度の半値全幅、スペクトルの半値全幅(周波数と波長)、ピークの出力を求めよ。
  3. (3) エネルギーを2倍にすると、幅とスペクトルの幅はどうなるか。
解答

(1) リング型なので1周の長さは LfL_{\mathrm f} で、νrep=c/(1.47×2.04 m)=100 MHz\nu_{\mathrm{rep}}=c/(1.47\times2.04\,\mathrm m)=100\,\mathrm{MHz}。D=β2Lf=−22×10−27 s2/m×2.04 m=−4.49×10−26 s2=−4.49×104 fs2D=\beta_2L_{\mathrm f}=-22\times10^{-27}\,\mathrm{s^2/m}\times2.04\,\mathrm m=-4.49\times10^{-26}\,\mathrm{s^2}=-4.49\times10^4\,\mathrm{fs^2}、δK=1.3×10−3×2.04=2.65×10−3 W−1\delta_{\mathrm K}=1.3\times10^{-3}\times2.04=2.65\times10^{-3}\,\mathrm{W^{-1}} である。

(2) 式 (23.14) から τ=2×4.49×10−26/(2.65×10−3×5.0×10−11)=677 fs\tau=2\times4.49\times10^{-26}/(2.65\times10^{-3}\times5.0\times10^{-11})=677\,\mathrm{fs}、半値全幅は 1.763×677=1.19 ps1.763\times677=1.19\,\mathrm{ps}。スペクトルの半値全幅は 0.315/1.19 ps=264 GHz0.315/1.19\,\mathrm{ps}=264\,\mathrm{GHz}、波長では λ2Δν/c=2.14 nm\lambda^2\Delta\nu/c=2.14\,\mathrm{nm} である。ピークの出力は A02=Wp/(2τ)=36.9 WA_0^2=W_{\mathrm p}/(2\tau)=36.9\,\mathrm W で、平均の出力 Wpνrep=5.0 mWW_{\mathrm p}\nu_{\mathrm{rep}}=5.0\,\mathrm{mW} の 70007000 倍を超える。

(3) τ∝1/Wp\tau\propto1/W_{\mathrm p} なので幅は半分の 0.60 ps0.60\,\mathrm{ps}、スペクトルの幅は2倍の 528 GHz528\,\mathrm{GHz} になる。ソリトンでは強いパルスほど短い。エネルギーをさらに上げていくと1周の非線形の位相が大きくなり、23.6節で述べる平均化の前提が崩れる。

木下の勉強ステータス

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