光学と量子エレクトロニクス 第24章 §24.6 ★★ 学部の授業の線形関数 g(ν) と断面積 σ(ν)=8πλ2g1g2A21g(ν) は、この章の式 (24.5) を周波数 ν で書き、原子の向きを平均したものである
学部のレーザー工学や量子エレクトロニクスの授業では、線の形を周波数 ν の規格化された線形関数 g(ν)(∫g(ν)dν=1)で書く。自然幅の線は
g(ν)=(ν−ν0)2+(Δν/2)2Δν/2π,ΔνN=2πτ1(24.22)
で、Doppler 幅の線は半値全幅 ΔνD=c2ν0m2ln2kBT の Gauss 型である。この ΔνN と ΔνD は、この章の Γ と ΓD をそれぞれ 2π で割ったもので(Rb の D2 線で 6.07MHz と 511MHz)、式 (24.6) と式 (24.11) と同じ内容である。
吸収の断面積は、Einstein 係数を使って
σ(ν)=8πλ2g1g2A21g(ν)(24.23)
と書かれる(g1, g2 は下と上の準位の縮退度)。両辺を ν で積分すると ∫σdν=8πλ2g1g2A21、角周波数で積分すると
∫σdω=g1g24λ2A21=cℏω0B12(24.24)
になる。最後の等号は、第20章(第20章)の角周波数あたりのエネルギー密度 u(ω) で定義した係数の関係 g1B12=g2B21, A21=π2c3ℏω3B21 から出る。帯域の広い光(スペクトル u(ω))に対する吸収の率 B12u と、断面積で数えた吸収の率 ∫σ(ω)cu(ω)dω/(ℏω) が一致するという条件が、この等号の中身である。線の面積が Einstein 係数で決まり、線の形 g は面積を変えないことを、24.1節で式 (24.7) として見た。
この章の式 (24.7) の面積 3λ2Γ/4 は、式 (24.24) で g2/g1=1 とした λ2A21/4 の3倍である。差の理由は向きにある。Einstein 係数は、等方的な光と向きのそろっていない原子に対して定義した量で、双極子と電場のなす角 θ について cos2θ を向きで平均した 1/3 が含まれている。この章では双極子が電場の向きにそろっているとしたので、その 1/3 が無く、3倍になる。J=0→J=1 の遷移で上の準位の3つの副準位を数えると g2/g1=3 で、式 (24.23) のピークは 8πλ2⋅3⋅A21⋅πΔν2Δν=A21/2π=2π3λ2 となり、この章の σ0 と一致する。
例題 24.8 線形関数の書き方を断面積の書き方へ直す ★★
オリジナル
- (1) 式 (24.22) の g(ν) が規格化されていることを確かめ、ピークの値 g(ν0) を Δν で書け。
- (2) 自然幅だけの線(Δν=A21/2π)について、式 (24.23) のピークの断面積を g2/g1 と λ で書け。
- (3) 式 (24.5) の σ(Δ) を、変数を Δ=2π(ν−ν0) に取り替えて式 (24.23) の形に書き直し、対応する g2/g1 を答えよ。
解答
(1) ν−ν0=(Δν/2)tanϕ と置くと ∫gdν=π1∫−π/2π/2dϕ=1 である。ピークは g(ν0)=2/(πΔν)。
(2) σ(ν0)=8πλ2g1g2A21π2A212π=g1g22πλ2 である。A21 が約分され、ピークの断面積は波長と縮退度だけで決まる。
(3) γ⊥=Γ/2 として、式 (24.5) は σ=4π3λ24π2(ν−ν0)2+Γ2/4Γ2/2 である。Δν=Γ/2π と書くと
σ=4π3λ2⋅2πΓ⋅(ν−ν0)2+(Δν/2)2Δν/2⋅Δν1⋅Δν=8πλ2⋅3⋅Γ⋅g(ν)
となり、A21=Γ, g2/g1=3 の式 (24.23) と一致する。向きのそろった1つの双極子の吸収は、向きを平均した式で縮退度の比を3と置いたものと同じ大きさである。
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