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出てくるもの(2):回転と物質波の Sagnac 効果

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第29章 原子干渉計
目次
  1. Coriolis の加速度
  2. 囲む面積で書く
  3. 光の Sagnac 効果との比較
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第29章 §29.4 ★★ 回転する装置の中では原子に Coriolis の加速度 2v×Ωrot2\bm{v}\times\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}} が加わり、位相は 2keff⋅(v×Ωrot)T22\bm{k}_{\mathrm{eff}}\cdot(\bm{v}\times\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}})T^2。2本の経路が囲む面積で書くと 2mΩrot⋅A/ℏ2m\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}}\cdot\bm{A}/\hbar で、光の Sagnac 効果より mc2/(2ℏω)mc^2/(2\hbar\omega) 倍大きい

Coriolis の加速度

光と鏡を載せた装置が角速度 Ωrot\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}} で回っているとする(地上の装置なら地球の自転)。この節では Rabi 周波数との混同を避けるため、回転の角速度に添字 rot を付ける。光の位相は装置に固定された座標で決まるので、式 (29.5) の r\bm{r} は装置の座標での原子の位置である。この座標では原子に Coriolis の加速度 −2Ωrot×v=2v×Ωrot-2\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}}\times\bm{v}=2\bm{v}\times\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}} が加わる(遠心力の加速度は Ωrot2\Omega_{\mathrm{rot}}^2 の2次なので落とす)。Ωrot\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}} が小さく、速度 v\bm{v} がほぼ一定とみなせるとき、2階差分は加速度に T2T^2 を掛けたものなので

Δϕrot=2keff⋅(v×Ωrot)T2(29.11)\Delta\phi_{\mathrm{rot}}=2\bm{k}_{\mathrm{eff}}\cdot(\bm{v}\times\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}})T^2\tag{29.11}

を得る。keff\bm{k}_{\mathrm{eff}} と v\bm{v} の両方に垂直な回転の成分だけが位相に入る。

重力と回転をまとめると、原子干渉計の位相は Δϕ=keff⋅aT2\Delta\phi=\bm{k}_{\mathrm{eff}}\cdot\bm{a}T^2 で、a\bm{a} は光の波面(実際には光を折り返す鏡)に対する原子の加速度である。原子は自由に落ちる慣性系の基準で、干渉計は装置の側の加速度と回転を読んでいる。

囲む面積で書く

2本の経路の時刻 00 と 2T2T を結ぶ図形は、辺が vT\bm{v}T と vT+(ℏkeff/m)T\bm{v}T+(\hbar\bm{k}_{\mathrm{eff}}/m)T の平行四辺形で、その面積ベクトルは A=vT×(ℏkeff/m)T\bm{A}=\bm{v}T\times(\hbar\bm{k}_{\mathrm{eff}}/m)T である。keff⋅(v×Ωrot)=−Ωrot⋅(v×keff)\bm{k}_{\mathrm{eff}}\cdot(\bm{v}\times\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}})=-\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}}\cdot(\bm{v}\times\bm{k}_{\mathrm{eff}}) を使うと、式 (29.11) は

∣Δϕrot∣=2mℏ∣Ωrot⋅A∣(29.12)\lvert \Delta\phi_{\mathrm{rot}}\rvert =\frac{2m}{\hbar}\lvert \bm{\Omega}_{\mathrm{rot}}\cdot\bm{A}\rvert\tag{29.12}

になる。原子の速度も光の波数も消え、囲む面積と回転だけが残る。これが物質波の Sagnac 効果である。

同じ式は Hamiltonian からも出る。回転する座標の Hamiltonian は H^=p^2/(2m)−Ωrot⋅L^\hat H=\hat{\bm{p}}^2/(2m)-\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}}\cdot\hat{\bm{L}} で、Ωrot⋅(r×p)=p⋅(Ωrot×r)\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}}\cdot(\bm{r}\times\bm{p})=\bm{p}\cdot(\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}}\times\bm{r}) を使うと

H^=(p^−mΩrot×r^)22m−m2(Ωrot×r^)2\hat H=\frac{(\hat{\bm{p}}-m\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}}\times\hat{\bm{r}})^2}{2m}-\frac m2(\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}}\times\hat{\bm{r}})^2

と書き直せる。これは電荷 qq の粒子がベクトルポテンシャル Avec\bm{A}_{\mathrm{vec}} の中にあるときの (p^−qAvec)2/(2m)(\hat{\bm{p}}-q\bm{A}_{\mathrm{vec}})^2/(2m) と同じ形で、qAvecq\bm{A}_{\mathrm{vec}} の役を mΩrot×rm\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}}\times\bm{r} が果たす。その回転は ∇×(mΩrot×r)=2mΩrot\nabla\times(m\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}}\times\bm{r})=2m\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}} で、一様な「磁場」に当たる。解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部第6章(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部第6章)で見たとおり、閉じた経路を回る荷電粒子の位相は q/ℏq/\hbar に囲んだ磁束を掛けたもの(Aharonov–Bohm の位相)で、ここでは磁束が 2mΩrot⋅A2m\bm{\Omega}_{\mathrm{rot}}\cdot\bm{A} になって式 (29.12) と一致する。

光の Sagnac 効果との比較

光ファイバーやリングレーザーのジャイロスコープでは、光を回転する閉じた光路の両回りに走らせる。半径 RR の円の光路では、光が一周する時間が回転の向きと逆回りで 2πR/(c∓RΩrot)2\pi R/(c\mp R\Omega_{\mathrm{rot}}) になり、その差は Ωrot\Omega_{\mathrm{rot}} の1次で 4AΩrot/c24A\Omega_{\mathrm{rot}}/c^2(A=πR2A=\pi R^2)である。位相の差は角周波数 ω\omega を掛けて

Δϕlight=4ωAΩrotc2(29.13)\Delta\phi_{\mathrm{light}}=\frac{4\omega A\Omega_{\mathrm{rot}}}{c^2}\tag{29.13}

になる。同じ面積で比べると、物質波と光の位相の比は

2mAΩrot/ℏ4ωAΩrot/c2=mc22ℏω\frac{2mA\Omega_{\mathrm{rot}}/\hbar}{4\omega A\Omega_{\mathrm{rot}}/c^2}=\frac{mc^2}{2\hbar\omega}

で、原子の静止エネルギーと光子のエネルギーの比で決まる。87Rb{}^{87}\mathrm{Rb} と 780 nm780\,\mathrm{nm} の光では 2.55×10102.55\times10^{10} である。光のジャイロスコープはこの不利を、ファイバーを何千回も巻いて面積を稼ぐことと、光子の数が原子の数よりはるかに多いことで補っている。

例題 29.4 原子線のジャイロスコープで地球の自転を測る ★★

オリジナル東京(北緯 35.7∘35.7^\circ)の水平な実験台で、速さ v=200 m s−1v=200\,\mathrm{m\,s^{-1}} の 87Rb{}^{87}\mathrm{Rb} の原子線を北向きに飛ばす。原子線に垂直な水平方向(東西)に keff\bm{k}_{\mathrm{eff}} を向けた3つの Raman の光を、原子線に沿って 1 m1\,\mathrm m 間隔に置く。

  1. (1) パルスの時間間隔 TT と、地球の自転による位相 Δϕrot\Delta\phi_{\mathrm{rot}} を求めよ。自転の角速度のどの成分が位相に入るかも答えよ。
  2. (2) 2本の経路が囲む面積を求め、式 (29.12) が同じ値を与えることを確かめよ。
  3. (3) 同じ面積の光路を 780 nm780\,\mathrm{nm} の光が回ったときの Sagnac の位相を求めよ。
解答

(1) 原子が光の間を飛ぶ時間が T=1 m/(200 m s−1)=5 msT=1\,\mathrm m/(200\,\mathrm{m\,s^{-1}})=5\,\mathrm{ms} である。北を yy、東を xx、鉛直上向きを zz にとると、自転の角速度は ΩE=ΩE(cos⁡35.7∘ ey+sin⁡35.7∘ ez)\bm{\Omega}_{\mathrm E}=\Omega_{\mathrm E}(\cos35.7^\circ\,\bm{e}_y+\sin35.7^\circ\,\bm{e}_z) である。v=vey\bm{v}=v\bm{e}_y との外積は v×ΩE=vΩEsin⁡35.7∘ ex\bm{v}\times\bm{\Omega}_{\mathrm E}=v\Omega_{\mathrm E}\sin35.7^\circ\,\bm{e}_x で、鉛直の成分だけが残る。keff\bm{k}_{\mathrm{eff}} が東西を向くので、式 (29.11) から

∣Δϕrot∣=2keffvΩEsin⁡35.7∘ T2=2(1.61×107)(200)(7.292×10−5)(0.584)(5×10−3)2=6.85 rad\lvert \Delta\phi_{\mathrm{rot}}\rvert =2k_{\mathrm{eff}}v\Omega_{\mathrm E}\sin35.7^\circ\,T^2=2(1.61\times10^{7})(200)(7.292\times10^{-5})(0.584)(5\times10^{-3})^2=6.85\,\mathrm{rad}

である。地球の自転という遅い回転が、1周を超える位相になる。

(2) 面積は ∣A∣=v (ℏkeff/m) T2=(200)(1.18×10−2)(2.5×10−5) m2=5.88×10−5 m2=0.588 cm2\lvert \bm{A}\rvert =v\,(\hbar k_{\mathrm{eff}}/m)\,T^2=(200)(1.18\times10^{-2})(2.5\times10^{-5})\,\mathrm{m^2}=5.88\times10^{-5}\,\mathrm{m^2}=0.588\,\mathrm{cm^2} で、向きは鉛直である。2mΩEsin⁡35.7∘∣A∣/ℏ2m\Omega_{\mathrm E}\sin35.7^\circ\lvert \bm{A}\rvert /\hbar を計算すると 6.85 rad6.85\,\mathrm{rad} になり、(1) と一致する。m⋅ℏkeff/m=ℏkeffm\cdot\hbar k_{\mathrm{eff}}/m=\hbar k_{\mathrm{eff}} なので、2つの式は文字の上でも同じである。

(3) 式 (29.13) で ω=2πc/λ\omega=2\pi c/\lambda とすると、4ωAΩEsin⁡35.7∘/c2=2.69×10−10 rad4\omega A\Omega_{\mathrm E}\sin35.7^\circ/c^2=2.69\times10^{-10}\,\mathrm{rad} である。原子の位相との比は 2.55×10102.55\times10^{10} で、本文の mc2/(2ℏω)mc^2/(2\hbar\omega) と一致する。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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