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出てくるもの(1):Purcell 効果

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第34章 自然放出の量子論と共振器 QED
目次
  1. 損失のある共振器は Lorentz 型の環境
  2. Purcell 因子
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第34章 §34.3 ★★★ 損失 κ\kappa のある共振器のモードは Lorentz 型の J(ω)\mathcal J(\omega) を作る。g≪κg\ll\kappa では自然放出の速さが 4g2/κ4g^2/\kappa になり、自由空間との比が FP=34π2Qλ3VmF_{\mathrm P}=\frac{3}{4\pi^2}\frac{Q\lambda^3}{V_{\mathrm m}}

損失のある共振器は Lorentz 型の環境

原子を共振器の中に置くと、共振器のモードの周波数のまわりで J(ω)\mathcal J(\omega) が大きくなる。第5章で、共振器のモードは鏡を通して外へ光子が漏れるために、光子数が速さ κ=1/τc=ωc/Q\kappa=1/\tau_{\mathrm c}=\omega_{\mathrm c}/Q で減る振動子であることを示した(第5章。τc\tau_{\mathrm c} は光子の寿命、QQ は Q 値)。このモードのスペクトルは中心 ωc\omega_{\mathrm c}、半値全幅 κ\kappa の Lorentz 型である。共振器のモードとその外の連続体をまとめて1つの環境とみなすと、原子から見た結合のスペクトル密度は

Jc(ω)=g22π κ(ω−ωc)2+κ2/4(34.15)\mathcal J_{\mathrm c}(\omega)=\frac{g^2}{2\pi}\,\frac{\kappa}{(\omega-\omega_{\mathrm c})^2+\kappa^2/4}\tag{34.15}

になる。面積は ∫Jcdω=g2\int\mathcal J_{\mathrm c}\mathrm{d}\omega=g^2 で、1つのモードの結合 g2g^2 を幅 κ\kappa に広げたものである。

この Jc\mathcal J_{\mathrm c} に式 (34.12) を当てると、共振器のモードへの自然放出の速さは

Γc=2πJc(ω0)=4g2κ 11+4Δc2/κ2,Δc=ωc−ω0(34.16)\Gamma_{\mathrm c}=2\pi\mathcal J_{\mathrm c}(\omega_0)=\frac{4g^2}{\kappa}\,\frac{1}{1+4\Delta_{\mathrm c}^2/\kappa^2},\qquad \Delta_{\mathrm c}=\omega_{\mathrm c}-\omega_0\tag{34.16}

である(Δc\Delta_{\mathrm c} は共振器と原子の離調。記法の正本の離調 Δ\Delta と同じく「場 − 原子」の向き)。ただし Markov 近似が使えるのは、核の消える時間 1/κ1/\kappa が 1/Γc1/\Gamma_{\mathrm c} より十分短いとき、つまり Γc≪κ\Gamma_{\mathrm c}\ll\kappa、言い換えると g≪κg\ll\kappa のときに限る。この範囲を弱結合と呼ぶ。

Purcell 因子

原子が腹にいて双極子がモードの偏光にそろい、共振器が原子に共鳴している(Δc=0\Delta_{\mathrm c}=0)とき、式 (34.4) の g2=deg2ω/(2ε0ℏVm)g^2=d_{eg}^2\omega/(2\varepsilon_0\hbar V_{\mathrm m}) と κ=ω/Q\kappa=\omega/Q からΓc=2deg2Q/(ε0ℏVm)\Gamma_{\mathrm c}=2d_{eg}^2Q/(\varepsilon_0\hbar V_{\mathrm m}) になる。自由空間の式 (34.13) との比をとり、ω=2πc/λ\omega=2\pi c/\lambda を使うと

FP=ΓcΓ0=34π2 Qλ3Vm(34.17)F_{\mathrm P}=\frac{\Gamma_{\mathrm c}}{\Gamma_0}=\frac{3}{4\pi^2}\,\frac{Q\lambda^3}{V_{\mathrm m}}\tag{34.17}

を得る。Γ0\Gamma_0 は自由空間の値(式 (34.13))である。屈折率 nn の媒質の中では λ\lambda を媒質中の波長 λ/n\lambda/n に替える。これを Purcell 因子と呼ぶ1E. M. Purcell (1946), Physical Review 69, 681(アメリカ物理学会の講演の要旨)。下の脚注へ。degd_{eg} も ℏ\hbar も消え、共振器の形だけで決まる。

FPF_{\mathrm P} は2つの状態密度の比

自由空間では、原子の遷移の周波数に、1つの偏光あたり単位体積・単位角周波数あたり ω2/(π2c3)×12\omega^2/(\pi^2c^3)\times\frac12 個のモードがある。共振器の中では、体積 VmV_{\mathrm m} に1つのモードが幅 κ=ω/Q\kappa=\omega/Q に広がっていて、単位体積・単位角周波数あたりの数は (1/Vm)⋅2/(πκ)(1/V_{\mathrm m})\cdot2/(\pi\kappa)(Lorentz 型の頂点の高さ)である。この比に、双極子の向きの平均(自由空間の 13\frac13 に対して共振器ではそろった向きの 11)を掛けると式 (34.17) の 34π2Qλ3/Vm\frac{3}{4\pi^2}Q\lambda^3/V_{\mathrm m} になる。Purcell 効果は、原子の性質を変えたのでなく、原子が光子を渡せる相手の数を変えた結果である。

離調があると、式 (34.16) の Lorentz 因子だけ速さが下がる。原子の遷移が共振器のモードから遠く、しかも共振器の壁が自由空間のモードも締め出していれば、放出の相手がいなくなり、自然放出は遅くなる。Hulet・Hilfer・Kleppner は、2枚の平行な導体板の間隔を遷移の波長の半分より狭くして、Rydberg 原子の寿命が少なくとも20倍に延びることを観測した(R. G. Hulet, E. S. Hilfer and D. Kleppner (1985), Physical Review Letters 55, 2137–2140)。自然放出の速さは原子だけの性質でなく、原子と周りのモードの組の性質である。

原子が腹からずれた位置にいれば g2g^2 に ∣f(r0)∣2\lvert f(\bm{r}_0)\rvert ^2 が、双極子が偏光と角 θ\theta をなせば cos⁡2θ\cos^2\theta が掛かる。共振器のモードへの放出のほかに、共振器が覆っていない向きの自由空間のモードへの放出 γ\gamma も残る(開いた Fabry–Perot 共振器では γ≈Γ0\gamma\approx\Gamma_0)。全体の減衰の速さは γ+Γc\gamma+\Gamma_{\mathrm c} で、放出された光子が共振器のモードに入る割合は

β=Γcγ+Γc=C1+C,C=4g2κγ(34.18)\beta=\frac{\Gamma_{\mathrm c}}{\gamma+\Gamma_{\mathrm c}}=\frac{C}{1+C},\qquad C=\frac{4g^2}{\kappa\gamma}\tag{34.18}

になる。CC を協同度と呼ぶ。γ=Γ0\gamma=\Gamma_0 のとき CC は Purcell 因子 FPF_{\mathrm P} と同じ数である。単一光子源(第32章)で光子を1つの向きに集める仕組みはこの β\beta である。

例題 34.3 微小共振器の Purcell 因子 ★★

オリジナル半導体の中の発光体(量子ドット)を、Q 値 Q=2000Q=2000、モードの体積 Vm=5(λ/n)3V_{\mathrm m}=5(\lambda/n)^3 の微小共振器に入れる(λ/n\lambda/n は媒質中の波長)。

  1. (1) 発光体が共振器に共鳴し、腹にいて双極子が偏光にそろっているときの FPF_{\mathrm P} を求めよ。
  2. (2) 温度を変えて発光体の遷移を共振器の線幅の半分 ∣Δc∣=κ/2\lvert \Delta_{\mathrm c}\rvert =\kappa/2 だけずらすと FPF_{\mathrm P} はいくつになるか。さらに双極子が偏光と 45∘45^\circ をなすとどうなるか。
  3. (3) (1) の状態で、自由空間に相当する放出 γ=Γ0\gamma=\Gamma_0 が残るとすると、光子が共振器のモードに入る割合 β\beta はいくつか。
解答

(1) 式 (34.17) で λ3/Vm\lambda^3/V_{\mathrm m} を媒質中の波長で数えて 1/51/5 とし、FP=34π2×20005=30.4F_{\mathrm P}=\frac{3}{4\pi^2}\times\frac{2000}{5}=30.4 である。発光体は自由空間の30倍の速さで光る。

(2) Lorentz 因子 1/(1+4Δc2/κ2)=121/(1+4\Delta_{\mathrm c}^2/\kappa^2)=\frac12 で 15.215.2。さらに cos⁡245∘=12\cos^2 45^\circ=\frac12 が掛かって 7.607.60 になる。Purcell 因子の実験の値が式 (34.17) の理想の値より小さく出るのは、多くの場合この位置・向き・離調のずれのためである。

(3) β=FP/(1+FP)=30.4/31.4=0.968\beta=F_{\mathrm P}/(1+F_{\mathrm P})=30.4/31.4=0.968 で、放出の 97 パーセントが共振器のモードに入る。

1 E. M. Purcell (1946), Physical Review 69, 681(アメリカ物理学会の講演の要旨)。

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