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出てくるもの(2):Jaynes–Cummings 模型と真空 Rabi 分裂

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第34章 自然放出の量子論と共振器 QED
目次
  1. 弱結合から強結合へ
  2. 着衣状態と真空 Rabi 分裂
  3. Rabi 振動の崩壊と復活
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第34章 §34.4 ★★★ gg が κ\kappa と γ\gamma を超えると、原子と共振器は励起を可逆にやり取りし、スペクトルは 2g2g 離れた2本に割れる。光子数 nn の状態ごとに Rabi 周波数 2gn+12g\sqrt{n+1} が違うことから、コヒーレント状態の Rabi 振動は崩壊して復活する

弱結合から強結合へ

共振器の損失が小さくなると、Markov 近似が使えなくなる。その場合は、共振器のモードを環境に押し込めず、原子と同じ扱いで方程式に残す。初めに原子が ∣e⟩| e \rangle、共振器が光子0個の状態から始め、外へ漏れた光子と自由空間への放出は戻ってこないので、励起が原子か共振器にとどまっている振幅だけを追う。共鳴(Δc=0\Delta_{\mathrm c}=0)の回転座標で

ddt(ceca)=(−γ/2−ig−ig−κ/2)(ceca)(34.19)\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\begin{pmatrix}c_e\\ c_a\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}-\gamma/2&-\mathrm{i} g\\ -\mathrm{i} g&-\kappa/2\end{pmatrix}\begin{pmatrix}c_e\\ c_a\end{pmatrix}\tag{34.19}

である。cec_e は ∣e,0⟩| e,0 \rangle、cac_a は ∣g,1⟩| g,1 \rangle の振幅で、対角の −γ/2-\gamma/2 と −κ/2-\kappa/2 は振幅の減る速さ(確率の速さの半分)である。行列の固有値は

λ±=−γ+κ4±(κ−γ4)2−g2(34.20)\lambda_\pm=-\frac{\gamma+\kappa}{4}\pm\sqrt{\Bigl(\frac{\kappa-\gamma}{4}\Bigr)^2-g^2}\tag{34.20}

である。根号の中の符号で2つの場合に分かれる。

g<∣κ−γ∣/4g<\lvert \kappa-\gamma\rvert /4 では固有値は2つとも実数で、振幅は振動せずに減る。γ=0\gamma=0、g≪κg\ll\kappa の遅いほうの固有値は λ+≈−2g2/κ−8g4/κ3\lambda_+\approx-2g^2/\kappa-8g^4/\kappa^3 で、確率の減る速さ −2λ+≈4g2/κ-2\lambda_+\approx4g^2/\kappa は34.3節の Γc\Gamma_{\mathrm c} に一致する。これが弱結合の Purcell 効果である。

g>∣κ−γ∣/4g>\lvert \kappa-\gamma\rvert /4 では固有値が複素数になり、振幅は角周波数 g2−(κ−γ)2/16\sqrt{g^2-(\kappa-\gamma)^2/16} で振動しながら速さ (γ+κ)/4(\gamma+\kappa)/4 で減る。励起は原子と共振器の間を行き来し、原子が放った光子を原子がもう一度吸収する。これを強結合と呼ぶ。行き来が見えるには、振動の周期が減衰の時間より短い必要があり、実際の目安は g>κ,γg>\kappa,\gamma である。図 34.1 に2つの場合の ∣ce∣2\lvert c_e\rvert ^2 を描いた。

図

図 34.1 共鳴の原子と共振器(γ=0\gamma=0)。点線は式 (34.19) の厳密な解、実線は Purcell の近似 e−4g2t/κ\mathrm{e}^{-4g^2t/\kappa}。弱結合の厳密な解は最初 1−g2t21-g^2t^2 で平らに始まり、そのあと指数関数に沿う。強結合では励起が原子と共振器の間を周期 π/g\pi/g で行き来し、包絡線が e−κt/2\mathrm{e}^{-\kappa t/2} で減る。

着衣状態と真空 Rabi 分裂

損失を無視して式 (34.5) を厳密に解く。H^JC\hat H_{\mathrm{JC}} は励起の数を保存するので、∣e,n⟩| e,n \rangle と ∣g,n+1⟩| g,n+1 \rangle の2つが張る部分空間ごとに閉じる。その中の行列は

H^JC∣n=ℏ(ωcn+ω0/2gn+1gn+1ωc(n+1)−ω0/2)(34.21)\hat H_{\mathrm{JC}}\Big|_n=\hbar\begin{pmatrix}\omega_{\mathrm c}n+\omega_0/2&g\sqrt{n+1}\\ g\sqrt{n+1}&\omega_{\mathrm c}(n+1)-\omega_0/2\end{pmatrix}\tag{34.21}

で、固有値は

E±(n)=ℏωc(n+12)±ℏΔc24+g2(n+1)(34.22)E_{\pm}(n)=\hbar\omega_{\mathrm c}\Bigl(n+\frac12\Bigr)\pm\hbar\sqrt{\frac{\Delta_{\mathrm c}^2}{4}+g^2(n+1)}\tag{34.22}

である。固有状態を着衣状態と呼ぶ。共鳴では ∣±,n⟩=(∣e,n⟩±∣g,n+1⟩)/2| \pm,n \rangle =(| e,n \rangle \pm| g,n+1 \rangle )/\sqrt2 で、2つの間隔は 2ℏgn+12\hbar g\sqrt{n+1} である。∣e,n⟩| e,n \rangle から始めると、上の準位にいる確率は cos⁡2(gn+1 t)\cos^2(g\sqrt{n+1}\,t) で振動する。第18章の古典の場の sin⁡2(Ωt/2)\sin^2(\Omega t/2) と同じ形で、Ω\Omega が 2gn+12g\sqrt{n+1} に置き換わっている。

図

図 34.2 共振器 QED の3つの速さ。原子と共振器のモードの結合 gg、鏡から光子が漏れる速さ κ\kappa、共振器の外のモードへの自然放出 γ\gamma。右は共鳴での励起1個の準位で、∣e,0⟩| e,0 \rangle と ∣g,1⟩| g,1 \rangle が結合 gg で 2ℏg2\hbar g に分かれる(真空 Rabi 分裂)。

n=0n=0 の部分空間では、光子が1個もない状態 ∣e,0⟩| e,0 \rangle と光子1個の ∣g,1⟩| g,1 \rangle が、真空の揺らぎを通して 2ℏg2\hbar g だけ分かれる。これを真空 Rabi 分裂と呼ぶ(図 34.2)。弱い光で共振器の透過を測ると、空の共振器では ωc\omega_{\mathrm c} に1本あったピークが、原子が1個入ると ωc±g\omega_{\mathrm c}\pm g の2本に割れる。損失があるときの位置と幅は、式 (34.20) の固有値の虚部と実部で、2本の間隔は 2g2−(κ−γ)2/162\sqrt{g^2-(\kappa-\gamma)^2/16}、各ピークの半値全幅は (κ+γ)/2(\kappa+\gamma)/2 である。分裂が幅より大きいことが強結合の分光の目安になる。光の共振器で原子による分裂を初めて観測したのは Thompson・Rempe・Kimble で、原子の数の平均が1以下の場合まで分裂が残ることを示した(R. J. Thompson, G. Rempe and H. J. Kimble (1992), Physical Review Letters 68, 1132–1135)。

例題 34.4 真空 Rabi 分裂の大きさと幅 ★★

オリジナル例題 34.1 の共振器(L=50 μmL=50\,\mu\mathrm m、g/2π=61.0 MHzg/2\pi=61.0\,\mathrm{MHz})の鏡のフィネスを F=1.0×105\mathcal F=1.0\times10^5 とする。原子の自由空間への放出は γ=Γ0=2π×6.07 MHz\gamma=\Gamma_0=2\pi\times6.07\,\mathrm{MHz} とする。

  1. (1) 第5章の線幅の式から κ/2π\kappa/2\pi を求めよ。
  2. (2) 真空 Rabi 分裂の間隔と各ピークの幅を求め、強結合にあるか判定せよ。
  3. (3) 協同度 CC を求めよ。
解答

(1) 線幅は自由スペクトル領域をフィネスで割った Δν1/2=c/(2LF)\Delta\nu_{1/2}=c/(2L\mathcal F) で(第5章)、κ=2πΔν1/2\kappa=2\pi\Delta\nu_{1/2}、κ/2π=3.0×1012 Hz/105=30.0 MHz\kappa/2\pi=3.0\times10^{12}\,\mathrm{Hz}/10^5=30.0\,\mathrm{MHz} である。

(2) (κ−γ)/4=2π×5.98 MHz(\kappa-\gamma)/4=2\pi\times5.98\,\mathrm{MHz} で、間隔は 261.02−5.982 MHz×2π=2π×121.4 MHz2\sqrt{61.0^2-5.98^2}\,\mathrm{MHz}\times2\pi=2\pi\times121.4\,\mathrm{MHz}、ほぼ 2g2g である。幅は (κ+γ)/2=2π×18.0 MHz(\kappa+\gamma)/2=2\pi\times18.0\,\mathrm{MHz} で、間隔は幅の6.7倍ある。gg は κ\kappa の2倍、γ\gamma の10倍で、強結合にある。

(3) C=4g2/(κγ)=4×61.02/(30.0×6.07)=81.8C=4g^2/(\kappa\gamma)=4\times61.0^2/(30.0\times6.07)=81.8。式 (34.17) の FPF_{\mathrm P} を同じ共振器で計算しても同じ 81.881.8 になる。ただしこの共振器は強結合にあり、Γc=4g2/κ\Gamma_{\mathrm c}=4g^2/\kappa は放出の速さとしての意味を失っている。CC は「励起が共振器と原子の間を往復できる回数」の目安として使う。

Rabi 振動の崩壊と復活

共振器のモードをコヒーレント状態 ∣α⟩| \alpha \rangle(平均光子数 nˉ=∣α∣2\bar n=\lvert \alpha\rvert ^2、光子数の分布は Poisson 分布 pn=e−nˉnˉn/n!p_n=\mathrm{e}^{-\bar n}\bar n^n/n!。第31章)にし、原子を ∣e⟩| e \rangle から始める。損失を無視した共鳴では、光子数 nn の成分ごとに独立に cos⁡2(gn+1t)\cos^2(g\sqrt{n+1}t) で振動するので

Pe(t)=∑n=0∞pncos⁡2(gn+1 t)=12+12∑n=0∞pncos⁡(2gn+1 t)(34.23)P_e(t)=\sum_{n=0}^\infty p_n\cos^2\bigl(g\sqrt{n+1}\,t\bigr)=\frac12+\frac12\sum_{n=0}^\infty p_n\cos\bigl(2g\sqrt{n+1}\,t\bigr)\tag{34.23}

になる。光子数の異なる成分は少しずつ違う角周波数で振動する。nn の広がりは nˉ\sqrt{\bar n} で、角周波数の広がりは 2g⋅nˉ2nˉ=g2g\cdot\frac{\sqrt{\bar n}}{2\sqrt{\bar n}}=g である。そのため振動は t∼1/gt\sim1/g で位相がばらけて消える(崩壊)。nn を Gauss 分布で近似すると包絡線は e−g2t2/2\mathrm{e}^{-g^2t^2/2} で、崩壊の時間 tc=2/gt_{\mathrm c}=\sqrt2/g は nˉ\bar n によらない。ところが nn は整数なので、隣り合う nn の角周波数の差 2g(nˉ+1−nˉ)≈g/nˉ2g(\sqrt{\bar n+1}-\sqrt{\bar n})\approx g/\sqrt{\bar n} が一周する時刻

tr≈2πnˉg(34.24)t_{\mathrm r}\approx\frac{2\pi\sqrt{\bar n}}{g}\tag{34.24}

に、位相がもう一度そろって振動が戻る(復活)。図 34.3 に nˉ=16\bar n=16 の場合を描いた。

古典の場では、振幅の決まった場の Rabi 振動は崩れない。崩壊は光子数の揺らぎ(ショット雑音)で角周波数が散ったためで、古典の振幅の揺らぎでも起きる。しかし復活は、光子数が整数で角周波数が n+1\sqrt{n+1} の離散的な値しかとらないことの帰結で、古典の連続な振幅の分布では起きない。復活は場が量子化されていることの直接の証拠である。Rempe・Walther・Klein は、超伝導の空洞の中で Rydberg 原子が場と相互作用する時間を変えて、崩壊と復活を観測した(G. Rempe, H. Walther and N. Klein (1987), Physical Review Letters 58, 353–356)。

図

図 34.3 平均光子数 nˉ=16\bar n=16 のコヒーレント状態の中の原子(∣e⟩| e \rangle から始める・損失なし・共鳴)。点線は式 (34.23) の厳密な和、実線は崩壊の包絡線の近似 12±12e−g2t2/2\frac12\pm\frac12\mathrm{e}^{-g^2t^2/2}。振動は gt≈2gt\approx2 までに消え、gt≈2πnˉ=25.1gt\approx2\pi\sqrt{\bar n}=25.1 の近くで戻る。復活した振動は崩壊の前より広がっている。

例題 34.5 崩壊と復活の時間の比 ★★

オリジナル平均光子数 nˉ=16\bar n=16 のコヒーレント状態について答えよ。

  1. (1) 速い振動の周期(gtgt の単位)を、角周波数 2gnˉ+12g\sqrt{\bar n+1} から求めよ。
  2. (2) 崩壊の時間 tc=2/gt_{\mathrm c}=\sqrt2/g と復活の時刻 trt_{\mathrm r} の比を求めよ。nˉ\bar n を4倍にすると、比と、崩壊までの振動の回数はどう変わるか。
  3. (3) 共振器の光子の寿命 1/κ1/\kappa が tct_{\mathrm c} と trt_{\mathrm r} の間にあるとき、崩壊と復活のどちらが見えるか。
解答

(1) 周期は 2π/(217)=π/17=0.7622\pi/(2\sqrt{17})=\pi/\sqrt{17}=0.762 である。図 34.3 の gt<2gt<2 の範囲に3回ほどの振動が見えるのはこのためである。

(2) tr/tc=2πnˉ/2=2π×4/2=17.8t_{\mathrm r}/t_{\mathrm c}=2\pi\sqrt{\bar n}/\sqrt2=2\pi\times4/\sqrt2=17.8 である。nˉ\bar n を4倍にすると比は 4=2\sqrt4=2 倍の 35.5 になる。崩壊までの振動の回数は tct_{\mathrm c} を周期 π/nˉ\pi/\sqrt{\bar n} で割った 2nˉ/π\sqrt{2\bar n}/\pi の桁で、これも2倍になる。光子数が多いほど振動は長く続き、復活は遅れる。nˉ→∞\bar n\to\infty で古典の Rabi 振動に戻る。

(3) 1/κ1/\kappa の時間で光子が漏れると光子数の分布が崩れ、位相をそろえ直す情報が失われるので、復活は見えない。崩壊は 1/κ1/\kappa より前に起きるので見える。復活を見るには、trt_{\mathrm r} よりも長く光子を閉じ込める共振器が要る。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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