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出てくるもの(2):BB84 の鍵率 ln⁡2−2hb(Q)\ln2-2h_{\mathrm b}(Q)

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第10章 量子鍵配送
目次
  1. BB84 の鍵率と 11% のしきい値
  2. 記憶つきの不確定性関係による一般の証明
  3. 6状態の手順
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部 第10章 §3.10.4 ★★★ Devetak–Winter と Eve の情報の上界を合わせて鍵率 ln⁡2−hb(ez)−hb(ex)\ln2-h_{\mathrm b}(e_z)-h_{\mathrm b}(e_x)。一般の状態では記憶つきの不確定性関係から出る。6状態の手順はしきい値を 12.6%12.6\% に上げる

BB84 の鍵率と 11% のしきい値

Devetak–Winter の定理(定理 3.10.4)に、I(Az;Bz)=ln⁡2−hb(ez)I(A_z;B_z)=\ln2-h_{\mathrm b}(e_z)(AzA_z が一様で、誤りが対称なとき)と定理 3.10.6 の上界を入れると、

r≥ln⁡2−hb(ez)−hb(ex)(3.10.12)r\ge\ln2-h_{\mathrm b}(e_z)-h_{\mathrm b}(e_x)\tag{3.10.12}

を得る。2つの誤り率が等しい ez=ex=Qe_z=e_x=Q のとき(雑音が基底によらないとき)は

r≥ln⁡2−2hb(Q)(3.10.13)r\ge\ln2-2h_{\mathrm b}(Q)\tag{3.10.13}

で、ビットに直すと 1−2hb(Q)/ln⁡21-2h_{\mathrm b}(Q)/\ln2 である。右辺が正になるのは Q<Q∗Q<Q^*、hb(Q∗)=12ln⁡2h_{\mathrm b}(Q^*)=\frac12\ln2 を解いて Q∗=0.1100Q^*=0.1100 のときである。誤り率がおよそ 11.0%11.0\% より小さければ鍵が取れる。この鍵率は P. W. Shor と J. Preskill が、BB84 を量子誤り訂正符号(CSS 符号、第3部第9章)による量子もつれの蒸留と同じ形に書き直して示した1P. W. Shor and J. Preskill (2000), Phys. Rev. Lett. 85, 441. それ以前に D. Mayers (2001), J. ACM 48, 351 が別の方法で安全性を示していた。下の脚注へ。彼らの証明では、hb(ez)h_{\mathrm b}(e_z) はビットの誤りを直す符号の分、hb(ex)h_{\mathrm b}(e_x) は位相の誤りを直す符号の分として出てくる。この章の式 (3.10.12) では、同じ2つの項が「誤り訂正で公開する分」と「Eve の情報量の上界」として出ている。

記憶つきの不確定性関係による一般の証明

定理 3.10.6 は Bell 対角の状態を仮定した。一般の状態で同じ上界を示すには、次の不確定性関係を使う。

定理 3.10.7(記憶つきの不確定性関係(Berta ほか) ★★★)

量子ビット AA と任意の系 BB、EE の状態 ρ^ABE\hat\rho_{ABE} について、AA を ZZ で測った結果を AzA_z、XX で測った結果を AxA_x とすると

S(Az ∣ E)+S(Ax ∣ B)≥ln⁡2(3.10.14)S(A_z\,|\,E)+S(A_x\,|\,B)\ge\ln2\tag{3.10.14}

が成り立つ。

これは M. Berta、M. Christandl、R. Colbeck、J. M. Renes、R. Renner が示した2M. Berta, M. Christandl, R. Colbeck, J. M. Renes and R. Renner (2010), Nature Phys. 6, 659. 記憶 B,EB,E が無い形 H(Az)+H(Ax)≥ln⁡2H(A_z)+H(A_x)\ge\ln2 は H. Maassen and J. B. M. Uffink (1988), Phys. Rev. Lett. 60, 1103 による。下の脚注へ。右辺の ln⁡2\ln2 は、2つの基底の重なりの最大値 c=max⁡∣⟨z∣x⟩∣2=12c=\max\lvert \langle z | x \rangle \rvert ^2=\frac12 から ln⁡(1/c)\ln(1/c) として出る。左辺の意味は、「EE を持つ人が ZZ の結果を当てること」と「BB を持つ人が XX の結果を当てること」を同時にうまくはできない、ということである。

式 (3.10.14) から鍵率を出す。条件付きエントロピーは S(A ∣ B)=−D(ρ^AB ∥ 1A⊗ρ^B)S(A\,|\,B)=-D(\hat\rho_{AB}\,\|\,\mathbf 1_A\otimes\hat\rho_B) と書けるので、BB の側に量子チャネル(Bob の XX 基底の測定)を当てると、データ処理不等式から S(Ax ∣ B)≤H(Ax ∣ Bx)S(A_x\,|\,B)\le H(A_x\,|\,B_x) である。さらに2値の変数について Fano の不等式から H(Ax ∣ Bx)≤hb(ex)H(A_x\,|\,B_x)\le h_{\mathrm b}(e_x) である(ex=Pr⁡(Ax≠Bx)e_x=\Pr(A_x\ne B_x))。これらを式 (3.10.14) に入れると

S(Az ∣ E)≥ln⁡2−S(Ax ∣ B)≥ln⁡2−hb(ex),S(A_z\,|\,E)\ge\ln2-S(A_x\,|\,B)\ge\ln2-h_{\mathrm b}(e_x),

を得る。Devetak–Winter の形 r≥S(Az ∣ E)−H(Az ∣ Bz)r\ge S(A_z\,|\,E)-H(A_z\,|\,B_z) と H(Az ∣ Bz)≤hb(ez)H(A_z\,|\,B_z)\le h_{\mathrm b}(e_z) を合わせると、式 (3.10.12) が Bell 対角の仮定なしに出る。この導き方では、定理の証明に使った性質は相対エントロピーの単調性(データ処理不等式)と不確定性関係だけである。

6状態の手順

BB84 は ZZ と XX の2つの基底しか使わないので、eye_y(YY 基底の誤り率)を知らない。YY 基底も使う手順(6状態の手順)3D. Bruß (1998), Phys. Rev. Lett. 81, 3018.下の脚注へでは、ey=λX+λZe_y=\lambda_X+\lambda_Z も測れる(∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle では Y⊗YY\otimes Y の値が −1-1 なので、Bob は YY 基底の結果を反転させてから比べる。YY と反交換する XX・ZZ の誤りがこの相関を壊す)。式 (3.10.10) と合わせると

λX=12(ez+ey−ex),λY=12(ez+ex−ey),λZ=12(ex+ey−ez),λ1=1−12(ex+ey+ez)\lambda_X=\tfrac12(e_z+e_y-e_x),\quad \lambda_Y=\tfrac12(e_z+e_x-e_y),\quad \lambda_Z=\tfrac12(e_x+e_y-e_z),\quad \lambda_{\mathbf 1}=1-\tfrac12(e_x+e_y+e_z)

となり、Bell 対角な状態なら λ\lambda がすべて決まる。このとき定理 3.10.6 の等式が使えて、鍵率は

r6=ln⁡2−hb(ez)−[H(λ)−hb(ez)]=ln⁡2−H(λ)(3.10.15)r_6=\ln2-h_{\mathrm b}(e_z)-[H(\lambda)-h_{\mathrm b}(e_z)]=\ln2-H(\lambda)\tag{3.10.15}

になる。雑音が基底によらず ex=ey=ez=Qe_x=e_y=e_z=Q のときは λ=(1−32Q,Q2,Q2,Q2)\lambda=(1-\frac32Q,\frac Q2,\frac Q2,\frac Q2) で、r6>0r_6>0 となるのは Q<0.1262Q<0.1262 である。BB84 では eye_y を知らないので、eze_z・exe_x と両立する λ\lambda の中で H(λ)H(\lambda) が最大の場合(FF と GG が独立な場合)を仮定せざるを得ず、その分だけ鍵率が下がる。図 3.10.3 に2つの鍵率を示す。

図

図 3.10.3 ふるい分けで残った1ビットあたりの鍵率。BB84 の 1−2hb(Q)/ln⁡21-2h_{\mathrm b}(Q)/\ln2(実線)と6状態の手順の 1−H(λ)/ln⁡21-H(\lambda)/\ln2(破線、λ=(1−32Q,Q2,Q2,Q2)\lambda=(1-\frac32Q,\frac Q2,\frac Q2,\frac Q2))。どちらも漸近の鍵率で、0 になる誤り率はそれぞれ 0.1100.110 と 0.1260.126。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 1/n→01/n\to0(鍵に使う量子ビットの数 nn が大きい) | 証明 条件付き(装置が理想どおり〔1個の量子ビット・仕様どおりの検出器〕。Eve の攻撃は任意で、写しごとに独立でない攻撃も量子 de Finetti 定理で独立な場合に帰着する:R. Renner (2007), Nature Phys. 3, 645。有限の nn の補正は別に評価が要る) | 行き先 近似の数理 第6章

例題 3.10.4 送った量子ビットあたりの鍵率 ★★

オリジナル雑音が基底によらない通信路で、誤り率が Q=0.05Q=0.05 だったとする。Alice と Bob は基底を一様に選ぶ(BB84 は2つ、6状態の手順は3つ)。

  1. ふるい分けで残った1ビットあたりの鍵率を、BB84 と6状態の手順についてビットで求めよ。
  2. ふるい分けで残る割合を掛け、送った量子ビット1個あたりの鍵率を比べよ。
  3. BB84 で鍵率が 0.50.5 ビット(ふるい分けの後)になる誤り率を求めよ。
解答

(1) BB84 は 1−2hb(0.05)/ln⁡2=1−2×0.2864=0.42721-2h_{\mathrm b}(0.05)/\ln2=1-2\times0.2864=0.4272 ビット。6状態は λ=(0.925,0.025,0.025,0.025)\lambda=(0.925,0.025,0.025,0.025) で H(λ)/ln⁡2=0.5032H(\lambda)/\ln2=0.5032、r6=0.4968r_6=0.4968 ビット。

(2) 基底が一致する確率は BB84 で 1/21/2、6状態で 1/31/3 なので、送った1個あたり BB84 は 0.4272/2=0.21360.4272/2=0.2136、6状態は 0.4968/3=0.16560.4968/3=0.1656 ビット。ふるい分けの後の鍵率では6状態が上だが、捨てる割合が大きいので送った1個あたりでは BB84 が上になる。6状態の手順の利点は、しきい値が高く雑音の多い通信路でも鍵が取れることにある。

(3) hb(Q)/ln⁡2=0.25h_{\mathrm b}(Q)/\ln2=0.25 を解いて Q=0.0417Q=0.0417。

1 P. W. Shor and J. Preskill (2000), Phys. Rev. Lett. 85, 441. それ以前に D. Mayers (2001), J. ACM 48, 351 が別の方法で安全性を示していた。

2 M. Berta, M. Christandl, R. Colbeck, J. M. Renes and R. Renner (2010), Nature Phys. 6, 659. 記憶 B,EB,E が無い形 H(Az)+H(Ax)≥ln⁡2H(A_z)+H(A_x)\ge\ln2 は H. Maassen and J. B. M. Uffink (1988), Phys. Rev. Lett. 60, 1103 による。

3 D. Bruß (1998), Phys. Rev. Lett. 81, 3018.

木下の勉強ステータス

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