この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第5部 第1章 §5.1.7 ★★★ 全体と部分系の積を比べる D が、熱状態では境界で押さえられ、基底状態では gap と次元で面積則か対数の破れかが決まり、面積則が行列積状態の小さな結合次元を保証する
この章で比べた2つの状態は、多体系の状態 と、領域 とその外 の周辺の積 だった。その間の相対エントロピーは相互情報量 で、純粋状態ではエンタングルメント・エントロピー の2倍になる。乱数で選んだ状態は Page の平均のとおり体積則に従い、ほぼ上限 に等しい。物理の基底状態が面積則 に従うなら、それは Hilbert 空間の中の特別な状態である。
当てた性質は Gibbs の変分原理 で、 と置くと、 という恒等式が出た。 を捨てれば で、有限温度の熱状態はどの次元でも相互情報量の面積則に従う。量子 Pinsker の不等式を合わせると、 は と の相関すべてを押さえる。
出てきたものは3つあった。1次元で gap のある基底状態はエントロピーが有界で(Hastings の定理)、自由フェルミオンでは相関行列の固有値 から で計算でき、二量体化した鎖で飽和を確かめた。gap が閉じた臨界点では と対数で増え、一様な鎖の数値から を読み取った。どの切れ目でも Schmidt 階数が 以下の状態は行列積状態として 個の数で書け、1次元の gap のある基底状態では が の多項式で足りる。これが冒頭の問い( 個の数の状態がなぜ計算機に載るか)への答えだった。授業で習う「エントロピーは示量変数」は熱状態の の体積の項で、相関の量 は同じ熱状態でも境界の項に留まる。
次の章(第5部第2章)では、面積則に のような定数の補正が付く状態(トポロジカル・エンタングルメント・エントロピー)を、位相秩序と量子誤り訂正符号の言葉で扱う。ブラックホールの面積に比例するエントロピーは第7部で、この章の面積則と並べて扱う。
この章の道具
- 純粋状態で 。面積則 、乱数の状態は体積則(Page)。
- 熱状態:、。
- 相関の上限 。
- 1次元で gap あり:(Hastings)。自由フェルミオン:、 は の固有値。
- 臨界:(区間)、(端からの切れ目)。
- 行列積状態:、、1つの切れ目の切り捨て誤差の2乗=捨てた重み。
- 熱状態の部分系:。
総合問題 1次元 Ising 鎖の熱状態で体積則と面積則を分ける ★★★
オリジナル 個のスピンの開いた鎖に、古典的な Ising の Hamiltonian ()を置く。 は 基底で対角なので、熱状態 も対角で、配置 ()の確率分布 と同じものである。 を左の 個、 を残りの 個とし、 とおく。
- (1) 結合の変数 が互いに独立で 、 が を等確率で取ることを示し、 を導け。(使う道具:5.1.1 節・5.1.6 節)
- (2) 、、、 がこの順に Markov 連鎖をなすことを使って、 が にも にもよらないことを示せ。(使う道具:第1部第4章のデータ処理不等式と Markov 連鎖・5.1.1 節)
- (3) を求め、恒等式 (5.1.7) と面積則 (5.1.8) を確かめよ。 の数値も求めよ。(使う道具:5.1.2 節・第2部第2章の Gibbs の変分原理)
- (4) 、 で と を比べ、式 (5.1.20) のどの項に当たるかを述べよ。この状態はもつれているか。(使う道具:5.1.6 節・第3部第4章の分離可能な状態)
- (5) で はどうなるか。同じ2つの配置の重ね合わせの純粋状態(GHZ 状態)と比べ、GHZ 状態を結合次元 2 の行列積状態で書けることと合わせて、 の違いが何によるかを述べよ。(使う道具:5.1.5 節・5.1.2 節)
解答
(1) を、 と の関数として書き直す。 と は1対1に対応し()、 は によらず ごとの積になる。したがって は等確率、 は互いに独立で である。 の配置は と1対1なので、そのエントロピーは独立な変数の和で
に比例して増え、体積則に従う。 は対角なので、von Neumann エントロピーは配置の分布の Shannon エントロピーに等しい。
(2) が独立なので、 を知れば の配置は で決まり、 の残りの情報( など)とは独立である。したがって は Markov 連鎖である。データ処理不等式を2回使うと、 から 、 から で、。一方、 は の一部、 は の一部なので でもある。よって 。、 の周辺はどちらも等確率で、組の分布は揃う配置が ずつ、逆向きが ずつなので、例題 5.1.2 と同じ計算で
にも にもよらない。境界の結合は1本なので、相互情報量は境界の大きさで決まる。
(3) では と が独立になり、 だけが等確率の に替わる。他の結合の分布は変わらないので、 は の分布だけの比較になり
例題 5.1.2 と同じく である。右辺は で、、 から になり、恒等式 (5.1.7) が成り立つ。 なので面積則は 。 では 、、
(4) に対し、 のままである。式 (5.1.20) の体積の項が で (1結合あたりの熱力学のエントロピー)、境界の項に相関 が入る。 は配置 の確率混合で、各項は積状態なので分離可能であり、もつれていない(第3部第4章の定義)。 はすべて古典的な相関である。面積則は量子のもつれに限らず、局所的な相互作用でできた相関一般の性質である。
(5) で 、 なので に留まる。熱状態は2つの基底状態の等確率の混合 に近づき、、 で 。上界 は発散するので、この極限では何も言わない。一方、純粋状態の GHZ 状態 では なので である。GHZ 状態は例題 5.1.5 のとおり結合次元 2 の行列積状態で、どの切れ目でも の面積則に従う。 の差 は、混合状態では失われている2つの配置の間の量子的な重ね合わせの分で、GHZ 状態ではそれがもつれとして と にまたがっている。
木下の勉強ステータス
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