tecktom.com

授業で習った形との対応

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第1章 エンタングルメント・エントロピーと面積則
目次
  1. エントロピーは示量変数である
  2. 一重項・Sommerfeld 展開・ブラックホール
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第5部 第1章 §5.1.6 ★★ 学部の統計力学の「エントロピーは体積に比例する」は熱状態の部分系のエントロピーの話で、相互情報量は熱状態でも面積則に従う

エントロピーは示量変数である

学部の統計力学では、エントロピーは示量変数で、系を2倍にすると2倍になる、と習う。例えば単原子分子の理想気体の Sackur–Tetrode の式

S=NkB[ln⁡VNλT3+52],λT=h2πmkBT(5.1.19)S=Nk_{\mathrm B}\Bigl[\ln\frac{V}{N\lambda_T^3}+\frac52\Bigr],\qquad\lambda_T=\frac{h}{\sqrt{2\pi mk_{\mathrm B}T}}\tag{5.1.19}

は NN と VV を同じ割合で増やすと SS も同じ割合で増える。これと面積則は矛盾しない。式 (5.1.19) は熱状態という混合状態のエントロピーで、この章の言葉では「部分系 AA の von Neumann エントロピー S(ρ^A)S(\hat\rho_A) に kBk_{\mathrm B} を掛けたもの」である。熱状態の ρ^A\hat\rho_A はほぼ AA だけの熱状態に近く(第2部第3章の典型性)、そのエントロピーは体積に比例する。一方、AA と BB の間の相関の量 I(A;B)I(A;B) は、定理 5.1.2 により境界の大きさで押さえられる。2つを合わせると、熱状態の部分系のエントロピーは

S(ρ^A)=s∣A∣+O(∣∂A∣)(5.1.20)S(\hat\rho_A)=s\lvert A\rvert +\mathcal{O}(\lvert \partial A\rvert )\tag{5.1.20}

という形になる(ss は1サイトあたりのエントロピー密度を kBk_{\mathrm B} で割ったもの)。体積の項が熱力学のエントロピー、境界の項に AA と BB の相関が入る。純粋状態にすると体積の項が消え、境界の項だけが残る。

これを自由フェルミオンの一様な鎖で確かめる。温度 TT の熱状態の相関行列は、式 (5.1.14) の占有の階段を Fermi 分布 f(ε)=1/(eβε+1)f(\varepsilon )=1/(\mathrm{e}^{\beta\varepsilon }+1) に替えたCij=∫−ππdk2πf(ε(k))eik(i−j)C_{ij}=\int_{-\pi}^{\pi}\frac{\mathrm{d} k}{2\pi}f(\varepsilon (k))\mathrm{e}^{\mathrm{i} k(i-j)} である(化学ポテンシャル 00、半分の占有)。kBT=0.5 tk_{\mathrm B}T=0.5\,t で式 (5.1.13) から S(L)S(L) を計算すると、図 5.1.4 のように LL に比例して増え、傾きはエントロピー密度 s=∫dk2πhb(f(ε(k)))=0.2973s=\int\frac{\mathrm{d} k}{2\pi}h_{\mathrm b}(f(\varepsilon (k)))=0.2973 に一致した。S(L)−sLS(L)-sL は LL によらず 0.4750.475 に落ち着き、これが境界の分である。同じ温度で、64 サイトの環を半分ずつに分けた熱状態の相互情報量は I(A;B)=0.950I(A;B)=0.950 で、16 サイトの環でも 32 サイトの環でも同じ値だった。境界は結合2本で、1本の項 −t(c^i†c^i+1+h.c.)-t(\hat c_i^\dagger\hat c_{i+1}+\text{h.c.}) のノルムは tt なので、上界 (5.1.8) は 2×2t/(0.5 t)=82\times2t/(0.5\,t)=8 である。II は上界より1桁小さい。

図

図 5.1.4 一様な自由フェルミオンの鎖で、長さ LL の区間のエントロピー。T=0T=0(青)は対数でしか増えないが、kBT=0.5 tk_{\mathrm B}T=0.5\,t(赤)は LL に比例して増える(体積則)。ただし AA と BB の相互情報量はこの温度でも O(1)O(1) に留まる。値は相関行列の方法による厳密な計算

一重項・Sommerfeld 展開・ブラックホール

学部の量子力学で習う2つのスピン 12\frac12 の一重項 12(∣↑↓⟩−∣↓↑⟩)\frac1{\sqrt2}(| \uparrow\downarrow \rangle -| \downarrow\uparrow \rangle ) は、片方を取り出すと 121\frac12\mathbf 1 で S=ln⁡2S=\ln2 になる。例題 5.1.1 の鎖のエントロピーは、境界をまたぐ一重項の数にこの ln⁡2\ln2 を掛けたものだった。

低温の自由電子の熱容量で習う Sommerfeld 展開も、この章の対数の係数とつながる。低温ではエントロピー密度が TT に比例し、S/V=π23kB2T D(εF)S/V=\frac{\pi^2}{3}k_{\mathrm B}^2T\,D(\varepsilon _{\mathrm F}) になる(D(εF)D(\varepsilon _{\mathrm F}) は Fermi 準位の状態密度)。1次元の臨界系では、これが共形場理論の s=πc kBT3ℏvs=\frac{\pi c\,k_{\mathrm B}T}{3\hbar v}(vv は Fermi 速度)と同じ式になり、比熱の係数にも中心電荷 cc が現れる(次の例題)。

最後に、面積則という名前は、ブラックホールのエントロピーが地平面の面積に比例する Bekenstein–Hawking の式 SBH=kBAH4ℓP2S_{\mathrm{BH}}=\frac{k_{\mathrm B}A_{\mathrm H}}{4\ell_{\mathrm P}^2}(AHA_{\mathrm H} は地平面の面積、ℓP\ell_{\mathrm P} は Planck 長。定義は第7部第1章の冒頭)を意識したものである。L. Bombelli、R. K. Koul、J. Lee、R. D. Sorkin1L. Bombelli, R. K. Koul, J. Lee, R. D. Sorkin (1986), Physical Review D 34, 373–383。下の脚注へ と Srednicki(1993)は、真空の量子場を球の内と外に分けたときのエンタングルメント・エントロピーが球の表面積に比例することを示し、SBHS_{\mathrm{BH}} の起源の候補とした。格子定数を短くすると係数が発散するので、そのままでは SBHS_{\mathrm{BH}} の値を与えないが、形は同じである。この話は第7部(第7部第1章・第7部第2章)で扱う。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの kBT/t→0k_{\mathrm B}T/t\to0(温度がバンド幅に比べて低い) | 証明 証明済み(Fermi 準位の近くで状態密度が滑らかなら、Sommerfeld 展開は誤差の評価つきの漸近展開になる) | 行き先 近似の数理 第7章

例題 5.1.6 低温のエントロピー密度と中心電荷 ★★

オリジナル一様な鎖の1粒子のエネルギーは ε(k)=−2tcos⁡k\varepsilon (k)=-2t\cos k(格子定数 11、−π<k≤π-\pi<k\le\pi)、半分の占有で Fermi 準位は εF=0\varepsilon _{\mathrm F}=0 である。

  1. 1サイトあたりの状態密度 D(εF)D(\varepsilon _{\mathrm F}) を求め、Sommerfeld 展開で1サイトあたりのエントロピー ss(kBk_{\mathrm B} で割ったもの)を kBT/tk_{\mathrm B}T/t の1次まで求めよ。
  2. Fermi 速度 v=1ℏ∣dεdk∣k=π/2v=\frac1\hbar\lvert \frac{\mathrm{d} \varepsilon }{\mathrm{d} k}\rvert _{k=\pi/2} を求め、s=πc kBT3ℏvs=\frac{\pi c\,k_{\mathrm B}T}{3\hbar v} と比べて cc を読み取れ。
  3. kBT=0.05 tk_{\mathrm B}T=0.05\,t で (1) の値を求め、数値積分 s=∫dk2πhb(f(ε(k)))=0.02622s=\int\frac{\mathrm{d} k}{2\pi}h_{\mathrm b}(f(\varepsilon (k)))=0.02622 と比べよ。kBT=0.5 tk_{\mathrm B}T=0.5\,t ではどうか。
解答

(1) Fermi 準位は k=±π2k=\pm\frac\pi2 の2点にあり、それぞれで ∣dεdk∣=2t\lvert \frac{\mathrm{d} \varepsilon }{\mathrm{d} k}\rvert =2t である。1サイトあたりの状態密度は kk の密度 12π\frac{1}{2\pi} を使って

D(εF)=2×12π×12t=12πt.D(\varepsilon _{\mathrm F})=2\times\frac{1}{2\pi}\times\frac{1}{2t}=\frac{1}{2\pi t}.

Sommerfeld 展開 s=π23kBT D(εF)s=\frac{\pi^2}{3}k_{\mathrm B}T\,D(\varepsilon _{\mathrm F}) に入れて s=πkBT6ts=\frac{\pi k_{\mathrm B}T}{6t} である。

(2) v=2tℏv=\frac{2t}{\hbar}(格子定数1あたり)。πc kBT3ℏv=πc kBT6t\frac{\pi c\,k_{\mathrm B}T}{3\hbar v}=\frac{\pi c\,k_{\mathrm B}T}{6t} が (1) と一致するのは c=1c=1 のときで、5.1.4 節で T=0T=0 のエンタングルメント・エントロピーの傾きから読み取った値と同じである。

(3) kBT=0.05 tk_{\mathrm B}T=0.05\,t では π×0.056=0.02618\frac{\pi\times0.05}{6}=0.02618 で、数値積分の 0.026220.02622 と 0.2%0.2\% 以内で一致する。kBT=0.5 tk_{\mathrm B}T=0.5\,t では1次の式は 0.2620.262 を与えるが、数値積分は 0.2970.297 で、1割以上ずれる。温度がバンド幅 4t4t に比べて小さくないので、Fermi 準位の近くだけで決まる Sommerfeld 展開の前提が成り立たない。

1 L. Bombelli, R. K. Koul, J. Lee, R. D. Sorkin (1986), Physical Review D 34, 373–383。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『虎の巻』の記事一覧へ