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2つ目の道具:ずらしても変わらないものが保存する

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第1章 序章:どのラグランジアンを選んだか
目次
  1. 無限小変換と保存量
  2. 保存量が変換を起こす
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第1章 §1.1.4 ★★★ Noether の定理と生成子を、並進・回転・時間発展の3つで並べて先に使う

無限小変換と保存量

一般化座標を、実数 ϵ\epsilon だけわずかにずらす変換

qi→qi+ϵKi(q)(i=1,…,f)(1.1.6)q_i\to q_i+\epsilon K_i(q)\qquad(i=1,\dots,f)\tag{1.1.6}

を考える(KiK_i はずらし方を決める関数)。この変換で LL が ϵ\epsilon の1次まで変わらないとき、

Q=∑i=1fpiKi(q),pi=∂L∂q˙i(1.1.7)Q=\sum_{i=1}^fp_iK_i(q),\qquad p_i=\frac{\partial L}{\partial \dot q_i}\tag{1.1.7}

は運動のあいだ一定に保たれる。これが Noether の定理の最も簡単な形である。

理由は Euler–Lagrange 方程式 (1.1.2) から1行で出る。変換で q˙i\dot q_i は q˙i+ϵK˙i\dot q_i+\epsilon\dot K_i に変わるので、LL の1次の変化はϵ∑i(∂L∂qiKi+∂L∂q˙iK˙i)\epsilon\sum_i\bigl(\frac{\partial L}{\partial q_i}K_i+\frac{\partial L}{\partial \dot q_i}\dot K_i\bigr) である。一方、QQ の時間微分は、運動方程式 p˙i=∂L∂qi\dot p_i=\frac{\partial L}{\partial q_i} を使うと

dQdt=∑i(p˙iKi+piK˙i)=∑i(∂L∂qiKi+∂L∂q˙iK˙i)\frac{\mathrm{d} Q}{\mathrm{d} t}=\sum_i\bigl(\dot p_iK_i+p_i\dot K_i\bigr)=\sum_i\Bigl(\frac{\partial L}{\partial q_i}K_i+\frac{\partial L}{\partial \dot q_i}\dot K_i\Bigr)

となり、LL の1次の変化を ϵ\epsilon で割ったものと同じ式になる。LL が変わらないならこれは 00 なので、QQ は保存する。LL が全微分の分だけ変わる場合や、時刻もずらす変換を含めた一般の形は 第1部第10章 で示す。

保存量が変換を起こす

式 (1.1.7) の QQ には、もう1つの役割がある。相空間の関数 A(q,p)A(q,p), B(q,p)B(q,p) の Poisson 括弧を

{A,B}=∑i=1f(∂A∂qi∂B∂pi−∂A∂pi∂B∂qi)(1.1.8)\{A,B\}=\sum_{i=1}^f\Bigl(\frac{\partial A}{\partial q_i}\frac{\partial B}{\partial p_i}-\frac{\partial A}{\partial p_i}\frac{\partial B}{\partial q_i}\Bigr)\tag{1.1.8}

で定義すると、{qi,Q}=∂Q∂pi=Ki\{q_i,Q\}=\frac{\partial Q}{\partial p_i}=K_i なので、変換 (1.1.6) は δqi=ϵ{qi,Q}\delta q_i=\epsilon\{q_i,Q\} と書き直すことができる。保存量 QQ を Poisson 括弧の片方に入れると、その保存量に対応する変換が出てくる。この意味で QQ をその変換の生成子と呼ぶ。並進・回転・時間発展について、変換と生成子を並べると次のようになる。

変換ずらし方生成子(=保存量)
並進δq=ϵ\delta q=\epsilon運動量 pp({q,p}=1\{q,p\}=1)
zz 軸まわりの回転δx=−ϵy\delta x=-\epsilon y, δy=+ϵx\delta y=+\epsilon x角運動量 Lz=xpy−ypxL_z=xp_y-yp_x
時間発展δqi=q˙i dt\delta q_i=\dot q_i\,\mathrm{d} tハミルトニアン HH(ϵ=dt\epsilon=\mathrm{d} t)

時間発展の行は、Hamilton 方程式 q˙i=∂H∂pi={qi,H}\dot q_i=\frac{\partial H}{\partial p_i}=\{q_i,H\} を「HH が時間の並進を生成する」と読んだものである。量子力学では Poisson 括弧が交換子に置き換わり({⋅,⋅}→[⋅, ⋅]/(iℏ)\{\cdot,\cdot\}\to\left[\cdot,\,\cdot\right]/(\mathrm{i}\hbar))、運動量が空間の並進を、角運動量が回転を、ハミルトニアンが時間発展を生成する、という同じ表がそのまま成り立つ。この置き換えは第4部で、場の Noether の定理(電荷の保存・エネルギー運動量テンソル)は 第2部第7章 で扱う。無限小変換・保存量・Poisson 括弧の3つを1本の議論として組み立てるのが、第1部第9〜11章の役目である。

例題 1.1.4 中心力の回転対称性から角運動量を取り出す ★★★

オリジナル平面内を運動する質量 mm の粒子が、原点からの距離 r=x2+y2r=\sqrt{x^2+y^2} だけに依る位置エネルギー V(r)V(r) の中にある。L=12m(x˙2+y˙2)−V(r)L=\frac12m(\dot x^2+\dot y^2)-V(r) とする。

  1. (1) 回転 δx=−ϵy\delta x=-\epsilon y, δy=+ϵx\delta y=+\epsilon x で、LL が ϵ\epsilon の1次まで変わらないことを示せ。
  2. (2) 式 (1.1.7) から保存量 QQ を求めよ。
  3. (3) 運動方程式から直接 dQdt=0\frac{\mathrm{d} Q}{\mathrm{d} t}=0 を確かめよ。
  4. (4) Poisson 括弧 {x,Q}\{x,Q\}, {y,Q}\{y,Q\} を計算し、QQ が回転を生成することを確かめよ。
解答

(1) δ(x2+y2)=2x(−ϵy)+2y(ϵx)=0\delta(x^2+y^2)=2x(-\epsilon y)+2y(\epsilon x)=0 なので rr は1次まで変わらず、V(r)V(r) も変わらない。速度は δx˙=−ϵy˙\delta\dot x=-\epsilon\dot y, δy˙=ϵx˙\delta\dot y=\epsilon\dot x と変わるので δ(x˙2+y˙2)=2x˙(−ϵy˙)+2y˙(ϵx˙)=0\delta(\dot x^2+\dot y^2)=2\dot x(-\epsilon\dot y)+2\dot y(\epsilon\dot x)=0。よって δL=0\delta L=0。

(2) Kx=−yK_x=-y, Ky=xK_y=x, px=mx˙p_x=m\dot x, py=my˙p_y=m\dot y なので Q=px(−y)+pyx=xpy−ypxQ=p_x(-y)+p_yx=xp_y-yp_x。これは角運動量の zz 成分 LzL_z である。

(3) 運動方程式は mx¨=−V′(r)xrm\ddot x=-V'(r)\dfrac xr, my¨=−V′(r)yrm\ddot y=-V'(r)\dfrac yr。よって

dQdt=m(x˙y˙+xy¨−y˙x˙−yx¨)=−V′(r)xy−yxr=0.\frac{\mathrm{d} Q}{\mathrm{d} t}=m(\dot x\dot y+x\ddot y-\dot y\dot x-y\ddot x)=-V'(r)\frac{xy-yx}{r}=0 .

(4) {x,Q}=∂Q∂px=−y\{x,Q\}=\frac{\partial Q}{\partial p_x}=-y, {y,Q}=∂Q∂py=x\{y,Q\}=\frac{\partial Q}{\partial p_y}=x。したがって ϵ{x,Q}=−ϵy=δx\epsilon\{x,Q\}=-\epsilon y=\delta x, ϵ{y,Q}=ϵx=δy\epsilon\{y,Q\}=\epsilon x=\delta y で、(1) の回転がそのまま出てくる。回転で変わらないという性質から保存量が取り出され、その保存量から同じ回転が取り戻される。この往復が、第1部第9〜11章で一般の変換について示すことの最も小さな例である。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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