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この巻の問い:理論は何を選んだものか

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第1章 序章:どのラグランジアンを選んだか
目次
  1. 選ぶもの・当てる道具・出てくるもの
  2. 作用と停留
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第1章 §1.1.1 ★★★ 理論ごとに違うのは選ぶ LL・HH で、当てる道具は共通している

物理の授業は、分野ごとに別の出発点から始まる。力学は Newton の運動方程式から、電磁気学は Maxwell 方程式から、統計力学は分配関数から、量子力学は Schrödinger 方程式から始まり、それぞれの式は出発点として置かれる。この巻では、これらの出発点を1つの手順の別々の出力として読み直す。その手順は、ラグランジアン LL またはハミルトニアン HH を1つ選び、解析力学の道具を当て、出てくる式を読む、というものである。理論ごとに違うのは何を選んだかであり、当てる道具は全部の理論で共通している。解析力学を最初に学ぶ1分野としてでなく、各理論を読むための共通の道具として置き直すことが、この巻の目的である。

この章は巻全体の構成を示す。1.1.1節で各理論が何を選んだかを表にし、最も簡単な LL で作用の停留を数値で確かめる。1.1.2節では、第1部の14章がどの道具を作るかを並べ、巻の読み方を述べる。1.1.3〜1.1.5節では、巻を通して何度も使う3つの道具、すなわち Legendre 変換、Noether の定理と生成子、Hamilton–Jacobi 方程式と波の関係を、それぞれ小さな計算1つで先に使ってみる。1.1.6節では、授業で習った形(Newton の運動方程式・作用反作用・熱力学の関係式・交換関係)がこの巻のどの式にあたるかを並べ、1.1.7節でまとめる。導出の本体は第1部の後の章で行うので、この章では結果を先に借りる所がある。借りた所には、どの章で示すかを書き添える。

選ぶもの・当てる道具・出てくるもの

第2部以降の各章は、同じ順で書く。まずその章で選ぶ LL または HH を1行で書き、次に第1部のどの道具を当てるかを述べ、道具を当てて出てくる式を導き、最後に、授業で習った形とどう対応するかを式で並べる。この形にそろえると、たとえば電磁気学の章と量子力学の章で、違うのは選んだ LL・HH だけで、当てている道具は同じだということを章の構成から読み取ることができる。表 1.1.1 は、巻で扱う主な理論について、選ぶものと出てくるものを1行ずつ並べたものである。

表 1.1.1 各理論が選ぶ LL・HH と、そこから出てくるもの
理論選ぶもの出てくるもの扱う部
粒子の力学L=T−VL=T-VNewton の運動方程式・保存則第1部
電磁場中の荷電粒子L=12mv2−qϕ+qv⋅AL=\frac12mv^2-q\phi+q\bm{v}\cdot\bm{A}Lorentz 力・ゲージの自由度・p≠mv\bm{p}\neq m\bm{v}第2部
相対論的粒子L=−mc21−v2/c2L=-mc^2\sqrt{1-v^2/c^2}(作用は固有時に比例)E=mc2E=mc^2・4元運動量第2部
電磁場そのものL=−14μ0FμνFμν−JμAμ\mathcal L=-\frac{1}{4\mu_0}F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}-J^\mu A_\muMaxwell 方程式・電荷の保存・エネルギー運動量テンソル第2部
重力曲がった時空の固有時と Einstein–Hilbert 作用測地線・Einstein 方程式第2部
統計力学相空間の上の HH等重率・Z=∫e−βHdΓZ=\int\mathrm{e}^{-\beta H}\mathrm{d}\Gamma・熱力学ポテンシャル第3部
量子力学同じ HH を演算子に読み替えるSchrödinger 方程式・古典極限第4部
融合場の LL を量子化し、e−βH\mathrm{e}^{-\beta H} を虚時間で読む量子統計・光子・ゲージ原理・くりこみ第5部

表の中の記号は、それぞれの部で定義し直す。ここで見てほしいのは、左から2列目の「選ぶもの」が理論ごとに1行で書けること、そして3列目の「出てくるもの」が、授業ではそれぞれの理論の出発点として置かれていた式だということである。

作用と停留

選んだ LL から運動を取り出す操作の中心にあるのが作用である。自由度 ff の系の配置を一般化座標 q=(q1,…,qf)q=(q_1,\dots,q_f) で表し、時刻 t1t_1 から t2t_2 までの経路 q(t)q(t) を1本決めると、

S[q]=∫t1t2L(q(t),q˙(t),t) dt(1.1.1)S[q]=\int_{t_1}^{t_2}L\bigl(q(t),\dot q(t),t\bigr)\,\mathrm{d} t\tag{1.1.1}

が数を1つ返す。角括弧は、時刻1つの値でなく経路全体を入れることを表す(第1部第3章)。最小作用の原理(Hamilton の原理)は、端の値 q(t1)q(t_1), q(t2)q(t_2) を決めた経路のうちで、実際に起こる運動は S[q]S[q] を停留させるものだ、と主張する。停留とは、経路をわずかにずらしたときの SS の変化に、ずらし幅の1次の項が無いことをいう。名前に「最小」と入っているが、要求しているのは停留であって、最小でない場合があることは第1部第3章と第5章で確かめる。

停留の条件を一般の LL について書き下したものが Euler–Lagrange 方程式

ddt∂L∂q˙i−∂L∂qi=0(i=1,…,f)(1.1.2)\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\frac{\partial L}{\partial \dot q_i}-\frac{\partial L}{\partial q_i}=0\qquad(i=1,\dots,f)\tag{1.1.2}

で、その導出は 第1部第4章 で行う。この章では式 (1.1.2) を結果として借りて使う。ただし最初の例題では、式 (1.1.2) を使わずに、作用そのものを計算して停留を確かめる。

図 1.1.1 は、真上に投げ上げて時刻 TT に元の高さへ戻る小球について、実際の経路と、それをずらした経路を描いたものである。どの経路も同じ時刻に同じ端点を通るが、作用の値はそれぞれ違う。実際の経路は、ずらし幅を表すパラメータについて作用が停留する点にある。

図

図 1.1.1 投げ上げの経路 xc(t)=x∗(t)+c t(T−t)x_c(t)=x_*(t)+c\,t(T-t)(g=9.8 m s−2g=9.8\,\mathrm{m\,s^{-2}}, T=1 sT=1\,\mathrm{s})。点線が実際の経路、実線がずらした経路。作用は S(c)=S(0)+mc2T3/6S(c)=S(0)+mc^2T^3/6 で、cc の1次の項を持たない。

例題 1.1.1 投げ上げの作用を経路の族で測る ★★★

オリジナル質量 mm の小球を時刻 00 に高さ 00 から真上に投げ上げたところ、時刻 TT に高さ 00 へ戻った。鉛直上向きに xx 軸をとり、L=12mx˙2−mgxL=\frac12m\dot x^2-mgx とする。

  1. (1) x∗(t)=12g t(T−t)x_*(t)=\frac12g\,t(T-t) が x¨=−g\ddot x=-g と端の条件 x(0)=x(T)=0x(0)=x(T)=0 を満たすことを確かめよ。
  2. (2) 実数 cc について経路 xc(t)=x∗(t)+c t(T−t)x_c(t)=x_*(t)+c\,t(T-t) を考える。作用 S(c)=∫0TL dtS(c)=\int_0^TL\,\mathrm{d} t を計算し、S(c)=S(0)+mc2T36S(c)=S(0)+\dfrac{mc^2T^3}{6} を示せ。S(0)S(0) の値も求めよ。
  3. (3) m=1 kgm=1\,\mathrm{kg}, g=9.8 m s−2g=9.8\,\mathrm{m\,s^{-2}}, T=1 sT=1\,\mathrm{s} のとき、高さ 00 に止まり続ける経路と実際の経路の作用の差を求めよ。
解答

(1) x˙∗=12g(T−2t)\dot x_*=\frac12g(T-2t), x¨∗=−g\ddot x_*=-g。また x∗(0)=x∗(T)=0x_*(0)=x_*(T)=0。

(2) a=g2+ca=\frac g2+c とおくと xc=a t(T−t)x_c=a\,t(T-t), x˙c=a(T−2t)\dot x_c=a(T-2t) である。∫0T(T−2t)2 dt=T33\int_0^T(T-2t)^2\,\mathrm{d} t=\frac{T^3}{3}, ∫0Tt(T−t) dt=T36\int_0^Tt(T-t)\,\mathrm{d} t=\frac{T^3}{6} を使うと

S(c)=12ma2⋅T33−mga⋅T36=mT36(a2−ga)=mT36[(a−g2)2−g24].S(c)=\frac12ma^2\cdot\frac{T^3}{3}-mga\cdot\frac{T^3}{6}=\frac{mT^3}{6}\bigl(a^2-ga\bigr)=\frac{mT^3}{6}\Bigl[\Bigl(a-\frac g2\Bigr)^2-\frac{g^2}{4}\Bigr].

a−g2=ca-\frac g2=c なので

S(c)=mT36c2−mg2T324,S(0)=−mg2T324.S(c)=\frac{mT^3}{6}c^2-\frac{mg^2T^3}{24},\qquad S(0)=-\frac{mg^2T^3}{24}.

S(c)−S(0)S(c)-S(0) は c2c^2 に比例し、cc の1次の項を持たない。これが「実際の経路で作用が停留する」ことの、この経路の族での中身である。この例では2次の係数 mT3/6mT^3/6 が正なので、実際の経路はこの族の中で作用を最小にしている。

(3) 止まり続ける経路は x≡0x\equiv0 で、c=−g2c=-\frac g2 にあたる。差は S(−g2)−S(0)=mg2T324=1×9.82×124≈4.00 J sS(-\tfrac g2)-S(0)=\dfrac{mg^2T^3}{24}=\dfrac{1\times9.8^2\times1}{24}\approx4.00\,\mathrm{J\,s}。実際の経路の作用は S(0)≈−4.00 J sS(0)\approx-4.00\,\mathrm{J\,s}、止まり続ける経路の作用は 00 である。作用の単位 J s\mathrm{J\,s} は Planck 定数 ℏ=1.05×10−34 J s\hbar=1.05\times10^{-34}\,\mathrm{J\,s} と同じで、この比が非常に大きいことが、この運動を古典力学で扱ってよい理由になる(1.1.5節)。

木下の勉強ステータス

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